37 / 65
37.痛ヒロイン脳がヤバすぎる
はい、そんなこんなで当日となりました。モーニングルーティンを何時もより時間をかけてされた為少々疲労しております。
食事をした後にハーフアップのアップ部分の髪を複雑に結われ、それがプラチナブロンドに染まっている部分を一部前面へ胸下辺りまで垂らされる形になっていて、髪で威圧しようぜというリオルの意気込みを感じてしまっています。小心者の僕にどうしろと。
この髪に御利益的なものを感じるのはここの現地民だけだと伝えたのに。
そしてリベルに会うのが昨日より更に憂鬱に感じている。自身の服装に、これワンピース回避した意味ある? という疑問が尽きません。
率直に言うと、クルト様とリオルに謀られました。
男だから男装って言うとおかしいか。一応神官服の中はシャツとスラックスなのに、昨日のシンプルなシャツと違って、やたらヒラヒラして布が多い。袖なんてドレープ感の強い古代中国風装束に似ていて、ラッパ型に開いている上に指先から更に2、30センチは長さがあり、手が見えることはまず無い形になっている。
昨日のシンプルなシャツはどうしたのと聞くと、あれはサイズ感を見る為のものだったとの事。ひどい。どっちにしろどうせオーダーメイドじゃないんだから、あれで良かったのに。というかむしろあれが良かったのに。
いつものストラも、更にキラキラしくも優美な刺繍がされたストラに交換され、髪飾りどころか額飾りまで付けられる始末。
昔から母に着飾られる事が多かったので世間一般の男性より耐性があるとは言え、不満がないわけでもない。まぁ、神殿の権威という一言を出されれば文句は引っ込みますけど。
長いものには巻かれる主義なのです。
ソワソワしながらクルト様の執務室で植物図鑑を眺めていると、ついに呼び出しが来ました。
クルト様はホールの左翼にある控え室や待合室がある棟の最上階へ。リベルの二人と面会した所だね。そこへ高貴な来訪者の為の、貴賓仕様の待合室もあるそうです。王子様はここで足止め。
そして僕は、正面から入って三番目にある、ここで一番大きな棟であり、神殿に必要な施設や運営に関するものが集まる所へ。僕達が召喚された儀式の間はそこの三階にある。
横長の建物ですごく広いんだけど、神殿の人間以外は入れません。本来はリベルも例外ではないけれど、今回は僕が招いた形になるそうでギリOKとの事。それもこれも僕が王子に会わないで済む様にするための策で、彼等を分断する為にこうなりました。ほんとお手数をお掛けして申し訳ない。
そこにも一応控えの間はあるので、そこに件のリベルは通されているとの事。あー、めんどい。
そしてここは神官達が一番行き来しているので、着飾ってる事も相まってか視線が何時もより更に痛いです。がんばれ僕。控えの間に辿り着けば、相手と騎士様達と僕だけになれるぞ。
何とか控えの間のある階へ辿り着いたけれど、普段歩いてないからか少し息が上がってしまった。階段の上り下りが一番きつい。すれ違う神官達は軽快に移動していて、自分の体力の無さを痛感させられました。途中、ギルベルト様に運ぼうかと提案されたりして、軽く死にたくなりつつ。
リオルが取り次ぎを頼むと、扉脇に控える騎士様が扉を開けてくれて中に招かれた。
中に入るとピンク色でボブの髪の女の子がいて、目があうも睨まれる。えええ。そういう感じ? まだ何もしてないんだけど。一先ず挨拶してみるか。
「初めまして。私はユーリといいます。こちらで薬師をさせていただいているリベルです」
「・・・・・・あんたが自称姫様?」
は? 挨拶もなし? うっそー。そこまで礼儀知らずとは思ってなかったから驚いた。またキャットファイトってこと? だる・・・・・・。
「いいえ? 自称した事は一度もありませんので人違いではありませんか?」
姫って言われてるのは当然知ってるけど、自称した事は一度もないぞ! 断じて!
