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第五章
1 出動
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ポールがマリオンの部屋を訪ねてから1時間足らずのうちに、近衛隊らをはじめとする中央艦隊は宇宙艦『マーキュリー』を始動させ、あわただしく本部を出発した。
近衛隊が出動するのはよくあることだったが、いつもと違うのは、中央艦隊と共にマリオンの姿があること。
何が起こるかわからないから、冷静な判断を下せる副官が欲しいとレイモンドが要請し、中央艦隊を率いてきたのだ。
が、実際のところは、遠く離れた極東地区への出動だけに、長くマリオンと離れていたくないというのがレイモンドの本音。マリオンに仕事をさせる気はなかった。
せっかくの貴重なオフがおじゃんになってしまったことだし…。
極東地区へ着くまでには時間がある。執務中にいちゃいちゃできることはないだろうが、レイモンドには、どうしてもマリオンに話しておきたいことがあった。
『マーキュリー』が離陸を済ませ、軌道に乗ったところを見計らってレイモンドはマリオンに声をかけた。
「マリオン。しばらく時間があるだろう。付き合ってくれないか」
「今すぐ、ですか?」
「都合が悪いか?」
「はい。本部を飛び出してきましたから、手配を…。中央艦隊をほとんど連れてきましたので本部の防衛が手薄になっていますし、指揮系統も心配です。これからしばらく、いろいろ手を打っておこうと思っています。ゴールドバーグ様の用件は急ぎですか?」
「それが済んだらでいいよ。俺も先に、見回ってくる」
すっと立ち上がって、レイモンドは艦橋を後にした。その姿を目で追っていたマリオンが、
「見回り?」
わからないという顔をしながらつぶやくと、ポールが教えてくれた。
「各部署を回って、戦闘員たちに声をかけられるんです」
「は?」
「ゴールドバーグ様は時間があると各部署を回られるんです。みんなの気を引き締めるためとか戦闘員たちの士気を把握できるとか、理由を付けておられますが。戦闘員たちが楽しみにしているので行かざるを得ないってところでしょうか。総督と話せる機会なんて普通、ないですからね。ゴールドバーグ様が自分たちのところに現れると大喜びですよ。安心できるし、元気になります。もちろん、きちんとやってなかったら叱られますが…。
ゴールドバーグ様は、いろんな部署や仕事に精通されているようですね。戦闘艇も、砲術も、コンピューターも。自分たちのことを正しい目で評価してくれる、努力していれば認めてもらえる。だから、どの部署も一生懸命、頑張っています。よくやっているとひとこと声をかけてもらいたいばっかりに。わたしたちは、みんなあの方に、悔しいほど操られています」
「ほう? ゴールドバーグ様がいても戦闘員たちはピリピリしないのか」
「はい。ゴールドバーグ様は、たいていは穏やかですし、それを見ているだけでわたしたちまで穏やかになれます」
「穏やか?」
まさかとマリオンは思ったが、
「本当です。ただし、叱るときは別です。ベテラン戦闘員でも震えあがります。それから、艦橋にいるからわかるんですが、戦闘態勢に入ったら雰囲気が一変しますね。恐くて声などかけられなくなる」
「ほう…」
昔はいつも冷たい表情だった。
いつも声などかけられないほど恐いと言われていた。艦橋で穏やかに微笑む顔など見たことがないとマリオンは思った。
それが、今は微笑んでいると?
