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10 基地の案内
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惑星ルイーズで大騒ぎが起きている頃。
宇宙軍第17管区極東基地で、レイモンドは実にレイモンドらしく過ごしていた。
「おとなしくしていてください」
とアレクセイが司令官室に消えた後、レイモンドは上級士官専用の休憩室に連れてこられた。
2人の兵士を残して、後は通常任務に戻ったのである。レイモンドは美貌で細身である。海賊にも見えないし、兵士に刃向かう男ではないと思われたのだ。
「こちらで、くつろいでいてください」
見張りについた兵士たちも自分たちの手に負えない、それも2人がかりでも相手にならないなどとは、その外貌からは考えられなかっただろう。
──いくら自分たちの基地だからって、甘いな。これならいつでも逃げられる──
とレイモンドは思ったが、アレクセイを待たなければならない。いますぐこの2人を倒して逃亡を図ろうなどとは考えなかった。むしろ…、リュウが過ごしている基地である。もっとよく知りたいと興味を持ったのである。
「ねえ。じっと待っているのも退屈だし、基地の中を案内してくれない? 部外者立ち入り禁止のところにはいかないし、入れるところだけでいいから」
レイモンドの頼みに、兵士たちはこの男がコスモ・サンダーの関係者であることを忘れて考えた。海賊というより、女たちが放っておきそうにない美貌なのだから仕方がない…。いや、女の数が圧倒的に少ない軍では、クラクラするような美人に見える。
「ここも、休憩室だよね。だったら、ほかの休憩室とか食堂、トレーニングルームだったらいいでしょ。宇宙軍の兵士がどんな風に過ごしているのか知りたいんだ。ねっ!」
無邪気に頼まれて、兵士たちは顔を見合わせた。それでも、任務を思い出した一人が
「逃げ出すつもりだろう」
と睨むのをレイモンドは笑顔でかわす。
「そんなこと、しないよ。俺はおとなしく待っているように言われてるんだ」
あんたたち聞いていなかったのと言うのに、兵士のうちの一人が結論を出した。
「いいだろう、食堂やトレーニングルームくらいなら案内してやる。軍曹、おまえはここに残って、戻る必要ができたらすぐに連絡をくれ」
「はっ、わかりました。キャンベル曹長!」
「それじゃあ、ついてきてください」
「ありがと!」
レイモンドは喜んで、キャンベル曹長に従った。
司令官室の前を通り過ぎて、長い廊下を歩む。レイモンドはチラリと司令官室の扉に目をやったが、司令官のライトマントとアレクセイが壮絶なバトルを繰り広げていることなど考えもしなかった。
何度か廊下を曲がると、広く明るい場所に出た。
「ここが食堂と娯楽室。非番の兵士はここへ集まることが多い」
「ふ~ん。広いんだね。あっ、お酒も置いてあるんだ」
レイモンドがうれしそうな声をあげたのを見て、説明する。
「そっちのバーは夜だけだ。今は閉まっているが、ソファの座り心地がいいから昼間でも休憩する兵士でいっぱいだがな」
キャンベルはいつの間にか、新兵に施設を紹介しているような気になって、ついつい説明している。口調もずいぶんくだけてきた。レイモンドが兵士たちを見つめているのをみて聞く。
「喉がかわいているのか?」
「ん、ちょっとここに座ってみたいなと思って…」
しょうがないなと案内を買って出たキャンベルであるが、レイモンドの相手をするのが嫌ではなかった。
「よし、そこに座っていい。飲み物を持ってきてやろう。何がいい?」
「おごってくれるの。それなら…、ここのコーヒーはおいしい?」
「軍の喫茶室だ、それなりだ」
「そう。なら、グリーンティーある?」
「ああ。熱いのか、冷たいのか」
「熱いの」
食事の時間ではないが、あちらこちらで軽食を取っている兵士がいた。食堂の奥には娯楽室があるようで、笑い声が聞こえている。
レイモンドは、夜はバーになるというソファに座ってみた。しっかりした堅さで、長く座っていても疲れにくそうだ。コスモ・サンダーの休憩室とはずいぶん違うなと思いながら、キョロキョロと見回しているうちに、兵士たちが興味津々で見つめているのに気がついた。
「あいつ、新入りか?」
「いや、あの服装だぜ。客じゃないか」
「ちょっと華奢だが、ありゃあ、女が放っておかないな」