「はぁ? んな男を侍らせて姫プレイしてる癖に、よくそんな事言えるね」
は? そっちこそ神殿でよくそんな事言えるね。
「聞き捨てなりませんね。彼等は誇り高い神殿騎士です。その様な仰り様は許せません。職務に誠実に励む方々に、よくもそのような事を」
「な、騎士の事は言ってない! あんたが気持ち悪いって言ってんの!」
「まぁ、そうでしたか。私も、ここの皆さんには男ですし、姫などではありませんよと再三伝えてるんですけれどね、ふふ」
持たされていた扇で口元を隠しそう言うと、彼女の雰囲気の刺々しさが一気に増した。まぁ確かに煽ったけど。だってあなた、姫扱いさせようとして失敗したんだもんね? うーん、僕も大概性格が悪いな。でもこの人がやった事は、とてもじゃないけど許せる事じゃない。
というかユグ様、この方のどのあたりが毒にも薬にもならないんでしょうか。純粋な疑問です。
「つうか、男の癖にそんなかっこして恥ずかしくないわけ?」
「まぁまぁなんと。あなたはこの世界の方々を侮辱するおつもりですか?」
ここでは多様性というか何というか、ユニセックスな格好の人は結構多い。ただ、殆どの方は顔や体格で性別は一目で分かりますが。僕が性別不明の人に会ったことがないだけなのかは分からないけれどね。
「はぁ? 何言ってんの? あたしが言ってんのはあんたの事に決まってるでしょ」
「そう仰られましても、私の衣装を選ぶのは上司と世話係でして。不快にさせたならごめんなさいね」
リオルが用意してくれたお茶で口を潤す。リベルの女性はムスッとした顔で黙り込んだ。暖簾に腕押しって分かったかな。
「貴女は私と友好的に過ごす気がないようですし、本題にはいらせていただきますね。そもそも何故貴女がここに呼び出されたかご存知ですか?」
「知ってる。あたしを妬んだリベルの誰かの仕業でしょ?」
「なるほど、そういう認識なのですね」
リベルさん達もどうにかしようとはしたって事かな? 注意とかしたから敵対心持たれてる感じの?
「貴女の行動の詳細の報告を聞いた私の感想をお教えしますね」
「あーはいはいはしたないとか何とかでしょ。自由恋愛なんだからほっといてよ」
「いいえ。あなたがしている行為は自由恋愛などという素敵なものではありません。何か勘違いされてらっしゃるようですけれど、ここは乙女ゲームの世界でも何でもありませんよ? 当然貴女の為の世界でもありません。当たり前ですが。現地民の方から苦情が寄せられている事からして、そもそも好まれていないと思いますし」
怖い顔で彼女が立ち上がったからか、騎士が僕の両脇についた。
「何いってるの!? みんな私が好きだし、あんた達みたいなその他大勢と違って私は愛されるヒロインなんだから、ちょっと、なによその顔!」
「いえ、貴女の思考があまりにも痛すぎて顔に出てしまいました。これからこの世界に何万人もリベルは入って来るのは知ってらっしゃいますよね? 他の地球の方々に同じ事言えますか? SNSがあれば直ぐに拡散されそうとは思いませんか? ご自身の行いを客観的に見た事は?」
彼女は絶句し、段々と顔色が青くなっていく。正気に戻りましたかしら。もう遅いけれど。
あなたにおすすめの小説
ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜
古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。
かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。
その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。
ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。
BLoveさんに先行書き溜め。
なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。
処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる
猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。
しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。
当然そんな未来は回避したい。
原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。
さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……?
平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。
ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)
異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます
ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。
休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。
転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。
そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・
知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?
【完結】Restartー僕は異世界で人生をやり直すー
エウラ
BL
───僕の人生、最悪だった。
生まれた家は名家で資産家。でも跡取りが僕だけだったから厳しく育てられ、教育係という名の監視がついて一日中気が休まることはない。
それでも唯々諾々と家のために従った。
そんなある日、母が病気で亡くなって直ぐに父が後妻と子供を連れて来た。僕より一つ下の少年だった。
父はその子を跡取りに決め、僕は捨てられた。
ヤケになって家を飛び出した先に知らない森が見えて・・・。
僕はこの世界で人生を再始動(リスタート)する事にした。
不定期更新です。
以前少し投稿したものを設定変更しました。
ジャンルを恋愛からBLに変更しました。
また後で変更とかあるかも。
完結しました。
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
愛されたいだけなのに
まさお
BL
我儘令息だったノアは一回目の人生で最愛の人からの裏切りの末、殺される。
気がつくと人生が巻き戻っていて人生二週目が始まる。
しかしまた殺される。
何度も何度も繰り返した人生の中で自分が愛されることを諦めてしまう。
【完結】浮薄な文官は嘘をつく
七咲陸
BL
『薄幸文官志望は嘘をつく』 続編。
イヴ=スタームは王立騎士団の経理部の文官であった。
父に「スターム家再興のため、カシミール=グランティーノに近づき、篭絡し、金を引き出せ」と命令を受ける。
イヴはスターム家特有の治癒の力を使って、頭痛に悩んでいたカシミールに近づくことに成功してしまう。
カシミールに、「どうして俺の治癒をするのか教えてくれ」と言われ、焦ったイヴは『カシミールを好きだから』と嘘をついてしまった。
そう、これは───
浮薄で、浅はかな文官が、嘘をついたせいで全てを失った物語。
□『薄幸文官志望は嘘をつく』を読まなくても出来る限り大丈夫なようにしています。
□全17話