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Story 02 side.TYAKO
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夜の仕事とコンビニのダブルワークを始めて二週間が経った頃には、あたしにもバイト仲間と呼べる友人が出来ていた。
コンビニのアルバイトは意外にもちょっとした空き時間があり、同じ時間帯のシフトに入っている彼と他愛もない世間話をする関係になるのにそう時間はかからなかった。
「今野くん、品出しお願いしていい?」
「はーい」
陽気な彼は近くの大学に通う学生で、昨年田舎から出てきたそうだ。
柔らかな茶髪と人好きのする笑顔は正しく子犬みたいだった。
見た目を裏切らない素直な性格から、店長や先輩方にも可愛がられている。
人を全く疑うことなく生きてきたであろう彼は、あたしがダブルワークをしていると知るや否や、大袈裟なほど心配してくるようになった。
彼の心配の仕方は大袈裟であるにも関わらず、ちっとも不快じゃなかった。
そのことがあたしにはとっても不思議で新鮮な出来事のように思える。
「チャコさん、これ」
そう言って今野くんが差し出したのは、シュークリームだった。
それも最近流行りの人気店の紙袋に入っている。
「え?」
「シェアハウスしてるんですよね。良かったら、そのお友達と一緒に食べてください」
なぁんだ、そういうことか。
彼の頬が真っ赤に染まっていて、袋を持つ手が震えていて、だからあたしは理解した。
彼は、あたしのことが好きなんだ。
「ありがとう。美味しく食べるよ」
ニコッと笑って紙袋を受け取った。
和菓子を大好きな餡子がシュークリームを食べるかどうかは甚だ疑問ではあったが。
コンビニのアルバイトは意外にもちょっとした空き時間があり、同じ時間帯のシフトに入っている彼と他愛もない世間話をする関係になるのにそう時間はかからなかった。
「今野くん、品出しお願いしていい?」
「はーい」
陽気な彼は近くの大学に通う学生で、昨年田舎から出てきたそうだ。
柔らかな茶髪と人好きのする笑顔は正しく子犬みたいだった。
見た目を裏切らない素直な性格から、店長や先輩方にも可愛がられている。
人を全く疑うことなく生きてきたであろう彼は、あたしがダブルワークをしていると知るや否や、大袈裟なほど心配してくるようになった。
彼の心配の仕方は大袈裟であるにも関わらず、ちっとも不快じゃなかった。
そのことがあたしにはとっても不思議で新鮮な出来事のように思える。
「チャコさん、これ」
そう言って今野くんが差し出したのは、シュークリームだった。
それも最近流行りの人気店の紙袋に入っている。
「え?」
「シェアハウスしてるんですよね。良かったら、そのお友達と一緒に食べてください」
なぁんだ、そういうことか。
彼の頬が真っ赤に染まっていて、袋を持つ手が震えていて、だからあたしは理解した。
彼は、あたしのことが好きなんだ。
「ありがとう。美味しく食べるよ」
ニコッと笑って紙袋を受け取った。
和菓子を大好きな餡子がシュークリームを食べるかどうかは甚だ疑問ではあったが。
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