48 / 94
48.愚かな国の行く方
しおりを挟む
「なんてことをしてくれたんだ…」
国王カーティスはもう何度目かわからないため息をつき、泣きじゃくる愛娘を見つめた。
「だってお父様!あの女、ハルバード様にしなだれかかっていたのよ!そんなふしだら女に王族として躾をするのは当然でしょ!?ハルバード様は私の婚約者なのに!」
また深いため息をつくと、隣に座っている我が妻カトレアがそっと私の手を握った。
「あなた、イザベラもこう言っているのだから許してあげてください。大聖女にも王命でまた戻るように言えば良いでしょ?」
ただ国一番に美しく、温厚な性格に惹かれカトレアを我が妃にと娶った。
美しいカトレアを美しく着飾るよう本人が望む物は何でも買い与えた。
ドレスや装飾品、希少な宝石など、カトレア自身も侯爵家で育ち、生まれながらに高級な物を知っている。
主催するお茶会や夜会の時など、毎度新しくドレスを新調していたが、それに相応しい女性だ。好きなだけ買わせていた。
横にいてくれるだけで良い、あとは何もせず社交をして貴族の情報を持っていてくれればと考えていたが、それがすべて間違いであったと今になって気付く。
知らな過ぎる、必要最低限である国の情勢すら知り得ない。この城の中のことすら知りもしない。
無知と言っても間違いは無いだろう。親がこうなのだ、娘があり得ないほどに愚かなのも当たり前だ。
「陛下、大聖女様の名誉のためにお伝え致しますが、大聖女様がハルバード殿にしなだれかかっていたと仰る王女殿下のお言葉は事実ではございません。私はお二人の後ろにおりましたから、離宮までの道のりでそのようなことはございませんでした」
イザベラはわかりやすく宰相の方に顔を向けて睨み付けた。
「嘘よ!私は見たの!私の言うことが正しいのに!お父様、この人をクビにしてくださいっ、こんな人に宰相は務まらないわ!」
宰相はイザベラの言葉に表情を変えることなく、手元の書類を見たあと私に視線を向けた。
私がこの男をクビにする訳が無い、その事をこの男が一番よくわかっている。
「お前たち、ハルバードの辺境の地に魔物が出ることは知っているか?魔物の森に瘴気を出す沼があり、その瘴気から魔物が生まれる。その魔物は生命体を捕食し増殖する。生命体には人間も含まれる」
幼い子供に話すように、わかりやすい言葉で妻と娘に話し掛ける。
どこまで理解しているのかよくわからないが、妻と娘は私をじっと見ている。
「その瘴気と魔物は永遠に湧いて出てくる。だから、辺境に住むハルバードが湧いて出てくる魔物を討伐しているのだ。それが辺境伯当主であるハルバードの仕事だ」
「ハルバード様がしなくちゃならない訳では無いでしょ?他の者にやらせればいいじゃない!」
もう呆れるを通り越して、いっそ笑えてくるくらい自分本位の我が儘な娘に話しを続ける。
「あの辺境伯領は代々メイザー家が受け継いでいる。あの地を守ることが、この王都を守ることになるのだ。
あいつらはその役割に誇りを持っている。それなのに、大変だろうから他のやつに代わって良いなどと言えるのか?」
「で、でもだって、ハルバード様が怪我をしたら!王女である私の婚約者を危険な場所に置くなんて、そんなの良くないわ!」
「だからだ、だから聖女を召喚したのだ。聖女には魔物も瘴気も浄化する力がある。
聖女の力を使えば、ハルバードも辺境の地の領民も魔物に襲われなくなる。
わかるか?聖女がいるからこの国で安心して暮らせるのだ」
「で、でもお兄様に強引に結婚を迫ったって聞いたわ!欲張りな女だって!それは重罪よ!」
ため息を飲み込み、痛くなる頭をなんとか働かせる。
ここまで頭の悪い娘だったとは…。
末の子であったのも、念願の娘だったのも甘やかすのには充分な理由だった。ただ可愛いと大事に育てた行く末が、このような無知で愚かな娘に育つとは。
「お前は誰にその話しを聞いたのだ。それは本当の話しなのか?自分で調べたのか?
仮に大聖女殿が欲張りな女だったとして、それが何だと言うのだ。国の危機をすべて退けてくれる人間が欲張りだとしてなんの文句がある?
