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第三話・奈落
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ラグス村は悲壮感にあふれていた。隣村の男たちに犯され殺害された妻や娘、ただなぶり殺された老人や幼い子、村の男たちの復讐心は踏みしめる一歩一歩の足跡から想像できる。
サンレとともに、ラグス村に降りた。サンレの黒装束をもう一着借りた。顔も目だけを出し、あとは黒い布を巻きつけ隠した。
「いいか、そのままの姿じゃぁ、殺されるだけだ」
「どうして? ハルジに? 村の人たちは私に優しく接してくれるはずよ」
「だといいが、でもな、ラグス村の男たちは妻や子、母や父を失ったものばかりだろ。その原因は、隣村にあるが、廻りまわって、雨ジジイやお前たち一家に矛先が向くかもしれん」
サンレは村に降りる準備をしながら言った。
「どういうこと?」
「お前たち一家が、ラグス村にいなければ、隣村のヤツラは襲ってこなかった、そう飛躍してしまうことだってあるのさ」
サンレの言うことはわかる。だったら、母さんとナガメが危ない。生きているというサンレの言葉を信じるなら。
サンレに従って、私は黒装束に身を包み、背中には小屋に一杯積み上げられていた薪を背負った。薪売りの行商と見せかけると、サンレのアイデアだった。
ラグス村には普段いるはずもない、見張り台があり、入村には許可が必要だった。そんなこともない、出入り自由の村だったのだが。
手製の槍を構えた男二人が、私たちを足止めする。左右の男の槍が交差し、私たちへの問いかけが始まった。
「何用だ?」
「私たち、親子でして、薪を売って回る旅商人でございます。道中、熊にも襲われそうになりまして、できればこちらの宿で身体を休めとうございます」
サンレの口は、ウソつきの口だ。つらつらと出てくるウソまみれの言葉に、この人を信じていいのか不安にもなる。母さんとナガメは本当に生きているのだろうか。
見慣れた村の風景が、交差する槍の間から見える。だが、その温度は冷たい。人の悲しみが折り重なり、積り、層になる。深い部分の層は、どういった理由で生まれたのか、後から思い出すことができなくなる。だが、そこにあるのは言葉を越えた怒りや嫌悪、煮込まれた負の感情。憎しみに理由が見いだせないのは、本質的にこの深い層の出来事をひとつひとつ思い出せないからだ。
だがどうだろう、妻・子・父・母、愛する者たちを踏みつけ、殴り、打ち、折り、刺し、呼吸を奪い、心臓を貫き、魂ごと引きちぎる。これが何年経っても、深い層に堕ちた時であっても、ただの理由のない憎しみになりえているだろうか? この憎しみの層自体を断ち切るには、ここで憎しみをせめて、ゼロにまでもっていかなければならない。決してプラスの感情でなくていい。ゼロだ。
「通ってよい」
別の一人が息を切らして、耳打ちしていた。村の警備担当に確認してきたのだろう。見たことのある顔だ。たしか、サルファの家の長男だろう。私より年下だ。
「ありがとうごぜいやす」
下手くそに、卑屈さを演じるサンレのあとを歩く。村中のぬかるんだ泥道は、固く踏みしめられている。憎しみだ。母さんとナガメが心配だ。早く連れ出さなければ、また隣村に襲撃されればその命はないかもしれない。
「おい、見ろ!」
サンレが小声ながら、耳元で私に怒鳴る。明らかに怒鳴っていた。
家が、燃えている。雨爺が借りた家とはいえ、燃えているのは気持ちよくはない。子どもの頃の思い出、お気に入りの本、父さんとの写真、使い込んだ鍋や私の匂いがついたタオル、雨爺にもらった馬のぬいぐるみ。
容赦なく燃えている。サンレは私の口を乾いた左手で塞いだ。思わず叫びそうだったからだ。
ごうごうと、炎の柱があがり、周りの村人たちはそれを眺めている。
「これはどういうわけで?」
サンレは年老いた男に聞いた。
「あぁ、これは、隣村から襲ってきた連中を火葬してるのさ」
「遺体は?」
「この家の中に詰め込んだ」
