208 / 224
皇女アルミラの楽しい世界征服
決着!からの… その5
しおりを挟む
闘技場の観客席中段辺り、魔物が群がっている箇所が。
有象無象の魔物達が、アルフリーヌ達を取り囲む。
「ああぁぁぁっ!!水の爪っ!!」
「ぐぎゃああぁぁっ!!」
クマガトフの魔法爪に、魔物達が断末魔の悲鳴を上げて千切れ飛ぶ。
「いやぁ、これが噂の魔法爪でござるかっ!」
「え?!私、有名人ですか?!」
「勿論さね、ガトちん!」
「ガ、ガトちん?」
「ケーラはあだ名のセンスが死んでるよね…」
呆れるロッテンを気にすることなく、ケーラは続ける。
「アンタの魔法爪のお陰で、ウチのモンも魔法剣が使えるようになったからね!
炎の刃っ!」
得意気にそう言うと、ケーラの構えた十文字槍が一瞬炎を纏い、魔物を焼き切った。
「ほら、このとおり!ほんと、ガトちん様様だよ!」
「なるほど、なるほど!これがあの時見れなかった魔法剣かー。なるほどねー。」
ロッテンはミュールで見れなかった【魔法剣】に興味深々だ。
「あ…この技、ロッちんには内緒だっけね?」
「もういいのではないか?魔法剣を出し惜しみ出来る状況でもなし。
それに、コヤツもウチに来てそこそこ経ったしな」
「ありがとーシンム、優しーねー。あ、さっき引き留めたお礼?」
「! ば、馬鹿者!そんなではない!それより、流石に勝手に教えるワケにはゆかぬ、自分で見て盗むのだな!」
シンムは図星を突かれたのを誤魔化すように、ロッテンに見せるように魔法剣を放つ。
ロッテンは戦いながら、シンムとケーラの魔法剣を横目に見ていた。そして、
「なるほど…インパクトの瞬間だけ魔法を武器に纏わせてるのか―…じゃあっ!」
ロッテンは袖からジャラジャラと鎖を垂らすと、頭上で大きく振り回し、
「連発で放った魔法を武器に沿わせるとどうなるのかなっ?!」
「風の刃っ!風の刃っ!風の刃っ!風の刃っ!風の刃っ!風の刃っ!」
ーッヴゥオオオォォォォォッッ!!!ー
振り回した鎖は風を纏い、竜巻と化す。
連続と唱えた魔法が、振り回した鎖を順に伝ってゆき、先から順に放たれてゆく。
鎖の先から放たれる風の刃は遠心力で伸ばされ、いつもの風の刃よりも長くなり、遠くまで飛んでゆく。
「ぐぎぎぎぎぎぎっっ!!」
「ウゴギャアアァァァッッ」
「うわっ?!ちょっ、うぷっ!ち、血がっ?!」
その様は肉をミキサーで撹拌するかの様だ。
多くの魔物達が竜巻の刃に切り刻まれ、空から大量の魔物の血が降り注ぐ。
魔物達の断末魔に、クサムの悲鳴が混ざるのも仕方ない。
「すごいね、魔法剣…魔法鎖か!」
ロッテンは自分の魔法の威力に満足気だ。
「確かにスゴイ威力だがねぇ、文字通り血の雨なのは勘弁さね」
「うむ、ちょっと血生臭いな」
体に大量の血を浴びた皆は少し憤慨気味だ。
「随分と派手にやってくれるじゃなイカ?」
突然、取り囲む魔物の群の奥の方から耳障りな、ふざけた声が聞こえた。
「我の名は魔界子爵スクィー…っ」
「テメェは!さっきハンマーブン投げたイカ野郎じゃねぇか!」
「さっきはハヤト様をよくもっ!」
「貴様らっ!我の名乗りを邪魔するとはっ!無礼じゃなイカっ!」
名乗りを邪魔され激昂したイカ魔族は、巨大なハンマーを振りかぶり、
ーブンッ!ー
シンム達目がけて思い切り投げつける。
ーガインッ!!ー
「ふぅぅっ!」
飛んで来たハンマーをケーラが槍の柄で受け止める。だが、イカ魔族の投げたハンマーは予想以上の威力で、ケーラの槍が弾かれそうになる。
ーギィィンッ!!ー
「ケーラっ!」
あわや押し切られそうになったケーラに並び、シンムもハンマーを剣で受け止める。
空中でハンマー対槍、剣の鍔迫り合い(?)になる。
「「うおおぉぉぉぉっっ!!!」」
ーッギィィンッ!ー
ーブンッ!!ブンッ!ブン…ッー
シンムとケーラは力を合わせてハンマーを大穴めがけて払い落とす。激しく回りながら落ちていく、ハンマーの唸り声も徐々に小さくなっていった。
「ああっ!我の特注の大槌がっ!おのれっ!よくも我の大槌をっ!
