77 / 94
77.仕事を再開
しおりを挟む
私が目覚めてから三か月が経った。
辺境伯領は、元兵士の皆さんが頑張ってくれて、傷んで壊れていた箇所も修繕し、役場や病院などの建物は綺麗で頑丈になった。領民の皆さんもとても喜んでいた。
そして道路も、舗装してあるのかと思うほど平らで、馬車のガタつきも格段に減った。もう完璧にプロの仕事だ。
そして職業訓練校も、土木のお仕事をしたい人向けや、文字を習いたい人、事務仕事をしたい人、とにかく色々学びたい人、学ぶ意欲のある人はどんな人でも受け入れた。
元は無職になった兵士さんのためにと思い設立したが、聞くと女性にも学びたい人がたくさんいた。
中にはいざ学び始めると、学者くらい植物に詳しい女性がいたり、文章を書かせたら作家になれるほどの文才のある人もいた。
学ぶ機会がなかっただけで、埋もれている才能がたくさんあることに驚いた。
もうこれは国の宝だと思い、それなら幼いうちに才能を発掘し、本人の興味に合わせてその才能に投資をしようと思った。
子供はどんな可能性を持っているかわからない。
「ハル、私、子供たちの学校を作りたいの。年齢で分けて、早い子は3歳くらいから学ばせたい。幼い子は勉強ではなく、遊びの中から才能を見つけたいの」
ハルは驚いて言葉を失った。
「美麗、君って人は本当に俺を驚かせるのが上手いな…。その話はもうエルドレッド殿の範疇だ。とりあえず企画書を作って提出しよう。了承を得られれば、国家予算で進められるぞ」
私は元の世界の幼稚園や小学校をイメージし、幼稚園は3歳から6歳まで、小学校は7歳から14歳までとし、授業料は無料にして朝食と昼食も無料で出す事にした。
食事を出せば、職業訓練校に通う家族と一緒に食事が取れる。
お腹が空けば悪いことを考えがちだ。食が満たされたら、次のことが考えられる。
たくさん食べて、興味のあることを見つけて、たくさん勉強してほしい。
「やあ、レイ殿、久しぶりだね。元気にしているとは聞いていたが、なかなか会いに行けなくてすまなかったね」
エルドレッドさんは、この国を治めている貫禄なのか、ひとまわり大きく見えた。
「それでレイ殿、企画書を見たよ。少し改善点はあるが、概ねこれで進めていけるよ。凄いね、君ひとりで思いついたのかな?これは未来のためにも国のためにも、素晴らしい発想だ。君の小さな頭にある知恵と想像力にはあとどれだけ驚かされるのかな?」
エルドレッドさんは、楽しそうな顔をしてにっこり笑った。
「これは君の素晴らしい案だ。しかし、国のためを考えると国費で進めるべき事業だ。君始動で進めてもらえるかな?」
「ありがとうございます!それでは細かく相談させてもらいながら進めて行きますね!嬉しい!」
エルドレッドさんは急に、
「…!え?あっ、あぁ、そうだね、ありがとう、…?なんで、ありがとう?あれ?俺…どうした…?」
と顔を真っ赤にしている。え?エルドレッドさん大丈夫…?熱?風邪?
すると、隣にいたハルが突然私の顔をハルの胸に押し付けた。
「…美麗、帰るぞ、私たちの家に。エルドレッド皇太子殿下、私の婚約者はその辺りはとても鈍感で私は助かっていますよ、それではまた」
謎かけ?謎かけなの?私が鈍感だから、謎かけがわからないって話し?
ハルは、困ったな、その都度付き添わないとダメだな…、気付きやがって…とブツブツ言うと、
「いいかい美麗、エルドレッド殿に会うときは必ず、絶対に俺も一緒だよ?約束できる?」
すがるように、子供に言うように私を見つめる。……その心は…?
