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第29話 エルフの里へ到着
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北へと向かう道を、俺達は結構ワイワイと話しながら歩いていた。
「チュール。一つ聞いていいか?」
「なに?」
「別にチュールじゃ無くても良いんだけど…… さっき子供が出来るとか出来ないとかの話があっただろ? それって亜人は人との間に子供が出来ないって事なのかな?」
「ん? 違うよそれはエルフだけ。私はちゃんとカインの子供産めるから安心して!」
「何も安心できんけど、そうなんだ。じゃぁさエルフがオッドアイで生まれる確率ってどれくらいなの?」
「それは、解っておりませんが、同時代に二人以上のオッドアイのエルフが確認されたことは無かった筈です」
「じゃぁナディアってもしかして凄い貴重なエルフだったの? なんで、それなのに捕まる様な事になったんだ?」
「それは…… 里を守る為です」
「里を守る? ナディアを里の外に出す事がか?」
「私の存在がこの王国の貴族に漏れたのが始まりです」
「何で漏れたんだ?」
「それは、行商の者からかもしれません。エルフと言えども外との繋がりを全く断っているわけではありませんから」
「二月ほど前に、この国の貴族を名乗る者が多くの傭兵を率いて里を取り囲みました。結界が貼ってあるので村落に入る事は出来ないのですが、森を丸ごと焼かれれば結界でも防ぎきれないので」
「そいつらは、ナディアを差し出せと?」
「はい、その時、村の長老様がひそかに私を村落の外に脱出させて、ハイエルフの元に謁見の旅に出ていると、伝えたのです」
「それでその貴族たちは諦めたのか?」
「いえ…… 諦めませんでした」
「だろうな……」
「だから、私はそんな非道を働く貴族だけは許せなくて、過去にエルフとの縁があったイシュルブルグ伯爵家に助けを求めたのです」
「その代償が、ナディアがオークションに掛けられたって言う事なのか?」
「はい……」
「村を襲おうとした貴族家はどうなったんだ?」
「それは、イシュルブルグ家が王国に訴え出て排除され、改易を受けたそうです」
「俺は政治はさっぱりなんだが、亜人奴隷を認めている王国は必ずしもエルフの敵では無いと言うのか?」
「私もよくは解りませんがハイエルフ様や長老会のメンバーしか解らない何かがあるんだと思います」
「イシュルブルグ伯爵家も俺から見たら、亜人の拉致や誘拐を認めるとんでもない貴族にしか思えないのだが……」
「それは、奴隷商も色々あってイシュルブルグ領ではあくまでも王国の法律の中で動いてるので、同じ奴隷でも扱いが全然他の国や領地の奴隷商よりは恵まれているんです」
「そうか…… でも俺は奴隷制度自体を許す事が出来ない。そんな制度が無い世界を目指したいな」
「はい。そうですね」
「カインお兄ちゃんってそんな事考える人だったんだね」
「なんでだ? フィル」
「だってクランに居た時は、ギースやミルキーの我儘に振り回されて、どう考えても不当な扱いされてたのに、文句も言わずにパーティとクランの為に一生懸命だったじゃん」
「ああ、俺はあの頃は俺の作った物を美味いって言いながら食べてくれる人が居たら、それだけで幸せだったし、何よりもフィルが幸せそうな顔で食べてくれるのを見るのが生き甲斐だったからな」
「ちょっ。カインお兄ちゃん。いきなりデレ無いでよ。心の準備が出来て無かったじゃない……」
そう言ったフィルの顔が真っ赤になってた。
「でもさ、クランをクビにされたら、それまで見えなかった部分が色々見えて来て、チュールとも出会って、この子たちが笑顔で過せる世界がいいな! って思うようになったってだけだよ」
「カイン。かっこいい」
「そうか? ナハハッ。まぁそう難しくは考えて無いけど、出来る事は精一杯頑張るよ」
それから更に5日の旅を続け、漸くナディアの故郷であるエルフの森へと辿り着いた。
エルフ集落の中へは俺達は入れないが、ケラは精霊だから入れるのでナディアに付き添いで行ってもらう事にした。
戻って来た時にケラなら俺達を匂いですぐ見つけれるしね
「カイン様。それでは長老の元へと行って参ります」
「ああ。ナディア頼んだぞ。もし解読が無理だったら、それはしょうがないから気にするな」
「はい。でもその場合は、ハイエルフ様たちが住む世界樹への道のりを聞いてまいります」
「世界樹の場所って、ナディアは知らないの?」
「世界樹は、ハイエルフの集落と共に移動するんです」
「どうやって?」
「それは、世界樹があるのは島なんですけど。島がそのまま移動するんです」
「海を?」
「陸の上にも移動します」
「島が?」
「はい」
「その場所はどうやって知るの?」
「各エルフの里の長老が特殊な羅針盤を持ってます。それで世界樹の方向を指し示すのです」
「凄いな」
世界樹の島が、どんな仕組みになってるのか激しく見たいと思ったが、取り敢えずはここで話してても状況が進まないので、ケラの背中に乗ったナディアをエルフの里へと送り出した。
目の前で結界を超えたのであろうけど、いきなり消えたように見えた。
ここで何日かは野宿だな。
「フィル。チュール。ナディアとケラが戻って来るまでここで野宿だけどいいか?」
