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第71話 馬車って揺れる物?
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「みんな、外を見て見ろよ」
上空から見る光景は、見事なまでの朝焼けで水平線から上って来る太陽は神秘的な輝きを放っている。
「「「うわー綺麗」」」
雄大な光景に一同が見入っている。
「このΩがあればこそ見れる光景じゃな。これが見れるだけでもオメガを持つ意味があるのじゃ」
「そういや爺ちゃん。一階の魔導具倉庫は少しは調べてるのか?」
「まだ、目録を解読しておる段階じゃが一つ気になる魔導具があるんじゃ。それを取り出しに行きたいんじゃが、一緒に来てくれるかの?」
「お、どんな魔導具なんだ?」
「馬車じゃの。『無振動馬車』と言う魔導具じゃ」
「へー、それは興味深いな。メーガンのスレイプニル馬車で古代遺跡に移動した時は尻が痛くて参ったからな」
メーガンも興味を持ってくれたので、三人でαを連れて一階の魔導具倉庫へと向かった。
「α。倉庫の中の物はどうやって取り出すんだ?」
「目録に記載してある番号を、取り出し口の認証装置に打ち込みご主人様の魔力を流せば、取り出す事が出来ます」
「ええっ? 俺はその本読めないから、一々爺ちゃんにその番号を教えて貰わないと駄目って事か?」
「カイン。お主は元々世界樹の島を目指しておったのじゃないのか? そこへ辿り着きハイエルフから習えばどうじゃ?」
「そう簡単に教えて貰えるもんなのか?」
「カインの元にナディアも居るし今じゃったら、メーガンも居るから大丈夫じゃないかの?」
「それよりさ、爺ちゃんがその本全部読んで、俺達が読める様に写本してくれたらいいんじゃね?」
「なる程のぅ…… どうせこの船に乗っておる間は暇じゃし、少しずつ進めておこう」
「助かるぜ。流石賢者だな」
「その変り、飯は美味い物食わせるんじゃぞ?」
「ああ、任せろ」
アルファに聞いた通りに、爺ちゃんに目録の番号を打ち込んでもらって、俺が取り出し口に魔力を流すと、そこには『無振動馬車』が現れた。
一見は普通の馬車に見える。
「爺ちゃん。これ普通の馬車と、どこが違うんだ?」
「ここに書いてある説明では、12人乗りで、空間拡張搭載型となっておるぞ。内部は居間の様に寛げて、簡易キッチンやトイレにシャワー室もあるそうだ。トイレは勿論自浄作用搭載で汲み取りいらずだそうじゃ」
「すげえな。見た目は普通の4人乗り程度なのにな。無振動ってどんな理屈なんだ?」
「この船にも使われておる反重力石のかけらが使われておるそうじゃ。馬車のフレーム部分に練りこまれておって、登録された利用者が魔力を流せば、地上10㎝の高さに浮かび、振動を感じさせないと説明してあるのぅ。勿論魔力を流さないときは、普通の馬車として使えるそうじゃよ」
「素敵ね。カイン。この馬車の登録者に私の名前も加えて下さいね」
「ああ。俺は馬車を曳かせる馬も持って無いから、メーガンが使えばいいよ」
「ありがとう。カイン」
あまり感情を表に現さないメーガンが、かなり嬉しそうな表情だった。
メーガンもきっと尻が痛かったんだろうな?