それでも、誰にも馬鹿にされていない。逆に、近衛隊の戦闘員たちに安心感を与えているのだと。教えた覚えもないのにレイモンドはいつの間にそんな技を身に付けたのだろう。
「マリオン、いいかな?」
見回りから戻ったレイモンドが声をかける。
「はい」
戦略室へと誘われた。お遊びではない証拠である。座るように促されて、肘付きの椅子に腰を下ろす。レイモンドはその前に立って、少し首を傾げた。失敗を言い訳する子どものように、頼りなさそうな風情であった。
「ねえ、マリオン。怒らないで聞いてほしいんだけど…」
声まで頼りない。戦略室にいるのに、総督モードではないようである。
「なんですか。わたしが怒るようなことでも?」
「……、どうかなあ。でも、きっとがっかりさせる」
「回りくどい。さっさと話したらどうですか」
レイモンドはゴクッと唾を飲み込んだ。緊張しているようだ。
「ん~。いろいろ考えたんだけどね。コスモ・サンダーは一つにまとめるには、大きすぎると思うんだ」
「たった1カ月半で、もう、お手上げ宣言ですか。泣き言など、聞きたくありません…」
ため息とともに吐き出された言葉の途中で。
「違うよ、マリオン。最後まで聞いて!」
口調の鋭さに、マリオンは口を閉じる。
「放り出すんじゃない。一つにまとめるにはコスモ・サンダーは大きすぎると言ってるんだ。わかり切ったことをって顔をしているけど…。あのね、絶対にコスモ・サンダーを一つにしなけりゃならないんだったら、できると思う。この1カ月半、何度も出動して、ちょっかいかけてる奴らの実力はわかった」
「それなら…」
レイモンドは片手でマリオンを制した。
「だけどね。そこまでしてコスモ・サンダーって組織をまとめなくちゃならないの? 命令も聞かないような奴らの面倒まで見る必要がある? それに、コスモ・サンダーをまとめるとしたら、7つある艦隊のうちの一つや二つ排除する必要がある。できないわけじゃないけど…」
「ないけど?」
「うん。排除するってことは、この世から消してしまうことだよね」
「おまえにしては、弱気ですね」
「弱気、かな。そうかもしれない。でも、俺は無駄な闘いをしたくないんだ。無駄な闘いで、泣く人をいっぱい作りたくない。それに、大切な人が傷つくかもしれない」
レイモンドはそう言って、じっとマリオンを見つめた。
「コスモ・サンダーをまとめるための闘いが無駄な闘いだと、総督になるための闘いが無駄な闘いだと、おまえは言っているのですか!」
マリオンの厳しい追及にもレイモンドはびくともしない。
「叱られるのを覚悟で言うなら、イエスだよ。俺はコスモ・サンダーにも総督にも執着はない。マリオンと約束したから、できるだけのことはするつもりだ。だけど、仲間内で闘って、何の意味がある?」
「弱気な態度でいたら、つけ込まれるだけです。こちらがおとなしくしていたら、それだけの力しかないと見くびられる」
「見くびられてもちっともかまわない。俺はコスモ・サンダーの名前にはこだわらない。総督の地位がほしいとは思わない。それに、いっせいに攻め込まれると防ぎきれないかもしれないけど、俺を排除したいって奴らだって、そんなにまとまっていないよ。それぞれの司令官が勝手に艦隊を動かしているだけなんだ。反対勢力が簡単に一つにまとまるくらいなら、誰も苦労しないよね?」
それはそうだが。
「コスモ・サンダーをいくつかに割ろうと思う。頭になりたい奴の数に割ればいい」
そう、うまくはいかないだろう。
「おまえは、どうするんですか」
「俺はマリオンと一緒に、慕ってくれる奴らだけをまとめる。俺の考えに従ってくれるものだけは面倒を見るつもりだ。
心配しなくても、逃げたりはしないよ。俺は、誰かに命じられて海賊行為をするのはごめんなんだ。裏切ったからといって誰かを処刑するのも。自分がいやなことを誰かに命じるのも、ね」
「レイモンド。わたしたちは海賊ですよ」
「わかってる」
「いいえ、おまえはわかっていない。海賊行為をしなければ、艦隊を維持できないことはさておき、おまえが総督から身を引くと言って、簡単に納得してくれる相手じゃない。自分たちの艦隊を好きにしていいと言われたら司令官たちはどうすると思いますか。弱い艦隊を吸収してのし上がろうとするに決まっている。絶対に、おまえを倒してコスモ・サンダーを手に入れようとする。見くびられて攻め込まれます。よけいに争いが広がりますよ」