そんなひそひそ話があちこちで交わされていたのだが、誰も遠巻きにしているだけで声をかけようとはしない。私服の兵士も多いのだが、整った美貌に、独特の雰囲気、あまりに浮いた服装に声をかけていいかどうかとまどったのである。
喫茶カウンターから戻ってきたキャンベルは、目の前に座る男が話題の中心になっているのを見て…、悪い気はしなかった。
ポットサービスのグリーンティーを男の目の前に置く。
「ありがとう」
レイモンドは慎重な手つきでグリーンティーを注ぐと、ひとくち味わって、ほっとため息をついた。拉致されている身分だというのに。
「あ~、落ち着いた。たまにはグリーンティーもいいね」
のんびりと感想を述べる男に、キャンベルはつい見とれてしまっている。
そこへ。
「レイさん! こんなところで、いったい何をしているんですかっ!」
トレーニングウェアを身につけ、スポーツタオルを手にしたルーインが驚きの声をあげた。
「キャンベル曹長! これはどういうことだ!」
ルーインの詰問に、キャンベルはここが休憩室なのも忘れて、立ち上がり姿勢を正した。自分が持ち場を離れて、勝手な行動をしていることを咎められたのかと思ったのだ。
「はっ。申し訳ありません。アドラー中尉」
「どういうことだと、訊いているんだ!」
兵士たちは、いつも冷静なアドラー中尉の怒鳴り声にぎょっとする。
「基地の施設を見たいと頼まれまして、案内していました。独断で士官専用休憩室から連れ出し、申し訳ありません」
ルーインはキャンベルを睨んで黙り込んだ。休憩室全体が冷たい空気に包まれてしまった。
ところが。
場の空気を読みもせず、レイモンドが口をはさむ。
「へえ~。ルーイン、中尉になったんだ、よかったね」
キャンベルを叱りつけていたルーインは、はっとした。部下を相手にしている場合ではない。気にかけなければならないのはこの男。
「ありがとうございます。ところで、どうしてこんなところにおられるんですか?」
部下を怒鳴っていたのとは打ってかわった、丁寧な言葉遣い。
「ん? 拉致されて仕方なく、かな。でも、ルーインに会えたから、まあ、いっか」
拉致? それはよくない。全然よくないだろう。
「拉致って、どういうことですか…」
レイモンドがコスモ・サンダーの総督だってばれているのかとルーインが目だけで訊く。
「あっ、大丈夫。おまえが考えてるのとは違うからね。たまたま、ライトマンだっけ、おたくの司令官が会いたがっている男と一緒に宇宙船に乗ってただけ」
「レイさん。よくわかりませんが…」
「説明してもいいけど…、ここじゃあね」
言われて、ルーインははっと気がついた。全員が、自分たちのやり取りに注目している。
「危険はないのですか?」
「ん~、いまのところは…」
「そうですか。……それなら阿刀野に会いますか?」
レイモンドが応えるまでには、しばらくの間があった。
「俺に会ってくれるかな?」
それは、ルーインが初めて見る弱気なレイモンドであった。
「……」
ほんの少しの躊躇に、レイモンドの顔が曇る。
「やっぱり! リュウは怒ってるんだね」
「いえ…。阿刀野は意地を張っているだけです。実際に会えば…」
直立不動でいたキャンベルは、頭の中にクエスチョンマークをいっぱい飛ばしていた。
「なんだ、キャンベル曹長」
「アドラー中尉は、その方と面識があるのですか。阿刀野中尉とはどういう…」
「ああ、この人のことはよく知っている」
コスモ・サンダーの関係者であることはばれているのだろうか。
「僕もだが、阿刀野中尉も、ずいぶんお世話になった」
自分の上官に知り合いだといわれ、キャンベルは低姿勢になる。
「えっ。それは、失礼しました」
「ん、別に失礼なことはされていないよ。ルーイン、キャンベル曹長を責めないでね。ここへ来るのだって、俺が無理に頼んだんだ」
「あなたに頼まれれば、断るのは難しいでしょうね」
はあ、とため息を吐くのに。
「それ、どういう意味?」
とレイモンドが不満そうな顔をした。
「いえ、なんでもありません。キャンベル曹長、この人を阿刀野中尉のところへ案内しようと思うが、まずいか?」
「は、はい…。士官専用休憩室でお待ちいただくことになっていました。今は部下をひとり残していて、誰かが呼びに来たらすぐ連絡を入れるようにと指示しています」
「そうか。それなら、おまえは士官休憩室に戻り、何かあったら阿刀野中尉の私室に連絡をくれ」
「……、しかし」
「責任は持つ」
きっぱりした命令に、キャンベルがうなずいた。
「レイさん、行きましょう」
宇宙軍第17管区極東基地で、レイモンドは実にレイモンドらしく過ごしていた。
「おとなしくしていてください」
とアレクセイが司令官室に消えた後、レイモンドは上級士官専用の休憩室に連れてこられた。
2人の兵士を残して、後は通常任務に戻ったのである。レイモンドは美貌で細身である。海賊にも見えないし、兵士に刃向かう男ではないと思われたのだ。
「こちらで、くつろいでいてください」
見張りについた兵士たちも自分たちの手に負えない、それも2人がかりでも相手にならないなどとは、その外貌からは考えられなかっただろう。
──いくら自分たちの基地だからって、甘いな。これならいつでも逃げられる──
とレイモンドは思ったが、アレクセイを待たなければならない。いますぐこの2人を倒して逃亡を図ろうなどとは考えなかった。むしろ…、リュウが過ごしている基地である。もっとよく知りたいと興味を持ったのである。
「ねえ。じっと待っているのも退屈だし、基地の中を案内してくれない? 部外者立ち入り禁止のところにはいかないし、入れるところだけでいいから」
レイモンドの頼みに、兵士たちはこの男がコスモ・サンダーの関係者であることを忘れて考えた。海賊というより、女たちが放っておきそうにない美貌なのだから仕方がない…。いや、女の数が圧倒的に少ない軍では、クラクラするような美人に見える。
「ここも、休憩室だよね。だったら、ほかの休憩室とか食堂、トレーニングルームだったらいいでしょ。宇宙軍の兵士がどんな風に過ごしているのか知りたいんだ。ねっ!」
無邪気に頼まれて、兵士たちは顔を見合わせた。それでも、任務を思い出した一人が
「逃げ出すつもりだろう」
と睨むのをレイモンドは笑顔でかわす。
「そんなこと、しないよ。俺はおとなしく待っているように言われてるんだ」
あんたたち聞いていなかったのと言うのに、兵士のうちの一人が結論を出した。
「いいだろう、食堂やトレーニングルームくらいなら案内してやる。軍曹、おまえはここに残って、戻る必要ができたらすぐに連絡をくれ」
「はっ、わかりました。キャンベル曹長!」
「それじゃあ、ついてきてください」
「ありがと!」
レイモンドは喜んで、キャンベル曹長に従った。
司令官室の前を通り過ぎて、長い廊下を歩む。レイモンドはチラリと司令官室の扉に目をやったが、司令官のライトマントとアレクセイが壮絶なバトルを繰り広げていることなど考えもしなかった。
何度か廊下を曲がると、広く明るい場所に出た。
「ここが食堂と娯楽室。非番の兵士はここへ集まることが多い」
「ふ~ん。広いんだね。あっ、お酒も置いてあるんだ」
レイモンドがうれしそうな声をあげたのを見て、説明する。
「そっちのバーは夜だけだ。今は閉まっているが、ソファの座り心地がいいから昼間でも休憩する兵士でいっぱいだがな」
キャンベルはいつの間にか、新兵に施設を紹介しているような気になって、ついつい説明している。口調もずいぶんくだけてきた。レイモンドが兵士たちを見つめているのをみて聞く。
「喉がかわいているのか?」
「ん、ちょっとここに座ってみたいなと思って…」
しょうがないなと案内を買って出たキャンベルであるが、レイモンドの相手をするのが嫌ではなかった。
「よし、そこに座っていい。飲み物を持ってきてやろう。何がいい?」
「おごってくれるの。それなら…、ここのコーヒーはおいしい?」
「軍の喫茶室だ、それなりだ」
「そう。なら、グリーンティーある?」
「ああ。熱いのか、冷たいのか」
「熱いの」
食事の時間ではないが、あちらこちらで軽食を取っている兵士がいた。食堂の奥には娯楽室があるようで、笑い声が聞こえている。
レイモンドは、夜はバーになるというソファに座ってみた。しっかりした堅さで、長く座っていても疲れにくそうだ。コスモ・サンダーの休憩室とはずいぶん違うなと思いながら、キョロキョロと見回しているうちに、兵士たちが興味津々で見つめているのに気がついた。
「あいつ、新入りか?」
「いや、あの服装だぜ。客じゃないか」
「ちょっと華奢だが、ありゃあ、女が放っておかないな」
そんなひそひそ話があちこちで交わされていたのだが、誰も遠巻きにしているだけで声をかけようとはしない。私服の兵士も多いのだが、整った美貌に、独特の雰囲気、あまりに浮いた服装に声をかけていいかどうかとまどったのである。
