スライム倒し続けても、レベルはあまり上がらなかった件

ろどは楓に

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第四話 新種のスライム?

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 スライムを出現場所で待ち構えて、一気に始末する。
そんな生活を、彼は半年も続けていた。
時々、岩壁や扉を壊そうとはしたが、いまだに良い結果はない。

 スライムをとにかく倒し続けた彼のステータスは、今はこうなっている。

─────────────────────────────────────
名前未設定 レベル11

肉体強化:210
魔力:260
魔法行使力:330

行使魔法:全属性攻撃魔法・軟化魔法
スキル:魔力変換(体力・空気) 攻撃魔法対象範囲の拡張 暗眼 
毒耐性 感電耐性
─────────────────────────────────────

 最初は順調に上がっていたレベルも、とうとう上がらなくなった。
レベル8で止まり始めたので、レベル11でも頑張ったものではある。

 いくらスライムを倒していこうと、次に現れるのは、スライム。
一向に強くならない敵に、彼は呆れることもあったが、
生理的に無理になってしまったスライムを放っておくわけにもいかず、
掃除は毎日の習慣としなければならない。

 硬いスライムを倒すときに、手に入れた【軟化魔法】は、
対象の硬度を下げることができるため、岩を粘土みたいにすることができる魔法。

 それを使って、スライムとは無縁の個室が造られた。
だが、スライム掃除をサボっていると、ドアがいきなり開いて、
スライムが勢いよく、入ってくるなんて事が時々あったため、
彼は、今でも注意している。

 そして、娯楽は粘土遊びしかない。
確かに楽しい遊びだ。そして、彼は工作が得意だ。
だが、見てくれる人がいない。
せっかく良い作品が完成しても、孤独を感じるだけだった......。

「よし。スライム待ちでもするか。」
スライムに対する嫌悪感は、最初よりは、それほどない。
見た瞬間に殺したくなっていた自分が彼自身、引いてしまう位だ。
あの頃の彼は、とにかく精神が安定していなかったのだろう。

「あれ? 魔法陣が違う。新種のスライムか?」
今日の魔法陣は、普段よりかなり小さく、複雑だった。

「何を使えばいいかなぁ。」

 攻撃魔法を全属性、備えている彼は、
大体のスライムに、対応してくれそうな属性を考える。
数種類のスライムから取った統計も配慮する。

 「まぁ、無難に電気かな......。」
扉の魔法陣のタイミングに合わせて魔法が行使した。
 
「ギャーーーーー!」

 洞窟内に、奇妙な悲鳴が響く。
魔法を止めて、見てみると、そこには人が倒れている。

「ヒト型スライムか!?」と、彼は考えたが、
一人しかいない事や、扉が開いている事などから
推測して、人が来たことがようやく分かった。

「いきなり何をするんですか!」
その人は、プンプンと怒りながら彼に近づく。
よく見るような魔法の杖を持った、少女だ。
髪は、透き通るような水色のショートで、白い肌と対比がある。

「あぁ......。スライムかと思ったんだよ。」
「なっ! 私がスライムに見えたってことですか!?」
「いや、そうじゃなくて......」



 後から聞く話によると、変な誤解が生まれた理由は、
小さいころから、髪がスライムだと、いじられていたから、だそうだ。
たしかに、スライムも透き通るような水色ではある。

 彼女が、ここに来た目的は黒龍剣ではなく、ただの散策だった。
一通り、事情を彼は話した後は、
当然、この洞窟に閉じ込められていた彼の話となる。

「半年も、この洞窟に!?」
「まぁ、感覚的に半年っていうだけで、
もう少し短いかもしれないけど......。」
「いや、でも。ステータス見せてください!」

 ステータスを彼女に見せる。
驚きと期待を含めた目でステータスを見た。

「レベル11......。まぁ、強い方ではありますね。」

 反応からして、そこまで強くない事を、彼は悟る。
スライムしか倒していないので、当たり前だ。
RPGで言うなら、最初の草原でレベル上げを半年もしているのだ。
プレイ時間にして、4000時間を超える。

「まぁ、全属性っていうのは、すごいですよ。
この【魔力変換】っていうのは、なんですか?」
「食べ物と、空気が、いらないっていうスキル。」

 「は?」という顔を彼女はする。
彼も「それ、人間か?」と、思っていた。でも最近は、肺呼吸をしている。

「とりあえず、ここを出ましょう。
粘液がベトベトしてるし、なんか変なにおいしますし......。」

 彼女は、地面全体に広がる粘液を気味悪がっていた。
だが、彼は粘液が気持ち悪いとは、微塵も思えっていなかった。
感覚が、かなりおかしくなっている事に、彼は気が付く。
そもそも、変なにおい、というがしなかったのだ。

「あ、あれ?」

 彼女は、扉を触って、なんだか困っている様子を見せる。
彼は「まさか......。」と、何となく察したが、彼女は振り返って報告する。

「扉が、開かなくなっちゃいました......。」
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