異様な光景だった。家ごと、しかも雨爺が戻ってくるかもしれない家だ。それに母さんとナガメだって生きているのかもしれない。
「この家の住人は?」
老人の目が、鋭くサンレを射抜いた。まるで獲物を狙うかのような厳しい視線。
サンレはその鋭さを和らげるように、柔らかく、まるで無垢な子どもを見つめるような眼差しに変え、静かに答えた。
「この家の住人は、ほらあそこ。生きてるからさ、これからどうするか決めるのさ」
どうするか、決める。
じわりと冷や汗が背中を伝わる。プツプツと汗が湧き出るのを感じる。嫌な気分だ。老人が指さす方を見る。
母さんとナガメが馬小屋の前にある丸太棒に縛り付けられている。目を隠され、口には猿ぐつわをされている。
(落ち着け)
サンレは目で合図した。既に銃を腰のホルスターから引き抜いている。黒装束のローブの下で、銃を構えている。だが、三発しか銃弾が装てんできない。丸太の近くには、少なくとも屈強そうな男たちが五人はいる。みんな油断して武器は持っていない。女と子どもを縛り付けているのだから、これ以上武装する必要はないと思ったのか。
私たちは母さんとナガメの近くにまで歩みを進めた。それは、すり足で、誰にも気づかれないような歩みだった。
「シューヴァ、雨ジジイから何か習ったのか?」
「なにも。ただ、見ていた。雨の矢の降らしたのは」
「雨の矢、そんなもん見たって使いこなせっこない」
「やってみないとわからない」
「いいか、俺がお前の母さんと、弟を縛ってる縄に銃弾を撃つ。これで二発、残り一発。殺傷能力がないのが幸いしたな。皮肉なもんだ」
「それで?」
「それで、シューヴァは雨を降らすんだ。雨ジジイの雨の矢の狙いは、この土地の地盤を柔らかくすることだ。ぬかるめば、誰も侵入できないし、逃げることもできない。つまり、次の侵入を防ぐための策だったってことだ」
「雨を降らせて、母さんとナガメが助かるの?」
サンレの考えはこうだ。踏みしめられた泥道に見えて、ここは地盤が緩い。だから、一か所集中でもいい、雨を大量に、集中的に降らせれば、地面は崩れる。崩れた地面ではだれも動けない。だが、雨降師は、雨のなかではその能力がさらに開き高まる。二人で、母さんとナガメを担ぎ、ぬかるんだ地面を走り切るというものだった。たしかに、雨爺は山道のぬかるみでも転んだことがない。体幹ではなく、雨降師としての基礎能力だったのか。
私はサンレに従うことにした。丸太に縛られている母さんとナガメ、その理由はわからない。だが、このままだと危険だ。
周りを取り囲む男たちが叫ぶ。
「村に災いを運んできた、雨爺の一家は皆殺しにする。女、子どもも容赦はない」
目は塞がれ、猿ぐつわをされていても耳は聞こえる。ナガメが感じる恐怖を代わってやりたい。母さんはどういう想いでいるのか。
あれほど、村に貢献してきた我が家、雨爺の雨降師の力のおかげで生きながらえてきたラグス村の人たち。そこに感謝の気持ちはなかったのだ。私たちはただ、そこにある水源と同じように利用されるだけ。その水源に毒が混ざれば、これまで命の水と崇められていても、次の瞬間から死の水と畏れられ、疎まれる。
「火を放つ! こいつらは生きたまま焼き殺す!」
村長のナザンが言った。あの男が雨爺に頼み込んだから、この村に移住したというのに。
「早く!準備と覚悟はできている」
私はサンレに早く撃つようにと促した。サンレは母さんとナガメに向かって、ローブの隙間から銃弾を放った。霰でできた銃弾は複雑な軌道を描く。目標を追尾するかのような、狙った獲物を正確に追い詰めるハンターのようだった。
火を放つ準備をしている村人たちは、興奮の中にいる。穢れと祓い、そこにひとつの解決法を見出しているのか。野蛮な人間たちだ。いや、人間ではない、禽獣だ。
銃弾が母さんとナガメの裏側に回り込む。縛られている根本を銃弾がこそぎとるようにかすめたと、サンレが言うと次の瞬間母さんとナガメは前のめりに重心がずれ倒れ込んだ。
縄が解けたことを理解できない村人たちの間をサンレと私は駆け抜けた。山小屋で履き替えた登山靴、サンレは自前の靴ながらも、その踏み出しは強くそして軽い。
