配信の果て

ほわとじゅら

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宇多野と二川とフギとポリス

片割れの直談判

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 そんな権限などないだろうと思うが。フギ自身も半ば信じ切れていない様子で困惑した表情を浮かべている。彼は戸惑いながらも御礼を述べた。

「プッシュ…ですか。はぁ、ありがとうございます」

「おやおや。どうやら信じてもらえていないようにみえるけど、俺の言葉は気休めでもない。美駒社長は俺の叔父でもあるんだ。だから俺から強めにプッシュを掛ければ君の希望は通ると思うよ」

「え!」

 おいおい。社長と身内であることを自ら暴露するなんて!

 宇多野が俺の方にも、ちらっと視線を向ける。目が合い、思わず口から言葉が出た。

「いいのかよ、そんなことまで言って」

「え、別に良いじゃないか。次週には臨時加入と独占試遊の件でプレスリリースが出るんだ。前にも同じようなことを言ったと思うが、ゲーム関係やガチ勢の中には、いずれ社長と俺が親族関係にあることを突き止める人も出てくると思う。隠すより今の内から話しておいたって、先に知るか後で知るかの違いしかない」

「そうだけど」

 彼は再び俺から視線をスライドさせて、フギと向き合った。

「だから俺が加入の折には、マネージャーを通して仕事について色々相談することが出てくると思うんだ。可能であれば現役である君に今後の企画の相談をしてみたり、さっき言った試遊の感想を取りまとめる仕事をしてもらったりすると思う。嫌じゃなければ。もし今日以降も社長が配信に戻って欲しいみたいな渋りをみせるなら、俺が叔父に全力で説得するよ?」

「是非よろしくお願いします!」

 タンっとテーブルに両手をついて、フギは椅子から立ち上がる。真剣な眼差しだった。

「じゃあ話は早い。早速、叔父に電話を…と思ったら、ちょうど掛かってきたよ。はい、宇多野です」

 スマホを耳にあてたまま彼は何度か頷いた。「ええ」とか「はい」などと言葉を繰り返す。

「へぇ、そうなんですか。ちょうど今フギ君と話しているところなんですが、彼の意思は固い。ちょっとや、そっとのことでは変わらないみたいですよ。ええ、ええ、はい、わかりました。はい。ええ、それでは」

 もっと掛かるかと思ったが、数分喋っただけで彼は通話を切った。

 スマホから顔を上げた宇多野はフギに告げる。

「美駒社長が折れてくれたよ。君の相棒のフシ君が緊急でオンライン会議を通して直談判じかだんぱんをしたようだ。4年間がんばってきたフギのやりたいことを応援してもらえないかって。じゃなきゃ自分も配信休止して、今後の身の振り方を考えるから。とか言ったらしい」

「え、フシくんが、そんなことまで言ってくれたんですか!?」

 目を丸くした彼は驚きを隠せないようだった。

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