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社の章ー違和感ー
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すると、ちさは俺をちらりと見て目を僅かに細めた。
その変化が分かるのは、ずっと一緒に生きてきた俺くらいのもんだろう。『わからないの?』と言いたげなちさの挑発に俺は「クソッ」と机を叩いて立ち上がった。隣の席の女子が小さく悲鳴を上げる。
ずかずか前に行くとペンを手にして乱暴にホワイトボードに答を書いた。「せ……正解です」と担任がビクつきながら言う。
俺は舌打ちしたくなった。いい大人が9歳に怯えてんじゃねーよ、だっせぇな。
俺は、大人が大嫌いだ。
帰りのホームルームが終わり、俺はランドセルを背負う。
「ねえ、社くん誘おうよ。遊ぼ~って」
「えぇ? でも社くんて怖くない?」
「そこがカッコいいんじゃん!」
後ろの方から女子共の会話が聞こえる。俺はまた舌打ちしたくなった。声を潜めるとか無えのか? バカばっかだ。
声をかけられるのはゴメンなので、俺はさっさと教室を出る。廊下を行き、昇降口に着いた。靴を履いて校庭を横切り、正面の出入口ではなく裏口に向かう。こっちの方が目的地に近いからだ。
と。そのとき、背後に視線を感じて振り返る。
「どこ行くの……社。家とは反対方向だよ……」
ちさだった。
コイツには見付かりたくなかったと、俺はとうとう本当に舌打ちをした。
その変化が分かるのは、ずっと一緒に生きてきた俺くらいのもんだろう。『わからないの?』と言いたげなちさの挑発に俺は「クソッ」と机を叩いて立ち上がった。隣の席の女子が小さく悲鳴を上げる。
ずかずか前に行くとペンを手にして乱暴にホワイトボードに答を書いた。「せ……正解です」と担任がビクつきながら言う。
俺は舌打ちしたくなった。いい大人が9歳に怯えてんじゃねーよ、だっせぇな。
俺は、大人が大嫌いだ。
帰りのホームルームが終わり、俺はランドセルを背負う。
「ねえ、社くん誘おうよ。遊ぼ~って」
「えぇ? でも社くんて怖くない?」
「そこがカッコいいんじゃん!」
後ろの方から女子共の会話が聞こえる。俺はまた舌打ちしたくなった。声を潜めるとか無えのか? バカばっかだ。
声をかけられるのはゴメンなので、俺はさっさと教室を出る。廊下を行き、昇降口に着いた。靴を履いて校庭を横切り、正面の出入口ではなく裏口に向かう。こっちの方が目的地に近いからだ。
と。そのとき、背後に視線を感じて振り返る。
「どこ行くの……社。家とは反対方向だよ……」
ちさだった。
コイツには見付かりたくなかったと、俺はとうとう本当に舌打ちをした。
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