矢のような速さ、しなやかな身体のこなし、これが私なのか、雨爺からもらったネックレスのおかげなのだろうか。
私はナガメを、サンレは母さんを肩に抱えて、そのまま村のはずれまで駆けた。驚く村人たちを尻目にしつつ、追ってくる様子はなかった。
村の入口には門番二人が槍を構えて立ちはだかるだろう。サンレの銃弾はあと一発。無理すれば、もう一発。どっちにしても、殺傷能力は低い。
「シューヴァ姉さん」
目隠しを解いて、母さんとナガメを立たせた。二人の靴も用意しておいてよかった。サンレの言う通りだった、逃げるためには、靴がポイントだと昨日から言ってたから。
「シューヴァ、無事だったのね」
母さんは自分の心配よりも、私のことを案じていたようだ。さっきまで自分が処刑されるかもしれなかったというのに。
「ご無沙汰しております、サンレです」
「サンレさん、あなたが助けてくれたの」
久々の再会に母さんは懐かしさのあまり顔がほころんだ。
山側から轟音が聞こえる、昨日雨爺と一緒にいた場所だ。母さんとナガメを目で追う、大弓から放たれた豪矢が母さんとナガメを貫いた。叫ぶ間もなかった。サンレは私の頭を地面に押し込んだ。次の一撃を避けるようにとのサンレの動きが災いした。動くものを自動的に狙う、大弓がこちらを捕らえる。それは確実にサンレに照準を合わせている。サンレの銃弾では届かないし、隣では母さんとナガメが確実に息絶えている。どう見ても、その魂は抜け落ち、肉体だけの姿に果てている。
私が見てもわかる、手の施しようがないというその姿に、私の心は握りつぶされた。
ぱん、と音がする。サンレの銃口からではない。大弓からでもない。私からだ。この音は私からした。大弓からサンレを狙った豪矢が放たれた。私は足を踏ん張った。ぐっと、下にかがむ。絶命したナガメのかっと開いた目が私を見ている。最後の最後で助けきれなかった。私は弱い。弱い、弱いせいで肝心なところで、大切なふたりを本当に失ったのだ。
怒りと嫌悪が私のなかで層になる。いやこれは埋まることのない層だ。私は局地的な激雨を降ろした。本能なのか、わからない。滝とでもいうべきか、その雨は豪矢の軌道を変えた。地面に突き刺さるその矢は、禁忌の水源に触れていた。
毒井戸、封じられたその禁忌の水源が豪矢によって噴き出した。村の上流に位置するこの毒井戸から漏れ出した呪いの水は、村に向かって流れ込む。噴き出した毒水を雨に包み込んだ。それは隣村の男たちを火葬していた我が家にまで広がり、毒雨となりラグス村一帯に降り及んだ。
ここからでも見える、火柱が消え、村人たちが恐怖の叫びをあげている。サンレが私を見る。怒りが嫌悪となり、憎しみとなる瞬間に立ち会ったのだろう。
豪矢を放った主はその場から立ち去った。毒雨の影響は、私たちはもちろんのこと、山手にいる豪矢を放った主には及ばない。
あれは誰なのかとサンレに聞いた。知るはずはないだろうが。サンレは、あの豪矢の主はおそらくハルジだろうと言った。
私たちは山小屋に戻った。息絶えた母さんとナガメを山小屋の裏手に埋葬した。
「これからどうするんだ?」
サンレは聞いた。
「雨爺を救出したい」
「どうやって」
「教えて」
「何を?」
「雨の使い方を」
サンレは間髪置かず、明日からでいいか? と答えた。必ず雨爺を助ける。そして聞きたい、どうしてこんなことになったのか。
小さな山をひとつ越えた、隣村とラグス村の村境、穢れの谷とどちらの村からも呼ばれる場所に私たちは簡易な居を構えた。
サンレから教わることは、ひたすら雨を自在に降らせることばかり。呼吸をするように、特に息を吐くときのように、雨を降らせる。感覚的には吐き出す力というのは、身体から放出するイメージに似ている。サンレは教え方が上手い。
穢れの谷と言われるだけあって、ここには呪い捨てられた武具や術具が転がっている。身代わりの形というものまであるが、どれも呪われているのかなんてわからない。サンレは霊感に敏感な方で、私にもその素養はあるはずだという。そもそも、霊というのは、雨を頭に据える漢字だ。雨降師としての能力のひとつとして、霊感のあるなしでその後の大成の仕方は変わるらしい。今のところ私は、霊感ゼロだ。
