異世界に行って転生者を助ける仕事に就きました

レベル1の転生者

レベルアップは難しい

「あなた達ですか、僕に用事があるのは」
　宿の上の階から自信が無い表情の男性が降りてきた、端末で確認して彼で間違いないようだ。
「はい、自分達は貴方を鍛えるように言われまして」
「それは……どうも？」
　男性の方は信用できていないようで、こちらを警戒している。

「……いや、僕には抵抗する術はないから受け入れるよ」
　男性は抵抗しても無意味と理解したのか自分達を受け入れてくれるようだ。

「というかあなた達は何なんですか？」
「あぁそっか、自分は橘秀でこの人達は自分の妻と娘です」
「お、おう、家族だったのか」
「あぁ、家族で仕事をしている」
「そうかい、それでいつからするんだ？」
「……明日から、自分達のココに来たばかりだからまずは寝床を確保してからだな」
「じゃあココに泊まりな、あんちゃんには恩があるからねあんちゃんが信用したのならあんた達を信用しよう、お金もあるみたいだしな、部屋は１つでいいよな」
「あぁ構わない」
　とりあえず宿は確保できたのでヨシとしておく、荷物は少ないが腰を落ち着ける、落ち着けると思っていた。

「……ダメですか？」
　メリジューヌ（仮）が自分の膝の上に座り込んでもたれ掛かってきた、何とも言えないような表情をしていると不安そうな顔をしてきたので大丈夫だと言って頭を撫でた、すると上機嫌になったようだ、それに対してサヨは最初からずっと自分の横でもたれ掛かってきていた。


「とりあえずはこの世界の効率の良いレベル上げ方法を考えないとな」
　そう言って端末を眺めながら考える、ゲーム等であれば一緒に戦闘をしたり、最後に攻撃すれば経験値が入ってレベルが上がるような物だが、この世界ではどうだろうか。
「あ、でも彼がどんな攻撃ができるかわかんないや」
　流石に転生者の個人情報を詳細には表示されていなかった。
「ま、何とかなるでしょう？」
　がんばれば何とかなる、そう信じて今日はもう寝る事にした、宿の主人が気を聞かせて大きいベットの部屋にしてくれたが、さすがに3人で寝るには少し狭かった。


「それじゃあレベル上げを始めましょう」
　翌日、国の外に出て魔物を倒すことでレベル上げする作戦で行くことにした。
「ところで攻撃手段は何を持ってますか？」
「えっと、持って無いです」
「え……？！」
「その、自分は攻撃手段を持っていなくて、それでみんなから追い出されたんです、だから普段は街のみんなの困りごとを手伝ったりして暮らしているんですよ」
「おうふ、じゃあ魔物にダメージを与える手段は己の肉体のみと？」
「いやぁ格闘とか苦手でそういったスキルも無いんです、いちおう薬草とか採取するためのナイフならありますけど……」
　少し照れながら鞄からナイフを取り出す、そもそも戦う前提ではなかったのですぐに取り出せる所に収納していなかったようだ。
「じゃあ今日のところはそれで行こう、まずはこちらで魔物を攻撃するので、弱った所にとどめを刺して下さい」
「わかりました」