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第19話 D3の設置

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 ボス出現条件はやはりキーストーンだろうな。

 中央部分で鑑定をする。

 ランダム出現するキーストーン3個を、祭壇に正確に設置が条件のようだ。


 3時間近くをかけ、無事に三個を集めた。
 いよいよダンジョンマスターだ。

 まぁLV30のマスターだから、LV37まで上がっている俺には問題無く倒せた。
 そして、ダンジョン外へ強制転移。

 ダンジョン内にいたDITメンバーも、同時に強制転移させられて外に全員揃っていた。
 颯太が声を掛けて来た。

「いきなり、転移させられてかなり焦ったぞ。無事に討伐出来たみたいだな」

 その時脳裏にいつもの声が、
「D3ダンジョンが討伐されました。報酬をお受け取り下さい」

「島さん、戻ってから悪く無い相談がある」
 と、伝えて再びチヌークに乗り込み豊橋に戻った。



 ◇◆◇◆ 



8月29日(THU)20時


「理、今日はお疲れさん。いつもより高いビール買って来たぞ、これしか報酬は出せないけどな」

「まぁダンジョン討伐は好きでやってるからそれはいい。取引でちゃんと儲けさせて貰うしな」

 今日は、上田さんと相川さんが来ていた。
 男ばかりだから、肴は缶詰と乾き物だ。

 TVでは、道頓堀の事が大きく報じられている。
 DITの活躍によりダンジョンは消滅したと言う内容だが、こういう報道は【大衆の意思】の操作になるんだろうな。

 流石にマスコミも馬鹿では無いので、木曜日の11時11分と言う渋谷との共通点が、話題になっていた。

「これってさ公式に毎週木曜日とか、発表したりするの?」

「公式発表は、来週のD4が現れてからになるな」

「今日思ったのはさ、ダンジョン内で通話する手段が欲しいって事と、ボスフロアの下の階層までは出来ればDITのメンバーで対応して欲しい事くらいかな。来週までにLV30を目指して欲しいな」

「随分要求の難易度が高いですね」と、上田さんが言ったが、

「そうかな? でもそれくらいのペースじゃ無いと敵が強くなって行く速度に置いていかれちゃいますよ」
 と、返事をした。

「今週は実質4日でみんなLV13位まで上がって居るから、無茶なペースでは無いのかも知れないですよね」と、相川さんはやれるとの判断だ。

「今理以外だと一番LVが高いのが、鹿内だと言う事実があるから、まだまだ余裕はあるはずだしな」

「鹿内さんって凄い楽しそうに狩するよな」

「あの人は、目標がはっきりしてるから、モチベーションが違うんだろうね」

「若さと美貌の為にですか」

「理由は別として、頑張ってるのは事実だからな」


 鹿内さんの話で盛り上がっていると、達也が突然に「話は変わるが、この間の話の続きじゃないけど、俺も具体的にやりたい事が見えてきたぞ」

「何をやりたいんだ?」

「俺はなギルマスやるわ」

「また突拍子も無いな。何でギルマスなんだ?」

「後2年後には、ダンジョン関連だけで日本のGDPは2倍くらいに膨れ上がるぞ。この先どんどんダンジョンが増えていったら一般開放の声なんか抑えられる筈も無い。その時にダンジョンを纏める一般者向けの組織は必ず必要だ」

「そう言われてみたらそうだな」

「ダンジョン冒険者を取り締まる専門の組織も必要になる。ダンジョンで鍛え上げた人間じゃないと勤まらないからな。そこの頭は上田さんにやってもらいたい」

「了解しました。さっそく組織の構築を念頭に置いて必要な人、物品、予算等を挙げておきます」

 達也のギルド組織案に触発されて、颯太も今思い付いている事を口にした。

「俺のほうも勿論DITを発展させていく事は絶対だが仕事が多すぎる。今の第一期のDITメンバーをそれぞれ組織の頭に据えて、分業していかないと俺が強くなる時間が取れないからな。その為にまず実働部隊の責任者を決めたい。相川さん頼む」

