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第6章
2 断って、しまった
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「やっぱり悪いから、料理の練習は一人で頑張ることにしようと思ってて……」
「え……?」
「ほ、ほら、澄斗すごく忙しいじゃん。部活も時間を惜しんで自主練とかしてるみたいだし、休める時にしっかり休んでおいたほうがいいだろ!?」
しばしの沈黙……
澄斗があまりにも静かなので、僕はちらりと様子を窺ってみた。
すると——眉根を下げ、魂が抜けてしまったかのような顔をした澄斗がそこにいる。
こんな顔は初めて見た。
こんなときだというのに、寂しげに揺れている瞳が淡い茶色をしていることに僕は初めて気がついた。
「あ……あの、澄斗」
「なぁ、なんで? なんか嫌だった? 俺、馴れ馴れしかった?」
「へ? いや、そんなことは全然……! でも、ほんとに、僕なんかに時間を割いてもらうのが申し訳なくて……」
「……申し訳ないなんて思わないでよ。全然そんなことないのに」
「いや、それにさ、澄斗と遊びたい人は他にもたくさんいるわけだから、僕がその人たちから澄斗をとっちゃうわけにもいかないっていう……」
「……っ。そんなの知らねーよ! 俺は……俺が郁也と一緒に、」
「すーーーみとっ! おはようってば!」
どこからともなくハスキーで明るい女子の声が近づいてきたかと思うと——クラスメイトの冴島さんが、澄斗の腕にぎゅっとしがみついてきた。
「もー! なんで無視すんの?」
「あ、ああ……おはよ」
「あれっ!? 朝霞くん髪切ってんじゃん。可愛い~!」
「あはは……、ありがと」
冴島さんは高校で初めて顔を合わせたクラスメイトのひとりだ。これまでいっさい言葉を交わしたことがなかったから、いきなり話しかけられるとドキドキしてしまう。
「わ! ほんまや~! 郁也くんめっちゃさっぱりしてはるやん!」
そこへ、今度はひょいっと悠巳くんが顔を出す。
悠巳くんは今日も相変わらずニコニコしながら「びっくりしたけど、その髪型めっちゃ可愛いやん」と手放しに褒めてくれる。
「昨日は楽しかったなあ。親子丼美味しくできたし!」
「う、うん……そうだね」
「え!? なになに!? 昨日三人で遊んでたの!? めっずらしー!」
冴島さんもいる前で、悠巳くんが人懐っこい笑顔のままそう言った。すると澄斗の腕にくっついたままの冴島さんが目を丸くして、僕ら三人を順番に見比べている。
「てか、澄斗と悠巳って朝霞くんと仲良かったんだ。意外すぎ」
「せやろ? ま、俺は飛び入りやけどな。澄斗と郁也くんが料理のレッスンしはるていうから、面白そうやし混ぜてもーただけ」
「澄斗とお料理レッスン!? なにそれめっちゃ楽しそうじゃん! ねえ澄斗ぉ、次はあたしも呼んでよ!」
金色に近いロングヘアを揺らして、冴島さんが甘えるように澄斗を見上げている。悠巳くんがいうように、ものすごく積極的だ。きっと自分に確固たる自信があるのだろう。
華やか度でいえば、澄斗と冴島さんは文句なしに吊り合いが取れている。
彼女はギャルっぽいメイクがよく似合っていて可愛いし、確かに——胸が大きい。まるで外国人みたいにスタイルが良くて長身の澄斗とのバランスもいいし、完璧にお似合いだ。
(綺麗だなあ……。こんな子に迫られてたら、澄斗もいつか冴島さんのこと好きになっちゃうかもしれないな……)
気になってる子がいるとしても、腕に豊満な胸を押しつけられながら甘い声で話しかけられていたら有り得ない話じゃないかも……と、我ながら下世話な妄想をしながらちらりと無言の澄斗を見上げてみる。
