紳士と黒猫

高殿アカリ

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序章みたいな短編

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「君じゃないわ、あゆみよ。というか、どうして下に居たの? 誰かお客さん?」

「僕のお客さんというよりは、君の」
「あゆみ」

「……あゆみのお客さんって感じだね」

「どういうこと?」
「どうやら昨夜の君の話を聞きたいらしい」

「まさか、言ったわけ?」
「まさか! もうお帰りいただいたよ」

レオンの言葉にあゆみがほっと息をついたのも束の間、突然扉の外から小田の声が聞こえたきた。

「レオン、大丈夫だったか?」

あゆみとレオンが視線を交わす。

「お帰りいただいたんじゃなかったっけ?」
「そのつもりだったんだけど」

レオンが扉に向かうと同時に、あゆみは立ち上がり、バルコニーの鍵を開けた。
部屋の扉が開けられると同時に、小田と真鍋の2人が部屋に入ってくる。

「おいおい、勘弁してくれよ、泰造。2階が僕のプライベートエリアだってことを君は知ってるよね?」
「なんだ、俺たちは大抵の事は許し合える幼なじみなんじゃなかったか?」
「……まったく」

小田は皮肉を返しながら、ずかずかと部屋を進んだ。
真鍋はそんな上司に続くべきか迷っている。

「どうぞ、真鍋さん」

レオンが扉を大きく開けた。

「あ、ありがとうございます」

真鍋が部屋に入ると、小田と何やら言い合う女性の姿があった。

「おい、黒猫なんてどこにもいねぇじゃねぇか!」

小田が煙草の火をつけようとすると、あゆみがそのジッポを奪い、自分の煙草に火をつける。

「は? 何してんだ?」
「何って、火借りただけだけど? てか、さっきから喧しい。こっちは寝起きだっていうのに」
「んなこと知るか。ジッポ返せ」

レオンが2人の手から煙草を取り上げる。

「おい」
「ちょっと」

2人の声が重なり、レオンを威嚇する。
しかし、威嚇された当の本人は笑顔を浮かべ、

「ここは禁煙だよ。何度言ったら分かるのかな?」

小田は舌打ちを一つ。
あゆみは体育座りをして、ジッポの火を付けたり消したりしている。

「そんなに煙草が嫌なら、いっそのことこの屋敷ごと燃やしてしまおうかしら」

2人のいじけた態度にレオンはため息をついた。
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