「相手が向かってきたら叩き潰す」
「それなら、最初から叩き潰した方がいい…、わたしたちは海賊なんです。力がないと潰されるだけ。力があっても、それを相手に認めさせないと…」
「傲慢かもしれないけど、チャンスをやりたい。俺と一緒に来るなら面倒を見る。その替わりに規律は守ってもらう。いやなら、自分たちでまとまってやってくれれば、俺はむりやり従わせたりしたくない」
「極東地区みたいに、民間人に迷惑をかけても、ですか?」
「民間人に手を出したら宇宙軍が黙っちゃいない。極東地区の第4艦隊だって、コスモ・サンダーの後ろ盾があるから他の海賊も手を出さないけど、自分たちだけになったら苦労すると思うよ。あいつらも艦隊を維持する大変さを知ればいいんだ」
口を開くのを待ちかまえているレイモンドを見て、マリオンは大きくため息をついた。
「わたしが何を言っても聞き入れてはもらえないようだ。おまえはすでに決めてしまったのですね」
「……ん。だけどマリオンには納得して、賛成してほしいから」
近衛隊が出動するのはよくあることだったが、いつもと違うのは、中央艦隊と共にマリオンの姿があること。
何が起こるかわからないから、冷静な判断を下せる副官が欲しいとレイモンドが要請し、中央艦隊を率いてきたのだ。
が、実際のところは、遠く離れた極東地区への出動だけに、長くマリオンと離れていたくないというのがレイモンドの本音。マリオンに仕事をさせる気はなかった。
せっかくの貴重なオフがおじゃんになってしまったことだし…。
極東地区へ着くまでには時間がある。執務中にいちゃいちゃできることはないだろうが、レイモンドには、どうしてもマリオンに話しておきたいことがあった。
『マーキュリー』が離陸を済ませ、軌道に乗ったところを見計らってレイモンドはマリオンに声をかけた。
「マリオン。しばらく時間があるだろう。付き合ってくれないか」
「今すぐ、ですか?」
「都合が悪いか?」
「はい。本部を飛び出してきましたから、手配を…。中央艦隊をほとんど連れてきましたので本部の防衛が手薄になっていますし、指揮系統も心配です。これからしばらく、いろいろ手を打っておこうと思っています。ゴールドバーグ様の用件は急ぎですか?」
「それが済んだらでいいよ。俺も先に、見回ってくる」
すっと立ち上がって、レイモンドは艦橋を後にした。その姿を目で追っていたマリオンが、
「見回り?」
わからないという顔をしながらつぶやくと、ポールが教えてくれた。
「各部署を回って、戦闘員たちに声をかけられるんです」
「は?」
「ゴールドバーグ様は時間があると各部署を回られるんです。みんなの気を引き締めるためとか戦闘員たちの士気を把握できるとか、理由を付けておられますが。戦闘員たちが楽しみにしているので行かざるを得ないってところでしょうか。総督と話せる機会なんて普通、ないですからね。ゴールドバーグ様が自分たちのところに現れると大喜びですよ。安心できるし、元気になります。もちろん、きちんとやってなかったら叱られますが…。
ゴールドバーグ様は、いろんな部署や仕事に精通されているようですね。戦闘艇も、砲術も、コンピューターも。自分たちのことを正しい目で評価してくれる、努力していれば認めてもらえる。だから、どの部署も一生懸命、頑張っています。よくやっているとひとこと声をかけてもらいたいばっかりに。わたしたちは、みんなあの方に、悔しいほど操られています」
「ほう? ゴールドバーグ様がいても戦闘員たちはピリピリしないのか」
「はい。ゴールドバーグ様は、たいていは穏やかですし、それを見ているだけでわたしたちまで穏やかになれます」
「穏やか?」
まさかとマリオンは思ったが、
「本当です。ただし、叱るときは別です。ベテラン戦闘員でも震えあがります。それから、艦橋にいるからわかるんですが、戦闘態勢に入ったら雰囲気が一変しますね。恐くて声などかけられなくなる」
「ほう…」
昔はいつも冷たい表情だった。
いつも声などかけられないほど恐いと言われていた。艦橋で穏やかに微笑む顔など見たことがないとマリオンは思った。
それが、今は微笑んでいると?