アレは伝家の武具として代々受け継いでいく予定だったじゃなイカ!」
「はははっ、ご自慢のハンマーは流石に戻って来ぬであろうっ!それとも大穴へ取りに戻るかっ?!」
シンムは憤慨するイカ魔族を煽ると、
「イ゛ガガガがッ!鳥野郎と言い貴様達と言い…イライラするじゃなイカっ?」
イカ魔族は先程コルドスに軽く扱われた事も思い出し、自分が軽んじられる事に歯ぎしり(?)して悔しがる。
「さて、この魔物の群と戦いながら、魔族討伐ですか!はは、腕が鳴りますね!」
「人でも獣人でも、魔族を倒したなんて奴ぁ、数えるほどしかいやしねぇ。」
「しかも爵位持ちの魔族なぞ、そうそうお目にかかる事もないしな…これは名を上げる好機ぞ」
ケーラ達はイカ魔族に対して武器を構え直す。
「我を討伐する?イカカカカ、面白い冗談じゃなイカ!
貴様達…魔族を、しかも爵位持ちを、舐めすぎなんじゃなイカ?」
「あのハンマーが無いオマエなんて、ただのイカのオバケじゃねぇか!」
「以前ダンジョンでエフタフを見ましたが…アイツより弱そうですね」
「ワタクシも準男爵ガルドントと戦いましたが…コッチの方が弱そうですわ」
ガトフ達に口々に罵られ、イカ男爵のコメカミ(?)に浮かんだ青筋がピクつく。
「…死ぬがいいじゃなイカ」
イカ魔族は小さく呟くと、足元まで垂れ下がった10本の触腕を頭上高く持ち上げたー。
つづく
有象無象の魔物達が、アルフリーヌ達を取り囲む。
「ああぁぁぁっ!!水の爪っ!!」
「ぐぎゃああぁぁっ!!」
クマガトフの魔法爪に、魔物達が断末魔の悲鳴を上げて千切れ飛ぶ。
「いやぁ、これが噂の魔法爪でござるかっ!」
「え?!私、有名人ですか?!」
「勿論さね、ガトちん!」
「ガ、ガトちん?」
「ケーラはあだ名のセンスが死んでるよね…」
呆れるロッテンを気にすることなく、ケーラは続ける。
「アンタの魔法爪のお陰で、ウチのモンも魔法剣が使えるようになったからね!
炎の刃っ!」
得意気にそう言うと、ケーラの構えた十文字槍が一瞬炎を纏い、魔物を焼き切った。
「ほら、このとおり!ほんと、ガトちん様様だよ!」
「なるほど、なるほど!これがあの時見れなかった魔法剣かー。なるほどねー。」
ロッテンはミュールで見れなかった【魔法剣】に興味深々だ。
「あ…この技、ロッちんには内緒だっけね?」
「もういいのではないか?魔法剣を出し惜しみ出来る状況でもなし。
それに、コヤツもウチに来てそこそこ経ったしな」
「ありがとーシンム、優しーねー。あ、さっき引き留めたお礼?」
「! ば、馬鹿者!そんなではない!それより、流石に勝手に教えるワケにはゆかぬ、自分で見て盗むのだな!」
シンムは図星を突かれたのを誤魔化すように、ロッテンに見せるように魔法剣を放つ。
ロッテンは戦いながら、シンムとケーラの魔法剣を横目に見ていた。そして、
「なるほど…インパクトの瞬間だけ魔法を武器に纏わせてるのか―…じゃあっ!」
ロッテンは袖からジャラジャラと鎖を垂らすと、頭上で大きく振り回し、
「連発で放った魔法を武器に沿わせるとどうなるのかなっ?!」
「風の刃っ!風の刃っ!風の刃っ!風の刃っ!風の刃っ!風の刃っ!」
ーッヴゥオオオォォォォォッッ!!!ー
振り回した鎖は風を纏い、竜巻と化す。
連続と唱えた魔法が、振り回した鎖を順に伝ってゆき、先から順に放たれてゆく。
鎖の先から放たれる風の刃は遠心力で伸ばされ、いつもの風の刃よりも長くなり、遠くまで飛んでゆく。
