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一番のロボットは何か

レギュレーションは厳守

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「今回はちょっと趣向を変えてみたいと思います」
「どういうことでしょう?」
「今回は救出ではなくてあなたのトレーニングをしてもらおうと思います」
「トレーニングならここの施設で充分できるのでは?」
 ここの施設だけでもスポーツジムや世界各地に転送できるシステム(有料)があるのでトレーニングと言われてもピンとこない。
「体はいくらで鍛えられても他の事を鍛えられない物があるんですよ、たとえばサヨちゃんが持っているロボットの操縦とかね」
「シミュレーターなら作れるのでは、それこそゲーセンにあるものや戦闘機の物を改造すればいいのでは?」
「うーん、それも案にはあったんだけど結局実物のデータがあるんだから回収しない手はないと」
「それで自分に白羽の矢が」
「そういうことです、今回はいくつかの戦闘経験を適当にしてきてほしいのです」
「適当でいいんですか?」
「いいですよ、別にロボットを持っているのはあなただけではないですからね、数値自体はこっちでいじれるので必要なのは複数の実動データなのでそこは適当でいいですよ」
「わかりました」
「じゃあ行ってらっしゃい」


 気が付くと都会の中にいた、大きく出ている看板にはカッコいいロボットが大きく表示されていた、肩や胸部には企業の物と思われるロゴが表示されていた。
「なんだこの世界」
「たぶん、アレに出れば良いのかな?」
 サヨが指した方向は大きく参加者募集の文字が大きく書かれた看板があった。
「今回はアレっぽいよなぁ……」
 この世界に来たばかりなのでよくわからないまま看板にある場所向かおうとする。
「お、君たちアレに興味があるのかい?」
 サングラスを付けた陽気な男性が話しかけてきた。
「あ、ハイ戦って見たいと思いまして……」
「それは丁度良かった、あと少しで試合があるんだけどどうかな?」
「別にいいですけど……」
 なんかアルバイトで「今から入れない?」と聞かれた気分だ。
「それは良かったぁ、君たちの機体はどこ製かな?」
「自作、です」
 本当は発掘した物を会社の人が改造した物だが、説明が面倒なのでとりあえず自作と言っておく。
「それはすごいな、じゃあ簡単なレギュレーションとかはコレに書いてあるから30分後にこの冊子の裏にある場所に来てくれ、僕がそこにいるから直ぐに案内するよ、じゃよろしく」
 男性はあわてていたのか冊子を押し付けて逃げるように去って行った。

「よくわかってないけどやるかぁ」
「そうだね」
「というか調整ってできるのかな?」
 冊子をめくりながら機体についてのレギュレーションを眺める。
「……これなら簡単な調整で済みそうだから目的の場所に行こう」
「はいはい」
 サヨが大丈夫と言っていたので冊子と周囲にある案内の看板を頼りに目的の場所に向かう、初めての土地なのでかなり苦戦したがなんとか到着できた。
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