この国を守ってくれるのだぞ、たった一人で。
それでは大聖女殿が重罪だとしよう、牢に入れて働かせなければ、魔物の討伐に日々苦しむのはハルバードだ。ハルバードが魔物に喰われでもしたら、今度はこの王都に魔物があふれるぞ?」
妻と娘がわかりやすく怯える。
魔物は別世界の話しで自分たちの生活には何ら関係無いと思っていたのだろう。ここまで話さないと理解できないなんて、失望感にも似た虚しさがただ胸に込み上げた。
そしてこの事は、私にも言えることなのだ。
妻と娘を責めることは出来ない、すべては私が引き起こした結果なのだ。
「カトレア、イザベラ、私は退位することにした。それに伴いお前たちも同様にこの国での権限を剥奪する」
「あなた!どうして!?そこまでの事ではないでしょ!?権限を剥奪って、私は王妃では無くなるの!?ねぇあなたっ…!ジルベール、貴方からも何か言って!」
「そうよ!そこまで悪いことなんてしてないわ!その大聖女だって戻ってきてもらえば良いだけでしょ!?イヤよっ、私は王女よ!この国で一番可愛い高貴な存在なのに!」
泣き喚く二人を護衛騎士に任せた。
最後まで何が悪いのかを理解できないまま幽閉しても、果たして何か救いがあるのか。
私の咎だ。
最後までこの二人の面倒を見るのが私への罰か…
「父上っ、大聖女様がいなくなったとは?」
フェリクスが慌てた様子で入って来た。
もうひとり面倒を見る人間が増えるのか、コイツの認識も甘いからな。
「あぁ、イザベラが大聖女殿に、お前に強引に結婚を迫った欲張りな女、ハルバードにしなだれかかったふしだら女と暴言を吐いた。その瞬間、大聖女殿は消えたそうだ」
「イザベラぁ…アイツめ、なんてことを言ったんだ!それでは大聖女殿はもう城に戻ってこなくなると言うことですよね?もう少しで名前を呼び合える仲になれたかもしれないのに!アイツ、イザベラのやつ殺してやる…!」
国の危機ではなく自分の色恋が優先か…
そもそもはコイツが巻いた種だ。この国の王太子以前に、とっくに成人している大人なのだ。
王族だからと関係無く、一般的に成人した大人ならこの国の状況や危機に敏感になっているのではないのか。
「お前は大聖女殿がいなくなった今どうするのだ」
「父上、私はすぐにでもメルトル村に行って、大聖女殿にイザベラの愚かな行いをお詫びしてきます。私はこれ以上、大聖女殿に失望されるわけにはいかないんです!どうしても彼女を私の妻にしたいのです!」
コイツも王族にしておく訳にはいかん… コイツに国を任せられない。それもこれも私の不甲斐なさの結果だ…
「フェリクス、私は退位することにした。この度の失態はお前たちを罰するだけでは済まない。私も責任取って退くことにした。そしてお前の王太子の任を解き、王族としての権限も剥奪する」
「なっ!なぜですかっ!?父上!なぜ、そんな退くなんて!わ、私に王位を譲っては頂けないのですか!?」
事の重大さもわからない、目先の自分の色恋を優先させるお粗末な判断力。
「それがわからないからお前に王位を譲れないのだ。私室で謹慎していろ。追って沙汰を出す」
なぜ、なぜですかっ!私は大聖女のもとに…
護衛に引きずられ部屋を出ていくまで叫んでいた。
育て方を間違えたか。そのような気はなかったが、やはり甘やかしていたのだろう。私の代でこのような結果になるとは。
愚王として末代まで語り継がれる屈辱に顔を歪める。
「サイラスを呼んでくれ」
国王カーティスはもう何度目かわからないため息をつき、泣きじゃくる愛娘を見つめた。
「だってお父様!あの女、ハルバード様にしなだれかかっていたのよ!そんなふしだら女に王族として躾をするのは当然でしょ!?ハルバード様は私の婚約者なのに!」
