下級貴族だけど婚約破棄されたら権力者の偽装愛人をやることになった

八華

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お別れ

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 翌日、私は王都騎士団の訓練所で、無心に鍛錬に励んでいた。
 ラヴェンナ様には、知り合いと気楽に会えるのは最後になるから、会いたい者に会っておくようにと、5日ほど時間をいただいた。
 別れが済んだら、しばらく私はルクソール公爵邸に引きこもって、ラヴェンナ様の魔術で能力を上げきる。ラヴェンナ様がルクソール公爵を継いだら、ルクソール家の領地で一生を終えることになるだろう。
 これから1年くらいは不自由な身になるけれど、ルクソール領ではある程度自由がもらえて、結婚も好きな人として良いと言ってもらえた。

「君の人生を振り回してしまったからね」

 ラヴェンナ様はお優しい方のようだ。この状況で私に手を出してこないのも、私がゴリラ女だからではなく、彼が優しいからなんだろうなと何となく思う。

 私はもともと友達が多い方ではないし、恋愛にも興味がなかったから、親しい人はそんなにいない。5日もあれば皆に会えるだろう。

 騎士団の寮は今日で引き払って、これから5日は両親の家に泊まる予定だ。
 両親には、今夜、表向きの理由で会えなくなることを説明するつもりだけど、長年私を見てきた親が、私が公爵家の嫡子様の愛人になったと言って、信じるとは思えない。まあ、なんか適当に誤魔化そうと思う。

 他の、ほとんどの知り合いは顔を見るだけかな。愛人なんて話をしても、何言ってんだコイツと思われるだけだろうし。何も言わずのお別れになるけど、まあ、大丈夫だろう。

 学生時代からの友達は、王都騎士団に一番たくさんいる。
 そういえば、騎士団って言っているけど、所属するほとんどは、宮廷貴族の男爵と子爵なんだよね。数百年前の、魔導士の血統管理が未熟だった時代に、魔力の高い平民に片っ端から騎士の位を与えて軍を維持していた頃の名残の名前だ。その頃なら、今の男爵の魔力で一騎当千できた。
 昔は兵器開発がさかんだったそうだけど、それがいつの頃からか魔導士の血統開発にとって替わられた。私たちは昔の戦車と同じくらいの兵器だ。で、今の私は開発中の秘密兵器。あははは、はぁ・・・・・・。

 何にしろ、今日は学生時代から仲の良かった友達何人かに、手合わせを申し込むつもりだ。最後に拳で語り合いたかったのだ。

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