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「このnariの表情マジでヤバイわー、ほら碧も見てよ」
「痛い、痛い。叩かなくたって隣に座ってるんだから見えるって」
前日、nariのファンと公言していたクラスの違う友人に聞くのに何気なしにメッセージを送ると休み時間になるや否やnariが表紙の雑誌を何冊か抱え碧の教室に突撃しそのまま碧を拉致るように中庭へと連れて行き延々とnariがいかに凄いか!!という説明を受けた。
「とにかくミステリアスなんだよねー同い年ってのは公表してるけどそれ以外は基本シークレットだし、元々インドアって言ってるから外での目撃情報もないんだよね」
友人は溜息を付きながら自販機で買った紙パックのジュースを飲んでいた。
・
・
・
・
・
(回想)
撮影が時間通り無事終了しnariがスタッフと共に控室へと向かおうとしたのが見え咄嗟に碧は彼の傍に駆け寄った。
「お疲れ様でした、今日はありがとうございました...貴方とはこれで会うことはないと思いますがこれからもお仕事頑張ってください」
「お疲れ様でした、今日は本当にありがとう、桐野さんのおかげでスケジュールに変更でなくて助かったよ...僕としてはまた会える日を楽しみにしてるよ」
あのあとゆっくり話す時間もない程のスケジュールのためnariは別の現場へとすぐさま向かって行った。
碧は彼の背中をじっと見つめ撮影時に上書きするように付けられた痕を掌で押さえた。彼が何を考えてこのような行動に移したかを考えようとしたがここにきて疲れが一気に身体を襲い、片付けをしている姉の紅音の元へと向かった。
「お疲れ様ーっ!ほんとありがとねー。さっき雑誌の担当者とモデル事務所のスタッフさんが改めてお礼の挨拶したいって言ってたからもうちょっとここにいてね」
紅音が持ってきていた備品の片づけをしている間に自身の荷物が置いてあるメイクルームに戻ることを伝えた。碧はスマホの電源ボタンを押し液晶が映し出されるとそこには貴斗からの数十件以上の不在着信と心配しているようなメッセージが送られてきていた。
(何よこの量...最近の着信履歴がもう阿部くんで埋め尽くされてんじゃん)
着信画面を見ながら苦笑いをし一応貴斗へ返信しながら先ほどのことを思い出した。
(...同じ場所だし気づかれないよね...うん、大丈夫だよね)
自分に言い聞かせながら衣装とウイッグを外し着替えを済ませていると荷物を持った紅音が入ってきた。
「ごめんね、遅くなっちゃった。今そこにさっき言った人たちいるから疲れてるとこ悪いけどいいかな?」
紅音に頼まれ、頷き廊下に出ると今回の撮影責任者と思われるスタッフ、担当編集者、急遽来れなくなってしまったモデル事務所の担当スタッフが碧にお礼と謝罪をした。
「それにしても碧ちゃん、すごく素敵だったわ。こうやって見ると普通の女子高生だけどあの場にいる貴女はプロ顔負けの表情だったわよ。顔が写せないのがほんともったいない位よ、ウチの雑誌の読モとか興味ないかしら?nariくんの事務所のスタッフさんたちからも高評価だったみたしだし」
他のスタッフは挨拶を済ませると立ち去ったが、雑誌の女性編集者だけ残り碧に名刺を渡してきた。ぐいぐいと迫られ困っていると傍にいた紅音が碧の背中をポンと軽く叩いた。
「ウチの妹、目立つことホント苦手で今回もなんとかお願いしてやってもらって...なので申し訳ないんですが」
紅音は頭を下げ碧もつられるように下げると「そうなんだ...でもまぁもし気が変わったら私や紅音さんに連絡して、気長に待ってるから」にこやかな笑みを浮かべ彼女は颯爽とそのまま次の仕事先へと向かった。
「...もしかして興味あったりした?私なんかおせっかいなことしちゃったかな?」
「ううん、助かった。紅音の仕事に影響したら困るから断るにしてもどう答えていいかわかんなかったし」
碧は紅音に礼を言いメイクを落とすべく再びメイクルームへと戻り到着した時と同じ出で立ちになった。
「せっかくだからこのあとご飯でもーって言いたいところなんだけどまだ仕事あってさー、改めてお礼する時間作るから今日はほんとごめん」
申し訳なさそうに手を合わせ何度もペコペコする紅音に気にしないよう伝え、碧は立て替えた交通費プラス帰りの交通費を手渡されスタジオを出た。碧は帰りの電車の中でnariとの会話やあの時見せた笑みをずっと脳内でリフレインし放れることができなかった。
「...い...おい...ねぇ!碧ってば聞いてる?!」
「ふぁっ?!ご、ごめん」
一生懸命nariについて熱く語っていた友人は上の空でいた碧に不機嫌になっていると授業が始まるチャイムが鳴り二人は急いで教室へと向かった。
「碧、まだまだ話し足りてないから昼食時間に屋上集合ね!他のみんなにもあとでメッセ送っておくから」
友人はそう早口で言い放ち教室へと消えて行った。碧は苦笑いを浮かべ自身の教室へ入るとまだ授業の担当教師が来てなかったため安堵し席に着くとポケットに入れていたスマホから振動したのがわかりディスプレイを机の下から覗いて見た。
(何よー授業始まってるのにさっそく送って来たのかよー)
有言実行の友人に呆れ笑いをすると差出人は先ほどの友人ではなく、知らない電話番号からのSMSだった。
『今日の放課後図書室で待ってます。徳田』
そのメッセージに何故だか緊張感が走り碧はゴクリと唾を呑み込んだ。その様子を貴斗に見られていることも気づかずに...。