また深いため息をつくと、隣に座っている我が妻カトレアがそっと私の手を握った。
「あなた、イザベラもこう言っているのだから許してあげてください。大聖女にも王命でまた戻るように言えば良いでしょ?」
ただ国一番に美しく、温厚な性格に惹かれカトレアを我が妃にと娶った。
美しいカトレアを美しく着飾るよう本人が望む物は何でも買い与えた。
ドレスや装飾品、希少な宝石など、カトレア自身も侯爵家で育ち、生まれながらに高級な物を知っている。
主催するお茶会や夜会の時など、毎度新しくドレスを新調していたが、それに相応しい女性だ。好きなだけ買わせていた。
横にいてくれるだけで良い、あとは何もせず社交をして貴族の情報を持っていてくれればと考えていたが、それがすべて間違いであったと今になって気付く。
知らな過ぎる、必要最低限である国の情勢すら知り得ない。この城の中のことすら知りもしない。
無知と言っても間違いは無いだろう。親がこうなのだ、娘があり得ないほどに愚かなのも当たり前だ。
「陛下、大聖女様の名誉のためにお伝え致しますが、大聖女様がハルバード殿にしなだれかかっていたと仰る王女殿下のお言葉は事実ではございません。私はお二人の後ろにおりましたから、離宮までの道のりでそのようなことはございませんでした」
イザベラはわかりやすく宰相の方に顔を向けて睨み付けた。
「嘘よ!私は見たの!私の言うことが正しいのに!お父様、この人をクビにしてくださいっ、こんな人に宰相は務まらないわ!」
宰相はイザベラの言葉に表情を変えることなく、手元の書類を見たあと私に視線を向けた。
私がこの男をクビにする訳が無い、その事をこの男が一番よくわかっている。
「お前たち、ハルバードの辺境の地に魔物が出ることは知っているか?魔物の森に瘴気を出す沼があり、その瘴気から魔物が生まれる。その魔物は生命体を捕食し増殖する。生命体には人間も含まれる」
幼い子供に話すように、わかりやすい言葉で妻と娘に話し掛ける。
どこまで理解しているのかよくわからないが、妻と娘は私をじっと見ている。
「その瘴気と魔物は永遠に湧いて出てくる。だから、辺境に住むハルバードが湧いて出てくる魔物を討伐しているのだ。それが辺境伯当主であるハルバードの仕事だ」
「ハルバード様がしなくちゃならない訳では無いでしょ?他の者にやらせればいいじゃない!」
もう呆れるを通り越して、いっそ笑えてくるくらい自分本位の我が儘な娘に話しを続ける。
「あの辺境伯領は代々メイザー家が受け継いでいる。あの地を守ることが、この王都を守ることになるのだ。
あいつらはその役割に誇りを持っている。それなのに、大変だろうから他のやつに代わって良いなどと言えるのか?」
「で、でもだって、ハルバード様が怪我をしたら!王女である私の婚約者を危険な場所に置くなんて、そんなの良くないわ!」
「だからだ、だから聖女を召喚したのだ。聖女には魔物も瘴気も浄化する力がある。
聖女の力を使えば、ハルバードも辺境の地の領民も魔物に襲われなくなる。
わかるか?聖女がいるからこの国で安心して暮らせるのだ」
「で、でもお兄様に強引に結婚を迫ったって聞いたわ!欲張りな女だって!それは重罪よ!」
ため息を飲み込み、痛くなる頭をなんとか働かせる。
ここまで頭の悪い娘だったとは…。
末の子であったのも、念願の娘だったのも甘やかすのには充分な理由だった。ただ可愛いと大事に育てた行く末が、このような無知で愚かな娘に育つとは。
「お前は誰にその話しを聞いたのだ。それは本当の話しなのか?自分で調べたのか?
仮に大聖女殿が欲張りな女だったとして、それが何だと言うのだ。国の危機をすべて退けてくれる人間が欲張りだとしてなんの文句がある?
