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社の章ー秘密の欠片ー
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何度か休憩を挟みながら、4時間ほど走った。
侑兄達は皆黙っている。緊張しているように俺には見えた。しりとりをするちさに付き合いながら、俺は思考を巡らせる。
――侑兄の言った『俺達の家に帰る』って、どういう事だ……?
その鍵は、俺達が生まれた年の事件に間違いないだろう。俺は図書館でコピーした資料を思い出す。
――女児失踪事件に地震、連続殺人事件と島の噴火、トンネルの崩落に村の大火事、銀行強盗それに詐欺事件……
今から行く先は、どれに関わってる?
全く知らない風景を延々と走る。俺はつい、うとうとしてしまって――次に目を開けた時は目的地に着いていたようだった。同じく居眠りをしていたちさを慶弥が揺り起こしている。
車から降りた俺は伸びをして、辺りを見回した。そして驚く。
そこは、山の麓だった。後ろは山、前も草木花。バスの停留所でもあったんだろうか、錆びたベンチが不自然に横たわっている。
侑兄は呆けてる俺とちさに何の言葉もなく、黙って草に覆われた獣道に入っていく。カイ兄は暫く震えていたが、決心したように後に続いた。慶弥も「行くぞ」と低い声で言うと、俺達の背中を押してくる。
ちさは戸惑いながら、俺は舌打ちをして足を踏み出したのだった。
侑兄達は皆黙っている。緊張しているように俺には見えた。しりとりをするちさに付き合いながら、俺は思考を巡らせる。
――侑兄の言った『俺達の家に帰る』って、どういう事だ……?
その鍵は、俺達が生まれた年の事件に間違いないだろう。俺は図書館でコピーした資料を思い出す。
――女児失踪事件に地震、連続殺人事件と島の噴火、トンネルの崩落に村の大火事、銀行強盗それに詐欺事件……
今から行く先は、どれに関わってる?
全く知らない風景を延々と走る。俺はつい、うとうとしてしまって――次に目を開けた時は目的地に着いていたようだった。同じく居眠りをしていたちさを慶弥が揺り起こしている。
車から降りた俺は伸びをして、辺りを見回した。そして驚く。
そこは、山の麓だった。後ろは山、前も草木花。バスの停留所でもあったんだろうか、錆びたベンチが不自然に横たわっている。
侑兄は呆けてる俺とちさに何の言葉もなく、黙って草に覆われた獣道に入っていく。カイ兄は暫く震えていたが、決心したように後に続いた。慶弥も「行くぞ」と低い声で言うと、俺達の背中を押してくる。
ちさは戸惑いながら、俺は舌打ちをして足を踏み出したのだった。
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