みんなで馬車に乗り移り、二頭のスレイプニルに曳かれた馬車は一時間程でエドの街へと到着した。
この世界では珍しい人口100万人を擁する巨大都市だ。
街は活気に溢れている。
「巨大な街だな。一体どれだけの広さがあるんだ?」
「防壁はエド湾を囲むように、六重になっている。各防壁と防壁の間の距離は2㎞程だな」
その街の規模に関心しつつ一行は関所へ到着し、馬車から降りて身分証を提示する。
ここで、ちょっと問題が起こった。
大陸を中心として、周囲の島国で構成された冒険者ギルドの加盟国連合の中では、最高戦力であるSランク四名が一緒に居るのである。
さぞかし、この検問を担当した衛兵は驚いた事であろう。
「ジュウベエ様。誠に申し訳ないのですが私の判断で何のおもてなしもせずに、そのまま普通の冒険者と同じ扱いをしたと言う事に成れば、ちょっと困った事になりますので、至急上司を呼んで参ります故、今しばらくお待ちいただけますか?」
「ジュウベエ。この方の言ってる事も当然ですし、待ってあげなさい」
「メーガンがそう言うならそれでいいけど、ちょっと魔導通話機でギルドに連絡とって、料理宿の予約だけしておくな」
この国の人達の身なりは、和服と呼ばれる一風変わった服装をした人と、大陸風の洋服を着用した人々が混在している。
衛兵などの姿は、機能重視で大陸風の防具を付けている。
フィルやレオネアが、和装の女性をとても興味深そうに眺めていた。
「レオネア。この国の服装に興味があるのか? 和服を着ているのは比較的裕福な家の人々なんだ。綺麗だろ?」
「うん。とっても綺麗だね。でもちょっと動きにくそうかな?」
「料理旅館に泊まると、男も女も浴衣と呼ばれる簡易的な和服を貸し与えられるので、アケボノ気分を味わえるぞ」
「へーそうなんだ。楽しみだね」
そんな会話をしていると、馬に騎乗した近衛騎士の一団が現れ、馬から降りると、その中でも一番上役に当たる人が、声を掛けて来た
「こちらが、Sランク冒険者のご一行でお間違いないでしょうか」
「ああ、間違いない」
「アケボノの首都エドの街へようこそ。Sランクの皆さまがお揃いで見えられるとは、何かこの国で問題でも起こるのでしょうか?」
「いや、単純にみんなでアケボノ料理を楽しみに来ただけだ。深い意味は無い」
「そうですか。Sランクの皆さまは一緒に行動しないと伺ってましたので、心配になり駆け付けた次第です」
「俺達は別に仲が悪い訳じゃ無いからな。ただ、一緒に行動しなければならない様な問題が無いから、つるんでなかっただけだ」
「そうですか。くれぐれも問題など起きない様によろしくお願いいたします。エドの街へようこそ。お楽しみください。何か問題があれば必ず衛兵にお声掛けをお願いします」
「ああ。解った」
ジュウベエの説明を受け、漸くエドの街への入場を認められた。
「ジュウベエ。なんであんなに物々しいんだ?」
「俺達が四人揃った状態で本気で戦えば、この国の兵を集めても俺達の方が強いからだよ」
「まじか……」
「だから、普段は別々の国に滞在する事で均衡を保っていると、思わせている感じだな」
「それはそれで大変だな」
「それじゃぁ飯食いに行こうぜ」
こうして、ジュウベエの案内によりエドの街へと入る一行だった。
上空から見る光景は、見事なまでの朝焼けで水平線から上って来る太陽は神秘的な輝きを放っている。
「「「うわー綺麗」」」
雄大な光景に一同が見入っている。
「このΩがあればこそ見れる光景じゃな。これが見れるだけでもオメガを持つ意味があるのじゃ」
「そういや爺ちゃん。一階の魔導具倉庫は少しは調べてるのか?」
「まだ、目録を解読しておる段階じゃが一つ気になる魔導具があるんじゃ。それを取り出しに行きたいんじゃが、一緒に来てくれるかの?」
「お、どんな魔導具なんだ?」
「馬車じゃの。『無振動馬車』と言う魔導具じゃ」
「へー、それは興味深いな。メーガンのスレイプニル馬車で古代遺跡に移動した時は尻が痛くて参ったからな」
メーガンも興味を持ってくれたので、三人でαを連れて一階の魔導具倉庫へと向かった。
「α。倉庫の中の物はどうやって取り出すんだ?」
「目録に記載してある番号を、取り出し口の認証装置に打ち込みご主人様の魔力を流せば、取り出す事が出来ます」
「ええっ? 俺はその本読めないから、一々爺ちゃんにその番号を教えて貰わないと駄目って事か?」
「カイン。お主は元々世界樹の島を目指しておったのじゃないのか? そこへ辿り着きハイエルフから習えばどうじゃ?」
「そう簡単に教えて貰えるもんなのか?」
「カインの元にナディアも居るし今じゃったら、メーガンも居るから大丈夫じゃないかの?」
「それよりさ、爺ちゃんがその本全部読んで、俺達が読める様に写本してくれたらいいんじゃね?」
「なる程のぅ…… どうせこの船に乗っておる間は暇じゃし、少しずつ進めておこう」
「助かるぜ。流石賢者だな」
「その変り、飯は美味い物食わせるんじゃぞ?」
「ああ、任せろ」
アルファに聞いた通りに、爺ちゃんに目録の番号を打ち込んでもらって、俺が取り出し口に魔力を流すと、そこには『無振動馬車』が現れた。
一見は普通の馬車に見える。
「爺ちゃん。これ普通の馬車と、どこが違うんだ?」
「ここに書いてある説明では、12人乗りで、空間拡張搭載型となっておるぞ。内部は居間の様に寛げて、簡易キッチンやトイレにシャワー室もあるそうだ。トイレは勿論自浄作用搭載で汲み取りいらずだそうじゃ」
「すげえな。見た目は普通の4人乗り程度なのにな。無振動ってどんな理屈なんだ?」
「この船にも使われておる反重力石のかけらが使われておるそうじゃ。馬車のフレーム部分に練りこまれておって、登録された利用者が魔力を流せば、地上10㎝の高さに浮かび、振動を感じさせないと説明してあるのぅ。勿論魔力を流さないときは、普通の馬車として使えるそうじゃよ」
「素敵ね。カイン。この馬車の登録者に私の名前も加えて下さいね」
「ああ。俺は馬車を曳かせる馬も持って無いから、メーガンが使えばいいよ」
「ありがとう。カイン」
あまり感情を表に現さないメーガンが、かなり嬉しそうな表情だった。
メーガンもきっと尻が痛かったんだろうな?
