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再会のプールサイド
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プールから上がった時、向こうからふらふらとした足取りでプールサイドを歩く男の人が見えた。
タオルで身体についた水滴を拭きながらその人を見ていると、突然彼の身体の重心が傾いて、そのまま転んだ。
「え!」
慌てて彼の元に近づく。
身体を支えた時に何やら既視感を覚えたのだが、ひとまず声をかけることにした。
「大丈夫ですか? 体調でも悪いんじゃあ……」
顔を上げた彼が私を見る。
見覚えのある銀の瞳が私を捉えた。
「あ、あぁ。大丈夫だ。すまない」
艶のある低音ボイスに私の腰が震えた。
ーーーー昨日の、彼だ。
そう気づくや否や、私の頬は赤く染まる。
それをなんだと思ったのか、今度は彼の方が心配そうに声をかけてきた。
「君の方こそ調子が悪いのではないか?」
「あーえー、えーーっと」
気まずさに視線を逸らすも、彼は訝しみながら私の様子を窺うばかり。
……もしかして、私に気が付いていない?
そんなまさか。
しかし、よくよく彼の顔を観察してみると、昨夜にはなかった細いアイアンフレームの眼鏡がかけられていることに気が付いた。
「俺の顔がどうかしたか?」
「い、いいえ! 何でも」
そっか、そっかぁ。
この人、昨日は何も見えていなかったのね。
ううん、それ以上にこんなに綺麗な人だもの。
きっと昨夜のようなこと、日常茶飯事なのよね。
私一人だけ変に意識しちゃって馬鹿みたい。
気が抜けたその時だった。
タオルで身体についた水滴を拭きながらその人を見ていると、突然彼の身体の重心が傾いて、そのまま転んだ。
「え!」
慌てて彼の元に近づく。
身体を支えた時に何やら既視感を覚えたのだが、ひとまず声をかけることにした。
「大丈夫ですか? 体調でも悪いんじゃあ……」
顔を上げた彼が私を見る。
見覚えのある銀の瞳が私を捉えた。
「あ、あぁ。大丈夫だ。すまない」
艶のある低音ボイスに私の腰が震えた。
ーーーー昨日の、彼だ。
そう気づくや否や、私の頬は赤く染まる。
それをなんだと思ったのか、今度は彼の方が心配そうに声をかけてきた。
「君の方こそ調子が悪いのではないか?」
「あーえー、えーーっと」
気まずさに視線を逸らすも、彼は訝しみながら私の様子を窺うばかり。
……もしかして、私に気が付いていない?
そんなまさか。
しかし、よくよく彼の顔を観察してみると、昨夜にはなかった細いアイアンフレームの眼鏡がかけられていることに気が付いた。
「俺の顔がどうかしたか?」
「い、いいえ! 何でも」
そっか、そっかぁ。
この人、昨日は何も見えていなかったのね。
ううん、それ以上にこんなに綺麗な人だもの。
きっと昨夜のようなこと、日常茶飯事なのよね。
私一人だけ変に意識しちゃって馬鹿みたい。
気が抜けたその時だった。
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