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備え付けられたコンピュータに、アルファベットと8ケタの数字を打ち込む。モニター画面がスッと切り替わり、顔写真とプロフィールが現れた。
アレクセイ・ミハイル・ザハロフ。
階級:中佐。
部署:特殊部隊(タスクフォース)
職歴は空白で、トップクラスの幹部のみが与えられるコードを入力しないと閲覧できないようになっていた。
あの男の言葉に嘘はなかった。ライトマンはがくりと膝をついた。
「くっ…、本物の宇宙軍士官だったとは」
考えもしなかった。
自分は宇宙軍の中佐に略奪を見逃す代わりに賄賂を差し出せと強要したのだ。
それだけではなく、宇宙軍基地に拉致してしまった。
そしてつい先ほど、牢に監禁するよう言い渡した。
士官学校を出たわけでもないライトマンは、第17管区司令官になれただけでもラッキーだと思っていた。苦労して一つ一つ官位を上りつめたのだ。数年にわたり、名ばかりの、知恵も力もない司令官に補佐として仕えた。下積みは十分に積んだのだ。もちろん、その間にも私腹を肥やしていたが、微々たるもの。念願叶って、つい先頃、ようやく司令官になれた。セントラルから遠く離れた地ではあるが、それなりの権力を与えられた。権力を手に入れた今、少しくらいいい目を見ても罰は当たらない。だが、それもアレクセイ・ミハイル・ザハロフのせいで終わりを告げようとしていた。
ライトマンにとって極東地区は最高の任地であり、最後の砦なのに。もし、セントラルに知れたら軍法会議にかけられて、司令官の地位をあっさり追われ、下手をすると処罰を受けるかもしれない。
「俺は…、なんて馬鹿な真似をしてしまったのだ」
ライトマンは頭を抱えこんだ。
レイモンドは顔をまっすぐに上げて、きた道をもとへとたどる。
ポーカーフェイスを保っている顔は冷静に見えたが、エメラルド・グリーンの瞳に浮かぶグレイの縞がどうしようもない怒りを現していた。いや、怒りと言うより悲しみか…。
「レイさん、待ってください!」
ルーインの呼びかける声にも、レイモンドの歩調は変わらない。誰とも話したくない気分だったのだ。
と、バタバタいう慌ただしい足音が聞こえてきた。見る間に、廊下の曲がり角から、数人の兵士が走ってきた。そして、レイモンドを取り囲んだのだ。
「……っ!」
「おまえたち、いったい何だっ!」
レイモンドが身構える前にルーインが兵士たちに問い質す。兵士たちは士官の介入に驚きながらも手に持つ銃を下ろそうとはしない。
「アドラー中尉。ライトマン司令官からこの男の身柄を拘束するように指示を受けました」
「……理由は?」
「この男は、コスモ・サンダーの一員です」
一員といういい方に、レイモンドがコスモ・サンダーの総督だとは知られていない、とルーインは確信する。
「確かなのか、キャンベル曹長!」
「はい。この男は、コスモ・サンダーの極東地区司令官と同じ宇宙船に乗っていたんです」
「単なる同乗者ではないのか」
キャンベルがわずかにとまどいの色を見せる。
「わたしも海賊とは思えないのですが、ライトマン司令官がこいつも同じ穴の狢だから牢に入れろと…」
ルーインがどうごまかそうかと考えていると、レイモンドが訊ねた。
「アーシャは捕まったの?」
「アーシャ? おまえの上官ならさっき、連行した」
「ふ~ん。そういう風に出るか」
「そういう風とは?」
ルーインが訊ねる。レイモンドが応える前に、
「おまえにもきてもらう。逆らうと痛い目をみるぞ」
キャンベルが脅すような台詞を吐いた。レイモンドはくちもとに苦笑を浮かべ、くくっと笑った。
「何がおかしい!」
「ん。痛い目をみるのはイヤだろうなと思って…」
レイモンドのまとう雰囲気が一変した。ギョッとしたのはルーインだ。兵士たちはまさか自分たちが痛めつけられるなどとは思っていない。
「いま、むしゃくしゃしてるから、自制が利かないんだよね」
言うが早いか、近くにいた兵士を蹴り上げ、手刀で銃をたたき落とし、…その銃を構えていた。
「銃を捨てろ」
