難攻不落の黒竜帝 ――Reload――

遊木晶

文字の大きさ
185 / 231
1章 機械国家の永久炉――【仕掛けられる『皇帝』への罠】

強い想い《Ⅰ》

しおりを挟む


  状況は、極めて芳しくない――

  その理由は、ウォーロックの標的が判明したからであった。

  「黒――!!」
  「クソッ――!!」

  バハムートの力で、跳躍して対空攻撃を躱してウォーロックが狙う標的を守る為に素早く動く。
  空を駆けて、眼下に広がる光景に歯軋りする。

  そこには、大挙して押し寄せる。イシュルワの軍隊・・・・・・・が見えた。

  ――その狙いは、ビフトロであった。

  「――黒ッ!!」
  「――!?」

  足元から声が聞こえ、高度を急激に下げて地面へと着地する。
  目の前でから、武装したビフトロの兵士達が姿が見える。
  それを率いる人物は、黒の良く知る人物――《ルシウス・L・ビフトロ》――

  服が土や汗、火薬などで汚れた見た目にふくよかな体のこの男が前線に出ている。
  飛翔中に横目に砦の上では、ローグの仲間である。トゥーリ、ガゼルの姿が確認できた。
  砦の向こう側からは、魔力のみだが怪我人の手当に奮闘する未来みらいこころの2人も確認できた。
  
  ――全員、無事であった。

  「……今は、無事・・って所だな」

  黒が持って来て貰った水分を飲み干して、迫る敵軍の状況に付け加えるようにウォーロックの介入を知らせる。
  だが、ウォーロックなどよりも最も問題とされる存在の襲来を予期しておらず。
  黒とルシウスの2人は、揃って油断していた――

  上空から落雷のように現れた閃光が、砦の一部を着地と同時に粉砕する。

  響く爆撃音に、ルシウスが反応するよりも先に黒の体が消える。
  再び響く爆撃音の後に、砦前の防衛設備や壁などを破壊される。
  その先に、黒が土のうを背にして全身に土を浴びる。


  「ルシウス――!! 田村たむらだァ――!!」

  黒の叫びがルシウスの耳へと届く――

  だが、その時点でルシウスの真横へと敵意・・は迫っていた。
  瞬時に接敵した《田村宗治たむら そうじ》の一撃が、ルシウスの防御を打ち砕く。
  受ける寸前で腕で首を守った筈の防御を容易く上回る一撃の重さに思わず顔が歪む。

  漆黒の稲妻が大気中を走り抜ける――

  両腕で防いだとは言え、腕にはそれ相応の衝撃が伝わっている。
  完全に防げたとは到底言えないほどの衝撃が、ルシウスの堅牢な防御を容易く凌駕する。
  魔力で両腕を硬く出来なかったゆえか、首に凄まじい衝撃がダメージとして通ってしまう。

  ――やはり、完全に防ぐのは難しい。

  そう、ルシウスが感じるよりも先に宗治は動いた。常に死角から攻撃を与える事を意識して、その場でルシウスの攻撃を受けないように素早く立ち回る。
  地面を強く蹴って、迸る漆黒の稲妻がルシウスの眼前で弾ける。

  落雷でも落ちたかのように、弾ける魔力が宗治の猛攻にさらなる勢いと破壊力の2つを授ける。
  ルシウスの堅牢な守りをものともせずに、徐々にその守りを剥がして行く。

  「――最初のが、効いているみたいですね」
  「……昔よりも、断然強くなったよ。宗治くん……」
  「当たり前だ……守りたいからな――」

  振り上げた右足が、ルシウスへと振り下ろされる。
  避ける事が叶わず、防ぐ事も叶わずに肩へと踵が振り下ろされる。
  骨が軋み、魔力で強化された蹴りの衝撃がルシウスに膝を付かせる。

  「……さようなら、ルシウスさん」

  宗治の打拳がルシウスの顔面を捉え、生々しい音を上げる。
  仰け反るルシウスへと宗治が飛び掛かって、再び拳を叩き込む。
  地面を後頭部を叩き付け、確実に息の根を止める。

  宗治の拳から血が滴り落ちて、地面を赤く色付ける。

  「後は、砦を消せば……解放される」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

処理中です...