「シューヴァ、そこそこはコントロールできるようになってきたようだな」
サンレは私にアメフラシの強弱を教えてくれている。息を吸う、これが雨を降らす準備であり、弱めるイメージ。息を吐く、これが雨を強く降らせるイメージ。
息を止める、これは雨を止めて、組み合わせの雨の力を融合させるイメージ。
サンレは霰の力を持っている。
霰は雨を頭に据えて、「散」を迎えている。たかだか漢字、されどこの漢字からのイメージを身体にしみ込ませて、息を止めた瞬間に「霰」を生成しているらしい。感覚を言語にすると難しいとサンレはこぼしている。
霰を武器にと雨爺に相談したところ、それならとリボルバータイプの銃とホルスターをプレゼントされたらしい。
サンレの霰の銃弾は三発、撃鉄を起こして引き金を引くのだが、霰の銃弾はサンレの意思に従って標的を追尾し必ず当たる。必中であるものの、その威力は弱い。稽古をつけてもらうために、雨爺のもとを十年ぶりに訪れたらしいが、まさか私がサンレに稽古をつけてもらうなんて。お互いなんとも、皮肉というか因果というか。
サンレは私に雨と何かとの融合―霰のような力を育てたいようだ。残念ながら、私にはセンスがないらしい。サンレとの修業は二カ月が過ぎた。早く雨爺を助けたいが、サンレの銃弾はたったの三発、私は雨をそれなりに降らせられるだけ。これでは隣村に潜り込んでも、命を捨てに行くようなものだ。
隣村で一週間おき、朝方に二時間ほど雨が降っていた。大雨ではなく、貯水池が溜まるちょうどいい量。私とサンレは、雨爺の生存を雨で確認していた。
それから、さらに一ヶ月。乾期が訪れる。雨爺の身は保証されるだろう。だからと言って、鈍間にぐずぐずと稽古していても意味はない。私はサンレから、雨の強弱、範囲の調整を完全に習得した。だが、これで雨爺を救出できるとは思えない。それに、サンレのような“霰”みたいな力にも目覚めていない。
穢れの谷、私が雨を降らせすぎたが、水ハケがいい。地層が粘土質ではなく、砂状のせいかもしれない。だから、この谷はもともと植物は少なめだった。
【だった】
私が雨を降らせすぎたせいで、何やら見たことのない野草が繁るようになったのだ。だがサンレは違う見方をしていた。
局所に降らせる稽古。いつも同じ場所に雨を降らせていた。そこは、特に野草の生育が良かった。
「恵みの雨なのか」
サンレは確信を持てないまま、つぶやいた。壊れた蛇口のように、漏れ出たのだ。
私の雨に恵みの力があるとでも思ったようだ。恵みの雨は、神の加護が必要だと雨爺がよく言っていた。私は女神の加護を受けていない。そもそも霊的なものも見えない。だから、私の雨が“恵み”を抱えているはずはないのだ。
万一、私の雨に“恵み”、の力があるとしたら、たしかに野草たちの生育を早めたのかもしれない。いわゆる、超回復というものか。単に乾いた土地に、雨の潤いが深層にしみ込み、山から吹かれてきた種たちが芽吹いたのかもしれない。命の雨、雨にはそもそも恵みの力があるものだ。
サンレは私の修行の間、自身の霰の能力も鍛え上げていた。銃弾は安定的に四発を生成できるようになっていた。だが、その成長は銃弾を増やしただけではなかった。
クーリングタイム
雨を降らすにしても、この霰の力にしても、使えば体温が急上昇する。脳内の血管も同じ。末梢神経が焼き切れる感覚もある。次の一手が出せない。サンレはこの時間を短縮することを自身にも、私にも求めてきた。
サンレの銃弾は四発。次の装填は今までなら一時間はかかるもの。このリロードを、このクーリングタイムを、いかに短くするかが課題だった。サンレの自己申告では、五分にまで短縮できるようになったそうだ。
私の雨は、一度止むと、半日は降らせられなかった。これは修行最初のころ。今は、サンレほどではないが、十分後にはまた降らせられる。
隣村が騒がしい。谷から山に登り、食料調達していたときだった。狼煙が上がっている。今日は雨の日だ。だがまだ雨は降っていない、雨爺に何かがあったのか?
