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1章 機械国家の永久炉――【仕掛けられる『皇帝』への罠】
反逆の狼煙《Ⅲ》
しおりを挟む――エドワード・コルニスは、自国である《エースダル》にて、上司である《カエラ・エターニャ》から特命を受けていた。
その内容は、密かにイシュルワへと潜入し現地のある人物と接触せよ――との事であった。
嫌そうな顔で、カエラからの命令を受けた際に、カエラの一言で表情が変わる。
「妹さん……エヴァちゃんだったけ? 倭に戻る際、イシュルワの構成員に拉致されたらしいわ。諜報員も奮闘しているらしいけど……まだ、情報は少ないのが現状ね。エドワード、アナタも行ってみる?」
「……イシュルワへの侵入作戦が、優先では?」
「作戦は、接触だけよ。その後は、私の管轄外になっている。……好きにしなさい。国への影響とか、今更考えないでよね?」
「……はてはて、休暇を申請しなければ行けないな。長期の旅行の計画をしなければならない」
部屋を出た後のエドワードの顔は、まるで鬼だったと後にカエラの元へと部下複数人が真っ青にしながら、報告しに来る事となる。
「フフッ……妹さんの事になると、人が変わるのは昔のまま――。でも、そこがエドワードの良い所よね。大切な人の為に、命を掛けれる。……本当に、最高よ」
鬼の形相で、通路を進むエドワードとすれ違った者達は相次いで彼から意図的に視線を反らした。
軍帽を握り締め、廊下に叩きつけて廊下をズンズン進む。
本日締め切りの書類や報告書などの確認を求めに部下が呼び止めようとするが、全て無視して建物から外へと出る。
敬礼し、エドワードへと挨拶するエースダル所属の軍人の腰から拳銃と軍刀をベルト諸とも強引に奪って進む。
「……あの、私の装備……何ですが」
抵抗すること無く。装備を取られた軍人が呆気に取られていると、奥からエドワードの直属の部下が小走りで近付く。
長期休暇の申請書類の作成を手早く終えて、イシュルワへと渡る前のエドワードに追い付いた。
「書類に、サインを……」
「……あぁ、助かった。少しの間、開ける。頼むぞ」
エドワードの言葉を胸にしまって、部下や軍人の者達がエドワードへと向き直る。
そして、無意識に敬礼したまま声を張り上げる。
「「「――ハッ!!」」」
1人の軍人に、ベルトを奪った事を謝罪しつつ。使わせて貰うと付け加えて、腰にベルトを装着する。
軍刀2振り、拳銃2丁の両手使用のスタイル。エースダルの車庫に止まっていた大型バイクに跨って、アクセルを踏む。
エンジンを回して、エースダルからイシュルワまでの道のりをかっ飛ばした。
そして、イシュルワへと到着後に本来の潜入作戦と並行して、妹との捜索も行う。
何故か、イシュルワは厳重な警戒態勢に加えて、中心部では見知った顔の2人がドンパチ楽しそうに喧嘩している。
「はてはてはて、世界は狭いとつくづく思うよ。こんな所で、バッタリ会うとはな――」
空を見上げて、黒竜と鎧武者の魔物が微かに視認できて魔力の感じから、争う2人がどこの誰かを特定する。
特定した事で、思わず笑みが溢れた。報告を受けたカエラが対して焦りもせず、自分に長期の休暇を提案したのも納得がいった。
自然と不思議な感覚になっている事に、エドワードは自分が馬鹿らしく思えた。
エヴァの魔力は感じられないが、見知った魔力が周辺を漂っている。
この国の警備の穴を突いて、国へと潜る。エースダルの諜報員と接触し、情報と変装した姿となる。
そして、提示された妹の情報を確かめる様に、偽のデータを片手にウォーロックが招いた殺し屋や傭兵の1人として、豪勢な建物の1室に入る。
その後、調査の過程で偶然バッタリと顔を合わせたクラトと一戦交えて、クラトが別の計画で動いている側だと知り、その計画の1つに乗る。
その報酬として、妹と一緒に捕縛されたミシェーレをコチラに渡すのを条件に仕事を受けた。