「…?うん、わかった」
「偉いね、美麗は良い子だ!よしよし今日も可愛いなぁ~、本当に」
と言い、城の廊下なのに私をギュッと抱き締めた。
それから私は、職業訓練校の横の土地に幼稚園と小学校を建てた。
それも元兵士の皆さんの力を借りつつ、私の力を皆さんに注ぎながら驚異的なスピードで建設が進み、あっという間に開校となった時には自分でも驚いた。
幼稚園の先生は、子育ての終わったベテラン父母たちに情緒面を担当してもらい、元文官さんたちはガッツリお勉強を、元気に外で遊ぶ担当を子供好きの若者が担当した。
その人選は、エルドレッドさんとザイカラル帝国の皇后で、エルドレッドさんのお母様であるキャサリン様だった。
「レイ様…お会いしたかったわ…」
そう言って私をガッチリ抱き締めたキャサリン様は、目に涙を浮かべ、
「体調は良いのかしら?私はずっと貴女に会いたかったのよ?だけどノアがまだだまだだって言って全然会わせてくれないの、それでね、貴女にお手紙を書いたのよ、それもノアが――――」
キャサリン様の勢いが止まらないが、私が一年も眠っている間、ずっと気に掛けてくれていたなんて、ありがたい…。
「キャサリン様、ありがとうございます。そして講師の方々も紹介してくださって嬉しかったです!」
「あ、あら!やだ…えっ?…ええ、良いのよ!そんな事くらい、私に任せて?…それより貴女のこともう一度抱き締めても良いかしら?」
なぜか真っ赤になっているキャサリン様は、エルドレッドさんとノアさんに退場させられていた。なぜ?
小学校もザイカラル帝国からのベテラン教師が赴任してきて、幼稚園の講師と連携を取りながら、カリキュラムを進めていってくれた。
この国初めての幼稚園設立のため、幼稚園講師から教材が少ないと相談された。
調べてみるとこの国に絵本が無かった。
私も教育について詳しくはないが、自分が幼稚園生の頃、よく絵本や紙芝居を読んでもらった記憶がある。
よし、1冊作ってみよう。
大好きだった三匹のヤギのお話を完全にパクった。大人になってから思い出してもよい物語だ。…でもこれってバレたら訴訟で完全敗訴だよね…。どうかバレませんように…
子供たちに読んで聞かせると、みんな目を丸くして驚いていた。あれ?違った…?名作なんだけど……
「「「れいしゃま!もっかい!もっかい!」」」
講師の方々も、もっかいという顔をしている。良かったー!
このあと「もっかい」コールに応え20回くらい読んだ。最後の方は子供たちが、「オレだー!」と一緒に叫んでいた。名作だわ~!
その他にもどろんこになるワンちゃんのお話も丸パクリした…。
それ以外は天気にかかわらずフィールドワークを多めにお願いした。
製薬会社で働くことになり、細菌やウイルスなどについても少し学んだ。
その時、子供の頃から土に触れることは良いことだと聞いたのを思い出した。
後にどんなことが役に立つかわからない。外で思いっきり遊びながら辺境の地の豊かな自然を、ここに住むものとして知識として知っておいてほしい。
子供の頃に知っておけば、大人になっても大切にしてくれるかもしれない。
草や花、昆虫など、男女問わず嫌悪感を知らないうちに、触れて観察してほしい。気持ち悪い虫かもしれないけど、調べてみたら草木には役立つ虫かもしれない。
そういった事を伝えると、講師の方々がうーんと唸っていた。
「我々の考える教育とはまるで違います。しかし、とても興味深い話です」
子供たちが興味を持った花でも虫でも良いので、それをとことん調べさせてほしい。
花なら、どんな色でいつ咲くのか、実はなるのか毒は無いか、どこまで大きくなるのか、その花に関してはミニ博士になれるくらい徹底して調べて、それを発表する機会もつくる。それを子供の自主性を尊重しながらお手伝いしてあげてほしい。
「わかりました、我々もそのような授業は初めてですので上手くいくかわかりませんが、やってみましょう」
そうして辺境の地の幼児教育は始まった。
教育面は結果が出るのに少し時間が必要なので、あとは時々エルドレッドさんと一緒に様子を見ながら、講師の皆さんにお任せした。
辺境伯領は、元兵士の皆さんが頑張ってくれて、傷んで壊れていた箇所も修繕し、役場や病院などの建物は綺麗で頑丈になった。領民の皆さんもとても喜んでいた。
そして道路も、舗装してあるのかと思うほど平らで、馬車のガタつきも格段に減った。もう完璧にプロの仕事だ。
そして職業訓練校も、土木のお仕事をしたい人向けや、文字を習いたい人、事務仕事をしたい人、とにかく色々学びたい人、学ぶ意欲のある人はどんな人でも受け入れた。