と叫んだ兵士に鋭い目を向けたレイモンドは、
「いやだと言ったら」
と聞く。余裕の態度である。
「この場で射殺する」
本気であることを示すように安全装置が外され、いくつもの銃口がレイモンドにぴたりと狙いを付けていた。
「少なくとも、3~4人は道連れにするよ?」
「そ、そんな脅しが通じると思うのか! 俺たちは宇宙軍の兵士だぞ」
「俺の銃の腕はなかなか、なんだけど。それに、俺を殺したら、大変なことになるだろうね…」
大変なことになるという言葉の意味がわかったのもルーインだけだった。誰に指摘されなくとも、コスモ・サンダーの総督を殺したら、コスモ・サンダーと宇宙軍の全面戦争になるのは間違いない。
ルーインは素早く行動を起こした。レイモンドを背に庇い、兵士たちが構える銃の前に身を投げ出したのだ。
「アドラー中尉、どいてください」
「ダメだ。この人を傷つけさせるわけにはいかない」
睨み合いが続いた。背中からも声がする。
「ねえ、ルーイン。どかないと怪我するよ」
手にしている銃を握ってレイが言う。
「どきません。レイさん、…銃を下ろしてもらえませんか。お願いします。必ず、僕が必ず、何とかしますから」
廊下での時ならぬ騒ぎに人が集まってくる。
部屋から出てきたリュウは、レイが兵士たちに囲まれた場面を見て、金縛りにあったように動けなかった。リュウの姿を認めたルーインが声をかける。
「阿刀野! 何とか言ってくれ。キミはここでレイさんが怪我をしたり、殺されたりしてもいいのかっ!」
「レイが殺される?」
兵士たちに、俺の目の前で?
リュウは胸のうちを素早く探った。「行けよ」とは言ったが、この手で抱きしめたいことに変わりはない。レイを永遠になくしてしまうくらいなら…。
「死んだら、もうおまえに迷惑をかけることもなくなるね…」
レイモンドがぽつりと口にした言葉。
いやだ。レイが死ぬのはいやだ。自分のものにはならなくとも。どこででもいい、生きていてほしい。
「レイ! 何度、俺に絶望を味あわせれば気が済むんだ。俺の目の前で死ぬなんて許さないからなっ。銃を下ろせ。兵士たちに殺させないでくれ!」
そう言うと、レイモンドの方へと向かったが、まわりの兵士たちに取り押さえられた。
「死ぬなんて許さない。死ぬなよ、レイッ!」
ルーインは背に感じていたレイモンドの殺気が消えたのに気がついた。
「ん、わかったよ、リュウ。心配しなくていい、おまえの目の前では死なない、約束するよ。……キャンベル曹長、悪かったね。ここで俺が暴れても誰にもいいことはない。アーシャを捨てていくわけにもいかないし」
レイモンドはそう言うと、銃を床に落とした。
「……よし、連れて行け!」
「アーシャ?」
リュウが口にした名にレイモンドが反応する。
「アレクセイ・ミハイル・ザハロフ。ザハロフ中佐だよ。操縦を習っただろう、覚えてない?」
おとなしく兵士たちに連行されていくレイモンドを見送りながら、リュウはルーインに問いかけた。
「ザハロフ中佐って? 操縦って?」
「アレクセイ・ミハイルって、コスモ・サンダーの極東地区司令官の名だろう?」
「でも、ザハロフ中佐って……もしかしてっ! 士官訓練所で操縦を教わった、あの?…」
「どういう、ことだ?」
2人は顔を見合わせた。なにか、とんでもないカラクリがあるような気がした。
レイモンドが遠ざかる姿を唖然として見送っていたのは、リュウとルーインだけではなかった。周りの兵士たちも、第17管区極東基地・第3部隊のゼッド隊長もその一人だった。
いつもなら他人のことなど我関せずのゼッドが、自分の居室のすぐ前で繰り広げられた騒動に顔をのぞかせたのはつい先ほどだった。
そこで繰り広げられていたのは戦闘シーンではなく。
冷静なアドラー中尉が懇願していた。
常々見所があると思っている阿刀野中尉が悲壮な声で怒鳴っていた。
ゼッド少佐は興味を覚えた。アドラー中尉が背に庇っているのは誰なのだ、と。
その男が銃を下ろし、素直に兵士たちに捕まったとき、ゼッドは目を疑った。美しく成長していたけれどその顔には見覚えがあった。
「あれはプリンス、まさか…」
