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第三十二話
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肥後阿蘇山中阿蘇大社。ここに為朝は妻となった於犬と鎮西二十烈士等と共に訪れていた。
為朝が馬から降りると同時に於犬を乗せた輿から於犬が降りてくる。そして於犬は周囲を見渡しながら感嘆の声をあげる。
「これは荘厳な……」
「すごいだろう? 元々はもっと質素な社だったんだが、俺が隈本湊の交易で稼ぎ始めてから建て直したんだ」
山中にぽっかりと空いた空間に広がる荘厳な大社殿。まさしく九州でも歴史の深い阿蘇大社の面目躍如と言ったところである。
於犬の隣に立っている為朝についてきた親常が声をかけてくる。
「では、為朝様。俺達はこのまま鍛錬に連れていきます。護衛として守昌と三人ばかり残しますんで」
「別に護衛なんていらんぞ?」
「為朝様にはそらそうでしょうけど、於犬様には必要でしょうよ」
親常の言葉に為朝が笑うと、親常は鎮西二十烈士からも笑いが出る。そして親常は三十人まで減った鎮西二十烈士の候補たちを連れて阿蘇の山中に入っていく。
それをみながら於犬が首を傾げながら為朝に尋ねる。
「為朝様、親常様達はどのような鍛錬を?」
「ん? 阿蘇の厳しい山中を死ぬ一歩手前まで走り回るんだ。それもただ走り回るんじゃなくて途中で襲ってくる鎮西二十烈士に対抗しながらな」
為朝の言葉に於犬が驚いたような顔になる。
「あら! それに耐えられる者のみが鎮西二十烈士になれるということですか」
「ああ。島津の義弘もいいところまでいけると思ったんだがな。義弘は家の都合でもう鍛錬には参加していない」
「そりゃあ、他所から預かってる大事な方を鍛錬で殺すなんてことになったら大変ですからね」
「まぁ、それもあるが宗運が見たところ義弘をただの単騎武者にするのはもったいないと考えたらしい。宗滴翁が来たら宗滴翁に預けて戦のことを叩き込ませるそうだ」
「あらあら。義弘様も大変なことで」
「あとは意外かもしれんが直家の弟の忠家が今のところ鎮西二十烈士候補筆頭だそうだ」
「あら、直家様と言うと最近お忙しくされている為朝様と同年代くらいの方でしたわよね? あのちょっと暗い瞳が印象的な」
於犬が為朝の家臣を把握していることに為朝は少し驚く。その顔に於犬は悪戯っ気な表情をみせる。
「織田家の女ですもの。人を観察する癖はありますわ」
「なるほど。改めて於犬があの信長の姉だと痛感したな」
「失望しました?」
「いや、惚れ直した」
為朝と於犬のやりとりにうんざりしているのは護衛についている守昌と鎮西二十烈士の三人である。結婚してからの為朝はこんな風に人前だろうと平然と於犬と惚気る。この間など隈本城の大鍛冶屋敷で惚気て、鉄砲奉行の惟民を唖然とさせていた。
かといって於犬に溺れて政務を疎かにする、ということもせず、つい最近は直家に命じて引き続き肥前の国衆の調略の指示を出していた。
大名としての政務はしっかりとこなしつつ、人目があろうと新妻と惚気る。この人目に一番つくのは為朝の護衛でもある鎮西二十烈士の面々である。
今回の護衛役を決めるのも一苦労であった。何せ主君の惚気をみせられつつ、護衛の仕事をしないといけない。しかも一番の護衛対象である為朝は護衛が不要なくらいに強い。
もしこの場に為朝を狙う忍が出てきたとしたら、守昌達は於犬を守り、為朝を自由にさせるだろう。そうすれば暗殺を狙ってきた忍など死ぬ。