谷に戻るとサンレは、出発の準備をしていた。
「どうしたの?」
「狼煙を見たろ」
「うん」
「ラグス村が隣村に攻め込むみたいだ」
早くしないと雨爺が危ない。
「さぁ、行こうか」
サンレの覚悟が見えた。私の足は震えている。落ち着けと何度も自分に言うが、怖い。でも、でも。母さんとナガメの敵を討ちたい。ハルジは許せない。絶対殺す。すべての関節を折り、皮膚を裏返しにしてやる。目をくりぬき、耳をそぎ落とし、唇を切り刻む。指と言う指をすべて切り落とし、腕を、脚を落としてやる。私の憎しみは、決して深くはない浅い層の位置で、私の心に横たわっている。そしてその層はとてつもなく厚い。
奈落だ。奈落の底に落とす。私はサンレとともに、隣村へと走り急いだ。
サンレとともに、ラグス村に降りた。サンレの黒装束をもう一着借りた。顔も目だけを出し、あとは黒い布を巻きつけ隠した。
「いいか、そのままの姿じゃぁ、殺されるだけだ」
「どうして? ハルジに? 村の人たちは私に優しく接してくれるはずよ」
「だといいが、でもな、ラグス村の男たちは妻や子、母や父を失ったものばかりだろ。その原因は、隣村にあるが、廻りまわって、雨ジジイやお前たち一家に矛先が向くかもしれん」
サンレは村に降りる準備をしながら言った。
「どういうこと?」
「お前たち一家が、ラグス村にいなければ、隣村のヤツラは襲ってこなかった、そう飛躍してしまうことだってあるのさ」
サンレの言うことはわかる。だったら、母さんとナガメが危ない。生きているというサンレの言葉を信じるなら。
サンレに従って、私は黒装束に身を包み、背中には小屋に一杯積み上げられていた薪を背負った。薪売りの行商と見せかけると、サンレのアイデアだった。
ラグス村には普段いるはずもない、見張り台があり、入村には許可が必要だった。そんなこともない、出入り自由の村だったのだが。
手製の槍を構えた男二人が、私たちを足止めする。左右の男の槍が交差し、私たちへの問いかけが始まった。
「何用だ?」
「私たち、親子でして、薪を売って回る旅商人でございます。道中、熊にも襲われそうになりまして、できればこちらの宿で身体を休めとうございます」
サンレの口は、ウソつきの口だ。つらつらと出てくるウソまみれの言葉に、この人を信じていいのか不安にもなる。母さんとナガメは本当に生きているのだろうか。
見慣れた村の風景が、交差する槍の間から見える。だが、その温度は冷たい。人の悲しみが折り重なり、積り、層になる。深い部分の層は、どういった理由で生まれたのか、後から思い出すことができなくなる。だが、そこにあるのは言葉を越えた怒りや嫌悪、煮込まれた負の感情。憎しみに理由が見いだせないのは、本質的にこの深い層の出来事をひとつひとつ思い出せないからだ。
だがどうだろう、妻・子・父・母、愛する者たちを踏みつけ、殴り、打ち、折り、刺し、呼吸を奪い、心臓を貫き、魂ごと引きちぎる。これが何年経っても、深い層に堕ちた時であっても、ただの理由のない憎しみになりえているだろうか? この憎しみの層自体を断ち切るには、ここで憎しみをせめて、ゼロにまでもっていかなければならない。決してプラスの感情でなくていい。ゼロだ。
「通ってよい」
別の一人が息を切らして、耳打ちしていた。村の警備担当に確認してきたのだろう。見たことのある顔だ。たしか、サルファの家の長男だろう。私より年下だ。
「ありがとうごぜいやす」
下手くそに、卑屈さを演じるサンレのあとを歩く。村中のぬかるんだ泥道は、固く踏みしめられている。憎しみだ。母さんとナガメが心配だ。早く連れ出さなければ、また隣村に襲撃されればその命はないかもしれない。
「おい、見ろ!」
サンレが小声ながら、耳元で私に怒鳴る。明らかに怒鳴っていた。
家が、燃えている。雨爺が借りた家とはいえ、燃えているのは気持ちよくはない。子どもの頃の思い出、お気に入りの本、父さんとの写真、使い込んだ鍋や私の匂いがついたタオル、雨爺にもらった馬のぬいぐるみ。
容赦なく燃えている。サンレは私の口を乾いた左手で塞いだ。思わず叫びそうだったからだ。
ごうごうと、炎の柱があがり、周りの村人たちはそれを眺めている。
「これはどういうわけで?」
サンレは年老いた男に聞いた。
「あぁ、これは、隣村から襲ってきた連中を火葬してるのさ」
「遺体は?」
「この家の中に詰め込んだ」