この国を守ってくれるのだぞ、たった一人で。
それでは大聖女殿が重罪だとしよう、牢に入れて働かせなければ、魔物の討伐に日々苦しむのはハルバードだ。ハルバードが魔物に喰われでもしたら、今度はこの王都に魔物があふれるぞ?」
妻と娘がわかりやすく怯える。
魔物は別世界の話しで自分たちの生活には何ら関係無いと思っていたのだろう。ここまで話さないと理解できないなんて、失望感にも似た虚しさがただ胸に込み上げた。
そしてこの事は、私にも言えることなのだ。
妻と娘を責めることは出来ない、すべては私が引き起こした結果なのだ。
「カトレア、イザベラ、私は退位することにした。それに伴いお前たちも同様にこの国での権限を剥奪する」
「あなた!どうして!?そこまでの事ではないでしょ!?権限を剥奪って、私は王妃では無くなるの!?ねぇあなたっ…!ジルベール、貴方からも何か言って!」
「そうよ!そこまで悪いことなんてしてないわ!その大聖女だって戻ってきてもらえば良いだけでしょ!?イヤよっ、私は王女よ!この国で一番可愛い高貴な存在なのに!」
泣き喚く二人を護衛騎士に任せた。
最後まで何が悪いのかを理解できないまま幽閉しても、果たして何か救いがあるのか。
私の咎だ。
最後までこの二人の面倒を見るのが私への罰か…
「父上っ、大聖女様がいなくなったとは?」
フェリクスが慌てた様子で入って来た。
もうひとり面倒を見る人間が増えるのか、コイツの認識も甘いからな。
「あぁ、イザベラが大聖女殿に、お前に強引に結婚を迫った欲張りな女、ハルバードにしなだれかかったふしだら女と暴言を吐いた。その瞬間、大聖女殿は消えたそうだ」
「イザベラぁ…アイツめ、なんてことを言ったんだ!それでは大聖女殿はもう城に戻ってこなくなると言うことですよね?もう少しで名前を呼び合える仲になれたかもしれないのに!アイツ、イザベラのやつ殺してやる…!」
国の危機ではなく自分の色恋が優先か…
そもそもはコイツが巻いた種だ。この国の王太子以前に、とっくに成人している大人なのだ。
王族だからと関係無く、一般的に成人した大人ならこの国の状況や危機に敏感になっているのではないのか。
「お前は大聖女殿がいなくなった今どうするのだ」
「父上、私はすぐにでもメルトル村に行って、大聖女殿にイザベラの愚かな行いをお詫びしてきます。私はこれ以上、大聖女殿に失望されるわけにはいかないんです!どうしても彼女を私の妻にしたいのです!」
コイツも王族にしておく訳にはいかん… コイツに国を任せられない。それもこれも私の不甲斐なさの結果だ…
「フェリクス、私は退位することにした。この度の失態はお前たちを罰するだけでは済まない。私も責任取って退くことにした。そしてお前の王太子の任を解き、王族としての権限も剥奪する」
「なっ!なぜですかっ!?父上!なぜ、そんな退くなんて!わ、私に王位を譲っては頂けないのですか!?」
事の重大さもわからない、目先の自分の色恋を優先させるお粗末な判断力。
「それがわからないからお前に王位を譲れないのだ。私室で謹慎していろ。追って沙汰を出す」
なぜ、なぜですかっ!私は大聖女のもとに…
護衛に引きずられ部屋を出ていくまで叫んでいた。
育て方を間違えたか。そのような気はなかったが、やはり甘やかしていたのだろう。私の代でこのような結果になるとは。
愚王として末代まで語り継がれる屈辱に顔を歪める。
「サイラスを呼んでくれ」
557
あなたにおすすめの小説
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完】出来損ない令嬢は、双子の娘を持つ公爵様と契約結婚する~いつの間にか公爵様と7歳のかわいい双子たちに、めいっぱい溺愛されていました~
夏芽空
恋愛
子爵令嬢のエレナは、常に優秀な妹と比較され家族からひどい扱いを受けてきた。
しかし彼女は7歳の双子の娘を持つ公爵――ジオルトと契約結婚したことで、最低な家族の元を離れることができた。
しかも、条件は最高。公の場で妻を演じる以外は自由に過ごしていい上に、さらには給料までも出してくてれるという。
夢のような生活を手に入れた――と、思ったのもつかの間。
いきなり事件が発生してしまう。
結婚したその翌日に、双子の姉が令嬢教育の教育係をやめさせてしまった。
しかもジオルトは仕事で出かけていて、帰ってくるのはなんと一週間後だ。
(こうなったら、私がなんとかするしかないわ!)
腹をくくったエレナは、おもいきった行動を起こす。
それがきっかけとなり、ちょっと癖のある美少女双子義娘と、彼女たちよりもさらに癖の強いジオルトとの距離が縮まっていくのだった――。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる