Be The Ace! ~転生チートで世界征服!?~ アルファポリス用

荒波

文字の大きさ
2 / 76
異世界地球編

1歳

しおりを挟む
 イツキは転生してから毎日トレーニングをしている。
 目標が世界征服なのだから少しでも実力をつけなければならない。
 といっても、赤ん坊に筋力トレーニングは無理だ。
 何をトレーニングしているかといえば、飛行魔法である。
 死神のストタナから魔法の適性をもらっているので使えるはずなのだがうまく使えなかった。
 一方で飛行魔法は使い方が感覚で分かったのでそちらを使っていた。
 今行っているのは、ゆりかごから少しだけ浮いた状態を維持するトレーニングだ。
 1回自由に飛びまわったらウルラにとても驚かれゆりかごに連れ戻された。
 そんなこんなで工夫したトレーニングだが、自由に飛びまわるのと同じくらい体力(魔力?)消耗する。
 飛行魔法で常時浮いて、疲れたら降りて寝ることを繰り返していた。

 その日もそんなトレーニングで1日過ごそうとしていた。
 そこに懐かしい声が聞こえてきた。

(樹さん、死神のストナタです。連絡が遅れて申し訳ありません。あ、考えてることはこちらで読み取れるので何が言いたいか考えてくれれば大丈夫です)
(わかった。それはいいけど、転生して1年も放置って何かあったのか?)
(いえ、時間の流れるスピードがそちらの世界は早いのでこんな時期になっちゃいました)
(なんだそれ。ところで魔法の適性があるとかいう話だったが全く使えないんだが?)
(確かに適性は付与されてますよ。魔法はそちらの世界の人に習ってくださいね)
(なんだよ、そういうことか)
(はい。それで、能力付与の担保の話なんですけど、決まったのでお知らせします)
(おう、何でも来い)
(では、樹さんが担保にしていただくのは『男性機能』に決定いたしました)
(……ストナタ、ちょっといいか?)
(はい、なんでしょう?)
(現状で既に『男性機能』が無いんだが……)

 現在イツキちゃん(1歳)である。

(はい。なので全属性魔法特性や経験値10倍といった能力付与ができました)
(そう言うことは先に言え!)
(申し訳ありませんが、フリーハンドのうちだと思って諦めてください)
(諦めきれるかあっ!)
(来世は男性だといいですね)
(お前が言うな!)
(それでは、話は尽きませんがこの辺で失礼させていただきますね)
(おい、勝手に会話を切ろうとするな!おーい!)

 それっきりストナタと連絡はとれなくなった。
 不本意ながら、現世のことは目をつぶり来世のためにトレーニングするしかなかった。



 飛行魔法が使えるといってもまだまだ1歳児。
 おしめを替えてもらったり、お乳を吸ったりという特殊プレイにイツキは打ちのめされ、諦めの境地に至っていた。
 そんなある日、珍しいことに母親の腕に抱かれて散歩をしていた。
 家から出ると世界樹と呼ばれる大樹を中心とした森の中に家を建てて生活するエルフの姿がある。
 翼のあるウルラに対してはよい目を向けられていない。
 そんな排他的な総人口100人にも満たない小さな村だ。
 その中でもひときわ大きな建物がある。
 オプシトゥス家の本家の家だ。
 村全体の会議も行うため大きく作られている。
 その建物からエルフの男が一人出てくる。
 ウルラの夫であり樹の現世での父親、ドーヴァである。
 ドーヴァは痩身金髪碧眼で、他の村人より身なりがよかった。
 何を隠そうドーヴァはオプシトゥス家の本家の次男坊である。
 そんなドーヴァがウルラと関係を持つことをオプシトゥスの本家は良くは思わなかった。
 そのためウルラとイツキは村の外れに居を構えることとなった。
 今、ウルラとドーヴァは久しぶりの短い逢瀬を楽しむのだった。

「やぁ、ウルラ。不自由はないかい?」

 ドーヴァはウルラに会えたことをうれしく思い破顔して問い掛ける。

「はい。ドーヴァ様のお陰でつつがなく過ごしております。」
「親父たちは頭が硬くってね。なかなか子供にも会えやしない」

 ドーヴァは親からウルラに会うことは禁止されていた。
 しかし、たまに偶然を装って会うことはあった。

「そう思いまして今日は連れてきておりますよ。ほら、イツキ。お父さんですよ」

 イツキの顔を見るとドーヴァは再び破顔した。

「飛行魔法で飛び回っているって聞いたからどんなおてんばかと思ったが、利発そうないい子じゃないか」
「飛行魔法に限って言えばすでに村1番だと思いますよ」
「他の魔法を覚えた時が楽しみだ。ではな」
「はい」

 そうしてドーヴァは離れて行った。
 1年以上も会っていなかった二人の逢瀬には短すぎるかもしれないが、それくらいしか許されてはいないのだった。
 ウルラはしばらくドーヴァの後ろ姿を眺めるときびすを返して村外れの家に戻っていく。
 その途中、樹には独特のフォルムの見覚えのあるものが目に入ってくる。

(あれって富士山じゃないか?)

 腕を伸ばして山を指さすと母親が説明してくれる。

「山が気になるの?あれはペルペトゥス山、通称不死の山と言っておばあちゃんの故郷なのよ」

 類似した形状と類似した名前。
 イツキはここが別世界の日本なのかもしれないと疑問を持った。
 確認するためには上空から見ることが一番だ。
 イツキが飛行魔法を発動させると腕にかかる重さがなくなったことに気付いたウルラがイツキを抱きしめ直す。

「どうしたの?飛んで早く帰りたいの?」

 そんなウルラの問いかけに、イツキは上を何度も指さして高度を上げたいことを伝えようとした。

「空に上がりたいの?しょうがない子ね」

 そう言うと、ウルラは翼をはためかせると高度を上げていく。
 眼下に広がる大パノラマにイツキは興奮したが目的も忘れていなかった。
 遠くに見えるは房総半島、東京湾、三浦半島、相模湾、伊豆半島、駿河湾。
 海岸線を見ただけだが、どうやらここは別世界の日本らしかった。
 そうなるとこの世界は地球のような地理になっているのだろうか。
 地球を舞台に世界征服となれば、歴史上誰もなしえていないことをなさなければならないことになる。
 そうしなければ来世もまた『イツキちゃん』である。
 イツキの頭の中は世界征服をどのようにするかということから天下統一をどのように為すか、その前にこの村の統治機構にどのように食い込むか、この村をどうやって大きくするかという事を考え出していた。

(この村の村長の次男の子に生まれたことは幸運な方だったかもしれない。何かの拍子に村長とその長男が事故で亡くなってしまえば権力闘争はできる。ただ、この村で事故なんか起こりうるのか?例えばどこかへ外交をしに移動中に落石があって無くなるといった不幸が思い付くが特に周りと交流がなさそうなこの村ではその可能性は低いといわざるを得ない。まだ毒殺とか暗殺の可能性の方が高いといえる。それもほぼ望み薄だが。それに申し訳ないが排他的なこの村でエルフとは言えない母を持ったことはマイナス要素だと思われる。それから、この村の周りの状況を調べなければいけない。だがどうする。自給自足が成り立っているために行商人も通らない。情報が集まらない。それとも母方の祖母の線から探るのが正解か。翼を持つ種族だから行動半径も大きいかもしれない。話せるようになったら行ってみないといけないな)

 そんなことを考えているといつの間にやら家に戻ってきていた。
 やらなければならないことは多い。
 しかし、今できることは限られている。
 飛行魔法のトレーニングだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

処理中です...