 防衛省出身のキャリア官僚である相川さんに実働部隊の隊長を任すようだ。

「私もその職務は狙ってました。世界最強部隊の指揮官なんて、これ以上の仕事は私には存在しません」

「ビール飲みながら、ものすげぇ大事な話してないか? 相川さんも上田さんも凄い適任だとは確かに思うが」


 達也がちょっと酔いが回ったのか突拍子もない提案をしてきた。
「でだ理、よく小説であるだろ、ギルドランクカードみたいなの。あれ作りたいんだがいい案はないか?」

 ちょっと考えてみたが、魔道具師もJOBがあるし、魔道具で作れるんじゃないかな? と思い、
「すぐに答えは出ないが、魔道具で作れるかもしれないな、調べてみるよ」と、返事をしておいた。



 ◇◆◇◆ 



『ナビちゃんちょっといいかな?』
『いかがなさいましたか理様』

『魔道具ってどうやって作るの?』
『素晴らしい質問でございます理様』

『魔道具はD4以降、レシピのスクロールがドロップする様になります。もしくは魔道具を作成出来るJOBの獲得、スキルの獲得の3通りでございます』

 スキルで作るのが一番性能良さそうだな。

『ナビちゃんもう一ついいかな?』
『いかがなさいましたか理様』

『前にダンジョンの設定でさ、スタンピードありで設定したら、もう一回討伐できて報酬も貰えるって話し合ったじゃん。それって何度も出来るの?』
『可能ですが討伐されるたびに、マスターのLVが10ずつ上がってしまいます。再設置は一度きりですので、最初に設置した場所からは、動かせません』

『そうか実質再挑戦は、一回に留めないと危ないかな』


 ◇◆◇◆ 


「颯太、何かある度に全部俺に聞かれても困るからさ、1つダンジョンマスターになっちまえよ。コアと話せるから大体解るようになるぜ」

「できるのか? ぜひ頼む」

「一応ちょっと本人に聞いてみるわ」


 ◇◆◇◆ 


「D3コアちゃんいるかい?」
「私と話す前に、私を捨てる話をするなんて酷いお方なのじゃ」

『のじゃ』キャラなのか……

「聞こえてたならちょうどいいや。他の人間がリーダーのPTでクリアしたらそのPTリーダーにダンジョンの所有権が移るで、あってる?」

「その通りなのじゃ」

「そのPTには俺がいても大丈夫?」

「それでもいいのじゃ」

「おk」


 ◇◆◇◆ 


「颯太、明日朝からもう一回【D3】クリアするぞ。これで颯太もダンジョンマスターだ。スキルも1個手に入るから楽しみにしとけ。値段は10億でいいぞ貸しにしといてやる」

「そいつは凄いな、10億か、それだけの価値はありそうだな」

 その会話に達也も食いついてきた。

「俺にもくれよ」

「一回しか無理っぽいから、達也は来週のD4討伐してからだ」


 ◇◆◇◆ 


8月30日(FRI)9時

「D3の場所はどこにする? うちの庭だと朝から騒がしすぎて、俺が困るからちょっと違う場所がいいんだが」

「設置場所の青写真は出来てる。今後最大155箇所の入口を管理しやすいように、効率的に並べた配置を、澤田さんと藤崎さんが作ってくれてるぞ」

「計画によると、理の家もそのうち壊さなきゃならないが、替りのでかい家建ててやるから、許せ。そのかわり他のお年寄りたちの家は、住んでる所に関しては、一軒も立ち退きしなくていい様にした」

「庭にダンジョンじゃしょうがないか。新しい家は当然プールあるんだろうな?」と聞いてみたら、

「プールがいいなら、移転が済んだらこの小学校やろうか?」って返して来やがった。
 築五十年を過ぎた小学校なんかいらねぇぞ。

 そのやり取りを見てた藤崎さんが、痺れを切らして、
「そろそろよろしいですか。D3の入口はここに設置をお願いします」と言って来たので、さっさと設置を済ませる事にする。