「ぐぎぎぎぎぎぎっっ!!」
「ウゴギャアアァァァッッ」
「うわっ?!ちょっ、うぷっ!ち、血がっ?!」
その様は肉をミキサーで撹拌するかの様だ。
多くの魔物達が竜巻の刃に切り刻まれ、空から大量の魔物の血が降り注ぐ。
魔物達の断末魔に、クサムの悲鳴が混ざるのも仕方ない。
「すごいね、魔法剣…魔法鎖か!」
ロッテンは自分の魔法の威力に満足気だ。
「確かにスゴイ威力だがねぇ、文字通り血の雨なのは勘弁さね」
「うむ、ちょっと血生臭いな」
体に大量の血を浴びた皆は少し憤慨気味だ。
「随分と派手にやってくれるじゃなイカ?」
突然、取り囲む魔物の群の奥の方から耳障りな、ふざけた声が聞こえた。
「我の名は魔界子爵スクィー…っ」
「テメェは!さっきハンマーブン投げたイカ野郎じゃねぇか!」
「さっきはハヤト様をよくもっ!」
「貴様らっ!我の名乗りを邪魔するとはっ!無礼じゃなイカっ!」
名乗りを邪魔され激昂したイカ魔族は、巨大なハンマーを振りかぶり、
ーブンッ!ー
シンム達目がけて思い切り投げつける。
ーガインッ!!ー
「ふぅぅっ!」
飛んで来たハンマーをケーラが槍の柄で受け止める。だが、イカ魔族の投げたハンマーは予想以上の威力で、ケーラの槍が弾かれそうになる。
ーギィィンッ!!ー
「ケーラっ!」
あわや押し切られそうになったケーラに並び、シンムもハンマーを剣で受け止める。
空中でハンマー対槍、剣の鍔迫り合い(?)になる。
「「うおおぉぉぉぉっっ!!!」」
ーッギィィンッ!ー
ーブンッ!!ブンッ!ブン…ッー
シンムとケーラは力を合わせてハンマーを大穴めがけて払い落とす。激しく回りながら落ちていく、ハンマーの唸り声も徐々に小さくなっていった。
「ああっ!我の特注の大槌がっ!おのれっ!よくも我の大槌をっ!
アレは伝家の武具として代々受け継いでいく予定だったじゃなイカ!」
「はははっ、ご自慢のハンマーは流石に戻って来ぬであろうっ!それとも大穴へ取りに戻るかっ?!」
シンムは憤慨するイカ魔族を煽ると、
「イ゛ガガガがッ!鳥野郎と言い貴様達と言い…イライラするじゃなイカっ?」
イカ魔族は先程コルドスに軽く扱われた事も思い出し、自分が軽んじられる事に歯ぎしり(?)して悔しがる。
「さて、この魔物の群と戦いながら、魔族討伐ですか!はは、腕が鳴りますね!」
「人でも獣人でも、魔族を倒したなんて奴ぁ、数えるほどしかいやしねぇ。」
「しかも爵位持ちの魔族なぞ、そうそうお目にかかる事もないしな…これは名を上げる好機ぞ」
ケーラ達はイカ魔族に対して武器を構え直す。
「我を討伐する?イカカカカ、面白い冗談じゃなイカ!
貴様達…魔族を、しかも爵位持ちを、舐めすぎなんじゃなイカ?」
「あのハンマーが無いオマエなんて、ただのイカのオバケじゃねぇか!」
「以前ダンジョンでエフタフを見ましたが…アイツより弱そうですね」
「ワタクシも準男爵ガルドントと戦いましたが…コッチの方が弱そうですわ」
ガトフ達に口々に罵られ、イカ男爵のコメカミ(?)に浮かんだ青筋がピクつく。
「…死ぬがいいじゃなイカ」
イカ魔族は小さく呟くと、足元まで垂れ下がった10本の触腕を頭上高く持ち上げたー。
つづく
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
497
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる