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0章 転生

十五、箱庭の試運転(4)

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一瞬だった。どこか分からないが、何となく草原のイメージが重なり、その瞬間俺は気を失った。
──ハッと慌てて目を覚ますと、そこには先程イメージしていた草原が広がっていた。

「ここ…どこだ?」

俺はそう呟いた瞬間、何となくここがどこか分かった。

「…ああ、箱庭の中、か…だが、なんで急に箱庭が発動したんだ?
誰かの声が聞こえた気がするんだが…」

そう独り言を淡々と続けていると、どこからともなく神が出現した。

「いやぁ、まさか魔力暴走を意図的に引き起こす人が居るとは思わなかったよ。
まぁ、君の場合は箱庭があるから問題ないけど…この能力持ってなかったら、君死んでたよ?」

「だろうな。だが、何となく出来る気がしたんだ。多分、箱庭があるって考えたんだろ」

「ああ、次元の隔離?あれも面白いよね。この世界に次元は存在しない…いや、未だ改名されていないからね。
さて、思ったよりも早くて困惑したけど、取り敢えず説明していこう」

「説明?」

「箱庭の能力さ。君が想像した通り、
 1つ目は現象の隔離。
君が行っている物理的な存在や霊的存在の、干渉だけ、もしくは存在ごと隔離する能力。
 2つ目は、箱庭内では力を使わない限りは無制限でなんでもできること。君が体験した…空を飛ぶというのもそうだね。
まぁ、あれは非効率だけど…箱庭は自由だから、君が空を飛ぶと考えるだけで自由自在だ。
そして、3つ目は次元別の空間の創造及び破壊。
この草原みたいに、膨大な魔力が必要ではあるが、何かと便利な世界を創り出すことが出来るよ。
というのも、例えば植物を自然力で箱庭に創ったとしよう。
すると、植物が生成する自然力は、生命維持に必要な量以外の、余分な自然力は全て
支配人──つまり、君に集まるんだ。
だから、この草原でも、光合成をしている間は常に自然力が満たされているだろう?
しかも、保有量以上は集まらなくなっている」

「ああ、たしかにそうだな…なるほど、こういった能力が
あったのか…んで、帰るにはどうしたらいいんだ?」

「え?普通に帰るってイメージしたら帰れるよ?
あ、入る時は入るで来れるからね」

「ああ、そういう──んじゃ、ありがとよ。また何かあれば連絡しよう。〘帰還〙」

俺は、礼を彼に言った後、直ぐに帰還した。

「──うん、そうだね。何かあれば、ね…君が問題しか起こさないからその何かしかないんだけどね…はぁ、まぁ運がいいのは彼に征服とかの欲望が一切ないことかなぁ…」

独り言のように呟くと、後ろから誰かが神に話しかけてきた。

「助けるにも程々にしろよ。あれが消えたとしてもこちらは対して問題は無い」

「ノンノン!彼が魔源を吸収してくれたら世界も大分安定するからね、動いてくれさえすれば世界平和に繋がるんだよ。
だから、手助けをするんだ。
まあ、見てて面白いのもあるからね、君も観察対象に入れてみたら?もしかしたら、君の好きなものをこっちで作り出すかもしれないよ?地球のものだって、彼は購入ができるしね」

「だといいがな…」

「まぁ、今は何もしないでおこう、──もね」

「わかっている」
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