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第一章
第二話
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カッカッカッカッカッカッ、と音を立てながらペンを走らせ、目の前に積まれた書類の山を片付ける少女。
「先の件ですが・・・」
「学院の方は・・・」
「隣国との国境で・・・」
その傍に立ち、報告書を読み上げる少女。
ここはブレイブ王国王城。女王の執務室。ペンを走らせるのは、この部屋の主オリアナレイナ・ミカエル・ブレイブ。先の政変に伴い即位した、ブレイブ王国の新たな女王だ。
傍らに立つのはその側近の一人、ソフィア・ベイリー。大きな本のような聖剣を脇に抱え、話す度に大きな眼鏡を整えている。
二人はその顔に一切の疲れも見せず、大量に積まれた書類の山を片付け、あと少しで終わると言う時に扉が激しく叩かれた。
「お入りなさい」
「・・・失礼します!!」
入って来たのは、淡い色をした髪の女だった。その背には刀身が太めの聖剣が納められている。
「エルダ、どうしました?」
「・・・学院長が謁見を求めています」
絞り出すような声だった。普段の彼女からは、考えられない程弱弱しい声。
「エルダ?どうしたのですか?いつもの貴女らしく・・・・」
(震えている?)
オリアナレイナは気付く。いつも凛々しくあるエルダが、小刻みに震えているのに。
「報告を受けて、まずは確認をと思い学院長に会いに行きました」
エルダは言葉を続ける。オリアナレイナの様子に気付かず、自らの震えに気付かず。
「ですが、遠目での確認で十分でした・・・」
エルダは、無意識に自らを抱き締める。
「学院長は二体の魔族と一緒でした・・・」
「「!?」」
「それも遠目で分かる程の強大な力を持った魔族です・・・」
勇者学院の学院長が、魔族を連れて王都に現れ、謁見を望む。確かに、由々しき事態だ。
(勇者の国・ブレイブ王国の王との謁見を望むなら、それ相応の地位、魔王でなくとも幹部クラスの魔族である事は間違いないでしょう。しかし、≪憤怒≫を討ち取ったエルダがここまで恐れるとは、どういう事なのでしょうか?)
そのオリアナレイナの疑問には、続く言葉が答えた。
「二体の魔族は恐らく主従関係。男の方が主、女の方が配下です。女の方がせっせと男の世話を焼いている様に見えました。・・・・・くぅっ!」
「エルダ!?」
「エルダ様!?」
胸の辺りを鷲掴むようにして、その場に崩れ落ちたエルダに二人が驚き駆け寄る。
「わ、私は先日≪憤怒≫の魔王に相対したから分かります。あ、あの・・・あの女の方は≪憤怒≫に匹敵する力を有しています!」
「「なっ!?」」
二人はエルダの言葉を疑わない。それだけの信頼関係が彼女達の間にはある。だが、信じられない内容に、口が反射的に動く。
「そ、そんな、まさか・・・・」
「・・・そ、そして、男の方は・・・男の方は・・・・」
エルダの体が一瞬大きく震える。
「その女を軽く凌駕する力を・・・・!!」
「「っ!!」」
(な、なんていう事。≪憤怒≫クラスの魔族だけでも、驚愕に値すると言うのに、それを凌駕する魔族!?そんなの・・・・っ!!!)
「ふぅ~~・・・・。エルダ、話を整理します」
「は、はい!」
大きく息を吐いたオリアナレイナの雰囲気が、ガラリと鋭く落ち着いたものに変わる。その姿に、ソフィアとエルダの背筋が伸びる。エルダの心には、既に恐怖は無い。
「現在、勇者学院の学院長・エンリチェッタ・スコラーリが二体の魔族を引き連れ、謁見を要求。一体は女で≪憤怒≫と同等の力。もう一体は男で、それを軽く凌駕する力。魔王同士での主従関係の可能性を省けば、男の方は魔王の可能性あり。ここまで良いですか?」
「は、はい」
「ソフィア、ここで考えるべきは何でしょうか?」
魔王という情報既に小さくなっている。今二人の目の前にあるのは、オリアナレイナ・ミカエル・ブレイブという気高き女王の情報だけだった。
「・・・魔族達が何をしに来たか、という事です。エルダの言う通りの力があるのなら、既に暴れているはず。目的は話し合いだと思われます」
「そうですね・・・・。がしかし、ソフィア、そしてエルダもまずは認識を改めてください」
「「っ!」」
オリアナレイナの周りに金色の聖力が舞い出す。その姿は余りも幻想的で、神秘的で。二人は、オリアナレイナという存在に完全に飲まれていた。
「≪憤怒≫を討ったエルダが感じた脅威。これを過小評価してはいけません。寧ろ過大評価してでも、万全に備えるべきでしょう。例え無駄になろうと、備えあれば患いなしです。これより、二体の魔族は、魔王とその配下と思って行動してください」
「「はっ」」
「さあ、話を詰めますよ。宰相を初めとする識者達を集めてください。緊急会議を始めます」
丸二日。王城の一角の会議室で、学院長が連れて来たという二体の魔族についての会議が開かれた。
その頃、魔王とその配下は何をしていたかと言うと・・・
「もぐ・・・ふむ、これも美味いな」
「んぐ・・・ですね」
人間界の食を堪能していた。
光沢のあるソースが掛かった、良い焼き色の大きな肉の塊。彩り良く盛り付けられた、数種類の野菜。粉を練って作られたような、フワフワしたもの。海の幸を思わせる、多様で奇抜な食材が使われたもの。香りの良い、赤銅色のスープ。
二人の座るテーブルには、これでもかと所狭しに多くの料理が並べられ、台車には空いた皿が塔の如く積み上げられていた。
(これが人間界の食・・・魔界とは天と地だな。魔界でも、いや、≪色欲≫の地でも是非とも広めねば)
デウスは料理に舌鼓を打ちながら、そう決意する。
魔界の料理と言えば、『切る』『焼く』くらいしか工程が無い。元々魔族にとって食事とは、エネルギーを補給する為の行為に過ぎ無い。その為、食というものには無頓着だった。
そんな魔族が人間界の、味覚を最大限に刺激する多種多様な料理を口にすれば、彼らのように虜になるのは必然だ。
「もぐ、二日程、もぐもぐ、待ってくれと言われた時は、流石に余も頭に来たが・・・ごくん。これはこれで良かったかもしれぬ」
「・・・そうか、それは良かったのじゃ」
そして、学院長エンリチェッタはデウスの膝の上にいた。
会議の為の時間稼ぎを城から申し付けられたエンリチェッタは、デウスたちを接待していた。ブレイブ王国の対応に初日は苛立ちを隠さないデウスだったが、エンリチェッタ行きつけの店で料理を口にすると、瞬く間に機嫌が良くなった。
そして、おもむろにエンリチェッタを抱え上げたデウスは、彼女を膝の上に乗せたのである。
(くっ・・・何という屈辱か)
魔王に抱えられ、愛玩動物か何かのような扱いをされるというだけでも、勇者として屈辱的なこの状況。さらに屈辱的なのは、周りからは幼子として見られている事。
余計な騒ぎを起こさないように人間に扮しているデウスとエミリアは、一見夫婦のようにも見える。美男美女の夫婦だ。その父親(?)の膝に抱えられていれば、必然エンリチェッタは二人の子供のように見られる。