元は無職になった兵士さんのためにと思い設立したが、聞くと女性にも学びたい人がたくさんいた。
中にはいざ学び始めると、学者くらい植物に詳しい女性がいたり、文章を書かせたら作家になれるほどの文才のある人もいた。
学ぶ機会がなかっただけで、埋もれている才能がたくさんあることに驚いた。
もうこれは国の宝だと思い、それなら幼いうちに才能を発掘し、本人の興味に合わせてその才能に投資をしようと思った。
子供はどんな可能性を持っているかわからない。
「ハル、私、子供たちの学校を作りたいの。年齢で分けて、早い子は3歳くらいから学ばせたい。幼い子は勉強ではなく、遊びの中から才能を見つけたいの」
ハルは驚いて言葉を失った。
「美麗、君って人は本当に俺を驚かせるのが上手いな…。その話はもうエルドレッド殿の範疇だ。とりあえず企画書を作って提出しよう。了承を得られれば、国家予算で進められるぞ」
私は元の世界の幼稚園や小学校をイメージし、幼稚園は3歳から6歳まで、小学校は7歳から14歳までとし、授業料は無料にして朝食と昼食も無料で出す事にした。
食事を出せば、職業訓練校に通う家族と一緒に食事が取れる。
お腹が空けば悪いことを考えがちだ。食が満たされたら、次のことが考えられる。
たくさん食べて、興味のあることを見つけて、たくさん勉強してほしい。
「やあ、レイ殿、久しぶりだね。元気にしているとは聞いていたが、なかなか会いに行けなくてすまなかったね」
エルドレッドさんは、この国を治めている貫禄なのか、ひとまわり大きく見えた。
「それでレイ殿、企画書を見たよ。少し改善点はあるが、概ねこれで進めていけるよ。凄いね、君ひとりで思いついたのかな?これは未来のためにも国のためにも、素晴らしい発想だ。君の小さな頭にある知恵と想像力にはあとどれだけ驚かされるのかな?」
エルドレッドさんは、楽しそうな顔をしてにっこり笑った。
「これは君の素晴らしい案だ。しかし、国のためを考えると国費で進めるべき事業だ。君始動で進めてもらえるかな?」
「ありがとうございます!それでは細かく相談させてもらいながら進めて行きますね!嬉しい!」
エルドレッドさんは急に、
「…!え?あっ、あぁ、そうだね、ありがとう、…?なんで、ありがとう?あれ?俺…どうした…?」
と顔を真っ赤にしている。え?エルドレッドさん大丈夫…?熱?風邪?
すると、隣にいたハルが突然私の顔をハルの胸に押し付けた。
「…美麗、帰るぞ、私たちの家に。エルドレッド皇太子殿下、私の婚約者はその辺りはとても鈍感で私は助かっていますよ、それではまた」
謎かけ?謎かけなの?私が鈍感だから、謎かけがわからないって話し?
ハルは、困ったな、その都度付き添わないとダメだな…、気付きやがって…とブツブツ言うと、
「いいかい美麗、エルドレッド殿に会うときは必ず、絶対に俺も一緒だよ?約束できる?」
すがるように、子供に言うように私を見つめる。……その心は…?
「…?うん、わかった」
「偉いね、美麗は良い子だ!よしよし今日も可愛いなぁ~、本当に」
と言い、城の廊下なのに私をギュッと抱き締めた。
それから私は、職業訓練校の横の土地に幼稚園と小学校を建てた。
それも元兵士の皆さんの力を借りつつ、私の力を皆さんに注ぎながら驚異的なスピードで建設が進み、あっという間に開校となった時には自分でも驚いた。
幼稚園の先生は、子育ての終わったベテラン父母たちに情緒面を担当してもらい、元文官さんたちはガッツリお勉強を、元気に外で遊ぶ担当を子供好きの若者が担当した。
その人選は、エルドレッドさんとザイカラル帝国の皇后で、エルドレッドさんのお母様であるキャサリン様だった。
「レイ様…お会いしたかったわ…」
そう言って私をガッチリ抱き締めたキャサリン様は、目に涙を浮かべ、
「体調は良いのかしら?私はずっと貴女に会いたかったのよ?だけどノアがまだだまだだって言って全然会わせてくれないの、それでね、貴女にお手紙を書いたのよ、それもノアが――――」
キャサリン様の勢いが止まらないが、私が一年も眠っている間、ずっと気に掛けてくれていたなんて、ありがたい…。
「キャサリン様、ありがとうございます。そして講師の方々も紹介してくださって嬉しかったです!」
「あ、あら!やだ…えっ?…ええ、良いのよ!そんな事くらい、私に任せて?…それより貴女のこともう一度抱き締めても良いかしら?」
なぜか真っ赤になっているキャサリン様は、エルドレッドさんとノアさんに退場させられていた。なぜ?
