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62.歳を重ねる
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マーゴットさんのお家に行くと、微かに違和感があった。
以前来たときのような生活感があって活き活きした家ではないような。
何となく寂しい感情が室内からもあふれている。
「マーゴットさん、息子さんの姿絵倒れてるよ」
「おやそうかい、気が付かなかったよ。ほら座りな、今疲れの取れるお茶を淹れるから」
何となく埃っぽく感じる室内をそっと魔法で綺麗にした。
「マーゴットさん、息子さんは元気なの?お手紙くる?」
「ああ、一昨日も手紙が来て、来月孫が王都で結婚式を挙げるってさ」
慣れた手つきでお茶を淹れ、私の前に置いてくれる。
「ありがとう。…マーゴットさんは結婚式に行かないの?」
お茶を一口飲むと、ふぅっとため息をついて、
「この歳になると王都まで馬車に乗って行くなんてもう無理な話だよ」
マーゴットさん落ち込んでたんだ。ずっと曾孫ちゃんにも会いたいって言ってたもん。お孫さんの結婚式だって出たいよね。
「マーゴットさん、行こうよ。私が連れて行ってあげるよ。一瞬だから、疲れないよ?」
マーゴットさんはえっ?という顔をして驚いている。
え?っと私も驚く。
えっ?マーゴットさん、私が魔法使えるの知らなかったの?
ここまで来て?付き合い長いよね、この世界では一番長いよね?
私がマーゴットさんの目の前に突然現れたのは何だと思ってたの?
「マーゴットさん、実は私、魔法が使えるの。行きたい場所に一瞬で行けるんだよ」
「えっ?レイ、何だって?魔法?」
とにかく結婚式は行けるよって返事を出しておくように言って、そのままマーゴットさんの家に泊まらせてもらった。
翌朝、また美味しいマーゴットさんの朝食を頂いて、仕事に行くと言って辺境の城に戻った。戻る時間と場所は決めていたので、城の人を驚かせることは無い。
シュッンと移動すると、
「キャアー!!レイ様が戻ってきてくださったわーっ!!」
使用人の皆さんやらハンナさんやら熱烈歓迎してくれた。
「美麗!嬉しいよ!戻ってきてくれて!」
一番はハルだった。
私を抱き締め、頭やおでこやほっぺにチュッチュッとすると私を抱き上げて運び出した。
「ちょっと!ハル!皆さんにご挨拶してない!」
と抱えられたまま後ろを振り向くと、皆が満面の笑顔で手を振っていた。
ハルの応接室に入ると、ハルは私を抱えたままソファーに座った。
「あぁー美麗会いたかったよ!無事だった?なにか心配なことは無かった?」
と、抱えたまま私の全身を確認し、私を見つめるとギューッと抱き締めた。
「ハル?私が居なかったの一晩だけだよ?なんなら一日も経ってないかも」
「美麗?美麗は寂しくなかったってことだね?もう…」
そう言うと少し悪い顔をして、私の唇に吸い付いてきた。このまま放っておいたら、何時間も唇も舌も吸われ続ける。
「ん~~!」とハルの胸を押すと、ハルがやっと離れる。
「美麗、もうおしまいなの…?俺は寂しかったのに…?」
え?そんなに?そんなに寂しかったの?な、なんだか悪いことした…?
「ハル、ごめんね、そんなつもりじゃなくて…」
するとハルはニヤッとしたかと思うと、また私の唇を塞いだ。もう!またわざとだ!……でも私も寂しくなかったわけじゃない…し…。
ハルは私が抵抗しないのを良いことに、私の唇や舌を好き勝手している。
「…はぁ、美麗?抵抗してくれないと危険だよ?俺はこのままずっとこの部屋に籠っても問題無いけど?奥にベッドがあるし」
はっ!しまった!されるがままに委ねてしまった…だって…私も…
「だって、私も…ハルが…好きだし」
ハルが凄く驚いた顔をしたあと、私を持ち上げようとしたので、
「まっ、待って待って!ごめんなさいハル、まだその、そう言う意味ではなくて…」
クスクスクスと笑ってハルが私を抱き締めた。
「美麗、冗談だよ。その時が来るまでは美麗のことは大切にしたい、と思ってる。だけどね美麗、美麗が思っている以上に俺は美麗が好きなんだ。唇は許してもらったから、それだけでも幸せなんだ。
だけど、無性にこう、なんていうか、我慢の限界がね、くるというか……」
しどろもどろだけど、なんとなく、なんとなく言いたいことがわかる気もする。
「あー、たった一日でこれなんだから、俺これから思いやられるな…美麗、愛してる」
ハルが私をとても大切で、好きでいてくれることに喜びの感情が込み上げる。
「ハル大好き」
私がハルの背中に両手を回すと、ハルはものすごく挙動不審となりながら、私を抱き締め何度も何度もチュッチュッとしていた。
甘いひとときが終わると、私はマーゴットさんのことをハルに話した。
「そうか、美麗をこの国で初めて救ってくれた人だからね。俺にとっても恩人だ。ぜひ協力したいよ」
マーゴットさんのお手紙から息子さんの家の住所を控えてきた私は、ハルが見せてくれた王都の地図から家を探した。
「美麗が一人で行っても会ってくれないかも知れない。俺も一緒に行くよ」
それは頼もしいけど、ハルのお仕事は大丈夫なのかな?