顔を青くしているのは、エンリチェッタを知るこの店の馴染みの店員達。
「其方はもう食べぬのか?」
「・・・あまり腹は空いておらぬ」
「そうか?良く足りるな。小柄だからか?」
エンリチェッタは少ししか食べていない。なんて事は無い。しっかりと食べている。必要な時、十全に力を発揮出来るように。
この場合、デウス達の食べる量がおかしいのだ。昨日も朝昼晩、今日も朝昼と、同様に山のような量の食事を摂っている。さらにそれだけでなく、食事の合間での王都散策中にも、屋台の串焼きやら何やらを常に口にしていた。
つまり、この二日デウス達は食道楽に興じていたのである。接待役として、それに付き合わされ金を払わされる、エンリチェッタの心労は察するに余りある。
「もぐもぐもぐ・・・んぐ・・・ごくん。ふぅ~・・・ん、満足だ。エミリア・・・も満足そうだな」
「はい」
「さて、そこな者よ。この店で一番偉いのを呼べ」
「は、はぃぃぃぃ」
当たり前のように下された命令に、殆ど反射的に答えた店員。背筋を伸ばして返事をすると、早足で店の奥に消える。テンパり慌てながらも、埃を立てないように走ったりしない所に、飲食店ならではの教育と、その教育が徹底されているのが窺える。
「・・・何をするつもりじゃ」
これまでとは違うデウスの行動に、エンリチェッタが訝しむ。
「何、ただの礼よ」
「礼じゃと?」
デウスの顔に悪意は見えない。
「お待たせいたしました。私が当店の代表に御座います」
やって来たのは、初老の男。身形は整い、清潔感がある。急な客の呼び出しにも、完璧な対応。男の経験の高さを表している。
ただ、その視線はデウスの膝上の知己たるエンリチェッタとの間を、何度も彷徨っていた。
「うむ。良き品の数々であった」
「ありがとうございます」
「少々はしゃぎ過ぎて、ちと食い過ぎた。料理人達には苦労を掛けたな」
「いえ、彼らも作り甲斐があると、奮起しておりました」
初日に現れた時は、残したら殺す、とそう意気込んでいた料理人達もいた。しかし、全てを綺麗に平らげられ、綺麗になった皿の塔を見せられると、料理人達の心はもう満足感しか残らない。
代表としても、店の料理人達に『料理人としての幸せ』を与えてくれた客に、文句などあるはずも無かった。店としても、感謝しかない。
知己の学院長の事など、問い質したい事はあったが。
「そうかそうか。では、謝罪と感謝の印にこれを送ろう」
「「「っ!?」」」
そう言ってデウスが取りだしたのは、人の頭ほどある水晶。『結界水晶』などに使われる、力の籠った水晶。その原石だった。
「見た所、相当な年季の建物のようだ。修繕個所も見られるしな。これを削って売れば、いっそ建て替える事も可能だろう。余ったら、結界としても使って構わん」
「な・・・な!?」
代表は開いた口が塞がらない様で、意味も無く口をパクパクし、言葉も出ない。
「ん?足りなかったか?」
「そ、そうではありません!このような物を受け取る事など・・・・っ!」
そこで初めて、代表はデウスの瞳をしっかりと見た。
(なんだ!?呑み込まれそうな、引き込まれそうな・・・?だけど、決して嫌なものでは無く、それどころかどこか心地良い・・・)
「この店の料理は、どれも美味であった。食に対する認識が、180度変わるくらいにはな」
「そ、それは当店としても、大変喜ばしいですが・・・。そ、それでもこれは・・・」
「ふっ・・・、こういう時は胸を張って受け取るものだぞ」
「「「っ!!」」」
デウスが微笑む事で溢れ出た色気が、代表の口を閉ざす。
「ではな。改めて大変美味であった。また、いずれ来る事もあろう。その時を楽しみにしている」
立ち上がり、上着を羽織る。そして、二人の美女と美童女を引き連れ、店を後にする。ただそれだけの行動に、代表と客を含め店内の人間は魅了された。
「・・あ・・・ありがとうございました!!またのご来店をお待ちしております!!」
デウス達が店を出て、扉が閉まるその瞬間。代表は咄嗟に我に返り、大声で叫んだのだった。
食事を終えた三人は、宿に戻って来ていた。
この宿の名は『英雄の止まり木』。王都最高級で、王都を訪れた勇者の為の宿である。通常勇者以外お断りなその宿に、デウス達は勇者エンリチェッタの知己として特別に宿泊していた。
その宿の備え付けの浴室にて。
「~~♪~♪~~~♪」
エミリアが鼻歌を歌いながら、目の前に座るデウスの体を洗っていた。
「機嫌が良いな」
「はい。仕事とは言え、こうして二人で行動する事は少ないですから」
「・・・そうだな。すまん」
「いえ。普段愛してもらっているだけでも、私達は幸せですから。ただ、昔のようなこういう時間にも、別の幸せを感じてまして」
その言葉に偽りは無く、エミリアは愛情深い瞳でデウスを見ていた。
「そうか・・・」
デウスが振り向き、エミリアの左腕を掴み抱き寄せる。そして、二人の唇が自然と重なる。
「ん・・・」
「んーっ、んーーっ!!」
そして、デウスの足の間にあった黒い何かが騒ぎ出す。
と言うか、デウスの闇に拘束された、裸のエンリチェッタだった。
「・・・どうした、エンリチェッタ」
エミリアから唇を離し問い掛けるが、答えは返ってこない。
それもその筈、エンリチェッタは闇に手足を拘束され、その上口も塞がれているのだから。拘束されているエンリチェッタは、デウスを憎々し気に睨みつけている。
「・・・むーーっ!!」
「そう、睨むな。悪い事をしている気になる」
見た目童女を裸にひん剥き、己の股の間に座らせ更に拘束する。悪い事そのものである。
「ぷはっ・・・お主一体何のつもりじゃ!?」
口の拘束が解かれると、エンリチェッタがデウスに怒鳴りつける。
「うむ。一緒に風呂でもと思うてな。普通に誘っても断るのであろう?」
「当然じゃ!!」
「となれば、少々手荒な手段を取るしかあるまい」
「どうしてそうなる!?」
全くもってその通りである。完全にストーカー・変質者の言い分だ。
「そろそろ、其方との仲を深めても良いと思うてな」
「っ!妾を拘束して、他の女と接吻するような男と深める仲など無いわ!!」
「何だ?嫉妬か?」
「違う!~~~っ!!?」
手足の拘束が解かれ、距離を取ろうとしたエンリチェッタだったが、動き出す前にデウスに抱き留められ、硬直する。今までと違い、服などの互いを隔てる物が無い、素肌と素肌の接触に、頭が完全にショートしたのだ。
「ふむ。この反応、処女か」
「っ!?」
「人間の雄共は、見る目が無いようだな。それとも、其方の貞操が固いだけか?」
デウスの見透かすような言葉に、エンリチェッタは歯噛みする。悔しさやら、恥ずかしさやらが入り乱れる。
「ふ、ふん、このような幼い身体に興奮する者など・・・・。おったとしても、歪んだ性癖の変態だけじゃ」
「では、余は変態であるようだな」
「≪色欲≫の魔王が何を今さ・・・ん?何じゃこれは・・・??っ!!・・・・んなぁ!?」
(ま、まさか・・・!)
ナチュラルにデウスを変態にしたエンリチェッタが、言葉の途中で何かに気付いたように奇声を上げる。
「ん?どうした?」
「お、おぬ、おぬ・・・!こ、固、これ・・・!―――っ!!!」
それは言葉にならない言葉。声にならない声だった。
「・・・ああ、すまぬな。其方が魅力的過ぎて、反応してしまった」
己を抱え、密着するデウスの体の一部が不自然に固い。その固く熱い感触が、腰の下辺り、お尻の上辺りに感じる。
(こ、この男・・・本当に!?)
エンリチェッタも話では聞いた事があった。男は性的興奮を覚えると、体の、下半身の一部が固く熱を持つようになると。話では聞いた事あったが、まさか見るより先に、触れてしまうとは。
しかし、生娘であるエンリチェッタには刺激が強く、興味よりも羞恥よりも先に、恐怖が来る。
「や、止め・・っ!離、離れるのじゃ・・・っ!」
今までで一番の抵抗を見せるエンリチェッタ。手足を大きく振るい、暴れる。しかし、デウスは容易くそれを抑え、さらに強く抱き締める。
「・・・落ち着け」
「っ!!?」
落ち着ける訳が無い。その筈だった。
しかし、デウスの言葉に落ち着いていく自分がいる。恐怖が薄らいでいく。
「落ち着け。余は何もせぬ。無理やり事に及ぶのは、外道のやる事であるからな」
「≪色欲≫の言葉など、信じられるか・・・!」
「ふむ、確かに。・・・では、逆に考えてみよ。余は≪色欲≫であるが故に、ヤろうと思えば何時でもヤれる。それをしないのは、理由があるからだと」
「理由じゃと?」
落ち着きを見せ始めたエンリチェッタは、デウスとの問答に引き込まれ始める。
「うむ。余は知ってしまったのだ。愛を以って行う、その行為の気持ち良さを。故に、余は愛無くして、事に及ばん。愛し愛されねば、虚しいだけよ。一時の快楽を求めるのは、敗者だけである」
「では、何故固くしておる!?」
デウスの目は至って真剣だ。その言葉に嘘は無いのかもしれない。しかし、デウスの体はそうは言っていなかった。エンリチェッタは、それを直に感じていた。
「くくく、これは許せ。其方が魅力的なのも悪い」
「・・・魅力的じゃと!?おちょくるのもいい加減にするのじゃ!!」
怒声と共に、エンリチェッタの体から大量の聖力が溢れ出す。デウスはやや眩しそうに、そしてほんの僅かに、方眉が数ミリ上がる程度に、辛そうに顔を顰める。
「そんなつもりなど無いが・・・」
「この体は天使様との契約により、時間を奪われ、そして時間を与えられた!それから百年近く、幼い体のままじゃ!老いる事も無ければ、成長する事も無い。このようなちんちくりんな体の何処に魅力がある!!?」
エンリチェッタ魂の叫びだった。
「全てに。余が保証しよう。其方は魅力的だ」
「っ!?」
余りにも自然に、そして力強く断言するデウスに、エンリチェッタの勢いが削がれる。
「確かに見た目は幼い。子供のようだ。しかし、それもまた其方の魅力の一つである。そして何より、聖剣を通じての天使との契約。それが出来るのは、勇者でも一握り。気高き志を持つ者のみ」
「・・・・」
「何かあるのだろう?天使を納得させるだけの、気高き志が」
エンリチェッタの脳裏を過るのは、幼き頃の記憶。
赤く、熱い世界。あちこちから聞こえる悲鳴。炎に身を包み、黒焦げていく人々。父だった物が、母だった物が、優しかった近所のお兄さんだった物が、断末魔の叫びと共に、その命を散らしていく。
そして、その世界の中心に佇む者が一人。大きく異形の片腕を携える、一角の魔族。
そいつの薄笑いを浮かべた顔がこちらを向き、燃えるように赤い目に射抜かれる。
「っ!!」
「使命か、大志か、それとも復讐か」
デウスの瞳が、エンリチェッタを射抜く。炎の魔族とは違う、黒い瞳。引き込まれそうになり、囚われそうになるその瞳に、エンリチェッタは魅了される。
「・・・復讐じゃ」
そして、思わず答えていた。
「くくくっ、良いではないか。復讐に囚われている訳でも、復讐に我を忘れている訳でも無い。暴走していない時点で、それは重畳。アイツも気に入る訳だ」
「?」
「陛下」
デウスの言葉にエンリチェッタが首を傾げ、エミリアが咎める。
「くく、くくく、済まぬ済まぬ。して、エンリチェッタよ、心して聞け。其方は魅力的である。復讐心とは言え、その気高き志は真っ直ぐである。故に余は、其方に魅力を感じておる。そして、同時に愛おしくも感じておる。余は其方が欲しい」
「!!?」
その言葉を行動で証明するかのように、デウスによる抱擁が強くなる。しかし、そこに苦しさは無く、寧ろ優しく包まれているかのようで、とても心地良い。
エンリチェッタは動揺していた。状況に身を強張らせてはいたが、その内心は激しく躍っていた。
(妾が魅力的?愛おしい?こやつ、本気で・・・!?)
これほどまでに、男に求められた事など過去にあったかどうか。相手が魔王である事など十分に理解しているが、それでも男に女として求められているという状況に、エンリチェッタの心は躍っていた。
だが、それでもやはり、相手は魔王で自分は勇者なのである。
「・・・妾は勇者じゃ。魔王に身を、心を捧げる未来など来ぬ」
「ふむ。それではまるで、魔王でなければ良いと、そう聞こえるな」
「・・・っ!」
その通りであった。
エンリチェッタのこれまでの人生で、欲望を向けてくる者はあれど、愛を向けてくる者など殆どいなかった。仕事で会う貴族などは下卑た欲を向けてくるし、愛の告白をしてくるのも歪んだ性癖の持ち主か、子供ばかりであった。
その点、デウスから向けられる愛欲は心地の良いものだった。
≪色欲≫の魔王でありながら、欲望のまま事に及ぶ事も無い。力づくで犯す事など、容易であろうに。そして、デウスの愛はエンリチェッタの全てに向けられている。未成熟な体だけでなく、その心の在り様にも。
下手な人間なんかよりも紳士的で、デウスが魔王でなければ、エンリチェッタはその愛を受け入れていた。例え他に女がいると分かっていても。目の前で、エミリアとキスをされても。昨晩盗み見た光景から、二人が男女の仲だと分かっていても。自分を女として愛してくれるのなら、エンリチェッタにとってそんなものは細事であった。
「魔王で無くとも、魔族である以上それはないのじゃ。しかし、お主の言葉が嬉しかったのも事実。今宵の事は夢として、記憶の片隅にでもひゃあぁぁんっ!!?」
言葉の途中で、エンリチェッタが奇声を上げる。デウスが、エンリチェッタの耳を噛んでいた。
「そう結論を急ぐでない」
「んんっ、やめっ・・・あぁっ!ひゃぁ・・・こ、この・・・!お、おぬ・・・んあぁっ!」
デウスは耳を甘噛みしたまま、エンリチェッタの体に手を這わせる。それは、学院で何やら確認していた時のようなものでは無く、完全に女を感じさせる為の愛撫だった。襲ってくる快感の大きさが違う。
≪色欲≫の魔王による愛撫は、触れるだけで快感を与える。胸や股などの性感帯に触れるとなれば、更に大きい快感に襲われる事になるだろう。そう、今のエンリチェッタのように。
「其方に良い事を教えてやろう。余は確かに魔王だが、天使とは敵対しておらん」
腕を触られるだけで小さな快感に襲われる。そんなデウスの手が、胸の突起や股の突起に触れるたびに、達してしまいそうになるほどの大きな快感が襲う。
大小の快感の波が、エンリチェッタを狂わせる。
「あっ・・・ん、いぁっ!!・・・ふっ・・・・・んあっ!」
(ダメじゃ・・・これ以上はおかしくなる。これ以上は・・・耐えられぬ・・・っ!)