小学校もザイカラル帝国からのベテラン教師が赴任してきて、幼稚園の講師と連携を取りながら、カリキュラムを進めていってくれた。
この国初めての幼稚園設立のため、幼稚園講師から教材が少ないと相談された。
調べてみるとこの国に絵本が無かった。
私も教育について詳しくはないが、自分が幼稚園生の頃、よく絵本や紙芝居を読んでもらった記憶がある。
よし、1冊作ってみよう。
大好きだった三匹のヤギのお話を完全にパクった。大人になってから思い出してもよい物語だ。…でもこれってバレたら訴訟で完全敗訴だよね…。どうかバレませんように…
子供たちに読んで聞かせると、みんな目を丸くして驚いていた。あれ?違った…?名作なんだけど……
「「「れいしゃま!もっかい!もっかい!」」」
講師の方々も、もっかいという顔をしている。良かったー!
このあと「もっかい」コールに応え20回くらい読んだ。最後の方は子供たちが、「オレだー!」と一緒に叫んでいた。名作だわ~!
その他にもどろんこになるワンちゃんのお話も丸パクリした…。
それ以外は天気にかかわらずフィールドワークを多めにお願いした。
製薬会社で働くことになり、細菌やウイルスなどについても少し学んだ。
その時、子供の頃から土に触れることは良いことだと聞いたのを思い出した。
後にどんなことが役に立つかわからない。外で思いっきり遊びながら辺境の地の豊かな自然を、ここに住むものとして知識として知っておいてほしい。
子供の頃に知っておけば、大人になっても大切にしてくれるかもしれない。
草や花、昆虫など、男女問わず嫌悪感を知らないうちに、触れて観察してほしい。気持ち悪い虫かもしれないけど、調べてみたら草木には役立つ虫かもしれない。
そういった事を伝えると、講師の方々がうーんと唸っていた。
「我々の考える教育とはまるで違います。しかし、とても興味深い話です」
子供たちが興味を持った花でも虫でも良いので、それをとことん調べさせてほしい。
花なら、どんな色でいつ咲くのか、実はなるのか毒は無いか、どこまで大きくなるのか、その花に関してはミニ博士になれるくらい徹底して調べて、それを発表する機会もつくる。それを子供の自主性を尊重しながらお手伝いしてあげてほしい。
「わかりました、我々もそのような授業は初めてですので上手くいくかわかりませんが、やってみましょう」
そうして辺境の地の幼児教育は始まった。
教育面は結果が出るのに少し時間が必要なので、あとは時々エルドレッドさんと一緒に様子を見ながら、講師の皆さんにお任せした。
225
あなたにおすすめの小説
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完】出来損ない令嬢は、双子の娘を持つ公爵様と契約結婚する~いつの間にか公爵様と7歳のかわいい双子たちに、めいっぱい溺愛されていました~
夏芽空
恋愛
子爵令嬢のエレナは、常に優秀な妹と比較され家族からひどい扱いを受けてきた。
しかし彼女は7歳の双子の娘を持つ公爵――ジオルトと契約結婚したことで、最低な家族の元を離れることができた。
しかも、条件は最高。公の場で妻を演じる以外は自由に過ごしていい上に、さらには給料までも出してくてれるという。
夢のような生活を手に入れた――と、思ったのもつかの間。
いきなり事件が発生してしまう。
結婚したその翌日に、双子の姉が令嬢教育の教育係をやめさせてしまった。
しかもジオルトは仕事で出かけていて、帰ってくるのはなんと一週間後だ。
(こうなったら、私がなんとかするしかないわ!)
腹をくくったエレナは、おもいきった行動を起こす。
それがきっかけとなり、ちょっと癖のある美少女双子義娘と、彼女たちよりもさらに癖の強いジオルトとの距離が縮まっていくのだった――。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる