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本編【シャーロット】
昇進祝いパーティー8
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先程のプライベート用の個室に戻ると、カレンが新しいドレスを着ていた。薄紫色の上品なドレスだ。
「みなさん、おかえりなさい。どう? カレンのドレス」
「お似合いですよ」
ロイが言う。
パトリックたちも次々と褒める。
「ありがとう」
カレンは照れ笑いをする。
「それで? 何かわかりましたか?」
シャーロットが訊ねる。
「何者かが発火させた可能性があります」
ロイが言う。
「出火元のところに導火線がつながっていたんです」
アリスが言う。
「まだ処理できていないものが複数ある状態だよ」
ミーシャが言う。
「そんな……」
「パーティーどころじゃなくなっちゃうじゃんねぇ、全く」
パトリックがげんなりした様子で言った。
「犯人を捕まえることはできると思いますか?」
シャーロットが言う。
アリスは首を振った。
「証拠という証拠が導火線だけじゃ無理です」
シャーロットはため息をついた。
「そうですか。確かに、それだけで誰が犯人かなんて割り出せない」
「せめて無事にパーティーが終わるようにしないと」
ミーシャが言う。
「警察呼んで、全員にボディチェックでもした方がいいんじゃないの?」
パトリックが提案した。
それに対して、ロイは内心舌打ちした。
あのペン型のキーピックを見られるわけにはいかない。
「ボディチェック? そうね。とりあえず、私たち以外の人たちにしましょう」
シャーロットは急いで、その旨を内線電話で手配した。
ロイは安堵した。
「全員って、相当時間がかかるんじゃ……」
カレンが言う。
「仕方ないよ。ルッツ家でテロをやろうとしている輩がいるんだから」
パトリックが答える。
「じゃあ、僕たちは導火線の処理に行きましょう。シャーロットさんはどうしますか?」
ロイの冷静な提案に、シャーロットは頷く。
「私も行きます。みなさんだけだと怪しまれてしまうと思うから」
「そうですね。助かります」
「果物ナイフでよかったらここにあるから、これを使いましょう」
シャーロットが、果物ナイフを手にする。
「じゃあ、行きましょう」
一行は再び地下倉庫に戻っていった。
地下倉庫では、幸い新たな火は出ていなかった。
月が陰り、月明かりがあまり頼りにならない。
「暗いわね」
シャーロットが懸命に導火線を切っていく。
「シャーロット、そっちので全部だよ」
ミーシャが指差す方を見ると、残り数少ない導火線があった。
「わかった」
「埃っぽいなぁ。ほんと、こんなところで何してたの」
パトリックがぼやく。
カレンはわずかに顔を赤らめたが、薄明かりのおかげで誰にも見られずに済んだ。
導火線の処理が終わると、一行は地下倉庫を出て地上階に出た。
会場の人々は、今度はシャーロットに変わって、ボディチェックのために列をなしていた。
「うわーすごい行列」
「最悪だけど、ロイと一緒でよかったぁ」
パトリックもアリスもげんなりとしている。
「じゃあ、僕はお手洗いに行ってきます」
ロイがその場を抜ける。
シャーロットも「私も」とロイの後を追うようにその場を後にした。
「みなさん、おかえりなさい。どう? カレンのドレス」
「お似合いですよ」
ロイが言う。
パトリックたちも次々と褒める。
「ありがとう」
カレンは照れ笑いをする。
「それで? 何かわかりましたか?」
シャーロットが訊ねる。
「何者かが発火させた可能性があります」
ロイが言う。
「出火元のところに導火線がつながっていたんです」
アリスが言う。
「まだ処理できていないものが複数ある状態だよ」
ミーシャが言う。
「そんな……」
「パーティーどころじゃなくなっちゃうじゃんねぇ、全く」
パトリックがげんなりした様子で言った。
「犯人を捕まえることはできると思いますか?」
シャーロットが言う。
アリスは首を振った。
「証拠という証拠が導火線だけじゃ無理です」
シャーロットはため息をついた。
「そうですか。確かに、それだけで誰が犯人かなんて割り出せない」
「せめて無事にパーティーが終わるようにしないと」
ミーシャが言う。
「警察呼んで、全員にボディチェックでもした方がいいんじゃないの?」
パトリックが提案した。
それに対して、ロイは内心舌打ちした。
あのペン型のキーピックを見られるわけにはいかない。
「ボディチェック? そうね。とりあえず、私たち以外の人たちにしましょう」
シャーロットは急いで、その旨を内線電話で手配した。
ロイは安堵した。
「全員って、相当時間がかかるんじゃ……」
カレンが言う。
「仕方ないよ。ルッツ家でテロをやろうとしている輩がいるんだから」
パトリックが答える。
「じゃあ、僕たちは導火線の処理に行きましょう。シャーロットさんはどうしますか?」
ロイの冷静な提案に、シャーロットは頷く。
「私も行きます。みなさんだけだと怪しまれてしまうと思うから」
「そうですね。助かります」
「果物ナイフでよかったらここにあるから、これを使いましょう」
シャーロットが、果物ナイフを手にする。
「じゃあ、行きましょう」
一行は再び地下倉庫に戻っていった。
地下倉庫では、幸い新たな火は出ていなかった。
月が陰り、月明かりがあまり頼りにならない。
「暗いわね」
シャーロットが懸命に導火線を切っていく。
「シャーロット、そっちので全部だよ」
ミーシャが指差す方を見ると、残り数少ない導火線があった。
「わかった」
「埃っぽいなぁ。ほんと、こんなところで何してたの」
パトリックがぼやく。
カレンはわずかに顔を赤らめたが、薄明かりのおかげで誰にも見られずに済んだ。
導火線の処理が終わると、一行は地下倉庫を出て地上階に出た。
会場の人々は、今度はシャーロットに変わって、ボディチェックのために列をなしていた。
「うわーすごい行列」
「最悪だけど、ロイと一緒でよかったぁ」
パトリックもアリスもげんなりとしている。
「じゃあ、僕はお手洗いに行ってきます」
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シャーロットも「私も」とロイの後を追うようにその場を後にした。
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