時折だが、一人で慰める夜もあった。しかし、デウスによって与えられる快感はエンリチェッタにとっては未知の物。思考が儘らなくなる。最早、デウスの話も殆ど聞こえていない。
「つまり、天使は余を敵とは認識せぬという事だ」
「あ・・・・?」
デウスの愛撫から解放されたエンリチェッタが、呆けた顔で、しかしどこか物足りなさそうな顔でデウスを見る。
(終わった・・・?・・・・しかし、これでは・・・)
必死に耐えたおかげで、魔王の手で達さずには済んだ。しかし、ギリギリまで与えられた快感が、行き場を求める様にエンリチェッタの体中を蠢く。所謂、生殺しの状態であった。
「故に、今一度宣言しよう。余の目的は、勇者を育てる事。余は勇者の味方である、と」
「何故じゃ・・・?何故、魔王が・・・?」
惚けた頭で、辛うじて聞こえてきたデウスの言葉を理解し、反射のように言葉を紡ぐ。
「その事は明日にでも話をしようぞ」
(明日じゃと・・・?)
デウスがエンリチェッタを抱え上げ、向かい合うようにして膝の先に座らせる。改めて正面から裸を見られる事に、抵抗と羞恥を感じるエンリチェッタだったが、己の瞳へと向けられるデウスの視線の鋭さに、それら一切が吹き飛ぶ。
「故に、今一度問おう、エンリチェッタよ。力を欲するか?」
「っ!」
欲しい。欲しくない筈がない。
「望むなら、余が力を与えよう。いや、『与える』は相応しくないな。其方の内で眠る、聖剣の力を引き出してやる」
「なっ、そんな事が・・・!?よしんば出来たとして、何故魔族に、お主にそんな事がっ!?」
何故、何故、何故?先程から、デウスの言葉には疑問ばかりが溢れる。
「くくく、それも明日、な」
「・・・・!」
デウスから悪意は感じない。それどころか、こちらを見る魔王の黒き瞳には、温かさを感じる。
(何故、魔王がこのような瞳をする!?何から何まで、聞いていた話と、伝えられてきた話と違うのじゃ。こやつ、本当に魔王か?)
「余は其方が愛おしい。故に、其方の真の聖剣の輝きが見たい」
「真の・・・?」
「うむ。そして、誓おう。余は其方の全てを、勇者として女としての其方の全てを愛すると」
「――っ!」
言っている事の中には意味が分からない事もある。しかし、最後の告白は綺麗にエンリチェッタの胸に刺さった。
「力を望むなら、復讐を望むなら、余の手を取れエンリチェッタ・スコラーリ!さすれば力を、機会を与えん!そして、其方の全てを余の全てを持って、愛そうぞ!」
「あ・・・っ!」
デウスの言葉に、エンリチェッタは身を震わせた。
デウスは、ちんちくりんの姿でも愛すと言う。魔王は、敵のはずの勇者も愛すと言う。心から震える。
「どうだ、エンリチェッタ。余は本気であるぞ」
「妾の全て・・・・。勇者としても、女としても愛すると・・・?それも、本気じゃと・・・?」
「・・・・」
最早デウスは、言葉はいらないとばかりにエンリチェッタの返事を待つ。既に語り尽くした。
「・・・・」
「・・・・」
暫くの静寂の後、エンリチェッタの手がゆっくりデウスの方へ差し出される。
「・・・お主の事など、突っぱねるのが正解なのじゃろうな。しかし、妾はもう駄目じゃ。心の奥底に仕舞っておいたはずの『女』を、猛烈に意識させられてしまった。たった二日で落とされるほどチョロイとは、自分でも思わなんだ・・・っ!」
そこで一度言葉を切り、エンリチェッタはデウスをキッと睨み付ける。
「お主の言葉に喜んでいる、そんな自分がいるその事実を、妾はもう否定する術を知らぬ。なれば・・・・なれば、今度は妾から問う。・・・本当に妾を愛してくれるのか?妾を捨てる事は無いか?」
初めての経験に、初めての感情に、やや涙を浮かべるエンリチェッタは、まさしく乙女であった。
「愛すとも。そして捨てる事も無い。捨てる事があるとすれば、それは其方が救いようのない愚物に成り下がった時だ」
「そうか・・・そうか。なら、妾も自分の心に正直に生きるのじゃ。だが、心するのじゃ魔王よ。裏切ればその首、妾が貰い受ける」
エンリチェッタが赤くなりながら、デウスの胸元に擦り寄る。
「くくくっ、その時が来る事は無いであろうからな。余は忘れておくとしよう」
擦り寄って来たエンリチェッタを、デウスは再び優しく抱き締める。デウスの背後からは、私を忘れるなとばかりに、エミリアが首に手を回し背中に胸を押し付けるように抱き付いた。
「良い夜だ。羽ばたくに相応しき時ぞ。エンリチェッタよ、力を与えよう。余に全てを委ねよ」
「何を・・んむぅっっっ!?」
エンリチェッタの言葉は続かなかった。デウスによって、その唇を塞がれていたから。唇で。
(キキキキキキ、キキキス、キス!?・・・っ!!)
「ん・・・ちゅ・・・れぁ・・・はむぅ・・・ちゅむ・・・・」
唇を塞がれたと思ったら、間髪入れずに舌が口の中に侵入してくる。流されるままエンリチェッタは初めての経験に身を固くし、押し寄せる快感に身を任せた。
そして、その行為に慣れてきた頃。それは突然やって来た。
「・・・んんっ!?」
(なんじゃ!?)
