48 / 54
番外編② 御子柴視点
お手並み拝見
しおりを挟むそういうことがたびたびあって、親友の俺にもわからへん部分があんねやな——……と思ってたら、なるほど。
澄斗のやつ、あれで郁也くんにアピってるつもりやってんな。まったくうまいこといってへんかったけど、むしろ嫌われてたけど。
「——ってことがあったやん。覚えてへん?」
「覚えてるよっ! てかやめろ。俺を客観的に見るな」
「そんなおまえが、今や立派に郁也くんをキュンキュンさせてんのかと思うと、なんやようわからんけど感激やで」
「? ふーん、なんかよくわかんねーけど、ありがと」
澄斗が首を傾げながら笑い、俺の肩に肩をつんとぶつけてきた。
狭い窓枠の中でくっつきあっている俺たちを眺める女子が増えてきた気がする。
「悠巳、そろそろ教室もどらねぇ?」
「いや待て待て! まだお手並み拝見してへんやん。俺をキュン死させてみろ!」
「キュン死ぃ? いや……まじで何それ。よくわかんねーからまずは悠巳からやってみてよ」
「ええ? 俺から~? おまえ、鼻血噴いて死んでまうで~」
「そんなわけねーだろ」
「否定早すぎやろ……グサッとくるわ。まぁええ。こっち向いとけ」
俺は身体の向きを変えて窓枠に片肘をつき、澄斗を見上げて…………ってまたこいつ背ぇ伸びてへん? なんで俺が顎あげて見上げなあかんねん気ぃ食わへんな。
……じゃなくて、俺の必殺技見せたろやないかい。
澄斗をじっと見つめながら口角をキュッと上げて、あざと可愛いと評判の笑顔を浮かべる。
「空回ってる澄斗もめっちゃ可愛い。大好きやで♡」
どうや、渾身の笑顔と激甘必殺低音ボイスでの愛の告白!
キラキラしているであろう俺の顔を見つめていた澄斗は一瞬真顔になり、へぇー、ふーん、やるじゃんみたいな顔をした。(たぶん)
ふふふ、せやろ。これで落ちんかった子はいーひんねん。
背後で「ヒィィィ…………」という断末魔みたいな声がかすかに聞こえてきたけど、今は勝負の真っ最中や。
俺は指先をちょいちょい曲げて、次はお前の番やでとジェスチャーした。
すると澄斗は唇の片端を吊りあげてニヤリと笑い、そのあと——……ぱぁっとひまわりが咲くような笑顔を見せた。そして……
「うん、俺も!」
そのひとことが放たれた瞬間、世界はまばゆい光に包まれ全てが静寂に包まれた——……
その場にいた人間たちは皆、澄斗の放つ聖なる光に焼かれて灰燼と化し、騒がしかった昼下がりの校内は浄化された世界へと姿を変え——……
……というモノローグが俺の脳裡に浮かんで消える。
背後では女子が数人ぶっ倒れて「ちょっ!! あんた大丈夫!!?」「誰か! 誰か保健の先生呼んで!!」などさっきより一段と騒がしくなり始めた。
直撃を喰らった俺はまだ衝撃から立ち直れていない。フルフル震えつつ、窓枠に手をついて澄斗を見上げた。
「おまえ……よくもたった四文字で俺をここまで……」
「? さっきから何言ってんのかわかんねーけど、そろそろ教室戻ろうぜ」
「お、おう……せやな」
「それに、そういう台詞は遊びで俺に言うんじゃなくて、好きな子が出てくるまでとっとけって。無駄撃ちすんなよ」
「ウッ……せやな……」
サラッとキザったらしいことを言う澄斗だが、イケメンなので無駄に絵になっている……
笑顔の余韻をキラキラさせながら歩き出した澄斗を、俺は慌てて追いかけた。
そうか、遊びとはいえ、澄斗の愛の言葉を聞けるのは郁也くんだけっちゅうことやな……
なるほど、愛や。愛すぎる。
俺は自分の軽率な行動をちょこっと恥じつつ、フラフラしながら澄斗の横を歩いた。
俺の親友、これから恋愛上段者としてますます成長していきそうや。
これからもラブラブなふたりを見守りつつ、盗める恋愛テクは盗ませてもらわなあかん!