喫茶カウンターから戻ってきたキャンベルは、目の前に座る男が話題の中心になっているのを見て…、悪い気はしなかった。
ポットサービスのグリーンティーを男の目の前に置く。
「ありがとう」
レイモンドは慎重な手つきでグリーンティーを注ぐと、ひとくち味わって、ほっとため息をついた。拉致されている身分だというのに。
「あ~、落ち着いた。たまにはグリーンティーもいいね」
のんびりと感想を述べる男に、キャンベルはつい見とれてしまっている。
そこへ。
「レイさん! こんなところで、いったい何をしているんですかっ!」
トレーニングウェアを身につけ、スポーツタオルを手にしたルーインが驚きの声をあげた。
「キャンベル曹長! これはどういうことだ!」
ルーインの詰問に、キャンベルはここが休憩室なのも忘れて、立ち上がり姿勢を正した。自分が持ち場を離れて、勝手な行動をしていることを咎められたのかと思ったのだ。
「はっ。申し訳ありません。アドラー中尉」
「どういうことだと、訊いているんだ!」
兵士たちは、いつも冷静なアドラー中尉の怒鳴り声にぎょっとする。
「基地の施設を見たいと頼まれまして、案内していました。独断で士官専用休憩室から連れ出し、申し訳ありません」
ルーインはキャンベルを睨んで黙り込んだ。休憩室全体が冷たい空気に包まれてしまった。
ところが。
場の空気を読みもせず、レイモンドが口をはさむ。
「へえ~。ルーイン、中尉になったんだ、よかったね」
キャンベルを叱りつけていたルーインは、はっとした。部下を相手にしている場合ではない。気にかけなければならないのはこの男。
「ありがとうございます。ところで、どうしてこんなところにおられるんですか?」
部下を怒鳴っていたのとは打ってかわった、丁寧な言葉遣い。
「ん? 拉致されて仕方なく、かな。でも、ルーインに会えたから、まあ、いっか」
拉致? それはよくない。全然よくないだろう。
「拉致って、どういうことですか…」
レイモンドがコスモ・サンダーの総督だってばれているのかとルーインが目だけで訊く。
「あっ、大丈夫。おまえが考えてるのとは違うからね。たまたま、ライトマンだっけ、おたくの司令官が会いたがっている男と一緒に宇宙船に乗ってただけ」
「レイさん。よくわかりませんが…」
「説明してもいいけど…、ここじゃあね」
言われて、ルーインははっと気がついた。全員が、自分たちのやり取りに注目している。
「危険はないのですか?」
「ん~、いまのところは…」
「そうですか。……それなら阿刀野に会いますか?」
レイモンドが応えるまでには、しばらくの間があった。
「俺に会ってくれるかな?」
それは、ルーインが初めて見る弱気なレイモンドであった。
「……」
ほんの少しの躊躇に、レイモンドの顔が曇る。
「やっぱり! リュウは怒ってるんだね」
「いえ…。阿刀野は意地を張っているだけです。実際に会えば…」
直立不動でいたキャンベルは、頭の中にクエスチョンマークをいっぱい飛ばしていた。
「なんだ、キャンベル曹長」
「アドラー中尉は、その方と面識があるのですか。阿刀野中尉とはどういう…」
「ああ、この人のことはよく知っている」
コスモ・サンダーの関係者であることはばれているのだろうか。
「僕もだが、阿刀野中尉も、ずいぶんお世話になった」
自分の上官に知り合いだといわれ、キャンベルは低姿勢になる。
「えっ。それは、失礼しました」
「ん、別に失礼なことはされていないよ。ルーイン、キャンベル曹長を責めないでね。ここへ来るのだって、俺が無理に頼んだんだ」
「あなたに頼まれれば、断るのは難しいでしょうね」
はあ、とため息を吐くのに。
「それ、どういう意味?」
とレイモンドが不満そうな顔をした。
「いえ、なんでもありません。キャンベル曹長、この人を阿刀野中尉のところへ案内しようと思うが、まずいか?」
「は、はい…。士官専用休憩室でお待ちいただくことになっていました。今は部下をひとり残していて、誰かが呼びに来たらすぐ連絡を入れるようにと指示しています」
「そうか。それなら、おまえは士官休憩室に戻り、何かあったら阿刀野中尉の私室に連絡をくれ」
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