「昨日のうちに一週間分終わらせてるから。あとは指示を出しておいたし。今までも魔物討伐で不在にすることが多かったから、みんなわかってるんだ」
それから私はハルと二人で王都のマーゴットさんの息子さんの家の前に瞬間移動した。
「……ヒィッ…!だ、誰ですか…?」
そこにはマーゴットさんにそっくりな男性が立っていた。
以前来たときのような生活感があって活き活きした家ではないような。
何となく寂しい感情が室内からもあふれている。
「マーゴットさん、息子さんの姿絵倒れてるよ」
「おやそうかい、気が付かなかったよ。ほら座りな、今疲れの取れるお茶を淹れるから」
何となく埃っぽく感じる室内をそっと魔法で綺麗にした。
「マーゴットさん、息子さんは元気なの?お手紙くる?」
「ああ、一昨日も手紙が来て、来月孫が王都で結婚式を挙げるってさ」
慣れた手つきでお茶を淹れ、私の前に置いてくれる。
「ありがとう。…マーゴットさんは結婚式に行かないの?」
お茶を一口飲むと、ふぅっとため息をついて、
「この歳になると王都まで馬車に乗って行くなんてもう無理な話だよ」
マーゴットさん落ち込んでたんだ。ずっと曾孫ちゃんにも会いたいって言ってたもん。お孫さんの結婚式だって出たいよね。
「マーゴットさん、行こうよ。私が連れて行ってあげるよ。一瞬だから、疲れないよ?」
マーゴットさんはえっ?という顔をして驚いている。
え?っと私も驚く。
えっ?マーゴットさん、私が魔法使えるの知らなかったの?
ここまで来て?付き合い長いよね、この世界では一番長いよね?
私がマーゴットさんの目の前に突然現れたのは何だと思ってたの?
「マーゴットさん、実は私、魔法が使えるの。行きたい場所に一瞬で行けるんだよ」
「えっ?レイ、何だって?魔法?」
とにかく結婚式は行けるよって返事を出しておくように言って、そのままマーゴットさんの家に泊まらせてもらった。
翌朝、また美味しいマーゴットさんの朝食を頂いて、仕事に行くと言って辺境の城に戻った。戻る時間と場所は決めていたので、城の人を驚かせることは無い。
シュッンと移動すると、
「キャアー!!レイ様が戻ってきてくださったわーっ!!」
使用人の皆さんやらハンナさんやら熱烈歓迎してくれた。
「美麗!嬉しいよ!戻ってきてくれて!」
一番はハルだった。
私を抱き締め、頭やおでこやほっぺにチュッチュッとすると私を抱き上げて運び出した。
「ちょっと!ハル!皆さんにご挨拶してない!」
と抱えられたまま後ろを振り向くと、皆が満面の笑顔で手を振っていた。
ハルの応接室に入ると、ハルは私を抱えたままソファーに座った。
「あぁー美麗会いたかったよ!無事だった?なにか心配なことは無かった?」
と、抱えたまま私の全身を確認し、私を見つめるとギューッと抱き締めた。
「ハル?私が居なかったの一晩だけだよ?なんなら一日も経ってないかも」
「美麗?美麗は寂しくなかったってことだね?もう…」
そう言うと少し悪い顔をして、私の唇に吸い付いてきた。このまま放っておいたら、何時間も唇も舌も吸われ続ける。
「ん~~!」とハルの胸を押すと、ハルがやっと離れる。
「美麗、もうおしまいなの…?俺は寂しかったのに…?」
え?そんなに?そんなに寂しかったの?な、なんだか悪いことした…?
「ハル、ごめんね、そんなつもりじゃなくて…」
するとハルはニヤッとしたかと思うと、また私の唇を塞いだ。もう!またわざとだ!……でも私も寂しくなかったわけじゃない…し…。
ハルは私が抵抗しないのを良いことに、私の唇や舌を好き勝手している。
「…はぁ、美麗?抵抗してくれないと危険だよ?俺はこのままずっとこの部屋に籠っても問題無いけど?奥にベッドがあるし」
はっ!しまった!されるがままに委ねてしまった…だって…私も…
「だって、私も…ハルが…好きだし」
ハルが凄く驚いた顔をしたあと、私を持ち上げようとしたので、
「まっ、待って待って!ごめんなさいハル、まだその、そう言う意味ではなくて…」
クスクスクスと笑ってハルが私を抱き締めた。
「美麗、冗談だよ。その時が来るまでは美麗のことは大切にしたい、と思ってる。だけどね美麗、美麗が思っている以上に俺は美麗が好きなんだ。唇は許してもらったから、それだけでも幸せなんだ。
だけど、無性にこう、なんていうか、我慢の限界がね、くるというか……」
しどろもどろだけど、なんとなく、なんとなく言いたいことがわかる気もする。
「あー、たった一日でこれなんだから、俺これから思いやられるな…美麗、愛してる」
ハルが私をとても大切で、好きでいてくれることに喜びの感情が込み上げる。
「ハル大好き」
私がハルの背中に両手を回すと、ハルはものすごく挙動不審となりながら、私を抱き締め何度も何度もチュッチュッとしていた。
甘いひとときが終わると、私はマーゴットさんのことをハルに話した。
「そうか、美麗をこの国で初めて救ってくれた人だからね。俺にとっても恩人だ。ぜひ協力したいよ」
マーゴットさんのお手紙から息子さんの家の住所を控えてきた私は、ハルが見せてくれた王都の地図から家を探した。
「美麗が一人で行っても会ってくれないかも知れない。俺も一緒に行くよ」
それは頼もしいけど、ハルのお仕事は大丈夫なのかな?
「昨日のうちに一週間分終わらせてるから。あとは指示を出しておいたし。今までも魔物討伐で不在にすることが多かったから、みんなわかってるんだ」
それから私はハルと二人で王都のマーゴットさんの息子さんの家の前に瞬間移動した。
「……ヒィッ…!だ、誰ですか…?」
そこにはマーゴットさんにそっくりな男性が立っていた。
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