だが、昔の面影が残っている。
ゼッドがコスモ・サンダー総督の正体に思い至ったのは部屋にもどってしばらくたってからだった。
アレクセイ・ミハイル・ザハロフ。
階級:中佐。
部署:特殊部隊(タスクフォース)
職歴は空白で、トップクラスの幹部のみが与えられるコードを入力しないと閲覧できないようになっていた。
あの男の言葉に嘘はなかった。ライトマンはがくりと膝をついた。
「くっ…、本物の宇宙軍士官だったとは」
考えもしなかった。
自分は宇宙軍の中佐に略奪を見逃す代わりに賄賂を差し出せと強要したのだ。
それだけではなく、宇宙軍基地に拉致してしまった。
そしてつい先ほど、牢に監禁するよう言い渡した。
士官学校を出たわけでもないライトマンは、第17管区司令官になれただけでもラッキーだと思っていた。苦労して一つ一つ官位を上りつめたのだ。数年にわたり、名ばかりの、知恵も力もない司令官に補佐として仕えた。下積みは十分に積んだのだ。もちろん、その間にも私腹を肥やしていたが、微々たるもの。念願叶って、つい先頃、ようやく司令官になれた。セントラルから遠く離れた地ではあるが、それなりの権力を与えられた。権力を手に入れた今、少しくらいいい目を見ても罰は当たらない。だが、それもアレクセイ・ミハイル・ザハロフのせいで終わりを告げようとしていた。
ライトマンにとって極東地区は最高の任地であり、最後の砦なのに。もし、セントラルに知れたら軍法会議にかけられて、司令官の地位をあっさり追われ、下手をすると処罰を受けるかもしれない。
「俺は…、なんて馬鹿な真似をしてしまったのだ」
ライトマンは頭を抱えこんだ。
レイモンドは顔をまっすぐに上げて、きた道をもとへとたどる。
ポーカーフェイスを保っている顔は冷静に見えたが、エメラルド・グリーンの瞳に浮かぶグレイの縞がどうしようもない怒りを現していた。いや、怒りと言うより悲しみか…。
「レイさん、待ってください!」
ルーインの呼びかける声にも、レイモンドの歩調は変わらない。誰とも話したくない気分だったのだ。
と、バタバタいう慌ただしい足音が聞こえてきた。見る間に、廊下の曲がり角から、数人の兵士が走ってきた。そして、レイモンドを取り囲んだのだ。
「……っ!」
「おまえたち、いったい何だっ!」
レイモンドが身構える前にルーインが兵士たちに問い質す。兵士たちは士官の介入に驚きながらも手に持つ銃を下ろそうとはしない。
「アドラー中尉。ライトマン司令官からこの男の身柄を拘束するように指示を受けました」
「……理由は?」
「この男は、コスモ・サンダーの一員です」
一員といういい方に、レイモンドがコスモ・サンダーの総督だとは知られていない、とルーインは確信する。
「確かなのか、キャンベル曹長!」
「はい。この男は、コスモ・サンダーの極東地区司令官と同じ宇宙船に乗っていたんです」
「単なる同乗者ではないのか」
キャンベルがわずかにとまどいの色を見せる。
「わたしも海賊とは思えないのですが、ライトマン司令官がこいつも同じ穴の狢だから牢に入れろと…」
ルーインがどうごまかそうかと考えていると、レイモンドが訊ねた。
「アーシャは捕まったの?」
「アーシャ? おまえの上官ならさっき、連行した」
「ふ~ん。そういう風に出るか」
「そういう風とは?」
ルーインが訊ねる。レイモンドが応える前に、
「おまえにもきてもらう。逆らうと痛い目をみるぞ」
キャンベルが脅すような台詞を吐いた。レイモンドはくちもとに苦笑を浮かべ、くくっと笑った。
「何がおかしい!」
「ん。痛い目をみるのはイヤだろうなと思って…」
レイモンドのまとう雰囲気が一変した。ギョッとしたのはルーインだ。兵士たちはまさか自分たちが痛めつけられるなどとは思っていない。
「いま、むしゃくしゃしてるから、自制が利かないんだよね」
言うが早いか、近くにいた兵士を蹴り上げ、手刀で銃をたたき落とし、…その銃を構えていた。
「銃を捨てろ」
と叫んだ兵士に鋭い目を向けたレイモンドは、
「いやだと言ったら」
と聞く。余裕の態度である。
「この場で射殺する」
