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社の章ー秘密の欠片ー
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俺の背くらい伸びた草を掻き分けながら進む。チクチクするし邪魔だしウゼー。
ふいに日が陰って空を仰ぐと、左右の柳の木がドーム状に俺達を覆っていた。暑かったから丁度良い、と思いつつ先を急ぐ。後ろから来る慶弥の気配が何だかプレッシャーだった。
そうこうしていると拓けた場所に出る。ちさの後に俺はそこの赤茶けた土を踏んだ。侑兄とカイ兄が奥の方で待っている。ちさと、最後に草むらを抜けた慶弥と共に二人に駆け寄った。
カイ兄は青ざめて相変わらず震えている。侑兄は「カイ無理するな」と気遣っていたが、カイ兄は頭を振った。
「僕は平気です……侑兄さんや慶弥こそ」
「おい」
俺は痺れを切らして口を挟む。侑兄が俺を見た。その固い表情に俺はちょっと怯むが「頑張って社……」とのちさの応援に――ちさも説明が欲しかったようだ。つか自分で訊け――励まされる。なんとか口を動かした。
「ここが俺達の家なのかよ? なんも無えじゃん」
ぶっきらぼうな俺の言葉に侑兄は一瞬悲しそうな目をする。だけど表情を見られたくないのか直ぐに俺達に背を向けた。「ここじゃない……少し歩くぞ」と言うと、その先の森のような木々の間を躊躇なく縫って行く。
道という道もなく、俺とちさは絶句する。「そんなとこ行くのかよ」と俺がうんざりすると「やっぱりお菓子持ってくれば良かったね……」と、ちさも後悔したように囁いた。
ふいに日が陰って空を仰ぐと、左右の柳の木がドーム状に俺達を覆っていた。暑かったから丁度良い、と思いつつ先を急ぐ。後ろから来る慶弥の気配が何だかプレッシャーだった。
そうこうしていると拓けた場所に出る。ちさの後に俺はそこの赤茶けた土を踏んだ。侑兄とカイ兄が奥の方で待っている。ちさと、最後に草むらを抜けた慶弥と共に二人に駆け寄った。
カイ兄は青ざめて相変わらず震えている。侑兄は「カイ無理するな」と気遣っていたが、カイ兄は頭を振った。
「僕は平気です……侑兄さんや慶弥こそ」
「おい」
俺は痺れを切らして口を挟む。侑兄が俺を見た。その固い表情に俺はちょっと怯むが「頑張って社……」とのちさの応援に――ちさも説明が欲しかったようだ。つか自分で訊け――励まされる。なんとか口を動かした。
「ここが俺達の家なのかよ? なんも無えじゃん」
ぶっきらぼうな俺の言葉に侑兄は一瞬悲しそうな目をする。だけど表情を見られたくないのか直ぐに俺達に背を向けた。「ここじゃない……少し歩くぞ」と言うと、その先の森のような木々の間を躊躇なく縫って行く。
道という道もなく、俺とちさは絶句する。「そんなとこ行くのかよ」と俺がうんざりすると「やっぱりお菓子持ってくれば良かったね……」と、ちさも後悔したように囁いた。
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