異世界に行って転生者を助ける仕事に就きました

分かりやすい悪

悪の組織にたまにいる礼儀正しい奴

「貴様か、コソコソと卑怯な手で我らの仲間を討ちよって…、貴様だけはこの私が倒す！」
騎士風のロボットが真っ直ぐ向かってくるがサヨも自分も近接戦よりも遠距離戦の方が得意であり、もしある程度格闘戦ができても迫ってくる格闘戦しかできなさそうなロボットに勝てる気はしない。
なので後ろに回避し手持ちの銃を放つが減速することなく切払いつつ接近を続ける。
これは危ないと前方に推進剤を噴射し更に距離をとる。

「それもあるのなら……、よかろう」
騎士風のロボットのマントが燃え上がり中から推進剤の噴射口が多く露出しそれらから一気に推進剤が噴出し距離を詰めてくる。
「これはやばいかも」
真っ直ぐな斬撃のおかげで安易に防ぐことができるが一撃が毎回重く、格闘戦を想定していない今の機体には2本のナイフしか装備されていない。
頑丈に作ってもらったおかげでいまだに壊わされる気配はないがそれより先に隙をつかれて一撃を受けかねない。
「所詮卑怯者はその程度だろうな」
「ぐ…っ」

このまま防ぐだけではいつか燃料が無くなってしまう、手が塞がった状態では何も武器が使えないので腰や背中に武器を付けようと思った瞬間だった、ついでに羽をつけて空を飛べるようにしよう。

目の前に来た時に全面に向けて推進剤を噴射する、宇宙でも活動できるように噴出口は全体に備え付けられている。
「うおっ…」
怯んだ隙に銃を取り出し腹部と頭部に狙いを定めて数発打ち込む。


「やっ…た？」
騎士風のロボットから発せられる光がなくなりゆっくりと倒れる。
「倒したようだな…」
熱感知でも徐々に温度が下がっていっているのでしっかりと倒したようだ。
それにより安心して力を抜き座席にもたれかかる。
「あんた凄いな…」
振り向くとさっきまで空気だったロボットから生意気な声が聞こえてくる。
「……解除だ」
小さくつぶやくと機体が足元の魔法陣に吸い込まれ、自分は少し離れたビルの屋上に出現した。
生意気な口調のせいかどうも馴染めそうになく、それを察したのかサヨも呟きを外部に発することなくロボットを収納して少し離れたところに出現させたのだろう。
サヨは自分にがっつりと抱き着いておりそのまま腕を回してサヨを抱き頭を撫でる。
「うへへ……」
猫のように体をすり合わせてくるが今はとりあえずされるがままにしておこう。


ちなみにこの日のニュースには自分の機体が大きく報じられ周囲の被害が今までのロボットよりも少ないことを中心に褒めている内容が多かった。