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37.痛ヒロイン脳がヤバすぎる
しおりを挟むはい、そんなこんなで当日となりました。モーニングルーティンを何時もより時間をかけてされた為少々疲労しております。
食事をした後にハーフアップのアップ部分の髪を複雑に結われ、それがプラチナブロンドに染まっている部分を一部前面へ胸下辺りまで垂らされる形になっていて、髪で威圧しようぜというリオルの意気込みを感じてしまっています。小心者の僕にどうしろと。
この髪に御利益的なものを感じるのはここの現地民だけだと伝えたのに。
そしてリベルに会うのが昨日より更に憂鬱に感じている。自身の服装に、これワンピース回避した意味ある? という疑問が尽きません。
率直に言うと、クルト様とリオルに謀られました。
男だから男装って言うとおかしいか。一応神官服の中はシャツとスラックスなのに、昨日のシンプルなシャツと違って、やたらヒラヒラして布が多い。袖なんてドレープ感の強い古代中国風装束に似ていて、ラッパ型に開いている上に指先から更に2、30センチは長さがあり、手が見えることはまず無い形になっている。
昨日のシンプルなシャツはどうしたのと聞くと、あれはサイズ感を見る為のものだったとの事。ひどい。どっちにしろどうせオーダーメイドじゃないんだから、あれで良かったのに。というかむしろあれが良かったのに。
いつものストラも、更にキラキラしくも優美な刺繍がされたストラに交換され、髪飾りどころか額飾りまで付けられる始末。
昔から母に着飾られる事が多かったので世間一般の男性より耐性があるとは言え、不満がないわけでもない。まぁ、神殿の権威という一言を出されれば文句は引っ込みますけど。
長いものには巻かれる主義なのです。
ソワソワしながらクルト様の執務室で植物図鑑を眺めていると、ついに呼び出しが来ました。
クルト様はホールの左翼にある控え室や待合室がある棟の最上階へ。リベルの二人と面会した所だね。そこへ高貴な来訪者の為の、貴賓仕様の待合室もあるそうです。王子様はここで足止め。
そして僕は、正面から入って三番目にある、ここで一番大きな棟であり、神殿に必要な施設や運営に関するものが集まる所へ。僕達が召喚された儀式の間はそこの三階にある。
横長の建物ですごく広いんだけど、神殿の人間以外は入れません。本来はリベルも例外ではないけれど、今回は僕が招いた形になるそうでギリOKとの事。それもこれも僕が王子に会わないで済む様にするための策で、彼等を分断する為にこうなりました。ほんとお手数をお掛けして申し訳ない。
そこにも一応控えの間はあるので、そこに件のリベルは通されているとの事。あー、めんどい。
そしてここは神官達が一番行き来しているので、着飾ってる事も相まってか視線が何時もより更に痛いです。がんばれ僕。控えの間に辿り着けば、相手と騎士様達と僕だけになれるぞ。
何とか控えの間のある階へ辿り着いたけれど、普段歩いてないからか少し息が上がってしまった。階段の上り下りが一番きつい。すれ違う神官達は軽快に移動していて、自分の体力の無さを痛感させられました。途中、ギルベルト様に運ぼうかと提案されたりして、軽く死にたくなりつつ。
リオルが取り次ぎを頼むと、扉脇に控える騎士様が扉を開けてくれて中に招かれた。
中に入るとピンク色でボブの髪の女の子がいて、目があうも睨まれる。えええ。そういう感じ? まだ何もしてないんだけど。一先ず挨拶してみるか。
「初めまして。私はユーリといいます。こちらで薬師をさせていただいているリベルです」
「・・・・・・あんたが自称姫様?」
は? 挨拶もなし? うっそー。そこまで礼儀知らずとは思ってなかったから驚いた。またキャットファイトってこと? だる・・・・・・。
「いいえ? 自称した事は一度もありませんので人違いではありませんか?」
姫って言われてるのは当然知ってるけど、自称した事は一度もないぞ! 断じて!
「はぁ? んな男を侍らせて姫プレイしてる癖に、よくそんな事言えるね」
は? そっちこそ神殿でよくそんな事言えるね。
「聞き捨てなりませんね。彼等は誇り高い神殿騎士です。その様な仰り様は許せません。職務に誠実に励む方々に、よくもそのような事を」
「な、騎士の事は言ってない! あんたが気持ち悪いって言ってんの!」
「まぁ、そうでしたか。私も、ここの皆さんには男ですし、姫などではありませんよと再三伝えてるんですけれどね、ふふ」
持たされていた扇で口元を隠しそう言うと、彼女の雰囲気の刺々しさが一気に増した。まぁ確かに煽ったけど。だってあなた、姫扱いさせようとして失敗したんだもんね? うーん、僕も大概性格が悪いな。でもこの人がやった事は、とてもじゃないけど許せる事じゃない。
というかユグ様、この方のどのあたりが毒にも薬にもならないんでしょうか。純粋な疑問です。
「つうか、男の癖にそんなかっこして恥ずかしくないわけ?」
「まぁまぁなんと。あなたはこの世界の方々を侮辱するおつもりですか?」
ここでは多様性というか何というか、ユニセックスな格好の人は結構多い。ただ、殆どの方は顔や体格で性別は一目で分かりますが。僕が性別不明の人に会ったことがないだけなのかは分からないけれどね。
「はぁ? 何言ってんの? あたしが言ってんのはあんたの事に決まってるでしょ」
「そう仰られましても、私の衣装を選ぶのは上司と世話係でして。不快にさせたならごめんなさいね」
リオルが用意してくれたお茶で口を潤す。リベルの女性はムスッとした顔で黙り込んだ。暖簾に腕押しって分かったかな。
「貴女は私と友好的に過ごす気がないようですし、本題にはいらせていただきますね。そもそも何故貴女がここに呼び出されたかご存知ですか?」
「知ってる。あたしを妬んだリベルの誰かの仕業でしょ?」
「なるほど、そういう認識なのですね」
リベルさん達もどうにかしようとはしたって事かな? 注意とかしたから敵対心持たれてる感じの?
「貴女の行動の詳細の報告を聞いた私の感想をお教えしますね」
「あーはいはいはしたないとか何とかでしょ。自由恋愛なんだからほっといてよ」
「いいえ。あなたがしている行為は自由恋愛などという素敵なものではありません。何か勘違いされてらっしゃるようですけれど、ここは乙女ゲームの世界でも何でもありませんよ? 当然貴女の為の世界でもありません。当たり前ですが。現地民の方から苦情が寄せられている事からして、そもそも好まれていないと思いますし」
怖い顔で彼女が立ち上がったからか、騎士が僕の両脇についた。
「何いってるの!? みんな私が好きだし、あんた達みたいなその他大勢と違って私は愛されるヒロインなんだから、ちょっと、なによその顔!」
「いえ、貴女の思考があまりにも痛すぎて顔に出てしまいました。これからこの世界に何万人もリベルは入って来るのは知ってらっしゃいますよね? 他の地球の方々に同じ事言えますか? SNSがあれば直ぐに拡散されそうとは思いませんか? ご自身の行いを客観的に見た事は?」
彼女は絶句し、段々と顔色が青くなっていく。正気に戻りましたかしら。もう遅いけれど。
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