そんな阿保みたいな護衛をやるくらいだったら鎮西二十烈士候補をしごいたほうがマシである。そのために鎮西二十烈士全員が鍛錬のほうを志願し、籤で負けた守昌ほか三人が護衛につくことになったのである。
相変わらず二人の世界を作っている為朝と於犬に守昌は若干うんざりしながら声をかける。
「為朝様、先代様がお待ちでは?」
「ん? おお、そうだった。では行くか於犬」
「はい」
守昌の言葉に為朝と於犬は自然と手をつないで歩きだす。それをみて守昌と他三人はお互いの顔を熱い熱いとばかりにお互いに顔を仰いで見送った。
社殿で一度参拝をしてから為朝と於犬は阿蘇大社にある大きな屋敷に入っていく。
「親父殿! 来たぞ!」
為朝の入り口での怒鳴り声に奥から惟豊の声が帰ってくる。
出迎えてくる顔なじみの女中や巫女達に挨拶を返しながら為朝は於犬を連れて奥に入っていく。
「親父殿、入るぞ」
「お~、入ってこい」
広間の前で為朝が一度声をかけると、中から惟豊の言葉が帰ってきて、為朝は襖を開く。
そこには宮司の恰好をした為朝とは似ていないくらい細い惟豊の姿があった。
少し緊張している於犬を促して為朝は惟豊の前に座る。
「親父殿、結婚の挨拶に来たぞ。こっちが尾張から来た於犬だ」
「織田弾正忠の娘・於犬と申します」
礼儀正しく頭を下げる於犬を惟豊はまじまじとみている。その視線に困ったように微笑む於犬。
「親父殿、不躾に見すぎた」
「ああ、すまんすまん。於犬であったな。為朝の父の阿蘇惟豊だ」
そう言って頭を下げた惟豊に釣られて於犬も頭を下げる。
「そういえば親父殿、どこか嬉しそうだったがが何かあったか?」
「うん? 儂から家督を奪い取った憎い息子が美しい嫁をとって憎いだけだが?」
「その憎い息子に金をたかる親父殿は糞親父だな」
そう言って為朝と惟豊は大笑いをする。
その光景に呆気にとられたのは於犬であった。
確かに鎮西紀を読んで為朝が惟豊から家督を奪った成り行きは知っている。
於犬が驚いたのはそのようなことがあったにも関わらず、二人には特に気にした風がないというこであった。
そんな於犬の考えがわかるのか、惟豊は微笑みながら声をかけてくる。
「儂が為朝を認めているのが不思議か?」
その問いに於犬は少し戸惑ったが小さく頷いた。その頷きをみて惟豊は上機嫌に笑う。
「確かに家督を奪われた直後は取り返してやろうと思ったり、大友から支援を受けて為朝を討とうと考えたりしたがな」
「親父殿、そんなこと考えていたのか」
「うむ。考えていた。だが、な。為朝の交易が起動に乗った頃に宗運の奴が金子を大量に持って儂のところに来てな。『この金子を持って阿蘇大宮司家の官位を朝廷からもらわれるとよいでしょう』とな。なんと小癪なことをと思ったが、よく考えればめんどくさい些事は為朝に任せておいて、自分は阿蘇大社の宮司としての仕事と朝廷に金子を送って官位をもらったほうが楽だと気づいてな」
そこまで言うと惟豊は晴れやかな顔になる。
「うむ、ぶっちゃけとても楽だ。面倒なことを考える必要がないし、嫌いな戦に出る必要もない。そして於犬もみたであろう? 荘厳な伽藍を構えるに不自由しない金子も宗運に頼めば融通してくれる」
そして惟豊はにっこりと笑顔になった。
「今では為朝が家督を奪ってくれてよかったとも思えている」
「聞いての通りだ於犬。親父殿は宮司としては立派だが糞親父なのは間違いない」
「かかか!! それならば今更儂に家督を返すか? 儂は絶対に受け取らんがな!!」
「ほんと死ねばいいのに」
「なんだその言い方。為朝、祐筆として使っている馬琴に似てきたのではないか?」
