難攻不落の黒竜帝 ――Reload――

遊木晶

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1章 機械国家の永久炉――【仕掛けられる『皇帝』への罠】

炉の力《Ⅲ》

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  放たれた一撃が、以前とは違う。

  そう3人が理解したのは、その一撃が放たれた後から数秒後であった。

  黒、ティンバー、ローグの3人が、その一撃に目を奪われた。

  漆黒・・ではない。

  だが、破壊力は同等かそれ以上の一撃であった。
  漆黒の魔力が、様々な魔力を集めて凝縮した代物であれば――それは、対となる代物である。

  ――すべてを合せ、すべてを込める。
  ――その全てが交われば、その身は黒く輝く。

  漆黒の魔力の極意は、他者の魔力や大気中の魔力残滓の1点集中にある。
  自分自身の魔力だけでは、理論上・・・成立しない。

  ――が、3人の目の前でそれは――成った・・・

  漆黒とは、全く別の魔力が放たれる。
  漆黒の対となるように、その魔力は眩い迄に――純白に光り輝く・・・・・・・
  発生させる方法は、至ってシンプルであった。

  魔物、大気中の魔力、戦闘で生まれた残滓――それは、すべて・・・に頼らず。
  己の魔力のみ・・・・・・を凝縮し、自分の全てを賭けて放つ一撃。

  魔力の高さなど、関係はない。ただ、想いが形となってヘルツの覚悟を示した。
  ――覚悟の証。そう、ヘルツは告げた。
  覚悟にしては、重く大きい。
  立ち上がって、前へと進む為に振るう一撃ではない。

  本当の意味で、誰かを頼る。

  ――ヘルツ自分には、それが足りなかった。
  何でもかんだも自分一人で背負い込む。そんな無謀な賭けに、彼女はこれまで費やした。
  だからこそ、覚悟の証である。
  黒、ローグ、ティンバーの3人に押し付ける様に――託した。

  棒立ち状態のキャロンが鮮血を撒き散らして、頭頂部から真っ二つにされた自分の体を繋ぎ止めようと藻掻き苦しむ。



  「黒、ローグ、ティンバー……後は、お願い……」

  すべてを出し尽くした。
  倒れるヘルツをティンバーが抱き止め、黒とローグが立ち上がる。
  ティンバーが、ヘルツを安全な場所へと置いて戻るまでの間を2人は任される。
  キャロンが完全に倒され、肉体が再生しないのを見ていたウォーロックは恐怖して慄く。

  「ローグ、ティンバーがヘルツを安全な場所に送るまでの間に、削れるだけ削るぞ」
  「あぁ、アイツの覚悟……確かに、届いたぜ」

  ウォーロックが死体となったキャロンを取り込み、自身の力へと吸収する事でさらに体が大きく膨れる。
  その大きさは、15メートルを有に超えている。巨人族のような巨体だが、さらに成長の可能性を秘めている。
  瓦礫や化学薬品などの汚水や汚染物質など、イシュルワのありとあらゆる物質を取り込む。

  もはや、肉体を大きくする為に取り込む対象は選んでいれる余裕はない。

  同じ肉塊の実験体であれば、当然のように吸収する。さらに、イシュルワの地下に埋まっていた兵器などの工場設備も地下から引っこ抜いて、肉体の一部に変える。

  「……少し、ヤバくないか?」
  「いや、とてつもなくヤバいな――」

  ローグ、黒の予感は的中する。
  取り込んだ化学薬品がエネルギーとなって、取り込んだ鉄骨などの鉄成分を爆発的なエネルギーで放って来た。
  まるで、レールガンのような速さと破壊力で地面が焼き焦げる。

  空へと逃げた2人の前に、鋼鉄のワイヤーがまるでヘビのようにウネウネと動きながら襲い掛かる。

  アニメや漫画にある巨大戦艦と生身で戦っている気分だ――と、少し余裕さをみせながら立ち回る黒にローグは呼吸を荒くしながら、自分の余裕の無さを大声でアピールする。

  ワイヤーが四方八方から迫り、黒とローグがさらに体を大きくするウォーロックの肉体へと迫る。
  本当に戦艦のような肉の上を駆けて、頭上から迫るワイヤー攻撃を避けつつ脆いと思った箇所を手当り次第に叩いた。
  体が大きくなった事で、2人の攻撃の機会が増えた。そして、防御力が計り知れないほど高まった。

  それにより、現状最も有効であった筈の漆黒の魔力が、効果を減少させられる、
  既に、1発2発の出力ではダメージにはならなくなる。
  ウォーロックの本体へが隠れている内部へと攻撃する有効打であった筈の攻撃方法が機能しない。
  漆黒の出力がダメージとして、内部へと侵攻する肉体の大きさと硬度を既に超えていた。

  さらに付け加えて、肉の高い硬度によって、高出力である筈の漆黒の魔力が表面で殆ど削ぎ落とされる。
  現状、とてつもなく低い漆黒の稲妻が内部へと走るだけであった。

  「かてぇ……とんでもなく。硬い!!」
  「やべぇぞ……マジで、漆黒が効果を持たねーな。一応、奥義みてーなもんだぞ?」

  2人が、愚痴を溢しながらも背中の上を駆け回る。
  有効打すら与えれず、ただ時間だけが過ぎ去っている。
  そんな状況で、黒、ローグをさらに追い詰める状況が迫る。

  ――おい、嘘だろ。

  ローグの溢れた言葉に、黒は自分達が危機的状況にあるという事を認識する。


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