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38.緊急クエスト
しおりを挟む「あなたの行動報告書なるものを見せていただいたのですけれど、あれを鵜呑みにするならば、あなた、幾つも罪を犯してらっしゃいますね」
「つ、つみ? 何言って、あたしそんな事してない!!」
「本気で仰ってます? 私が確認した分だけでも、窃盗、ストーカー、付き纏い行為、強要、脅迫はあるかと思いますが」
「はあ? だからそんな事してないってば!」
罪の意識ゼロ? それともゲーム内のキャラ相手だから何してもいいとでも?
「へぇ? ですがお世話になっている王家が付けてくださった侍女から、私物のアクセサリーを無理矢理奪ったそうですね。窃盗というか強盗ですか。幾人もから証言がある様ですよ? それと毎日来訪しろとの貴女の言を断った高位貴族の青年に、リベルの命令を断れば神殿の力を使い家を潰すだのと脅し日参させ精神的に追い詰め、剰え王太子殿下への付き纏いまで。これも脅迫、付き纏い行為、ストーカー行為ですよね? 更には部屋付きのメイドに難癖をつけ毎日毎日謝罪させ続けた上、土下座までさせたとか。これも謂わゆる強要罪に当てはまるでしょう」
うわっ、急に何これ??? 地震速報みたいな警鐘音が鳴るのと一緒に、急に視界の右上に赤色で三角の中にエクスクラメーションが書かれてるマークが出てきた。急を要するものかもと慌ててタッチする。
緊急クエスト
リベルの起こす問題を解決しよう!
問題を起こしたリベルを拘束し儀式の間へ連行する。
問題を起こしたリベルの行動の詳細を調べ、ユグドラシルへ報告する。
報酬 達成 ルーチェフィウメ国親愛度+10%
失敗 ルーチェフィウメ国からリベルへの親愛度-20%
進行中
クエスト達成率 75%
あっ、これあれじゃん。運営からのお仕事のやつ! これクエスト扱いなのか・・・・・・。初めての仕事がこれか、と思ってしまうのは許されたい。
対象のリベルだからか、チラリと横目で見ると彼女の頭上にはエクスクラメーションが光っている。
あー、確かにこの状況は今後の運営状況に影響するもんね? ていうか既にクエスト勝手に受けてる事になってるのなんで? まあ騎士様もいるし、ユグ様に報告くらいいつもしてるからいいけども。
色々な疑問は一旦置いておいて一先ずリオルを側に呼んだ。耳打ちで、ここで彼女を拘束しこのまま儀式の間へ連行してもいいかをクルト様に聞いてきてもらうようお願いする。リオルは目を合わせて頷くと、サッと部屋を出ていった。
彼女に目線を戻すと、実際にやった事を指摘されてか彼女は動揺しているようで、今の一連の僕の行動には気が配れてはいないみたいだ。
「あ、そんな、・・・・・・いやでも、これはゲームだし、」
「まぁ、なんて事。そういった考えをお持ちの方はこの世界に入れない筈なのはご存知ですよね?」
「・・・・・・」
最初の謳い文句を忘れでもした? 倫理観のまともな人だけって言ってたのは? それともテストで何か不正を働きましたか?
エイトの時もそうだったけどこういうのって、裏付けっていうか多面的に調べないといけないんだよね、本当は。でも。
「あなた、何か勘違いしていませんか? この世界の方々とリベルは対等です。その上で、私達が快適に過ごせる環境を用意して下さっているのは、皆さんのご厚意あってのもの。私達はここの方達からすれば単なる異物であって、一個人は偉くも何ともないのですよ?」
「あ・・・・・・」
「はぁ。リベルが一人居なくなるのは寂しいですが、犯罪者を野放しにしてはおけませんし、仕方ないですね。せっかくテストに合格しましたでしょうに、残念です」
「犯罪者なんて! ・・・・・・っそれならあの、あたし謝るから! それでいいじゃん! これも返せばいいんでしょ!? そしたら何も無かった事になる筈っ!」
焦って叫ぶようにそう言い放ち、彼女はイヤリングを外しテーブルに叩きつけた。んな睨まれても。言い方からしてもしかして、侍女さんから奪ったアクセサリーってそれ? 人の物をそんな粗末に扱うなんて信じられない。
まぁ、これが自白って事でいいでしょう。物証もある事だし。
そもそも運営なら行動ログも辿れるだろうから、緊急クエストが出た時点で確証は取れていて、もしかして僕の方には実働だけ求められてる感じ?