「いや、その糞親父っぷりを息子の新妻にみせる親父殿の頭が心配よ」
「なに、為朝のところに嫁に来て、為朝が気にいっているとも聞いている。これで夫婦仲が心配のようであれば父として言わねばならぬと思っていたが……杞憂であったな」
その最後の言葉は父としての優しさが込められており、為朝は照れてそっぽを向く。
そんな為朝を微笑ましそうにみていた惟豊であったが、思い出したように為朝に話しかける。
「そうだ。宗運の奴に文を出そうかと思っていたんだが、為朝が来たから頼みたいことがあるのだ」
「なんだ? 銭か?」
「まぁ、銭と言ったら銭か。今度大々的に下野狩をやろうと思っていてな」
「ほう、下野狩か。久しぶりだな」
「うむ、そこで勢子等の人手と金子が欲しい」
「下野狩であれば宗運も出すだろうさ。安心しろ」
「おお! そうか!! ならば頼むぞ」
親子の会話で置いてけぼりになった於犬が為朝の袖を引いて小さく尋ねる。
「為朝様。下野狩というのは……?」
「ああ、於犬にはわからぬか。下野狩とは古くから阿蘇大宮司が主催して行われる巨大な狩りよ」
「古くは頼朝公の富士の巻狩りの手本になったとも伝わっておる。二千人やら三千人規模の勢子に追い立てられた猪や鹿を、白木の弓矢に白皮の弓掛けなどを持った阿蘇大宮司率いる多数の騎馬武者達が鏑矢で獣を射る……そのようなことだな」
「なるほど……ですが良いのですか?」
「? 何がだ?」
於犬の純粋な問いに為朝も首を傾げる。これに『あ、為朝様は絶対に気付いてない』と思いつつ言葉を続ける。
「いえ、神職である阿蘇大宮司が殺生をしてよいのでしょうか?」
「……なるほど。言われてみればそうだな。どうなんだ親父殿」
そんな二人の問いに惟豊は困った表情になりながら口を開く。
「神聖であるべき人々が殺生を行うから良い、と昔から言われているな」
「やはり阿蘇大宮司は親父殿に任せてよかったな。俺は神聖という柄じゃない」
「それはそうだな」
「いえ、たぶんお二人ともどこかズレてます」
為朝が馬から降りると同時に於犬を乗せた輿から於犬が降りてくる。そして於犬は周囲を見渡しながら感嘆の声をあげる。
「これは荘厳な……」
「すごいだろう? 元々はもっと質素な社だったんだが、俺が隈本湊の交易で稼ぎ始めてから建て直したんだ」
山中にぽっかりと空いた空間に広がる荘厳な大社殿。まさしく九州でも歴史の深い阿蘇大社の面目躍如と言ったところである。
於犬の隣に立っている為朝についてきた親常が声をかけてくる。
「では、為朝様。俺達はこのまま鍛錬に連れていきます。護衛として守昌と三人ばかり残しますんで」
「別に護衛なんていらんぞ?」
「為朝様にはそらそうでしょうけど、於犬様には必要でしょうよ」
親常の言葉に為朝が笑うと、親常は鎮西二十烈士からも笑いが出る。そして親常は三十人まで減った鎮西二十烈士の候補たちを連れて阿蘇の山中に入っていく。
それをみながら於犬が首を傾げながら為朝に尋ねる。
「為朝様、親常様達はどのような鍛錬を?」
「ん? 阿蘇の厳しい山中を死ぬ一歩手前まで走り回るんだ。それもただ走り回るんじゃなくて途中で襲ってくる鎮西二十烈士に対抗しながらな」
為朝の言葉に於犬が驚いたような顔になる。
「あら! それに耐えられる者のみが鎮西二十烈士になれるということですか」
「ああ。島津の義弘もいいところまでいけると思ったんだがな。義弘は家の都合でもう鍛錬には参加していない」
「そりゃあ、他所から預かってる大事な方を鍛錬で殺すなんてことになったら大変ですからね」