舌でも唾液でも無い何かが、口から入って来たのだ。
一瞬動揺するが、甦るのは『委ねよ』という言葉。また、口はデウスの口によって塞がれている。つまり、ソレはデウスから送り込まれているという事になる。これが『力』なのかもしれない。動揺しながらそう理解したエンリチェッタは、拒む事無く其れを受け入れた。
体の内から満たすように広がっていくソレは、デウスとの接吻によって与えられる快感とは違い、安らかな心地良さを与えてくる。
「ん・・・んあぁぁっ!!」
そして、エンリチェッタは絶頂を得ると同時にその安心感に身を任せ、ゆっくりと意識を手放した。
「先の件ですが・・・」
「学院の方は・・・」
「隣国との国境で・・・」
その傍に立ち、報告書を読み上げる少女。
ここはブレイブ王国王城。女王の執務室。ペンを走らせるのは、この部屋の主オリアナレイナ・ミカエル・ブレイブ。先の政変に伴い即位した、ブレイブ王国の新たな女王だ。
傍らに立つのはその側近の一人、ソフィア・ベイリー。大きな本のような聖剣を脇に抱え、話す度に大きな眼鏡を整えている。
二人はその顔に一切の疲れも見せず、大量に積まれた書類の山を片付け、あと少しで終わると言う時に扉が激しく叩かれた。
「お入りなさい」
「・・・失礼します!!」
入って来たのは、淡い色をした髪の女だった。その背には刀身が太めの聖剣が納められている。
「エルダ、どうしました?」
「・・・学院長が謁見を求めています」
絞り出すような声だった。普段の彼女からは、考えられない程弱弱しい声。
「エルダ?どうしたのですか?いつもの貴女らしく・・・・」
(震えている?)
オリアナレイナは気付く。いつも凛々しくあるエルダが、小刻みに震えているのに。
「報告を受けて、まずは確認をと思い学院長に会いに行きました」
エルダは言葉を続ける。オリアナレイナの様子に気付かず、自らの震えに気付かず。
「ですが、遠目での確認で十分でした・・・」
エルダは、無意識に自らを抱き締める。
「学院長は二体の魔族と一緒でした・・・」
「「!?」」
「それも遠目で分かる程の強大な力を持った魔族です・・・」
勇者学院の学院長が、魔族を連れて王都に現れ、謁見を望む。確かに、由々しき事態だ。
(勇者の国・ブレイブ王国の王との謁見を望むなら、それ相応の地位、魔王でなくとも幹部クラスの魔族である事は間違いないでしょう。しかし、≪憤怒≫を討ち取ったエルダがここまで恐れるとは、どういう事なのでしょうか?)
そのオリアナレイナの疑問には、続く言葉が答えた。
「二体の魔族は恐らく主従関係。男の方が主、女の方が配下です。女の方がせっせと男の世話を焼いている様に見えました。・・・・・くぅっ!」
「エルダ!?」
「エルダ様!?」
胸の辺りを鷲掴むようにして、その場に崩れ落ちたエルダに二人が驚き駆け寄る。
「わ、私は先日≪憤怒≫の魔王に相対したから分かります。あ、あの・・・あの女の方は≪憤怒≫に匹敵する力を有しています!」
「「なっ!?」」
二人はエルダの言葉を疑わない。それだけの信頼関係が彼女達の間にはある。だが、信じられない内容に、口が反射的に動く。
「そ、そんな、まさか・・・・」
「・・・そ、そして、男の方は・・・男の方は・・・・」
エルダの体が一瞬大きく震える。
「その女を軽く凌駕する力を・・・・!!」
「「っ!!」」
(な、なんていう事。≪憤怒≫クラスの魔族だけでも、驚愕に値すると言うのに、それを凌駕する魔族!?そんなの・・・・っ!!!)
「ふぅ~~・・・・。エルダ、話を整理します」
「は、はい!」
大きく息を吐いたオリアナレイナの雰囲気が、ガラリと鋭く落ち着いたものに変わる。その姿に、ソフィアとエルダの背筋が伸びる。エルダの心には、既に恐怖は無い。
「現在、勇者学院の学院長・エンリチェッタ・スコラーリが二体の魔族を引き連れ、謁見を要求。一体は女で≪憤怒≫と同等の力。もう一体は男で、それを軽く凌駕する力。魔王同士での主従関係の可能性を省けば、男の方は魔王の可能性あり。ここまで良いですか?」
「は、はい」
「ソフィア、ここで考えるべきは何でしょうか?」
魔王という情報既に小さくなっている。今二人の目の前にあるのは、オリアナレイナ・ミカエル・ブレイブという気高き女王の情報だけだった。
「・・・魔族達が何をしに来たか、という事です。エルダの言う通りの力があるのなら、既に暴れているはず。目的は話し合いだと思われます」
「そうですね・・・・。がしかし、ソフィア、そしてエルダもまずは認識を改めてください」
「「っ!」」
オリアナレイナの周りに金色の聖力が舞い出す。その姿は余りも幻想的で、神秘的で。二人は、オリアナレイナという存在に完全に飲まれていた。
「≪憤怒≫を討ったエルダが感じた脅威。これを過小評価してはいけません。寧ろ過大評価してでも、万全に備えるべきでしょう。例え無駄になろうと、備えあれば患いなしです。これより、二体の魔族は、魔王とその配下と思って行動してください」
「「はっ」」
「さあ、話を詰めますよ。宰相を初めとする識者達を集めてください。緊急会議を始めます」
丸二日。王城の一角の会議室で、学院長が連れて来たという二体の魔族についての会議が開かれた。
その頃、魔王とその配下は何をしていたかと言うと・・・
「もぐ・・・ふむ、これも美味いな」
「んぐ・・・ですね」
人間界の食を堪能していた。
光沢のあるソースが掛かった、良い焼き色の大きな肉の塊。彩り良く盛り付けられた、数種類の野菜。粉を練って作られたような、フワフワしたもの。海の幸を思わせる、多様で奇抜な食材が使われたもの。香りの良い、赤銅色のスープ。
二人の座るテーブルには、これでもかと所狭しに多くの料理が並べられ、台車には空いた皿が塔の如く積み上げられていた。
(これが人間界の食・・・魔界とは天と地だな。魔界でも、いや、≪色欲≫の地でも是非とも広めねば)
デウスは料理に舌鼓を打ちながら、そう決意する。
魔界の料理と言えば、『切る』『焼く』くらいしか工程が無い。元々魔族にとって食事とは、エネルギーを補給する為の行為に過ぎ無い。その為、食というものには無頓着だった。
そんな魔族が人間界の、味覚を最大限に刺激する多種多様な料理を口にすれば、彼らのように虜になるのは必然だ。
「もぐ、二日程、もぐもぐ、待ってくれと言われた時は、流石に余も頭に来たが・・・ごくん。これはこれで良かったかもしれぬ」
「・・・そうか、それは良かったのじゃ」
そして、学院長エンリチェッタはデウスの膝の上にいた。
会議の為の時間稼ぎを城から申し付けられたエンリチェッタは、デウスたちを接待していた。ブレイブ王国の対応に初日は苛立ちを隠さないデウスだったが、エンリチェッタ行きつけの店で料理を口にすると、瞬く間に機嫌が良くなった。
そして、おもむろにエンリチェッタを抱え上げたデウスは、彼女を膝の上に乗せたのである。
(くっ・・・何という屈辱か)
魔王に抱えられ、愛玩動物か何かのような扱いをされるというだけでも、勇者として屈辱的なこの状況。さらに屈辱的なのは、周りからは幼子として見られている事。