異様な光景だった。家ごと、しかも雨爺が戻ってくるかもしれない家だ。それに母さんとナガメだって生きているのかもしれない。
「この家の住人は?」
老人の目が、鋭くサンレを射抜いた。まるで獲物を狙うかのような厳しい視線。
サンレはその鋭さを和らげるように、柔らかく、まるで無垢な子どもを見つめるような眼差しに変え、静かに答えた。
「この家の住人は、ほらあそこ。生きてるからさ、これからどうするか決めるのさ」
どうするか、決める。
じわりと冷や汗が背中を伝わる。プツプツと汗が湧き出るのを感じる。嫌な気分だ。老人が指さす方を見る。
母さんとナガメが馬小屋の前にある丸太棒に縛り付けられている。目を隠され、口には猿ぐつわをされている。
(落ち着け)
サンレは目で合図した。既に銃を腰のホルスターから引き抜いている。黒装束のローブの下で、銃を構えている。だが、三発しか銃弾が装てんできない。丸太の近くには、少なくとも屈強そうな男たちが五人はいる。みんな油断して武器は持っていない。女と子どもを縛り付けているのだから、これ以上武装する必要はないと思ったのか。
私たちは母さんとナガメの近くにまで歩みを進めた。それは、すり足で、誰にも気づかれないような歩みだった。
「シューヴァ、雨ジジイから何か習ったのか?」
「なにも。ただ、見ていた。雨の矢の降らしたのは」
「雨の矢、そんなもん見たって使いこなせっこない」
「やってみないとわからない」
「いいか、俺がお前の母さんと、弟を縛ってる縄に銃弾を撃つ。これで二発、残り一発。殺傷能力がないのが幸いしたな。皮肉なもんだ」
「それで?」
「それで、シューヴァは雨を降らすんだ。雨ジジイの雨の矢の狙いは、この土地の地盤を柔らかくすることだ。ぬかるめば、誰も侵入できないし、逃げることもできない。つまり、次の侵入を防ぐための策だったってことだ」
「雨を降らせて、母さんとナガメが助かるの?」
サンレの考えはこうだ。踏みしめられた泥道に見えて、ここは地盤が緩い。だから、一か所集中でもいい、雨を大量に、集中的に降らせれば、地面は崩れる。崩れた地面ではだれも動けない。だが、雨降師は、雨のなかではその能力がさらに開き高まる。二人で、母さんとナガメを担ぎ、ぬかるんだ地面を走り切るというものだった。たしかに、雨爺は山道のぬかるみでも転んだことがない。体幹ではなく、雨降師としての基礎能力だったのか。
私はサンレに従うことにした。丸太に縛られている母さんとナガメ、その理由はわからない。だが、このままだと危険だ。
周りを取り囲む男たちが叫ぶ。
「村に災いを運んできた、雨爺の一家は皆殺しにする。女、子どもも容赦はない」
目は塞がれ、猿ぐつわをされていても耳は聞こえる。ナガメが感じる恐怖を代わってやりたい。母さんはどういう想いでいるのか。
あれほど、村に貢献してきた我が家、雨爺の雨降師の力のおかげで生きながらえてきたラグス村の人たち。そこに感謝の気持ちはなかったのだ。私たちはただ、そこにある水源と同じように利用されるだけ。その水源に毒が混ざれば、これまで命の水と崇められていても、次の瞬間から死の水と畏れられ、疎まれる。
「火を放つ! こいつらは生きたまま焼き殺す!」
村長のナザンが言った。あの男が雨爺に頼み込んだから、この村に移住したというのに。
「早く!準備と覚悟はできている」
私はサンレに早く撃つようにと促した。サンレは母さんとナガメに向かって、ローブの隙間から銃弾を放った。霰でできた銃弾は複雑な軌道を描く。目標を追尾するかのような、狙った獲物を正確に追い詰めるハンターのようだった。
火を放つ準備をしている村人たちは、興奮の中にいる。穢れと祓い、そこにひとつの解決法を見出しているのか。野蛮な人間たちだ。いや、人間ではない、禽獣だ。
銃弾が母さんとナガメの裏側に回り込む。縛られている根本を銃弾がこそぎとるようにかすめたと、サンレが言うと次の瞬間母さんとナガメは前のめりに重心がずれ倒れ込んだ。
縄が解けたことを理解できない村人たちの間をサンレと私は駆け抜けた。山小屋で履き替えた登山靴、サンレは自前の靴ながらも、その踏み出しは強くそして軽い。
矢のような速さ、しなやかな身体のこなし、これが私なのか、雨爺からもらったネックレスのおかげなのだろうか。
私はナガメを、サンレは母さんを肩に抱えて、そのまま村のはずれまで駆けた。驚く村人たちを尻目にしつつ、追ってくる様子はなかった。