そんなら既にこうして緊急クエストが出た時点でアウトでしょ。僕にクエストが降りたのは、一番使い易い&達成が容易なポジションだったから? なんてったってお付きの騎士様なんてご大層なものがいるもんね?
イヤリングがこちらへ転がって来て床に落ちたので、拾ってハンカチに包んでおく。・・・・・・石が外れてたりしなきゃいいけど。
パッと見た感じでは、綺麗に磨いてはあるけどアンティークっぽいデザインだし、もし継いだものとかだったら申し訳なさすぎる。形見とかだったら目も当てられない。
ここの流行りとかはまだ分からないから、この推測は是非とも違っていて欲しい。侍女さん、リベルが本当にごめんなさい。
テーブルの僕のそばの、彼女の手が届かない位置に置いておく。今更とろうとはしないだろうけど念の為。
彼女の背後に控える、王城から一緒に来たのであろうお付きの騎士様の顔が、表情がみんな怖い。そりゃそうよね。はぁ、もう勘弁してよ。
僕には辛うじて一応そんな顔向けてないけど、これもう無理じゃん。まじでふざけんなよ。こんなん絶対、既にリベル全体の好感度ダダ下がりしてる!
「なる訳がないでしょう。日本で同じ事をしたとして、全て許されるとお思いですか?」
「っ、だってここは日本じゃないじゃない!たかが」
「ですから! そういったこの世界の方々を貶めて平気な考えの方は、この世界に必要ないと言っているのです! その様な考えでいったいどうやってテストをすり抜けたのでしょうか? この様な事をしておいて罪の意識がゼロなんて・・・・・・」
やめた。どうせこの人アカウント抹消だろうし、苦労して理解させた所で意味はない。
「はぁ。もういいです。ギルベルト様、この方を拘束してくださる?」
「御意」
「は?」
はやっ! 瞬きの間に、彼女の横に瞬間移動した? ひえー、騎士の身体能力やば。
「な、触らないで!」
流れる様にサッと拘束するし。有能すぎ。かっこいいです。
つうか向こうの騎士、動く気配0なんだけど。もしかして守る為に付けてるんじゃなくて、他人に迷惑かけた時に止める為だったりする? これってもう向こうからのリベルへの信用は、ゼロとみていいでしょうね。
クエスト画面を開いてもう一度確認する。
拘束して、儀式の間に連れてって、ユグ様に報告。OK。
「今、神々(運営)から貴女を拘束し儀式の間へ連行するようにと、指示がございました。その後どうなるかはご自分でお分かりでしょう?」
「っ、ごめんなさい、謝るから。垢BANはやだ。まだ何もしてないのに! これ外してよ」
「まだ言いますか。したからこうなっているのでしょう?」
リオルまだかなー。暇。さっさと儀式の間に連れてって解放されたい。
「違うっ、レベル上げとか戦闘の話!」
「そうですか。それは私達には関係ないので」
「そもそも何でもできるのが悪いんじゃん。普通ゲームならNPCに触ったりは出来ないんだし」
「自分の行いを世界のせいにするなんて。本当に不快な方ですね。もう口をきかないでくださる?」
この人の言葉なんて気分が悪くなるだけだろうから、右から左にってしたいのについ聞いてしまう。精進が足りませんね。
というか、クルト様~。まだですか?
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