余計な騒ぎを起こさないように人間に扮しているデウスとエミリアは、一見夫婦のようにも見える。美男美女の夫婦だ。その父親(?)の膝に抱えられていれば、必然エンリチェッタは二人の子供のように見られる。
顔を青くしているのは、エンリチェッタを知るこの店の馴染みの店員達。
「其方はもう食べぬのか?」
「・・・あまり腹は空いておらぬ」
「そうか?良く足りるな。小柄だからか?」
エンリチェッタは少ししか食べていない。なんて事は無い。しっかりと食べている。必要な時、十全に力を発揮出来るように。
この場合、デウス達の食べる量がおかしいのだ。昨日も朝昼晩、今日も朝昼と、同様に山のような量の食事を摂っている。さらにそれだけでなく、食事の合間での王都散策中にも、屋台の串焼きやら何やらを常に口にしていた。
つまり、この二日デウス達は食道楽に興じていたのである。接待役として、それに付き合わされ金を払わされる、エンリチェッタの心労は察するに余りある。
「もぐもぐもぐ・・・んぐ・・・ごくん。ふぅ~・・・ん、満足だ。エミリア・・・も満足そうだな」
「はい」
「さて、そこな者よ。この店で一番偉いのを呼べ」
「は、はぃぃぃぃ」
当たり前のように下された命令に、殆ど反射的に答えた店員。背筋を伸ばして返事をすると、早足で店の奥に消える。テンパり慌てながらも、埃を立てないように走ったりしない所に、飲食店ならではの教育と、その教育が徹底されているのが窺える。
「・・・何をするつもりじゃ」
これまでとは違うデウスの行動に、エンリチェッタが訝しむ。
「何、ただの礼よ」
「礼じゃと?」
デウスの顔に悪意は見えない。
「お待たせいたしました。私が当店の代表に御座います」
やって来たのは、初老の男。身形は整い、清潔感がある。急な客の呼び出しにも、完璧な対応。男の経験の高さを表している。
ただ、その視線はデウスの膝上の知己たるエンリチェッタとの間を、何度も彷徨っていた。
「うむ。良き品の数々であった」
「ありがとうございます」
「少々はしゃぎ過ぎて、ちと食い過ぎた。料理人達には苦労を掛けたな」
「いえ、彼らも作り甲斐があると、奮起しておりました」
初日に現れた時は、残したら殺す、とそう意気込んでいた料理人達もいた。しかし、全てを綺麗に平らげられ、綺麗になった皿の塔を見せられると、料理人達の心はもう満足感しか残らない。
代表としても、店の料理人達に『料理人としての幸せ』を与えてくれた客に、文句などあるはずも無かった。店としても、感謝しかない。
知己の学院長の事など、問い質したい事はあったが。
「そうかそうか。では、謝罪と感謝の印にこれを送ろう」
「「「っ!?」」」
そう言ってデウスが取りだしたのは、人の頭ほどある水晶。『結界水晶』などに使われる、力の籠った水晶。その原石だった。
「見た所、相当な年季の建物のようだ。修繕個所も見られるしな。これを削って売れば、いっそ建て替える事も可能だろう。余ったら、結界としても使って構わん」
「な・・・な!?」
代表は開いた口が塞がらない様で、意味も無く口をパクパクし、言葉も出ない。
「ん?足りなかったか?」
「そ、そうではありません!このような物を受け取る事など・・・・っ!」
そこで初めて、代表はデウスの瞳をしっかりと見た。
(なんだ!?呑み込まれそうな、引き込まれそうな・・・?だけど、決して嫌なものでは無く、それどころかどこか心地良い・・・)
「この店の料理は、どれも美味であった。食に対する認識が、180度変わるくらいにはな」
「そ、それは当店としても、大変喜ばしいですが・・・。そ、それでもこれは・・・」
「ふっ・・・、こういう時は胸を張って受け取るものだぞ」
「「「っ!!」」」
デウスが微笑む事で溢れ出た色気が、代表の口を閉ざす。
「ではな。改めて大変美味であった。また、いずれ来る事もあろう。その時を楽しみにしている」
立ち上がり、上着を羽織る。そして、二人の美女と美童女を引き連れ、店を後にする。ただそれだけの行動に、代表と客を含め店内の人間は魅了された。
「・・あ・・・ありがとうございました!!またのご来店をお待ちしております!!」
デウス達が店を出て、扉が閉まるその瞬間。代表は咄嗟に我に返り、大声で叫んだのだった。
食事を終えた三人は、宿に戻って来ていた。
この宿の名は『英雄の止まり木』。王都最高級で、王都を訪れた勇者の為の宿である。通常勇者以外お断りなその宿に、デウス達は勇者エンリチェッタの知己として特別に宿泊していた。
その宿の備え付けの浴室にて。
「~~♪~♪~~~♪」
エミリアが鼻歌を歌いながら、目の前に座るデウスの体を洗っていた。
「機嫌が良いな」
「はい。仕事とは言え、こうして二人で行動する事は少ないですから」
「・・・そうだな。すまん」
「いえ。普段愛してもらっているだけでも、私達は幸せですから。ただ、昔のようなこういう時間にも、別の幸せを感じてまして」
その言葉に偽りは無く、エミリアは愛情深い瞳でデウスを見ていた。
「そうか・・・」
デウスが振り向き、エミリアの左腕を掴み抱き寄せる。そして、二人の唇が自然と重なる。
「ん・・・」
「んーっ、んーーっ!!」
そして、デウスの足の間にあった黒い何かが騒ぎ出す。
と言うか、デウスの闇に拘束された、裸のエンリチェッタだった。
「・・・どうした、エンリチェッタ」
エミリアから唇を離し問い掛けるが、答えは返ってこない。
それもその筈、エンリチェッタは闇に手足を拘束され、その上口も塞がれているのだから。拘束されているエンリチェッタは、デウスを憎々し気に睨みつけている。
「・・・むーーっ!!」
「そう、睨むな。悪い事をしている気になる」
見た目童女を裸にひん剥き、己の股の間に座らせ更に拘束する。悪い事そのものである。
「ぷはっ・・・お主一体何のつもりじゃ!?」
口の拘束が解かれると、エンリチェッタがデウスに怒鳴りつける。
「うむ。一緒に風呂でもと思うてな。普通に誘っても断るのであろう?」
「当然じゃ!!」
「となれば、少々手荒な手段を取るしかあるまい」
「どうしてそうなる!?」
全くもってその通りである。完全にストーカー・変質者の言い分だ。
「そろそろ、其方との仲を深めても良いと思うてな」
「っ!妾を拘束して、他の女と接吻するような男と深める仲など無いわ!!」
「何だ?嫉妬か?」
「違う!~~~っ!!?」
手足の拘束が解かれ、距離を取ろうとしたエンリチェッタだったが、動き出す前にデウスに抱き留められ、硬直する。今までと違い、服などの互いを隔てる物が無い、素肌と素肌の接触に、頭が完全にショートしたのだ。
「ふむ。この反応、処女か」
「っ!?」
「人間の雄共は、見る目が無いようだな。それとも、其方の貞操が固いだけか?」
デウスの見透かすような言葉に、エンリチェッタは歯噛みする。悔しさやら、恥ずかしさやらが入り乱れる。
「ふ、ふん、このような幼い身体に興奮する者など・・・・。おったとしても、歪んだ性癖の変態だけじゃ」
「では、余は変態であるようだな」
「≪色欲≫の魔王が何を今さ・・・ん?何じゃこれは・・・??っ!!・・・・んなぁ!?」
(ま、まさか・・・!)
