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慶弥の章ー脇役でも全力の男ー
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しおりを挟むそして、待ちに待った日曜日の朝がやってきた。
遠足前の子供みてぇに興奮して眠れなかった俺は、4時から活動を開始した。アクションの最終チェックをして、5時半に起きてきたカイ兄のメシを食う。
うん、うまい。出汁のきいた卵焼きはふわっふわだし熱々の味噌汁も丁度いい濃さ。焼き鮭も香ばしくて、俺は朝から三杯おかわりをやってのけた。少食のカイ兄が「化け物……」と呟く。おっと、山姥に言われたくないんだぜ!
「へえ、すごいな。サーカスも来るのか」
7時に侑兄も起きてきて――休日でも彼は早起きだ――俺の出るイベントのチラシを見ながら言う。
ヒーローショーは、町唯一のショッピングモールの創業祭で行うのだ。ヒーローショーの他にも様々な催しが予定されている。
それにしても侑兄、寝起きで気付いてないようだけど後ろ髪がピョンと跳ねてるぜ! なんか可愛いから言わねぇけど!
俺は逸る気持ちも相まってテンションが高くなっていた。
「頑張れよ、慶弥」
「社とちさも連れていきますからね」
8時、侑兄とカイ兄に見送られて家を出る。振り返ると、今起きたらしいちさが(社はまだ寝てんだろな)二階の窓から手を振っていた。
俺も笑顔で手を振り返して先を急ぐ。最高にいい気分だ。絶対にステージ成功させてやる!
そう。この時点では、確かに順調だったんだ―――。
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