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ケイジ・ラダーは、阿刀野リュウをしげしげと見つめていた。
ということはっ!
目の前にいる若者はわたしの息子、なのか?
コスモ・サンダーにさらわれ、殺されたと思っていたわたしの息子?
極東地区で成功していたわたしから金や鉱山を奪うために誘拐された…、救うことができなかった大切な家族。
ずっと、妻と息子をなくしたと思っていた。コスモ・サンダーに奪われたと思っていた。そして、その指揮を執ったのがクール・プリンスだと…。
ああ。わたしは、なんという勘違いをしていたのだろう。
いつか見つけ出して殺してやると誓ったクール・プリンスが、よりにもよって息子を助けて育ててくれた。コスモ・サンダーを敵にまわしてまでわたしの息子を助け、立派に育ててくれたと言うのか! 阿刀野くんが…。
知らなかった。何ということだ!
息子が生きていた! こんなにうれしいことはない。
ありがとう、阿刀野くん。わたしはキミのような息子がほしいと思ったが…、キミが息子を守ってくれていたんだね。
キミが育てたわたしの息子は、立派に成人している。ほんとうに、ありがとう。
息子を救うためにキミは命をなくすほどの危険を冒してくれた。若いキミは、息子を育てるのに苦労したことだろう…どれほど感謝を重ねても足りない。
リュウイチ・ラダー。それが、息子の名だよ。
キミが気にかけていた阿刀野リュウの将来は、わたしが責任を持つ。
言葉もなく考え込んでいるケイジ・ラダーの耳に、リュウの声が聞こえてきた。
「つまらないことを話してしまいました。ただ、レイに育てられたからと言って、俺があなたと付き合えるとは思いません。レイとでは釣り合ったかも知れないけれど、俺とあなたでは釣り合わない。あなたがレイの死を悼んでくださったのはほんとうにうれしかった。レイは悼む価値のある男です。それだけで十分です」
「そうだね、キミの兄さんは悼む価値のある男だった」
「それから…、俺はたまたまコスモ・サンダーからメタル・ラダー社の宇宙船を救うことになりましたが、それが宇宙軍の仕事ですし、何より自分のためにコスモ・サンダーと敵対しているだけです。気になさらないでください。お忙しいミスター・ラダーにこんな風にもてなしていただく必要はありませんから」
リュウはルーインにチラリと視線を投げかけた。
「ずいぶん、長居をしてしまいました。今日中に極東地区へもどらなくてはならないのでそろそろ失礼します」
立ち上がろうとしたリュウをミスター・ラダーが身振りで押しとどめた。何も言わずにいると、もう二度とリュウは誘いに応じてくれないだろうと思ったのだ。
「引き留めて悪いが…。阿刀野くん、キミはコスモ・サンダーが許せないと言ったね」
「はい」
「それは、わたしも同じだ。わたしも愛する家族をコスモ・サンダーに奪われたんだ。いつか一矢報いるために、いろいろな手を打ってきた。情報も集めている。もしかすると、キミと手を結べるんじゃないかな」
あなたとは釣り合わないと言われて、いまは親子の名乗りを上げるべきではないと判断したケイジ・ラダーである。
しかし、どうしてもリュウとつながっていたい。息子なのだから。ところがリュウがはっきりと断った。
「いえ。レイが敵わなかったくらいだから、コスモ・サンダーは手強い。ものすごく危険な相手です。俺には宇宙軍という後ろ盾がありますが、気を引き締めてかからないと痛手を被るかもしれない。あなたのような民間人は、関わらない方がいい。それに、情報網なら俺にもありますから」
リュウが不敵に言い放つ。
「危険なまねをするつもりはない。だから、協力させてもらえないだろうか。例えば、コスモ・サンダーに新しい総督が立つという話は知っているかい。その男が二代目総督、ゴールドバーグの息子だと言うことは? 幹部連中から非難が出ていることは?」
「知っていますが、ミスター・ラダーも詳しいですね」
「情報以外にも協力できることはいろいろあるぞ」
きっぱりした言葉に、リュウは素早く計算をめぐらせる。ずるいけれど、使えるモノは何でも使いたい。
「そこまでおっしゃるなら…」
「無理強いしたようだが、打倒コスモ・サンダーの同士にしてもらえるかい?」
「はい、よろしくお願いします」
リュウが出した手をケイジ・ラダーはにこやかな笑みを見せながら握り返した。
だが、ルーインは…。
ケイジ・ラダーに後ろ盾になってもらえたらと思っていたが、こんな展開は考えてもいなかった。コスモ・サンダーを倒す同士だなどと…。
ということはっ!
