甘い嘘と罪悪な恋

なかな悠桃

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「あァン・・・と、も・・・も、う・・・はぁンっ」

「はぁ、はぁ、俺も、もう・・・イ、キ・・・そう」

壁に手を付き 腰に両手を添え倫は激しく揺さぶるように突き上げる。その激しさから澪の両脚はガクガクと震え出していた。

「澪、こっち向いて。キスしながらイキたい」

倫の懇願に澪は体勢を前へと向き直すと倫に片脚を持ち上げられバランスを崩しそうになる。

「首に手回して、ちゃんと支えてあげるから」

澪は倫の言う通り首に手を回すと再び抽挿が始まりぐちゅ、くちゃ、と水音が下腹部辺りから聞こえ羞恥と気持ち良さで頬が紅潮する。倫は更に身体を密着させ自身のモノで膣内をぐりぐりと押し付け最奥へと穿つ。

「はぁ、澪、キスして・・・もう・・・俺、イキそ・・・」

澪の返事を聞くまでもなく倫は襲い掛かるように口唇を貪り、それと共に腰の動きは激しくその抽挿に悲鳴を上げそうになるも倫の口唇のおかげで呻き声が漏れるだけで済んだ。

「んっ・・・、んぐっ・・・んぅ」

「はっ・・・はっ・・・イ、ク・・・んっ、っは・・・っと、あぶなっ」

ドクン、と膣内ナカで大きく膨張した圧迫とその後にビクビクとする動きを感じながら澪は腰が砕けたかのように崩れ落ちそうになるところを倫は慌てて抱き竦めた。

「大丈夫か?」

倫の問いかけにも応えたいが、声が掠れなかなか出せないでいるとそっと澪を傍にあったパイプ椅子に座らせた。

「ごめん、ちょっと無理させた?」

倫は自身のリュックから水が入ったペットボトルを澪に手渡し、それを貰うと少量の水を口に含み飲み込んだ。

「ありがと」

少し掠れながらも倫にお礼を言うともう一口含んだ。「俺にも頂戴」澪に渡したペットボトルを手から抜き取りごくごくと飲んだ。その間に澪は片脚に辛うじてぶら下がるように残ったショーツを穿き直し着崩れた制服を直した。


「ねぇ、来週末デートしない?ほら、もうちょっとで三年だろ?嫌でも受験モードになるし、その前に」

「デート・・・」

それなりに倫とは付き合いが長いが、二人でどこかへ行ったことはなかった。行っても昇多を挟んでが多かったし、そもそも倫は別の女の子との付き合いが忙しくてそれどころではなかった。しかも今はセフレの関係、校内での色事だけでそれ以外はなるべく関わらないよう澪は無意識に避けていた。

「別に深い意味はないから、どっか行きたいとこあったら教えて。俺の方も何個かピックアップしとくからさ」

「・・・わかった」

「ただ、昇多には内緒にしといて」

倫が発した言葉は腑に落ちないところもあったが、もし何かの拍子に今の関係を勘繰られても面倒だと頭の中で判断し澪もその意見に同調した。






――――――――――
今年も昨年と同じく暖冬のおかげで雪に悩まされることはないが、まだまだ風は冷たく吹く風に乱れた髪を手で抑えながら澪は待ち合わせの時間より少しだけ早く場所に到着した。すると少し離れた場所でスマホを弄りながら既に倫が到着していたのが見えた。

カジュアルな中折れハット、落ち着いた色合いのチェスターコートを羽織り、細身のパンツスタイルで待つ倫を周囲の女性や同年代の女の子たちが彼に視線を向けながらヒソヒソとうっとりした表情で彼を眺めていた。

(やっぱこうやって見るとモデルみたい、カッコいいな・・・うっ、あの場所行きにくい)

澪は周りの倫を見つめる姿に自身が全く釣り合ってない状況に怖気づき躊躇っているとふと顔を上げた倫が澪に気づきこちらに向かって来た。

「早かったね、ってか声掛けてくれればいいのに」

「あー、うん、倫も早いね」

ニコニコと機嫌よく話す倫と周りの突き刺さる羨望の眼差しに耐えながら澪も引き攣りながら笑顔を返した。

「そういえば澪の私服、初めてに近いかもしんない。ほら塾の時、制服だったし・・・可愛いね」

普段から言い慣れているであろう倫の言葉にお世辞とはわかりつつも嬉しさから思わず体内の温度が一度上がったかのようにカッと熱くなるのが伝わる。

「あ、ありがと。倫もモデルさんかと思っちゃった。イケメンはただ立ってるだけでも様になるね。しかもコレって伊達?メガネも似合うって倫さんのイケメンぶりには脱帽ですよ」

“何、惚れた?”冗談ぽくこちらに顔を向け話す倫に計らずもときめく自分を打ち消すように頭を小さく横に振っていると不可思議な表情で倫は首を傾げていた。

「じゃあ行こっか」

倫は澪の手を取り恋人同士が繋ぐように手を重ねと二人は水族館の入場口へと向かった。




☆☆☆
「うわー、海月ってライトがあたるとこんな綺麗なんだね」

「ほんとだ、なんか神秘的」

場内に入ると休日ということもあって家族連れやカップル、友だち同士で来ている入場者で賑わっていた。

(私たちも傍から見れば恋人同士に見え・・・そんなわけないか、倫みたくイケメンが私を彼女にするなんて誰も思わないか)

澪は仲睦まじく水槽を見つめるカップルを眺めながら自嘲し再び水槽に目をやった。
そんなことを考えてるとも知らない倫は、隣で楽しそうに水槽を見つめる澪にいつしか優しい笑みを向けていた。


「ごめーん、お手洗い混んでて、んっ?」

澪は倫が待つ休憩室付近へ走って向かうと、目の前にラインストーンで出来たピンクのイルカのキーホルダーを差し出された。

「待ってる間、ショップ覗いてたら澪っぽいなーと思ってつい買っちゃった、はいどうぞ」

澪がキーホルダーのイルカの顔を見るとちょっと寝ぼけたような表情に憤慨するも今度は同じ形で青色のイルカを出してきた。

「こっちは俺の、せっかくだから色違いで買ったんだ」

「そうなんだ」

澪は鞄から財布を出そうとするもその手を制止し倫は小さく首を横に振った。

「ほら澪、誕生日近いだろ?ちょっと早いプレゼントってことで受け取ってよ」

「でも、入場料も払ってもらってるし流石に申し訳ないよ。せめてキーホルダー代だけでも」

「んー、そしたら次にどっか行く時、澪が払ってよ、それならいいだろ?」

「次・・・」

何の気なしに言ってるとわかっていても澪は、倫の言葉に一瞬詰まってしまった。

(倫は何を考えて・・・今までだってエッチはしてもこんな風に二人でなんて出かけたこともないのに・・・いや深い意味なんてないか、倫にとって私はただの友人での遊び相手なんだろうから)

「わかった。じゃあ、お言葉に甘えて。ありがと」

澪は少し大袈裟に頭を下げると軽く頭部にポンと大きな掌が降ってきた。

「なんだかんだで結構いい時間になったな、そろそろ帰ろっか」

頭を上げると微笑んだ倫の表情が澪の水晶体に映り、普段の情事で見せる表情とは違う、昔の倫を見たような気持ちに澪は胸が締め付けられた。

(こんな関係のままいれたら良かったのに・・・)

澪は倫が差し出す手を掴むと先ほどと同じように指を絡ませるような繋ぎ方に複雑な心境で駅へと向かった。
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