ナチュラルにデウスを変態にしたエンリチェッタが、言葉の途中で何かに気付いたように奇声を上げる。
「ん?どうした?」
「お、おぬ、おぬ・・・!こ、固、これ・・・!―――っ!!!」
それは言葉にならない言葉。声にならない声だった。
「・・・ああ、すまぬな。其方が魅力的過ぎて、反応してしまった」
己を抱え、密着するデウスの体の一部が不自然に固い。その固く熱い感触が、腰の下辺り、お尻の上辺りに感じる。
(こ、この男・・・本当に!?)
エンリチェッタも話では聞いた事があった。男は性的興奮を覚えると、体の、下半身の一部が固く熱を持つようになると。話では聞いた事あったが、まさか見るより先に、触れてしまうとは。
しかし、生娘であるエンリチェッタには刺激が強く、興味よりも羞恥よりも先に、恐怖が来る。
「や、止め・・っ!離、離れるのじゃ・・・っ!」
今までで一番の抵抗を見せるエンリチェッタ。手足を大きく振るい、暴れる。しかし、デウスは容易くそれを抑え、さらに強く抱き締める。
「・・・落ち着け」
「っ!!?」
落ち着ける訳が無い。その筈だった。
しかし、デウスの言葉に落ち着いていく自分がいる。恐怖が薄らいでいく。
「落ち着け。余は何もせぬ。無理やり事に及ぶのは、外道のやる事であるからな」
「≪色欲≫の言葉など、信じられるか・・・!」
「ふむ、確かに。・・・では、逆に考えてみよ。余は≪色欲≫であるが故に、ヤろうと思えば何時でもヤれる。それをしないのは、理由があるからだと」
「理由じゃと?」
落ち着きを見せ始めたエンリチェッタは、デウスとの問答に引き込まれ始める。
「うむ。余は知ってしまったのだ。愛を以って行う、その行為の気持ち良さを。故に、余は愛無くして、事に及ばん。愛し愛されねば、虚しいだけよ。一時の快楽を求めるのは、敗者だけである」
「では、何故固くしておる!?」
デウスの目は至って真剣だ。その言葉に嘘は無いのかもしれない。しかし、デウスの体はそうは言っていなかった。エンリチェッタは、それを直に感じていた。
「くくく、これは許せ。其方が魅力的なのも悪い」
「・・・魅力的じゃと!?おちょくるのもいい加減にするのじゃ!!」
怒声と共に、エンリチェッタの体から大量の聖力が溢れ出す。デウスはやや眩しそうに、そしてほんの僅かに、方眉が数ミリ上がる程度に、辛そうに顔を顰める。
「そんなつもりなど無いが・・・」
「この体は天使様との契約により、時間を奪われ、そして時間を与えられた!それから百年近く、幼い体のままじゃ!老いる事も無ければ、成長する事も無い。このようなちんちくりんな体の何処に魅力がある!!?」
エンリチェッタ魂の叫びだった。
「全てに。余が保証しよう。其方は魅力的だ」
「っ!?」
余りにも自然に、そして力強く断言するデウスに、エンリチェッタの勢いが削がれる。
「確かに見た目は幼い。子供のようだ。しかし、それもまた其方の魅力の一つである。そして何より、聖剣を通じての天使との契約。それが出来るのは、勇者でも一握り。気高き志を持つ者のみ」
「・・・・」
「何かあるのだろう?天使を納得させるだけの、気高き志が」
エンリチェッタの脳裏を過るのは、幼き頃の記憶。
赤く、熱い世界。あちこちから聞こえる悲鳴。炎に身を包み、黒焦げていく人々。父だった物が、母だった物が、優しかった近所のお兄さんだった物が、断末魔の叫びと共に、その命を散らしていく。
そして、その世界の中心に佇む者が一人。大きく異形の片腕を携える、一角の魔族。
そいつの薄笑いを浮かべた顔がこちらを向き、燃えるように赤い目に射抜かれる。
「っ!!」
「使命か、大志か、それとも復讐か」
デウスの瞳が、エンリチェッタを射抜く。炎の魔族とは違う、黒い瞳。引き込まれそうになり、囚われそうになるその瞳に、エンリチェッタは魅了される。
「・・・復讐じゃ」
そして、思わず答えていた。
「くくくっ、良いではないか。復讐に囚われている訳でも、復讐に我を忘れている訳でも無い。暴走していない時点で、それは重畳。アイツも気に入る訳だ」
「?」
「陛下」
デウスの言葉にエンリチェッタが首を傾げ、エミリアが咎める。
「くく、くくく、済まぬ済まぬ。して、エンリチェッタよ、心して聞け。其方は魅力的である。復讐心とは言え、その気高き志は真っ直ぐである。故に余は、其方に魅力を感じておる。そして、同時に愛おしくも感じておる。余は其方が欲しい」
「!!?」
その言葉を行動で証明するかのように、デウスによる抱擁が強くなる。しかし、そこに苦しさは無く、寧ろ優しく包まれているかのようで、とても心地良い。
エンリチェッタは動揺していた。状況に身を強張らせてはいたが、その内心は激しく躍っていた。
(妾が魅力的?愛おしい?こやつ、本気で・・・!?)
これほどまでに、男に求められた事など過去にあったかどうか。相手が魔王である事など十分に理解しているが、それでも男に女として求められているという状況に、エンリチェッタの心は躍っていた。
だが、それでもやはり、相手は魔王で自分は勇者なのである。
「・・・妾は勇者じゃ。魔王に身を、心を捧げる未来など来ぬ」
「ふむ。それではまるで、魔王でなければ良いと、そう聞こえるな」
「・・・っ!」
その通りであった。
エンリチェッタのこれまでの人生で、欲望を向けてくる者はあれど、愛を向けてくる者など殆どいなかった。仕事で会う貴族などは下卑た欲を向けてくるし、愛の告白をしてくるのも歪んだ性癖の持ち主か、子供ばかりであった。
その点、デウスから向けられる愛欲は心地の良いものだった。
≪色欲≫の魔王でありながら、欲望のまま事に及ぶ事も無い。力づくで犯す事など、容易であろうに。そして、デウスの愛はエンリチェッタの全てに向けられている。未成熟な体だけでなく、その心の在り様にも。
下手な人間なんかよりも紳士的で、デウスが魔王でなければ、エンリチェッタはその愛を受け入れていた。例え他に女がいると分かっていても。目の前で、エミリアとキスをされても。昨晩盗み見た光景から、二人が男女の仲だと分かっていても。自分を女として愛してくれるのなら、エンリチェッタにとってそんなものは細事であった。
「魔王で無くとも、魔族である以上それはないのじゃ。しかし、お主の言葉が嬉しかったのも事実。今宵の事は夢として、記憶の片隅にでもひゃあぁぁんっ!!?」
言葉の途中で、エンリチェッタが奇声を上げる。デウスが、エンリチェッタの耳を噛んでいた。
「そう結論を急ぐでない」
「んんっ、やめっ・・・あぁっ!ひゃぁ・・・こ、この・・・!お、おぬ・・・んあぁっ!」
デウスは耳を甘噛みしたまま、エンリチェッタの体に手を這わせる。それは、学院で何やら確認していた時のようなものでは無く、完全に女を感じさせる為の愛撫だった。襲ってくる快感の大きさが違う。
≪色欲≫の魔王による愛撫は、触れるだけで快感を与える。胸や股などの性感帯に触れるとなれば、更に大きい快感に襲われる事になるだろう。そう、今のエンリチェッタのように。
「其方に良い事を教えてやろう。余は確かに魔王だが、天使とは敵対しておらん」
腕を触られるだけで小さな快感に襲われる。そんなデウスの手が、胸の突起や股の突起に触れるたびに、達してしまいそうになるほどの大きな快感が襲う。
大小の快感の波が、エンリチェッタを狂わせる。
「あっ・・・ん、いぁっ!!・・・ふっ・・・・・んあっ!」
(ダメじゃ・・・これ以上はおかしくなる。これ以上は・・・耐えられぬ・・・っ!)
