異世界に行って転生者を助ける仕事に就きました

ネトゲに意図せず転生した

落ち着けない町

　転生者の指示通りに飛んでいくと山を越えた先に確かに港町があった、大きな船もいくつか停泊しており他の大陸に行けそうな船がいくつかある。
「あの船の内にどれかに乗って他の大陸に行こう」
　ひとまずは港町の手前で降りてから徒歩で向かう、雨が強く海が大きく荒れているので今日は出航できないだろう。

「ココの町は宿泊施設もあるからそこで１泊しよう、今日はこんな雨だからどうしようもないし」
　試しにこの町にあるギルドに行ってみると転生者の情報は来ておらず、相変わらずデカチチと言って歓迎された、とりあえずはセクハラまがいでここまで逃げて来た事にしたようでギルドの人達は歓迎してくれた、連れの自分達もついでに歓迎してくれたのでそのまま一泊する用意もしてくれた。
　おそらくココから他の大陸に移動しようとするとすると止めてくるだろうからそんな事は言えない、転生者がこの世界というかこの大陸で事情は共有されているだろうから長旅の準備というのもなんやかんやで阻止されてしまうだろう。

　転生者が自分達の長旅の準備を手伝うというていで大陸を脱出する準備をする、情報の伝達が遅くても翌日には伝わっていると思われるので大雨の中で準備を進めていく主な物は食料で何とかなるだろう、サヨと恵美の格納で保存しておけばいいので、複数のお店からレクチャーを受けながら少しづつ買い足していく。
　道具類については大体事足りているのでその辺は簡単な説明で流していく、この世界に転生して長いようで道具の扱いや活動での立ち回りなどはベテランの方で１人で行動しているのもしっかりと実力があって周囲から認められているからだろう。

　食料が十分に集まったので用意してもらった宿に泊まる、転生者の信頼がある人物のおかげでちゃんとした宿になっており、宿屋の従業員達は自分達に対して同情的で手厚くもてなしてくれたので少しだけ心が痛んだ。



「起きて下さい」
「…え、なに？」
　まだ日の出の前にサヨに起こされた。
「ギルドに慌てて人が入って行くのが見えた、もしかしたら転生者の内容が伝わったかもしれない」
「……マジか？！」
　寝起きもあって言葉を飲み込むのに時間がかかってしまったが、内容を理解して一瞬で目が覚めた。
「転生者の方は？」
「恵美が行ってる」
「OK、急ごう」
「うん」
　明け方なのでなるべく音を立てないようにして行動する、荷物は無いに等しいので脱いだ服を着こんで部屋を出る、同時に転生者の方も部屋を出たのでそのまま音を殺しつつ宿を出る。
「というか船の当てはあるんですか？」
「そんな物はない、残念だけどね……、だから君たちのロボットで運んで欲しい」
「ちなみにその他の大陸に行く海図か何かあるんですか？」
「そういのは何とか手に入れたから大丈夫」
　海図があるとの事なので町の少し外れた所でロボットとこの町にくるまでに使った箱を取り出して転生者が指した方向に向かって飛び立った。