目の前にいる若者はわたしの息子、なのか?
コスモ・サンダーにさらわれ、殺されたと思っていたわたしの息子?
極東地区で成功していたわたしから金や鉱山を奪うために誘拐された…、救うことができなかった大切な家族。
ずっと、妻と息子をなくしたと思っていた。コスモ・サンダーに奪われたと思っていた。そして、その指揮を執ったのがクール・プリンスだと…。
ああ。わたしは、なんという勘違いをしていたのだろう。
いつか見つけ出して殺してやると誓ったクール・プリンスが、よりにもよって息子を助けて育ててくれた。コスモ・サンダーを敵にまわしてまでわたしの息子を助け、立派に育ててくれたと言うのか! 阿刀野くんが…。
知らなかった。何ということだ!
息子が生きていた! こんなにうれしいことはない。
ありがとう、阿刀野くん。わたしはキミのような息子がほしいと思ったが…、キミが息子を守ってくれていたんだね。
キミが育てたわたしの息子は、立派に成人している。ほんとうに、ありがとう。
息子を救うためにキミは命をなくすほどの危険を冒してくれた。若いキミは、息子を育てるのに苦労したことだろう…どれほど感謝を重ねても足りない。
リュウイチ・ラダー。それが、息子の名だよ。
キミが気にかけていた阿刀野リュウの将来は、わたしが責任を持つ。
言葉もなく考え込んでいるケイジ・ラダーの耳に、リュウの声が聞こえてきた。
「つまらないことを話してしまいました。ただ、レイに育てられたからと言って、俺があなたと付き合えるとは思いません。レイとでは釣り合ったかも知れないけれど、俺とあなたでは釣り合わない。あなたがレイの死を悼んでくださったのはほんとうにうれしかった。レイは悼む価値のある男です。それだけで十分です」
「そうだね、キミの兄さんは悼む価値のある男だった」
「それから…、俺はたまたまコスモ・サンダーからメタル・ラダー社の宇宙船を救うことになりましたが、それが宇宙軍の仕事ですし、何より自分のためにコスモ・サンダーと敵対しているだけです。気になさらないでください。お忙しいミスター・ラダーにこんな風にもてなしていただく必要はありませんから」
リュウはルーインにチラリと視線を投げかけた。
「ずいぶん、長居をしてしまいました。今日中に極東地区へもどらなくてはならないのでそろそろ失礼します」
立ち上がろうとしたリュウをミスター・ラダーが身振りで押しとどめた。何も言わずにいると、もう二度とリュウは誘いに応じてくれないだろうと思ったのだ。
「引き留めて悪いが…。阿刀野くん、キミはコスモ・サンダーが許せないと言ったね」
「はい」
「それは、わたしも同じだ。わたしも愛する家族をコスモ・サンダーに奪われたんだ。いつか一矢報いるために、いろいろな手を打ってきた。情報も集めている。もしかすると、キミと手を結べるんじゃないかな」
あなたとは釣り合わないと言われて、いまは親子の名乗りを上げるべきではないと判断したケイジ・ラダーである。
しかし、どうしてもリュウとつながっていたい。息子なのだから。ところがリュウがはっきりと断った。
「いえ。レイが敵わなかったくらいだから、コスモ・サンダーは手強い。ものすごく危険な相手です。俺には宇宙軍という後ろ盾がありますが、気を引き締めてかからないと痛手を被るかもしれない。あなたのような民間人は、関わらない方がいい。それに、情報網なら俺にもありますから」
リュウが不敵に言い放つ。
「危険なまねをするつもりはない。だから、協力させてもらえないだろうか。例えば、コスモ・サンダーに新しい総督が立つという話は知っているかい。その男が二代目総督、ゴールドバーグの息子だと言うことは? 幹部連中から非難が出ていることは?」
「知っていますが、ミスター・ラダーも詳しいですね」
「情報以外にも協力できることはいろいろあるぞ」
きっぱりした言葉に、リュウは素早く計算をめぐらせる。ずるいけれど、使えるモノは何でも使いたい。
「そこまでおっしゃるなら…」
「無理強いしたようだが、打倒コスモ・サンダーの同士にしてもらえるかい?」
「はい、よろしくお願いします」
リュウが出した手をケイジ・ラダーはにこやかな笑みを見せながら握り返した。
だが、ルーインは…。
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