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分かりやすい悪

ピンチはあっても敗北はない

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それから数週間は人型のロボットが優勢で進んでいった。
しばらくは遠くの方で見ていたが負けそうな気配がないためいつしか中継しているテレビの画面越しになってしまった。

それから武器が新しくなったり仲間が増えていき自分達は別にいらないのではないかと思えてくる。
そう思って見ているとどうやら今回は敵の方が全ての攻撃に対して対策を施した鉄壁のロボットで挑んできたようだ、それにより全ての攻撃が無効化されていよいよ自分たちの出番となったようだ。
やる気を出して向かうと、2体のロボットが向かい合い一歩も動いている様子がない。
「防御ばかりに気を取られたな、お前の攻撃も俺様の機体には通用しないぜ!」
「ぐぬぬ…」
どうやらお互いに手段がなくて膠着状態になっているようだ。
「私こういうの嫌い」
確かに、と同意しているとサヨが大きな銃を取り出しで敵の方向に打ち込む。
金属同士がぶつかるような軽い音と共に弾が吸着したかと思うとロボットの装甲が泡のように脈打ち破裂してしまった。
「なんだかよくわからないけどチャンス!」
掛け声をと共に人型のロボットが胸から光線を放ち敵のロボットを破壊する。
ロボットのパイロットは喜びの声を上げてそのまま飛び去っていった、どうやら自分たちの存在は気づいていないようだ。
それから何回かサヨが攻撃したが結局気づかれる事なく4体ほど敵を撃破したあと次に登場した敵のロボットが堂々と腕を組んだまま表れて。
「陰からコソコソと攻撃する奴に助けてもらうような俺様は負けたりしない!」
今回の敵は騎士風の見た目で今までで一番人の形に近い姿をしていた。
自分たちの存在が感知されていたので今回は手出しをせずに観戦することにした。


「うわー!!」
どうやらサヨの援護ありきで戦闘に頼ってしまっていたようで少し弱くなっていた、そのせいで騎士風の敵に押され続けている。
「どうした、陰から撃ってこないのか卑怯者め、俺はお前を倒しにやってきたのだこいつの相手をしている暇などない!」
吹き飛ばして倒れたロボットに剣を向けながら周囲に叫ぶ、これはもういよいよ出るしかないのだろう。

「出るか…、サヨ久々にアレ使おう」
「はい」
サヨの足元を中心にして大きな魔法陣が出現しその中にサヨが吸い込まれたかと思うと以前に発掘して改修してもらったロボットが出現した、見た目は大きく変わってはいないものの線が増えていた。

「貴様か、コソコソと卑怯な手で我らの仲間を討ちよって…、貴様だけは俺様が倒す!」
出現と同時に発見され、変な覚悟のセリフと共に騎士風のロボットが突進してきた。
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