「まぁ、それもあるが宗運が見たところ義弘をただの単騎武者にするのはもったいないと考えたらしい。宗滴翁が来たら宗滴翁に預けて戦のことを叩き込ませるそうだ」
「あらあら。義弘様も大変なことで」
「あとは意外かもしれんが直家の弟の忠家が今のところ鎮西二十烈士候補筆頭だそうだ」
「あら、直家様と言うと最近お忙しくされている為朝様と同年代くらいの方でしたわよね? あのちょっと暗い瞳が印象的な」
於犬が為朝の家臣を把握していることに為朝は少し驚く。その顔に於犬は悪戯っ気な表情をみせる。
「織田家の女ですもの。人を観察する癖はありますわ」
「なるほど。改めて於犬があの信長の姉だと痛感したな」
「失望しました?」
「いや、惚れ直した」
為朝と於犬のやりとりにうんざりしているのは護衛についている守昌と鎮西二十烈士の三人である。結婚してからの為朝はこんな風に人前だろうと平然と於犬と惚気る。この間など隈本城の大鍛冶屋敷で惚気て、鉄砲奉行の惟民を唖然とさせていた。
かといって於犬に溺れて政務を疎かにする、ということもせず、つい最近は直家に命じて引き続き肥前の国衆の調略の指示を出していた。
大名としての政務はしっかりとこなしつつ、人目があろうと新妻と惚気る。この人目に一番つくのは為朝の護衛でもある鎮西二十烈士の面々である。
今回の護衛役を決めるのも一苦労であった。何せ主君の惚気をみせられつつ、護衛の仕事をしないといけない。しかも一番の護衛対象である為朝は護衛が不要なくらいに強い。
もしこの場に為朝を狙う忍が出てきたとしたら、守昌達は於犬を守り、為朝を自由にさせるだろう。そうすれば暗殺を狙ってきた忍など死ぬ。
そんな阿保みたいな護衛をやるくらいだったら鎮西二十烈士候補をしごいたほうがマシである。そのために鎮西二十烈士全員が鍛錬のほうを志願し、籤で負けた守昌ほか三人が護衛につくことになったのである。
相変わらず二人の世界を作っている為朝と於犬に守昌は若干うんざりしながら声をかける。
「為朝様、先代様がお待ちでは?」
「ん? おお、そうだった。では行くか於犬」
「はい」
守昌の言葉に為朝と於犬は自然と手をつないで歩きだす。それをみて守昌と他三人はお互いの顔を熱い熱いとばかりにお互いに顔を仰いで見送った。
社殿で一度参拝をしてから為朝と於犬は阿蘇大社にある大きな屋敷に入っていく。
「親父殿! 来たぞ!」
為朝の入り口での怒鳴り声に奥から惟豊の声が帰ってくる。
出迎えてくる顔なじみの女中や巫女達に挨拶を返しながら為朝は於犬を連れて奥に入っていく。
「親父殿、入るぞ」
「お~、入ってこい」
広間の前で為朝が一度声をかけると、中から惟豊の言葉が帰ってきて、為朝は襖を開く。
そこには宮司の恰好をした為朝とは似ていないくらい細い惟豊の姿があった。
少し緊張している於犬を促して為朝は惟豊の前に座る。
「親父殿、結婚の挨拶に来たぞ。こっちが尾張から来た於犬だ」
「織田弾正忠の娘・於犬と申します」
礼儀正しく頭を下げる於犬を惟豊はまじまじとみている。その視線に困ったように微笑む於犬。
「親父殿、不躾に見すぎた」
「ああ、すまんすまん。於犬であったな。為朝の父の阿蘇惟豊だ」
そう言って頭を下げた惟豊に釣られて於犬も頭を下げる。
「そういえば親父殿、どこか嬉しそうだったがが何かあったか?」
「うん? 儂から家督を奪い取った憎い息子が美しい嫁をとって憎いだけだが?」
「その憎い息子に金をたかる親父殿は糞親父だな」
そう言って為朝と惟豊は大笑いをする。
その光景に呆気にとられたのは於犬であった。
確かに鎮西紀を読んで為朝が惟豊から家督を奪った成り行きは知っている。