いつか来たるであろう俺の恋愛のために……!
——後日、俺が澄斗にガチ告白していたという噂が流れたが、澄斗が一笑に付したため秒でその噂は消えた。
おしまい♡
114
あなたにおすすめの小説
義兄が溺愛してきます
ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。
その翌日からだ。
義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。
翔は恋に好意を寄せているのだった。
本人はその事を知るよしもない。
その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。
成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。
翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。
すれ違う思いは交わるのか─────。
地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛
中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。
誰の心にも触れたくない。
無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。
その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。
明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、
偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。
無機質な顔の奥に隠れていたのは、
誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。
気づいてしまったから、もう目を逸らせない。
知りたくなったから、もう引き返せない。
すれ違いと無関心、
優しさと孤独、
微かな笑顔と、隠された心。
これは、
触れれば壊れそうな彼に、
それでも手を伸ばしてしまった、
不器用な男たちの恋のはなし。
【完結】毎日きみに恋してる
藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました!
応援ありがとうございました!
*******************
その日、澤下壱月は王子様に恋をした――
高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。
見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。
けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。
けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど――
このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。
孤毒の解毒薬
紫月ゆえ
BL
友人なし、家族仲悪、自分の居場所に疑問を感じてる大学生が、同大学に在籍する真逆の陽キャ学生に出会い、彼の止まっていた時が動き始める―。
中学時代の出来事から人に心を閉ざしてしまい、常に一線をひくようになってしまった西条雪。そんな彼に話しかけてきたのは、いつも周りに人がいる人気者のような、いわゆる陽キャだ。雪とは一生交わることのない人だと思っていたが、彼はどこか違うような…。
不思議にももっと話してみたいと、あわよくば友達になってみたいと思うようになるのだが―。
【登場人物】
西条雪:ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。
白銀奏斗:勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
初恋ミントラヴァーズ
卯藤ローレン
BL
私立の中高一貫校に通う八坂シオンは、乗り物酔いの激しい体質だ。
飛行機もバスも船も人力車もダメ、時々通学で使う電車でも酔う。
ある朝、学校の最寄り駅でしゃがみこんでいた彼は金髪の男子生徒に助けられる。
眼鏡をぶん投げていたため気がつかなかったし何なら存在自体も知らなかったのだが、それは学校一モテる男子、上森藍央だった(らしい)。
知り合いになれば不思議なもので、それまで面識がなかったことが嘘のように急速に距離を縮めるふたり。
藍央の優しいところに惹かれるシオンだけれど、優しいからこそその本心が掴みきれなくて。
でも想いは勝手に加速して……。
彩り豊かな学校生活と夏休みのイベントを通して、恋心は芽生え、弾んで、時にじれる。
果たしてふたりは、恋人になれるのか――?
/金髪顔整い×黒髪元気時々病弱/
じれたり悩んだりもするけれど、王道満載のウキウキハッピハッピハッピーBLです。
集まると『動物園』と称されるハイテンションな友人たちも登場して、基本騒がしい。
◆毎日2回更新。11時と20時◆
【完結】幼馴染に告白されたけれど、実は俺の方がずっと前から好きだったんです 〜初恋のあわい~
上杉
BL
ずっとお前のことが好きだったんだ。
ある日、突然告白された西脇新汰(にしわきあらた)は驚いた。何故ならその相手は幼馴染の清宮理久(きよみやりく)だったから。思わずパニックになり新汰が返答できずにいると、理久はこう続ける。
「驚いていると思う。だけど少しずつ意識してほしい」
そう言って普段から次々とアプローチを繰り返してくるようになったが、実は新汰の方が昔から理久のことが好きで、それは今も続いている初恋だった。
完全に返答のタイミングを失ってしまった新汰が、気持ちを伝え完全な両想いになる日はやって来るのか?
初めから好き同士の高校生が送る青春小説です!お楽しみ下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる