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本編【シャーロット】
プロローグ 水と緑の国フリユッセンのとある地方の魔女の御伽話
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オルニア帝国の南東部に位置し、帝国と国境を接している、緑豊かな小国フリュッセンのある地方では、古くから語られている民話(おとぎ話)がある。
母親は子どもたちへ、そしてまたその子どもたちへと、何年にもわたって語って聞かせたのだった。
「森の奥には魔女がいるの。それは魔女の形をしていない。かわいらしい動物の姿をしているかもしれないし、美しい妖精の姿をしているかもしれない。もしかしたら、助けを求める旅人の姿をしているかもしれない。人間を油断させるような姿に化けては、人間を惑わすの。もし魔女に出会っても、決して自分の名前を教えてはいけないよ。もし名前を知られてしまったら、あなたの魂は魔女の餌食になってしまうから。そうしたら最後、自分が誰で、どこから来たのかさえ思い出せなくなってしまうの。だから絶対に、知らない人に名前を教えてはいけないよ……」
母親たちにとっては子どもたちへの教訓、子どもたちにとっては、恐ろしくもあるが好奇心と冒険心をくすぐられる代物だった。
ただし、見方によっては、ただでさえ世間知らずで閉鎖的なその地方の村人の、見知らぬ人間への高い警戒心を、またさらに高める要因となっていたのかもしれない。
母親は子どもたちへ、そしてまたその子どもたちへと、何年にもわたって語って聞かせたのだった。
「森の奥には魔女がいるの。それは魔女の形をしていない。かわいらしい動物の姿をしているかもしれないし、美しい妖精の姿をしているかもしれない。もしかしたら、助けを求める旅人の姿をしているかもしれない。人間を油断させるような姿に化けては、人間を惑わすの。もし魔女に出会っても、決して自分の名前を教えてはいけないよ。もし名前を知られてしまったら、あなたの魂は魔女の餌食になってしまうから。そうしたら最後、自分が誰で、どこから来たのかさえ思い出せなくなってしまうの。だから絶対に、知らない人に名前を教えてはいけないよ……」
母親たちにとっては子どもたちへの教訓、子どもたちにとっては、恐ろしくもあるが好奇心と冒険心をくすぐられる代物だった。
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