時折だが、一人で慰める夜もあった。しかし、デウスによって与えられる快感はエンリチェッタにとっては未知の物。思考が儘らなくなる。最早、デウスの話も殆ど聞こえていない。
「つまり、天使は余を敵とは認識せぬという事だ」
「あ・・・・?」
デウスの愛撫から解放されたエンリチェッタが、呆けた顔で、しかしどこか物足りなさそうな顔でデウスを見る。
(終わった・・・?・・・・しかし、これでは・・・)
必死に耐えたおかげで、魔王の手で達さずには済んだ。しかし、ギリギリまで与えられた快感が、行き場を求める様にエンリチェッタの体中を蠢く。所謂、生殺しの状態であった。
「故に、今一度宣言しよう。余の目的は、勇者を育てる事。余は勇者の味方である、と」
「何故じゃ・・・?何故、魔王が・・・?」
惚けた頭で、辛うじて聞こえてきたデウスの言葉を理解し、反射のように言葉を紡ぐ。
「その事は明日にでも話をしようぞ」
(明日じゃと・・・?)
デウスがエンリチェッタを抱え上げ、向かい合うようにして膝の先に座らせる。改めて正面から裸を見られる事に、抵抗と羞恥を感じるエンリチェッタだったが、己の瞳へと向けられるデウスの視線の鋭さに、それら一切が吹き飛ぶ。
「故に、今一度問おう、エンリチェッタよ。力を欲するか?」
「っ!」
欲しい。欲しくない筈がない。
「望むなら、余が力を与えよう。いや、『与える』は相応しくないな。其方の内で眠る、聖剣の力を引き出してやる」
「なっ、そんな事が・・・!?よしんば出来たとして、何故魔族に、お主にそんな事がっ!?」
何故、何故、何故?先程から、デウスの言葉には疑問ばかりが溢れる。
「くくく、それも明日、な」
「・・・・!」
デウスから悪意は感じない。それどころか、こちらを見る魔王の黒き瞳には、温かさを感じる。
(何故、魔王がこのような瞳をする!?何から何まで、聞いていた話と、伝えられてきた話と違うのじゃ。こやつ、本当に魔王か?)
「余は其方が愛おしい。故に、其方の真の聖剣の輝きが見たい」
「真の・・・?」
「うむ。そして、誓おう。余は其方の全てを、勇者として女としての其方の全てを愛すると」
「――っ!」
言っている事の中には意味が分からない事もある。しかし、最後の告白は綺麗にエンリチェッタの胸に刺さった。
「力を望むなら、復讐を望むなら、余の手を取れエンリチェッタ・スコラーリ!さすれば力を、機会を与えん!そして、其方の全てを余の全てを持って、愛そうぞ!」
「あ・・・っ!」
デウスの言葉に、エンリチェッタは身を震わせた。
デウスは、ちんちくりんの姿でも愛すと言う。魔王は、敵のはずの勇者も愛すと言う。心から震える。
「どうだ、エンリチェッタ。余は本気であるぞ」
「妾の全て・・・・。勇者としても、女としても愛すると・・・?それも、本気じゃと・・・?」
「・・・・」
最早デウスは、言葉はいらないとばかりにエンリチェッタの返事を待つ。既に語り尽くした。
「・・・・」
「・・・・」
暫くの静寂の後、エンリチェッタの手がゆっくりデウスの方へ差し出される。
「・・・お主の事など、突っぱねるのが正解なのじゃろうな。しかし、妾はもう駄目じゃ。心の奥底に仕舞っておいたはずの『女』を、猛烈に意識させられてしまった。たった二日で落とされるほどチョロイとは、自分でも思わなんだ・・・っ!」
そこで一度言葉を切り、エンリチェッタはデウスをキッと睨み付ける。
「お主の言葉に喜んでいる、そんな自分がいるその事実を、妾はもう否定する術を知らぬ。なれば・・・・なれば、今度は妾から問う。・・・本当に妾を愛してくれるのか?妾を捨てる事は無いか?」
初めての経験に、初めての感情に、やや涙を浮かべるエンリチェッタは、まさしく乙女であった。
「愛すとも。そして捨てる事も無い。捨てる事があるとすれば、それは其方が救いようのない愚物に成り下がった時だ」
「そうか・・・そうか。なら、妾も自分の心に正直に生きるのじゃ。だが、心するのじゃ魔王よ。裏切ればその首、妾が貰い受ける」
エンリチェッタが赤くなりながら、デウスの胸元に擦り寄る。
「くくくっ、その時が来る事は無いであろうからな。余は忘れておくとしよう」
擦り寄って来たエンリチェッタを、デウスは再び優しく抱き締める。デウスの背後からは、私を忘れるなとばかりに、エミリアが首に手を回し背中に胸を押し付けるように抱き付いた。
「良い夜だ。羽ばたくに相応しき時ぞ。エンリチェッタよ、力を与えよう。余に全てを委ねよ」
「何を・・んむぅっっっ!?」
エンリチェッタの言葉は続かなかった。デウスによって、その唇を塞がれていたから。唇で。
(キキキキキキ、キキキス、キス!?・・・っ!!)
「ん・・・ちゅ・・・れぁ・・・はむぅ・・・ちゅむ・・・・」
唇を塞がれたと思ったら、間髪入れずに舌が口の中に侵入してくる。流されるままエンリチェッタは初めての経験に身を固くし、押し寄せる快感に身を任せた。
そして、その行為に慣れてきた頃。それは突然やって来た。
「・・・んんっ!?」
(なんじゃ!?)
舌でも唾液でも無い何かが、口から入って来たのだ。
一瞬動揺するが、甦るのは『委ねよ』という言葉。また、口はデウスの口によって塞がれている。つまり、ソレはデウスから送り込まれているという事になる。これが『力』なのかもしれない。動揺しながらそう理解したエンリチェッタは、拒む事無く其れを受け入れた。
体の内から満たすように広がっていくソレは、デウスとの接吻によって与えられる快感とは違い、安らかな心地良さを与えてくる。
「ん・・・んあぁぁっ!!」
そして、エンリチェッタは絶頂を得ると同時にその安心感に身を任せ、ゆっくりと意識を手放した。
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レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
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カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
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