本気であることを示すように安全装置が外され、いくつもの銃口がレイモンドにぴたりと狙いを付けていた。
「少なくとも、3~4人は道連れにするよ?」
「そ、そんな脅しが通じると思うのか! 俺たちは宇宙軍の兵士だぞ」
「俺の銃の腕はなかなか、なんだけど。それに、俺を殺したら、大変なことになるだろうね…」
大変なことになるという言葉の意味がわかったのもルーインだけだった。誰に指摘されなくとも、コスモ・サンダーの総督を殺したら、コスモ・サンダーと宇宙軍の全面戦争になるのは間違いない。
ルーインは素早く行動を起こした。レイモンドを背に庇い、兵士たちが構える銃の前に身を投げ出したのだ。
「アドラー中尉、どいてください」
「ダメだ。この人を傷つけさせるわけにはいかない」
睨み合いが続いた。背中からも声がする。
「ねえ、ルーイン。どかないと怪我するよ」
手にしている銃を握ってレイが言う。
「どきません。レイさん、…銃を下ろしてもらえませんか。お願いします。必ず、僕が必ず、何とかしますから」
廊下での時ならぬ騒ぎに人が集まってくる。
部屋から出てきたリュウは、レイが兵士たちに囲まれた場面を見て、金縛りにあったように動けなかった。リュウの姿を認めたルーインが声をかける。
「阿刀野! 何とか言ってくれ。キミはここでレイさんが怪我をしたり、殺されたりしてもいいのかっ!」
「レイが殺される?」
兵士たちに、俺の目の前で?
リュウは胸のうちを素早く探った。「行けよ」とは言ったが、この手で抱きしめたいことに変わりはない。レイを永遠になくしてしまうくらいなら…。
「死んだら、もうおまえに迷惑をかけることもなくなるね…」
レイモンドがぽつりと口にした言葉。
いやだ。レイが死ぬのはいやだ。自分のものにはならなくとも。どこででもいい、生きていてほしい。
「レイ! 何度、俺に絶望を味あわせれば気が済むんだ。俺の目の前で死ぬなんて許さないからなっ。銃を下ろせ。兵士たちに殺させないでくれ!」
そう言うと、レイモンドの方へと向かったが、まわりの兵士たちに取り押さえられた。
「死ぬなんて許さない。死ぬなよ、レイッ!」
ルーインは背に感じていたレイモンドの殺気が消えたのに気がついた。
「ん、わかったよ、リュウ。心配しなくていい、おまえの目の前では死なない、約束するよ。……キャンベル曹長、悪かったね。ここで俺が暴れても誰にもいいことはない。アーシャを捨てていくわけにもいかないし」
レイモンドはそう言うと、銃を床に落とした。
「……よし、連れて行け!」
「アーシャ?」
リュウが口にした名にレイモンドが反応する。
「アレクセイ・ミハイル・ザハロフ。ザハロフ中佐だよ。操縦を習っただろう、覚えてない?」
おとなしく兵士たちに連行されていくレイモンドを見送りながら、リュウはルーインに問いかけた。
「ザハロフ中佐って? 操縦って?」
「アレクセイ・ミハイルって、コスモ・サンダーの極東地区司令官の名だろう?」
「でも、ザハロフ中佐って……もしかしてっ! 士官訓練所で操縦を教わった、あの?…」
「どういう、ことだ?」
2人は顔を見合わせた。なにか、とんでもないカラクリがあるような気がした。
レイモンドが遠ざかる姿を唖然として見送っていたのは、リュウとルーインだけではなかった。周りの兵士たちも、第17管区極東基地・第3部隊のゼッド隊長もその一人だった。
いつもなら他人のことなど我関せずのゼッドが、自分の居室のすぐ前で繰り広げられた騒動に顔をのぞかせたのはつい先ほどだった。
そこで繰り広げられていたのは戦闘シーンではなく。
冷静なアドラー中尉が懇願していた。
常々見所があると思っている阿刀野中尉が悲壮な声で怒鳴っていた。
ゼッド少佐は興味を覚えた。アドラー中尉が背に庇っているのは誰なのだ、と。
その男が銃を下ろし、素直に兵士たちに捕まったとき、ゼッドは目を疑った。美しく成長していたけれどその顔には見覚えがあった。
「あれはプリンス、まさか…」
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