【ゲートオープン】

 D3ダンジョンの入口が作成されました。
 マスターによるダンジョン設定を行ってください。

スタンピード   ON OFF
モンスター出現数 0~300
出現間隔     30秒から3600秒

迷路難易度    LV1~LV5
同士討ち     ON OFF 
探索許可     許可制 FREE

新しい機能は迷路難易度か、今はいじらなくてもいいかな。
どうせ颯太がやり直すし。

湧きのスピードが【D2】の倍まで上げられるのはポイント高いな。

今日は、メンバー的に6人で潜るから、60秒湧きでいいかな。
フロアで割ると3分湧きだし、ちょうどいいはず

スタンピード   ON
モンスター出現数 300
出現間隔     60秒

迷路難易度    LV1
同士討ち     OFF 
探索許可     許可制

「さていくか」

 颯太、達也、鹿内、上田、東雲のメンバーで潜る。

 まっすぐ階段を目指し、モンスターはTBが瞬殺して行く。

 2層の階段は普通に出てた。

 3層を目指して進む。
 ここからはみんなにも戦ってもらう。

 鹿内 LV18 黒魔術師と白魔術師

 東雲 LV16 10ポイント職の剣豪を取っていて更に動きに切れが増している。
    剣士、剣豪、修復師

 颯太 LV15 剣士と黒魔術師を取っており、後は軍師と勇者まで貯めるらしい。

 達也 LV15 武道家とシーフ敏捷と身体強化でガンガンいける感じだな。

 上田 LV15 槍術士と騎士を取っていた。

 順番に、出てきた敵を倒しながら階段に向かっていく。
 2層も問題は無いな。

 3層に到着し今一番LVが高いのは、鹿内さんでLV19に上がっていた。
 対して3層は一番弱い敵でもLV21、無理をする必要は無いので、俺とTBで狩りつつ、一匹だけで沸いた敵は2人以上で対峙してもらって倒す。
 人間離れした能力になってるこのメンバーでも、楽勝ではない感じだ。
 中央部に到着すると、すでにマスターは居た。

 昨日と違い俺よりもLVが高くなってる。

【鑑定】

D3マスター LV40

HP800+600
MP800+600

攻撃力 80+60
守備力 80+60
敏捷性 80+57
精神力 80+60
知力  80+60
運   80+60

装備

武器 マスターソードLV3  重量1 攻撃+60  精神+60

防具 マスターアーマーLV3 重量1 防御+60  知力+60
   マスターブーツ LV3 重量1 敏捷+60
   マスターリング LV3     運 +60

対して俺は身体強化を掛けた状態で

岩崎理 LV38 ♂ 1978/11/21

JOB 
【剣士】  LV17 
【シーフ】 LV17 
【黒魔術師】LV17
【鍛冶師】 LV10 
【薬師】  LV9

ポイント65

HP 430
MP 820

攻撃力  102+300
守備力  43+300
敏捷性  72+300
精神力  67
知力   43
運    144

所持スキル 

【アイテムボックス】LV4 
【鑑定】LV5 
【転移】LV5 
【エスケープ】LV2 

【身体強化】LV5 
【回復】LV6 
【錬金】LV4 
【生活魔法】LV5 

【メイク】LV2 
【テイム】LV1

武器 【直刀R】      攻撃力 50 重量10
   【極彩棍棒R】    攻撃力100 重量100
   【麻痺匕首HQ】   攻撃力 30 重量3  麻痺の効果

防具 【魔鋼の小手HQ】  守備力5   重量3
   【魔鋼の胸当てHQ】 守備力7   重量5
   【魔鋼の鉢金HQ】  守備力2   重量1
   【魔鋼の具足HQ】  守備力3   重量2
   【雷光の靴R】    守備力3   重量2 雷蹴

 よし、これなら勝てるな。

 装備がそろそろ、LVに見合わなくなってきてるし、帰ったら頑張って作ろう。

 魔法を使えるメンバーには離れたところから、魔法攻撃で牽制してもらいながらTBに撹乱してもらう。

 そして、棍棒の、雷纏落しから一気の攻撃で無事に倒せた。
 外に転移させられるのかと思ってたけど、消滅しないから、転移も起こらなかった。

 みんなに集まってもらい、身体に触れてもらった状態で【エスケープ】を使い外に出た。

 島の脳裏に声が響く

「D3ダンジョンが討伐されました。報酬をお受け取り下さい」

「声が聞こえた。これで俺がマスターになったのか?」
 
「そうなのじゃ、これからよろしくなのじゃ」

「無事に出来たようだな。後はコアと話してダンジョンの設定やスキルの話でも聞いてくれ。ダンジョンの設定スタンピードは絶対OFFにしてくれよ。次はLV差で攻撃が通りにくくなりそうだから。今の俺じゃ厳しいかもしれない」
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