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元カレ
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一ノ瀬湊。私と最悪の別れ方をした元彼だった。
相変わらず、ゆるふわの茶髪が彼の愛らしい姿をより際立たせている。
年下の彼の世話をする事が楽しくて、可愛くて、なのに最後は裏切られて。
ドクドクと心臓が嫌な音を立てている。
あの時の記憶がフラッシュバックしそうになるのを何とか堪えている状態だった。
「ど、うして、ここにいるの」
喉がかさかさで思うように声が出ない。
湊が笑う。
その瞳にはかつての優しさも甘さも、情の一つすらなかった。
彼は私を恨んでいた。
怒っていいのは私のはずなのに。
「いいのかよ、俺と別れてすぐに結婚するなんて」
「な、んの話?」
「そんなことしていいのかって聞いてんだよ!」
湊の怒号にびくっと身体が恐怖する。
「俺に何も言わずにそんなことしていいのか? え? お前は俺のもんだろうが」
湊が私にふらふらと近寄ってくる。
ウェディングドレスの姿では満足に動けないし、何より私は恐怖で椅子に磔にされたみたいだった。
……怖い。
湊の身体が私に覆い被さろうとしたとき、アルコールの香りが鼻をついた。
湊は酔っていた。
だから記憶が混在しているのかもしれない。
私は未だに彼を信じたかった。
恋人には戻れなくても、仲の良かった先輩後輩の関係になら戻れるんじゃないかって、愚かにも期待した。
相変わらず、ゆるふわの茶髪が彼の愛らしい姿をより際立たせている。
年下の彼の世話をする事が楽しくて、可愛くて、なのに最後は裏切られて。
ドクドクと心臓が嫌な音を立てている。
あの時の記憶がフラッシュバックしそうになるのを何とか堪えている状態だった。
「ど、うして、ここにいるの」
喉がかさかさで思うように声が出ない。
湊が笑う。
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「いいのかよ、俺と別れてすぐに結婚するなんて」
「な、んの話?」
「そんなことしていいのかって聞いてんだよ!」
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「俺に何も言わずにそんなことしていいのか? え? お前は俺のもんだろうが」
湊が私にふらふらと近寄ってくる。
ウェディングドレスの姿では満足に動けないし、何より私は恐怖で椅子に磔にされたみたいだった。
……怖い。
湊の身体が私に覆い被さろうとしたとき、アルコールの香りが鼻をついた。
湊は酔っていた。
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