だが、澄斗の意外な表情を目の当たりにして、僕は目を瞠った。
「え……?」
「ほ、ほら、澄斗すごく忙しいじゃん。部活も時間を惜しんで自主練とかしてるみたいだし、休める時にしっかり休んでおいたほうがいいだろ!?」
しばしの沈黙……
澄斗があまりにも静かなので、僕はちらりと様子を窺ってみた。
すると——眉根を下げ、魂が抜けてしまったかのような顔をした澄斗がそこにいる。
こんな顔は初めて見た。
こんなときだというのに、寂しげに揺れている瞳が淡い茶色をしていることに僕は初めて気がついた。
「あ……あの、澄斗」
「なぁ、なんで? なんか嫌だった? 俺、馴れ馴れしかった?」
「へ? いや、そんなことは全然……! でも、ほんとに、僕なんかに時間を割いてもらうのが申し訳なくて……」
「……申し訳ないなんて思わないでよ。全然そんなことないのに」
「いや、それにさ、澄斗と遊びたい人は他にもたくさんいるわけだから、僕がその人たちから澄斗をとっちゃうわけにもいかないっていう……」
「……っ。そんなの知らねーよ! 俺は……俺が郁也と一緒に、」
「すーーーみとっ! おはようってば!」
どこからともなくハスキーで明るい女子の声が近づいてきたかと思うと——クラスメイトの冴島さんが、澄斗の腕にぎゅっとしがみついてきた。
「もー! なんで無視すんの?」
「あ、ああ……おはよ」
「あれっ!? 朝霞くん髪切ってんじゃん。可愛い~!」
「あはは……、ありがと」
冴島さんは高校で初めて顔を合わせたクラスメイトのひとりだ。これまでいっさい言葉を交わしたことがなかったから、いきなり話しかけられるとドキドキしてしまう。
「わ! ほんまや~! 郁也くんめっちゃさっぱりしてはるやん!」
そこへ、今度はひょいっと悠巳くんが顔を出す。
悠巳くんは今日も相変わらずニコニコしながら「びっくりしたけど、その髪型めっちゃ可愛いやん」と手放しに褒めてくれる。
「昨日は楽しかったなあ。親子丼美味しくできたし!」
「う、うん……そうだね」
「え!? なになに!? 昨日三人で遊んでたの!? めっずらしー!」
冴島さんもいる前で、悠巳くんが人懐っこい笑顔のままそう言った。すると澄斗の腕にくっついたままの冴島さんが目を丸くして、僕ら三人を順番に見比べている。
「てか、澄斗と悠巳って朝霞くんと仲良かったんだ。意外すぎ」
「せやろ? ま、俺は飛び入りやけどな。澄斗と郁也くんが料理のレッスンしはるていうから、面白そうやし混ぜてもーただけ」
「澄斗とお料理レッスン!? なにそれめっちゃ楽しそうじゃん! ねえ澄斗ぉ、次はあたしも呼んでよ!」
金色に近いロングヘアを揺らして、冴島さんが甘えるように澄斗を見上げている。悠巳くんがいうように、ものすごく積極的だ。きっと自分に確固たる自信があるのだろう。
華やか度でいえば、澄斗と冴島さんは文句なしに吊り合いが取れている。
彼女はギャルっぽいメイクがよく似合っていて可愛いし、確かに——胸が大きい。まるで外国人みたいにスタイルが良くて長身の澄斗とのバランスもいいし、完璧にお似合いだ。
(綺麗だなあ……。こんな子に迫られてたら、澄斗もいつか冴島さんのこと好きになっちゃうかもしれないな……)
気になってる子がいるとしても、腕に豊満な胸を押しつけられながら甘い声で話しかけられていたら有り得ない話じゃないかも……と、我ながら下世話な妄想をしながらちらりと無言の澄斗を見上げてみる。
だが、澄斗の意外な表情を目の当たりにして、僕は目を瞠った。
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