於犬が驚いたのはそのようなことがあったにも関わらず、二人には特に気にした風がないというこであった。
そんな於犬の考えがわかるのか、惟豊は微笑みながら声をかけてくる。
「儂が為朝を認めているのが不思議か?」
その問いに於犬は少し戸惑ったが小さく頷いた。その頷きをみて惟豊は上機嫌に笑う。
「確かに家督を奪われた直後は取り返してやろうと思ったり、大友から支援を受けて為朝を討とうと考えたりしたがな」
「親父殿、そんなこと考えていたのか」
「うむ。考えていた。だが、な。為朝の交易が起動に乗った頃に宗運の奴が金子を大量に持って儂のところに来てな。『この金子を持って阿蘇大宮司家の官位を朝廷からもらわれるとよいでしょう』とな。なんと小癪なことをと思ったが、よく考えればめんどくさい些事は為朝に任せておいて、自分は阿蘇大社の宮司としての仕事と朝廷に金子を送って官位をもらったほうが楽だと気づいてな」
そこまで言うと惟豊は晴れやかな顔になる。
「うむ、ぶっちゃけとても楽だ。面倒なことを考える必要がないし、嫌いな戦に出る必要もない。そして於犬もみたであろう? 荘厳な伽藍を構えるに不自由しない金子も宗運に頼めば融通してくれる」
そして惟豊はにっこりと笑顔になった。
「今では為朝が家督を奪ってくれてよかったとも思えている」
「聞いての通りだ於犬。親父殿は宮司としては立派だが糞親父なのは間違いない」
「かかか!! それならば今更儂に家督を返すか? 儂は絶対に受け取らんがな!!」
「ほんと死ねばいいのに」
「なんだその言い方。為朝、祐筆として使っている馬琴に似てきたのではないか?」
「いや、その糞親父っぷりを息子の新妻にみせる親父殿の頭が心配よ」
「なに、為朝のところに嫁に来て、為朝が気にいっているとも聞いている。これで夫婦仲が心配のようであれば父として言わねばならぬと思っていたが……杞憂であったな」
その最後の言葉は父としての優しさが込められており、為朝は照れてそっぽを向く。
そんな為朝を微笑ましそうにみていた惟豊であったが、思い出したように為朝に話しかける。
「そうだ。宗運の奴に文を出そうかと思っていたんだが、為朝が来たから頼みたいことがあるのだ」
「なんだ? 銭か?」
「まぁ、銭と言ったら銭か。今度大々的に下野狩をやろうと思っていてな」
「ほう、下野狩か。久しぶりだな」
「うむ、そこで勢子等の人手と金子が欲しい」
「下野狩であれば宗運も出すだろうさ。安心しろ」
「おお! そうか!! ならば頼むぞ」
親子の会話で置いてけぼりになった於犬が為朝の袖を引いて小さく尋ねる。
「為朝様。下野狩というのは……?」
「ああ、於犬にはわからぬか。下野狩とは古くから阿蘇大宮司が主催して行われる巨大な狩りよ」
「古くは頼朝公の富士の巻狩りの手本になったとも伝わっておる。二千人やら三千人規模の勢子に追い立てられた猪や鹿を、白木の弓矢に白皮の弓掛けなどを持った阿蘇大宮司率いる多数の騎馬武者達が鏑矢で獣を射る……そのようなことだな」
「なるほど……ですが良いのですか?」
「? 何がだ?」
於犬の純粋な問いに為朝も首を傾げる。これに『あ、為朝様は絶対に気付いてない』と思いつつ言葉を続ける。
「いえ、神職である阿蘇大宮司が殺生をしてよいのでしょうか?」
「……なるほど。言われてみればそうだな。どうなんだ親父殿」
そんな二人の問いに惟豊は困った表情になりながら口を開く。
「神聖であるべき人々が殺生を行うから良い、と昔から言われているな」
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