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社の章ー秘密の欠片ー
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「社……覚えてない……? わたしたちが4歳くらいの頃、慶弥お兄ちゃんが山登りにハマってたの……」
「あー……なんか、そうだった気がすんな。それが何だよ」
「わたしね、一度だけ一緒に付いてった事ある……その時の夢、見た……」
ちさは口を閉じる。言おうかどうか迷っているようだった。「お兄ちゃんたちに言わないでね……」と俺に念を押して、再び開口する。
「実はわたしね……そのとき足を滑らせて、山の斜面を転がり落ちちゃったの……木の枝に引っ掛かって、地面に叩きつけられなかったから良かったけど……」
俺はギョッとした。そんな話、初めて聞いたからだ。「それでどうしたんだよ」と噛みつくように言うと、ちさは「……慶弥お兄ちゃんの」と続ける。
「わたしの位置からはよく見えなかったけど……慶弥お兄ちゃんの手に、いきなり鎖が現れた……」
「は?」
「たぶん……なんか、地面に手をついた……それで、鎖が現れた……鎖の先には、三日月の形をしたものが付いてて」
「ちょ、ちょっと待て!」
俺はちさの突飛な話を遮る。こいつ何を言ってんだ? 「お前、大丈夫か? やっぱ寝惚けてんじゃ」と言いかけた俺の言葉を、今度はちさが「違う」と遮る。
「ぜんぶ本当……社は、わたしのこと信じてくれないの……?」
ちさはぼんやりと、しかし真っ直ぐ俺を見た。俺は舌を打つと「続けろ」と呟く。ちさはコクリと頷いた。
「あー……なんか、そうだった気がすんな。それが何だよ」
「わたしね、一度だけ一緒に付いてった事ある……その時の夢、見た……」
ちさは口を閉じる。言おうかどうか迷っているようだった。「お兄ちゃんたちに言わないでね……」と俺に念を押して、再び開口する。
「実はわたしね……そのとき足を滑らせて、山の斜面を転がり落ちちゃったの……木の枝に引っ掛かって、地面に叩きつけられなかったから良かったけど……」
俺はギョッとした。そんな話、初めて聞いたからだ。「それでどうしたんだよ」と噛みつくように言うと、ちさは「……慶弥お兄ちゃんの」と続ける。
「わたしの位置からはよく見えなかったけど……慶弥お兄ちゃんの手に、いきなり鎖が現れた……」
「は?」
「たぶん……なんか、地面に手をついた……それで、鎖が現れた……鎖の先には、三日月の形をしたものが付いてて」
「ちょ、ちょっと待て!」
俺はちさの突飛な話を遮る。こいつ何を言ってんだ? 「お前、大丈夫か? やっぱ寝惚けてんじゃ」と言いかけた俺の言葉を、今度はちさが「違う」と遮る。
「ぜんぶ本当……社は、わたしのこと信じてくれないの……?」
ちさはぼんやりと、しかし真っ直ぐ俺を見た。俺は舌を打つと「続けろ」と呟く。ちさはコクリと頷いた。
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