それでも、誰にも馬鹿にされていない。逆に、近衛隊の戦闘員たちに安心感を与えているのだと。教えた覚えもないのにレイモンドはいつの間にそんな技を身に付けたのだろう。
「マリオン、いいかな?」
見回りから戻ったレイモンドが声をかける。
「はい」
戦略室へと誘われた。お遊びではない証拠である。座るように促されて、肘付きの椅子に腰を下ろす。レイモンドはその前に立って、少し首を傾げた。失敗を言い訳する子どものように、頼りなさそうな風情であった。
「ねえ、マリオン。怒らないで聞いてほしいんだけど…」
声まで頼りない。戦略室にいるのに、総督モードではないようである。
「なんですか。わたしが怒るようなことでも?」
「……、どうかなあ。でも、きっとがっかりさせる」
「回りくどい。さっさと話したらどうですか」
レイモンドはゴクッと唾を飲み込んだ。緊張しているようだ。
「ん~。いろいろ考えたんだけどね。コスモ・サンダーは一つにまとめるには、大きすぎると思うんだ」
「たった1カ月半で、もう、お手上げ宣言ですか。泣き言など、聞きたくありません…」
ため息とともに吐き出された言葉の途中で。
「違うよ、マリオン。最後まで聞いて!」
口調の鋭さに、マリオンは口を閉じる。
「放り出すんじゃない。一つにまとめるにはコスモ・サンダーは大きすぎると言ってるんだ。わかり切ったことをって顔をしているけど…。あのね、絶対にコスモ・サンダーを一つにしなけりゃならないんだったら、できると思う。この1カ月半、何度も出動して、ちょっかいかけてる奴らの実力はわかった」
「それなら…」
レイモンドは片手でマリオンを制した。
「だけどね。そこまでしてコスモ・サンダーって組織をまとめなくちゃならないの? 命令も聞かないような奴らの面倒まで見る必要がある? それに、コスモ・サンダーをまとめるとしたら、7つある艦隊のうちの一つや二つ排除する必要がある。できないわけじゃないけど…」
「ないけど?」
「うん。排除するってことは、この世から消してしまうことだよね」
「おまえにしては、弱気ですね」
「弱気、かな。そうかもしれない。でも、俺は無駄な闘いをしたくないんだ。無駄な闘いで、泣く人をいっぱい作りたくない。それに、大切な人が傷つくかもしれない」
レイモンドはそう言って、じっとマリオンを見つめた。
「コスモ・サンダーをまとめるための闘いが無駄な闘いだと、総督になるための闘いが無駄な闘いだと、おまえは言っているのですか!」
マリオンの厳しい追及にもレイモンドはびくともしない。
「叱られるのを覚悟で言うなら、イエスだよ。俺はコスモ・サンダーにも総督にも執着はない。マリオンと約束したから、できるだけのことはするつもりだ。だけど、仲間内で闘って、何の意味がある?」
「弱気な態度でいたら、つけ込まれるだけです。こちらがおとなしくしていたら、それだけの力しかないと見くびられる」
「見くびられてもちっともかまわない。俺はコスモ・サンダーの名前にはこだわらない。総督の地位がほしいとは思わない。それに、いっせいに攻め込まれると防ぎきれないかもしれないけど、俺を排除したいって奴らだって、そんなにまとまっていないよ。それぞれの司令官が勝手に艦隊を動かしているだけなんだ。反対勢力が簡単に一つにまとまるくらいなら、誰も苦労しないよね?」
それはそうだが。
「コスモ・サンダーをいくつかに割ろうと思う。頭になりたい奴の数に割ればいい」
そう、うまくはいかないだろう。
「おまえは、どうするんですか」
「俺はマリオンと一緒に、慕ってくれる奴らだけをまとめる。俺の考えに従ってくれるものだけは面倒を見るつもりだ。
心配しなくても、逃げたりはしないよ。俺は、誰かに命じられて海賊行為をするのはごめんなんだ。裏切ったからといって誰かを処刑するのも。自分がいやなことを誰かに命じるのも、ね」
「レイモンド。わたしたちは海賊ですよ」
「わかってる」
「いいえ、おまえはわかっていない。海賊行為をしなければ、艦隊を維持できないことはさておき、おまえが総督から身を引くと言って、簡単に納得してくれる相手じゃない。自分たちの艦隊を好きにしていいと言われたら司令官たちはどうすると思いますか。弱い艦隊を吸収してのし上がろうとするに決まっている。絶対に、おまえを倒してコスモ・サンダーを手に入れようとする。見くびられて攻め込まれます。よけいに争いが広がりますよ」
「相手が向かってきたら叩き潰す」
「それなら、最初から叩き潰した方がいい…、わたしたちは海賊なんです。力がないと潰されるだけ。力があっても、それを相手に認めさせないと…」
「傲慢かもしれないけど、チャンスをやりたい。俺と一緒に来るなら面倒を見る。その替わりに規律は守ってもらう。いやなら、自分たちでまとまってやってくれれば、俺はむりやり従わせたりしたくない」
「極東地区みたいに、民間人に迷惑をかけても、ですか?」
「民間人に手を出したら宇宙軍が黙っちゃいない。極東地区の第4艦隊だって、コスモ・サンダーの後ろ盾があるから他の海賊も手を出さないけど、自分たちだけになったら苦労すると思うよ。あいつらも艦隊を維持する大変さを知ればいいんだ」
口を開くのを待ちかまえているレイモンドを見て、マリオンは大きくため息をついた。
「わたしが何を言っても聞き入れてはもらえないようだ。おまえはすでに決めてしまったのですね」
「……ん。だけどマリオンには納得して、賛成してほしいから」
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