スライム倒し続けても、レベルはあまり上がらなかった件

ろどは楓に

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第七話 洞窟の外

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「おい! マリ、あれって......」
魔法に、詳しいマリに一応の確認を促す。

「は、はい。あれは、解除魔法です!」

 扉の結界の解除がされているらしい。
この洞窟に閉じ込められて、やっと、彼はここを出られるかもしれない。
そうなれば、本当の異世界生活が始まる。
そんな、期待を胸に、彼は固唾を飲んだ。

───ドスン!

 少しの煙を纏いながら、扉は開く。だが、そこに人影は、ない。

「あれ? 誰も居ないんだけど......」
「もしかしたら、先輩を陥れた冒険者の力不足だったのかもしれませんね」
「力不足?」

 マリの話によると、本来、洞窟の扉は、
内側からも外側からも、一定の魔力で、開けることができる。
それを、奴らは少しいじって、外側からだけにした。
だが、永久魔法ではなかったため、一年が限度である持続魔法だった。
という事らしい。

「まぁ、とりあえず出るか」
「そうですね。やっと、スライム生活からおさらばですよ」

 マリは、この生活に我慢を覚えていた様子だ。
一応、彼も我慢していたが......。

 長い洞窟をさっさと抜け出し、二人は外に出た。
彼は、初めて異世界の空気を吸う気持ちになる。

 この洞窟は、森の奥地にあったらしく、豊かな自然が広がっていた。
それを見たマリは、目を潤わせ綺麗な涙を流す。

 そんなマリを見て、彼は何とも言えない気持ちになり、
優しく頭をポンポンとしてあげる。

「ちょ、ちょっと。低身長なの気にしてるんですから!」

 怒った風に見せてはいるが、マリの口元からは、笑みがこぼれてしまっている。
嬉しそうに怒るマリを見て、彼も口角を上げる。
二人はお互いに笑いあった後、豊かな森を進んでいった。



「先輩が居なかったら、私はあの洞窟でダメになってたかもしれません!」
森を出た後、遠くからマリが大声で叫んだ。声は震えている。

「今まで、ありがとうございました!」

 笑顔で大きく手を振り、町へ消えていく。
マリは、この世界の住人ゆえに、帰る家があるのだ。

(これからどうしようかな......)
彼には、行くあてがない。

マリによると、ある程度の実力はあるらしいから、冒険者なんかになるのが妥当だ。
元来、異世界転生したら勇者とか冒険者とかである。

(俺は、一年間も何してたんだか......)

 流れる風の中、胸いっぱいの息を吸った。
彼は呼吸が必要ないので、ほぼ無意味ではある。

 彼は、その事に気が付く。
一般的な人間というものから離れ始めた自分に対して、
呆れた顔でため息を吐き、マリに続いて町へ向かった。



 町は、西洋の建物が、建ち並ぶ、賑わいのある場所だ。
町ゆく人によって、髪の色が異なっていたため、
みんなが、コスプレしているように彼は感じる。

 様々な種族の人ので、ジャージ姿の彼でも、
どこかの民族服だと思われているのか、目立つ事はない。

 町の人に尋ねて、冒険者ギルドの前まで来た。
「冒険者としての第一歩が始まる」なんて聞こえの良い題名を、
頭に思い浮かべながら、扉を開けた。

 中に入ると、外からも聞こえていた騒音が、彼の鼓膜を強く振動させる。
酒を飲む中年たちが、ガヤガヤと居たからだ。
そんな中年たちを後目に、ギルドの受付に向かう。
少し混んでいて、列が出来ていた。

「すみません。ここで、冒険者の登録って、できますよね?」
彼は、前に居た人に確認を求めた。

「は、はい......」

 そこにいたのは、透き通るような青髪、真っ白な肌、
低身長のマリエルだった。

「って先輩じゃないですか!」

 もちろん、マリは気付いた。

「冒険者の登録って、冒険者ですら無かったんですか!?
いったい何者なんですか!?」

 彼は、駆け出し冒険者と、通していたので、当然の疑問。
異世界転生とか言っても、信じてもらえないだろうと思っていた彼も
当然のようについていた嘘だ。

「まぁ、ただの村人......」
「どこの村人ですか!」

 彼が、どうにかごまかそうとしても、マリはツッコミを入れてくる。
それでも何とかごまかそうとするが、全然、マリは納得はしなかった。

「ほ、ほら。マリの順番、回ってきたよ」
いつの間にか、列はすいていたので、
マリを受付に託して、彼は何とかその場を治める.....

「後で、詳しく聞きますからね!」

 事は、できなかった......。
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