みんなで馬車に乗り移り、二頭のスレイプニルに曳かれた馬車は一時間程でエドの街へと到着した。
この世界では珍しい人口100万人を擁する巨大都市だ。
街は活気に溢れている。
「巨大な街だな。一体どれだけの広さがあるんだ?」
「防壁はエド湾を囲むように、六重になっている。各防壁と防壁の間の距離は2㎞程だな」
その街の規模に関心しつつ一行は関所へ到着し、馬車から降りて身分証を提示する。
ここで、ちょっと問題が起こった。
大陸を中心として、周囲の島国で構成された冒険者ギルドの加盟国連合の中では、最高戦力であるSランク四名が一緒に居るのである。
さぞかし、この検問を担当した衛兵は驚いた事であろう。
「ジュウベエ様。誠に申し訳ないのですが私の判断で何のおもてなしもせずに、そのまま普通の冒険者と同じ扱いをしたと言う事に成れば、ちょっと困った事になりますので、至急上司を呼んで参ります故、今しばらくお待ちいただけますか?」
「ジュウベエ。この方の言ってる事も当然ですし、待ってあげなさい」
「メーガンがそう言うならそれでいいけど、ちょっと魔導通話機でギルドに連絡とって、料理宿の予約だけしておくな」
この国の人達の身なりは、和服と呼ばれる一風変わった服装をした人と、大陸風の洋服を着用した人々が混在している。
衛兵などの姿は、機能重視で大陸風の防具を付けている。
フィルやレオネアが、和装の女性をとても興味深そうに眺めていた。
「レオネア。この国の服装に興味があるのか? 和服を着ているのは比較的裕福な家の人々なんだ。綺麗だろ?」
「うん。とっても綺麗だね。でもちょっと動きにくそうかな?」
「料理旅館に泊まると、男も女も浴衣と呼ばれる簡易的な和服を貸し与えられるので、アケボノ気分を味わえるぞ」
「へーそうなんだ。楽しみだね」
そんな会話をしていると、馬に騎乗した近衛騎士の一団が現れ、馬から降りると、その中でも一番上役に当たる人が、声を掛けて来た
「こちらが、Sランク冒険者のご一行でお間違いないでしょうか」
「ああ、間違いない」
「アケボノの首都エドの街へようこそ。Sランクの皆さまがお揃いで見えられるとは、何かこの国で問題でも起こるのでしょうか?」
「いや、単純にみんなでアケボノ料理を楽しみに来ただけだ。深い意味は無い」
「そうですか。Sランクの皆さまは一緒に行動しないと伺ってましたので、心配になり駆け付けた次第です」
「俺達は別に仲が悪い訳じゃ無いからな。ただ、一緒に行動しなければならない様な問題が無いから、つるんでなかっただけだ」
「そうですか。くれぐれも問題など起きない様によろしくお願いいたします。エドの街へようこそ。お楽しみください。何か問題があれば必ず衛兵にお声掛けをお願いします」
「ああ。解った」
ジュウベエの説明を受け、漸くエドの街への入場を認められた。
「ジュウベエ。なんであんなに物々しいんだ?」
「俺達が四人揃った状態で本気で戦えば、この国の兵を集めても俺達の方が強いからだよ」
「まじか……」
「だから、普段は別々の国に滞在する事で均衡を保っていると、思わせている感じだな」
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