「勿論! カインお兄ちゃんのご飯楽しみにしてるよ」
「おう。任せとけ! じゃぁ三人で食材集めるぞ」
「「うん」」
「チュール。一つ聞いていいか?」
「なに?」
「別にチュールじゃ無くても良いんだけど…… さっき子供が出来るとか出来ないとかの話があっただろ? それって亜人は人との間に子供が出来ないって事なのかな?」
「ん? 違うよそれはエルフだけ。私はちゃんとカインの子供産めるから安心して!」
「何も安心できんけど、そうなんだ。じゃぁさエルフがオッドアイで生まれる確率ってどれくらいなの?」
「それは、解っておりませんが、同時代に二人以上のオッドアイのエルフが確認されたことは無かった筈です」
「じゃぁナディアってもしかして凄い貴重なエルフだったの? なんで、それなのに捕まる様な事になったんだ?」
「それは…… 里を守る為です」
「里を守る? ナディアを里の外に出す事がか?」
「私の存在がこの王国の貴族に漏れたのが始まりです」
「何で漏れたんだ?」
「それは、行商の者からかもしれません。エルフと言えども外との繋がりを全く断っているわけではありませんから」
「二月ほど前に、この国の貴族を名乗る者が多くの傭兵を率いて里を取り囲みました。結界が貼ってあるので村落に入る事は出来ないのですが、森を丸ごと焼かれれば結界でも防ぎきれないので」
「そいつらは、ナディアを差し出せと?」
「はい、その時、村の長老様がひそかに私を村落の外に脱出させて、ハイエルフの元に謁見の旅に出ていると、伝えたのです」
「それでその貴族たちは諦めたのか?」
「いえ…… 諦めませんでした」
「だろうな……」
「だから、私はそんな非道を働く貴族だけは許せなくて、過去にエルフとの縁があったイシュルブルグ伯爵家に助けを求めたのです」
「その代償が、ナディアがオークションに掛けられたって言う事なのか?」
「はい……」
「村を襲おうとした貴族家はどうなったんだ?」
「それは、イシュルブルグ家が王国に訴え出て排除され、改易を受けたそうです」
「俺は政治はさっぱりなんだが、亜人奴隷を認めている王国は必ずしもエルフの敵では無いと言うのか?」
「私もよくは解りませんがハイエルフ様や長老会のメンバーしか解らない何かがあるんだと思います」
「イシュルブルグ伯爵家も俺から見たら、亜人の拉致や誘拐を認めるとんでもない貴族にしか思えないのだが……」
「それは、奴隷商も色々あってイシュルブルグ領ではあくまでも王国の法律の中で動いてるので、同じ奴隷でも扱いが全然他の国や領地の奴隷商よりは恵まれているんです」
「そうか…… でも俺は奴隷制度自体を許す事が出来ない。そんな制度が無い世界を目指したいな」
「はい。そうですね」
「カインお兄ちゃんってそんな事考える人だったんだね」
「なんでだ? フィル」
「だってクランに居た時は、ギースやミルキーの我儘に振り回されて、どう考えても不当な扱いされてたのに、文句も言わずにパーティとクランの為に一生懸命だったじゃん」
「ああ、俺はあの頃は俺の作った物を美味いって言いながら食べてくれる人が居たら、それだけで幸せだったし、何よりもフィルが幸せそうな顔で食べてくれるのを見るのが生き甲斐だったからな」
「ちょっ。カインお兄ちゃん。いきなりデレ無いでよ。心の準備が出来て無かったじゃない……」
そう言ったフィルの顔が真っ赤になってた。
「でもさ、クランをクビにされたら、それまで見えなかった部分が色々見えて来て、チュールとも出会って、この子たちが笑顔で過せる世界がいいな! って思うようになったってだけだよ」
「カイン。かっこいい」
「そうか? ナハハッ。まぁそう難しくは考えて無いけど、出来る事は精一杯頑張るよ」
それから更に5日の旅を続け、漸くナディアの故郷であるエルフの森へと辿り着いた。
エルフ集落の中へは俺達は入れないが、ケラは精霊だから入れるのでナディアに付き添いで行ってもらう事にした。
戻って来た時にケラなら俺達を匂いですぐ見つけれるしね
「カイン様。それでは長老の元へと行って参ります」
「ああ。ナディア頼んだぞ。もし解読が無理だったら、それはしょうがないから気にするな」
「はい。でもその場合は、ハイエルフ様たちが住む世界樹への道のりを聞いてまいります」
「世界樹の場所って、ナディアは知らないの?」
「世界樹は、ハイエルフの集落と共に移動するんです」
「どうやって?」
「それは、世界樹があるのは島なんですけど。島がそのまま移動するんです」
「海を?」
「陸の上にも移動します」
「島が?」
「はい」
「その場所はどうやって知るの?」
「各エルフの里の長老が特殊な羅針盤を持ってます。それで世界樹の方向を指し示すのです」
「凄いな」
世界樹の島が、どんな仕組みになってるのか激しく見たいと思ったが、取り敢えずはここで話してても状況が進まないので、ケラの背中に乗ったナディアをエルフの里へと送り出した。
目の前で結界を超えたのであろうけど、いきなり消えたように見えた。
ここで何日かは野宿だな。
「フィル。チュール。ナディアとケラが戻って来るまでここで野宿だけどいいか?」
「勿論! カインお兄ちゃんのご飯楽しみにしてるよ」
「おう。任せとけ! じゃぁ三人で食材集めるぞ」
「「うん」」
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