「痛い、痛い。叩かなくたって隣に座ってるんだから見えるって」
前日、nariのファンと公言していたクラスの違う友人に聞くのに何気なしにメッセージを送ると休み時間になるや否やnariが表紙の雑誌を何冊か抱え碧の教室に突撃しそのまま碧を拉致るように中庭へと連れて行き延々とnariがいかに凄いか!!という説明を受けた。
「とにかくミステリアスなんだよねー同い年ってのは公表してるけどそれ以外は基本シークレットだし、元々インドアって言ってるから外での目撃情報もないんだよね」
友人は溜息を付きながら自販機で買った紙パックのジュースを飲んでいた。
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(回想)
撮影が時間通り無事終了しnariがスタッフと共に控室へと向かおうとしたのが見え咄嗟に碧は彼の傍に駆け寄った。
「お疲れ様でした、今日はありがとうございました...貴方とはこれで会うことはないと思いますがこれからもお仕事頑張ってください」
「お疲れ様でした、今日は本当にありがとう、桐野さんのおかげでスケジュールに変更でなくて助かったよ...僕としてはまた会える日を楽しみにしてるよ」
あのあとゆっくり話す時間もない程のスケジュールのためnariは別の現場へとすぐさま向かって行った。
碧は彼の背中をじっと見つめ撮影時に上書きするように付けられた痕を掌で押さえた。彼が何を考えてこのような行動に移したかを考えようとしたがここにきて疲れが一気に身体を襲い、片付けをしている姉の紅音の元へと向かった。
「お疲れ様ーっ!ほんとありがとねー。さっき雑誌の担当者とモデル事務所のスタッフさんが改めてお礼の挨拶したいって言ってたからもうちょっとここにいてね」
紅音が持ってきていた備品の片づけをしている間に自身の荷物が置いてあるメイクルームに戻ることを伝えた。碧はスマホの電源ボタンを押し液晶が映し出されるとそこには貴斗からの数十件以上の不在着信と心配しているようなメッセージが送られてきていた。
(何よこの量...最近の着信履歴がもう阿部くんで埋め尽くされてんじゃん)
着信画面を見ながら苦笑いをし一応貴斗へ返信しながら先ほどのことを思い出した。
(...同じ場所だし気づかれないよね...うん、大丈夫だよね)
自分に言い聞かせながら衣装とウイッグを外し着替えを済ませていると荷物を持った紅音が入ってきた。
「ごめんね、遅くなっちゃった。今そこにさっき言った人たちいるから疲れてるとこ悪いけどいいかな?」
紅音に頼まれ、頷き廊下に出ると今回の撮影責任者と思われるスタッフ、担当編集者、急遽来れなくなってしまったモデル事務所の担当スタッフが碧にお礼と謝罪をした。
「それにしても碧ちゃん、すごく素敵だったわ。こうやって見ると普通の女子高生だけどあの場にいる貴女はプロ顔負けの表情だったわよ。顔が写せないのがほんともったいない位よ、ウチの雑誌の読モとか興味ないかしら?nariくんの事務所のスタッフさんたちからも高評価だったみたしだし」
他のスタッフは挨拶を済ませると立ち去ったが、雑誌の女性編集者だけ残り碧に名刺を渡してきた。ぐいぐいと迫られ困っていると傍にいた紅音が碧の背中をポンと軽く叩いた。
「ウチの妹、目立つことホント苦手で今回もなんとかお願いしてやってもらって...なので申し訳ないんですが」
紅音は頭を下げ碧もつられるように下げると「そうなんだ...でもまぁもし気が変わったら私や紅音さんに連絡して、気長に待ってるから」にこやかな笑みを浮かべ彼女は颯爽とそのまま次の仕事先へと向かった。
「...もしかして興味あったりした?私なんかおせっかいなことしちゃったかな?」
「ううん、助かった。紅音の仕事に影響したら困るから断るにしてもどう答えていいかわかんなかったし」
碧は紅音に礼を言いメイクを落とすべく再びメイクルームへと戻り到着した時と同じ出で立ちになった。
「せっかくだからこのあとご飯でもーって言いたいところなんだけどまだ仕事あってさー、改めてお礼する時間作るから今日はほんとごめん」
申し訳なさそうに手を合わせ何度もペコペコする紅音に気にしないよう伝え、碧は立て替えた交通費プラス帰りの交通費を手渡されスタジオを出た。碧は帰りの電車の中でnariとの会話やあの時見せた笑みをずっと脳内でリフレインし放れることができなかった。
「...い...おい...ねぇ!碧ってば聞いてる?!」
「ふぁっ?!ご、ごめん」
一生懸命nariについて熱く語っていた友人は上の空でいた碧に不機嫌になっていると授業が始まるチャイムが鳴り二人は急いで教室へと向かった。
「碧、まだまだ話し足りてないから昼食時間に屋上集合ね!他のみんなにもあとでメッセ送っておくから」
友人はそう早口で言い放ち教室へと消えて行った。碧は苦笑いを浮かべ自身の教室へ入るとまだ授業の担当教師が来てなかったため安堵し席に着くとポケットに入れていたスマホから振動したのがわかりディスプレイを机の下から覗いて見た。
(何よー授業始まってるのにさっそく送って来たのかよー)
有言実行の友人に呆れ笑いをすると差出人は先ほどの友人ではなく、知らない電話番号からのSMSだった。
『今日の放課後図書室で待ってます。徳田』
そのメッセージに何故だか緊張感が走り碧はゴクリと唾を呑み込んだ。その様子を貴斗に見られていることも気づかずに...。
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