異世界に行って転生者を助ける仕事に就きました

掴んだ胃袋は離してもどこまでも追いかけてくる

大豆は偉大

「お前がそういうならしょうがねぇな」
男の槍を持つ手が緩み村の中へ向かっていった。
「お前が責任もてよ」
「わかってますよ、じゃあとりあえずついてきて下さい」
転生者と思われる人についていく、門の中に入ると要塞となっている家の1軒1軒が簡素な造りになっており、この村が最近できたように見える。

「ちょっと狭いですが…」
村の比較的外側の家に案内される、下手に警戒して距離を置くわけにもいかないので家に上がる。
「まさか転生してそうそうに同郷の人と出会えるなんて思っていなかったよ」
「そうですね、飛ばされて早々にあ、ヤバいと思いましたけど同郷の人がいてたすかりました」
「ええ、さすがに全く当たり前が通じないの辛いのがありますからね…、ところでそちらの方は？」
「妻です」
サヨが即答し胸でしっかりと腕を挟んでくる。
「最初からヒロイン「妻です」妻がいる転生者はめずらしいんじゃないかな、もっともネット小説しか読んでないから本当の所は解らないけどね」
「そうですね、自分もいきなり妻が出来るとは思っていなかったですよ」
ヒロインと言おうとすると鋭い視線が飛んで来て妻と言わざるえなかった、正直今までの扱いからもう妻でいいかなと思っている。
「異世界転生というばチート能力ですが、そちら何かもらいましたか？、自分は妻をいただきました」
「妻ですか…、自分は特にチートはありませんでしたね、というか神様とやらに合っていないですから、特に魔法がなんでも使えたり、怪我してもすぐには直りませんからね、あと前世で専門職でもないのでここの村もうろ覚えなので完全である自信はないですね」
「そうですか…」
もしかして自分って恵まれている？。
「そういえばさっき魔法って言ってましたけど、この世界に魔法があるんですか？」
「うん、あるよ」
手のひらを出してそこから勢い良く炎を出す。
「本当にあるんですね」
「あぁ、でも僕はこれが限界なんだ、水もだせないし刃物もだせないただ単に練習してないだけなんだけど」
自分は別の魔法世界の出なので炎程度なら楽に出せるが、この世界では魔法を発動するのは苦労するらしい。
「おい、もう飯時間じゃないのか？」
「ハイ、今行きます、ごめんねもうご飯つくらないといけないから、ここでゆっくりしていってくれ、君たちにもごちそうするよ」
「ありがとうございます」

暫くするといい匂いがしてきた。
「食べてばっかりだな」
「食べ物があるっていうのは良い事だよ？」
「そうだな」

「おまたせしまた、材料は近くの山菜とウサギっぽい獣の肉と木の実だけですけどなかなか行けますよ」
見た目はシチューのようで具材がゴロゴロしている。
スープを一口飲んでみる、少しトロみがあるがあっさりしており飲みやすい、肉も淡泊な味で軽く胃にも優しい、しかし…。
「うん…」
味が全体的に薄い…。
「ここには香辛料とか塩とかないからどうしても薄味になっちゃうんだよね」
「ここは一宿一飯の礼だ、サヨ、塩！」
「はい」
サヨがどこからともなく塩の入った青い蓋の小瓶を取り出す。
「アンド醤油」
「はい」
またもやどこから赤い蓋の醤油が入ったペットボトルを取り出す、ノリで言ってみたら本当に出したのでびっくりしている。
「それはありがたいけど…受け取らないよ」
「マジすか」