村の入口には門番二人が槍を構えて立ちはだかるだろう。サンレの銃弾はあと一発。無理すれば、もう一発。どっちにしても、殺傷能力は低い。
「シューヴァ姉さん」
目隠しを解いて、母さんとナガメを立たせた。二人の靴も用意しておいてよかった。サンレの言う通りだった、逃げるためには、靴がポイントだと昨日から言ってたから。
「シューヴァ、無事だったのね」
母さんは自分の心配よりも、私のことを案じていたようだ。さっきまで自分が処刑されるかもしれなかったというのに。
「ご無沙汰しております、サンレです」
「サンレさん、あなたが助けてくれたの」
久々の再会に母さんは懐かしさのあまり顔がほころんだ。
山側から轟音が聞こえる、昨日雨爺と一緒にいた場所だ。母さんとナガメを目で追う、大弓から放たれた豪矢が母さんとナガメを貫いた。叫ぶ間もなかった。サンレは私の頭を地面に押し込んだ。次の一撃を避けるようにとのサンレの動きが災いした。動くものを自動的に狙う、大弓がこちらを捕らえる。それは確実にサンレに照準を合わせている。サンレの銃弾では届かないし、隣では母さんとナガメが確実に息絶えている。どう見ても、その魂は抜け落ち、肉体だけの姿に果てている。
私が見てもわかる、手の施しようがないというその姿に、私の心は握りつぶされた。
ぱん、と音がする。サンレの銃口からではない。大弓からでもない。私からだ。この音は私からした。大弓からサンレを狙った豪矢が放たれた。私は足を踏ん張った。ぐっと、下にかがむ。絶命したナガメのかっと開いた目が私を見ている。最後の最後で助けきれなかった。私は弱い。弱い、弱いせいで肝心なところで、大切なふたりを本当に失ったのだ。
怒りと嫌悪が私のなかで層になる。いやこれは埋まることのない層だ。私は局地的な激雨を降ろした。本能なのか、わからない。滝とでもいうべきか、その雨は豪矢の軌道を変えた。地面に突き刺さるその矢は、禁忌の水源に触れていた。
毒井戸、封じられたその禁忌の水源が豪矢によって噴き出した。村の上流に位置するこの毒井戸から漏れ出した呪いの水は、村に向かって流れ込む。噴き出した毒水を雨に包み込んだ。それは隣村の男たちを火葬していた我が家にまで広がり、毒雨となりラグス村一帯に降り及んだ。
ここからでも見える、火柱が消え、村人たちが恐怖の叫びをあげている。サンレが私を見る。怒りが嫌悪となり、憎しみとなる瞬間に立ち会ったのだろう。
豪矢を放った主はその場から立ち去った。毒雨の影響は、私たちはもちろんのこと、山手にいる豪矢を放った主には及ばない。
あれは誰なのかとサンレに聞いた。知るはずはないだろうが。サンレは、あの豪矢の主はおそらくハルジだろうと言った。
私たちは山小屋に戻った。息絶えた母さんとナガメを山小屋の裏手に埋葬した。
「これからどうするんだ?」
サンレは聞いた。
「雨爺を救出したい」
「どうやって」
「教えて」
「何を?」
「雨の使い方を」
サンレは間髪置かず、明日からでいいか? と答えた。必ず雨爺を助ける。そして聞きたい、どうしてこんなことになったのか。
小さな山をひとつ越えた、隣村とラグス村の村境、穢れの谷とどちらの村からも呼ばれる場所に私たちは簡易な居を構えた。
サンレから教わることは、ひたすら雨を自在に降らせることばかり。呼吸をするように、特に息を吐くときのように、雨を降らせる。感覚的には吐き出す力というのは、身体から放出するイメージに似ている。サンレは教え方が上手い。
穢れの谷と言われるだけあって、ここには呪い捨てられた武具や術具が転がっている。身代わりの形というものまであるが、どれも呪われているのかなんてわからない。サンレは霊感に敏感な方で、私にもその素養はあるはずだという。そもそも、霊というのは、雨を頭に据える漢字だ。雨降師としての能力のひとつとして、霊感のあるなしでその後の大成の仕方は変わるらしい。今のところ私は、霊感ゼロだ。
「シューヴァ、そこそこはコントロールできるようになってきたようだな」
サンレは私にアメフラシの強弱を教えてくれている。息を吸う、これが雨を降らす準備であり、弱めるイメージ。息を吐く、これが雨を強く降らせるイメージ。
息を止める、これは雨を止めて、組み合わせの雨の力を融合させるイメージ。
サンレは霰の力を持っている。