――後は、クラトとの約束を果たすだけであった。
しかし、ウォーロックの介入によって、クラトとの連絡が断たれた事によって、エドワード自ら動く事となった。
そして、兵士数人を脅して手に入れた情報を元にクラト達の居場所を突き止めた。
が、部屋には既に来客が来ており、大切な妹を人質にナイフを突き付けていた。
その光景を目の当たりにして、自分の中に蠢く感情を押し殺さず。
心のままに、動いていた。その結果、あの男を瞬殺していた。
そして、壁もろとも破壊された窓ガラスから部屋へと戻ったエドワードが、奥の部屋ですすり泣くエヴァの声が聞こえる。
「はてはて、無傷との約束だった筈だが?」
「申し訳ない。彼がバカだとは思っていたが、愚行に走るとは思ってなくてね――」
「言い訳のつもりか?」
「……そうかもしれないな。まったく、不甲斐ない」
メイド2人が、新しい衣服を手に持って奥の部屋へと向かう。
部屋の前では、ミシェーレが腕を組んでクラトを睨んでいた。
「2人共、そんな顔はやめてくれ……無傷ではない。が、私とて簡単に動けない立場だ」
「部屋に入る前に、アイツ程度なら殺せたのではないか?」
「エドワードと同意見よ。わざとでしょ?」
「あぁ、わざとだとも――」
次の瞬間、エドワードの手がクラトの首を思いっきり締める。
クラトの背中が壁に押し付けられ、両足が宙に浮かぶ。
すると、部屋の奥からエドワードの後頭部目掛けてクッションが投げられる。
エドワードが睨むと、そこにはクラトが連れていたメイドの1人が居た。
「やめて下さい……兄さん」
「――は?」
エドワード、ミシェーレ、クラトが目を丸くする。
それもその筈、エヴァ・コルニスと思われた人物が部屋の奥から現れたと思いきや、隣のメイドが顔の皮膚を剥がした。
映画などで、スパイが変装に使う特殊メイクを剥がして、エヴァ本人が3人の前に現れた。
「え? うん? ……え!?」
中でも、クラトが1番の困惑していた。わざとエヴァを襲わせて、エドワードの自力を測った。
が、まさかエヴァが全くの別人とスリ変わっていたのだ。その事に、エドワードとミシェーレ以上に困惑して目を回す。
「……エヴァさん。一体、いつから?」
「ミシェーレさんが、ドレスの柄と色に夢中になっている間に、この方と入れ替わりました」
下着姿のエヴァと思われた偽物が笑みを浮かべて、皮膚がガラスのようにひび割れてら本体が現れる。
破片が崩れ落ち、次第に魔力残滓となって消える。
エヴァの偽物として動いたのは、真っ赤な頭髪が特徴的な男であった。
「やぁ、エドワードくん。久し振り――」
「おい……エヴァの着替えを覗いたのか? ――暁」
「……いや、覗いてない」
「今の間は、何だ。答えろ……暁叶!!」
「見てない。見てない!! ホント、マジで見てない。見たら、死ぬから――」
暁が指を指した方にエドワードが視線を向けると、果物で言うところにメロンのような胸をメイド服で、さらに強調させた女性があった。
当然、彼女の事もエドワードは覚えている。かなり、特徴的な女性であったからだ。
「……確かに……なら、大丈夫だな」
「……でしょ? 信用した?」
「あぁ、貴様の言動よりも信憑性のある人物が居るからな」
「エドワードくん。ヒドイ……」
エドワード、暁、シャウ、ミシェーレ――4人の王の世代が一つの国の1室に集っている。
倭ではそう珍しく無いが、他国では戦争でも起こると勘違いするレベルの異常な光景である。
さらに付け加えるとすれば、黒、ハート、ティンバー、ヘルツの4人も加える事にもなる。
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それが、王の世代の影響力である――
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