霰は雨を頭に据えて、「散」を迎えている。たかだか漢字、されどこの漢字からのイメージを身体にしみ込ませて、息を止めた瞬間に「霰」を生成しているらしい。感覚を言語にすると難しいとサンレはこぼしている。
霰を武器にと雨爺に相談したところ、それならとリボルバータイプの銃とホルスターをプレゼントされたらしい。
サンレの霰の銃弾は三発、撃鉄を起こして引き金を引くのだが、霰の銃弾はサンレの意思に従って標的を追尾し必ず当たる。必中であるものの、その威力は弱い。稽古をつけてもらうために、雨爺のもとを十年ぶりに訪れたらしいが、まさか私がサンレに稽古をつけてもらうなんて。お互いなんとも、皮肉というか因果というか。
サンレは私に雨と何かとの融合―霰のような力を育てたいようだ。残念ながら、私にはセンスがないらしい。サンレとの修業は二カ月が過ぎた。早く雨爺を助けたいが、サンレの銃弾はたったの三発、私は雨をそれなりに降らせられるだけ。これでは隣村に潜り込んでも、命を捨てに行くようなものだ。
隣村で一週間おき、朝方に二時間ほど雨が降っていた。大雨ではなく、貯水池が溜まるちょうどいい量。私とサンレは、雨爺の生存を雨で確認していた。
それから、さらに一ヶ月。乾期が訪れる。雨爺の身は保証されるだろう。だからと言って、鈍間にぐずぐずと稽古していても意味はない。私はサンレから、雨の強弱、範囲の調整を完全に習得した。だが、これで雨爺を救出できるとは思えない。それに、サンレのような“霰”みたいな力にも目覚めていない。
穢れの谷、私が雨を降らせすぎたが、水ハケがいい。地層が粘土質ではなく、砂状のせいかもしれない。だから、この谷はもともと植物は少なめだった。
【だった】
私が雨を降らせすぎたせいで、何やら見たことのない野草が繁るようになったのだ。だがサンレは違う見方をしていた。
局所に降らせる稽古。いつも同じ場所に雨を降らせていた。そこは、特に野草の生育が良かった。
「恵みの雨なのか」
サンレは確信を持てないまま、つぶやいた。壊れた蛇口のように、漏れ出たのだ。
私の雨に恵みの力があるとでも思ったようだ。恵みの雨は、神の加護が必要だと雨爺がよく言っていた。私は女神の加護を受けていない。そもそも霊的なものも見えない。だから、私の雨が“恵み”を抱えているはずはないのだ。
万一、私の雨に“恵み”、の力があるとしたら、たしかに野草たちの生育を早めたのかもしれない。いわゆる、超回復というものか。単に乾いた土地に、雨の潤いが深層にしみ込み、山から吹かれてきた種たちが芽吹いたのかもしれない。命の雨、雨にはそもそも恵みの力があるものだ。
サンレは私の修行の間、自身の霰の能力も鍛え上げていた。銃弾は安定的に四発を生成できるようになっていた。だが、その成長は銃弾を増やしただけではなかった。
クーリングタイム
雨を降らすにしても、この霰の力にしても、使えば体温が急上昇する。脳内の血管も同じ。末梢神経が焼き切れる感覚もある。次の一手が出せない。サンレはこの時間を短縮することを自身にも、私にも求めてきた。
サンレの銃弾は四発。次の装填は今までなら一時間はかかるもの。このリロードを、このクーリングタイムを、いかに短くするかが課題だった。サンレの自己申告では、五分にまで短縮できるようになったそうだ。
私の雨は、一度止むと、半日は降らせられなかった。これは修行最初のころ。今は、サンレほどではないが、十分後にはまた降らせられる。
隣村が騒がしい。谷から山に登り、食料調達していたときだった。狼煙が上がっている。今日は雨の日だ。だがまだ雨は降っていない、雨爺に何かがあったのか?
谷に戻るとサンレは、出発の準備をしていた。
「どうしたの?」
「狼煙を見たろ」
「うん」
「ラグス村が隣村に攻め込むみたいだ」
早くしないと雨爺が危ない。
「さぁ、行こうか」
サンレの覚悟が見えた。私の足は震えている。落ち着けと何度も自分に言うが、怖い。でも、でも。母さんとナガメの敵を討ちたい。ハルジは許せない。絶対殺す。すべての関節を折り、皮膚を裏返しにしてやる。目をくりぬき、耳をそぎ落とし、唇を切り刻む。指と言う指をすべて切り落とし、腕を、脚を落としてやる。私の憎しみは、決して深くはない浅い層の位置で、私の心に横たわっている。そしてその層はとてつもなく厚い。
奈落だ。奈落の底に落とす。私はサンレとともに、隣村へと走り急いだ。
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