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宇多野と二川とフギとポリス
橋渡し
しおりを挟む「ああ。ちょっと脅しにも取れなくはないけど、まぁ叔父には効果てきめんだったみたい。良い相棒を持ったね」
「ありがとうございます。正直、安毛さんがここに来られるって話を、本間さんから連絡を少し前にいただいたんですが、電話を切ったら社長からも電話があって。なんか怖くて出れなかったんですよね。説得されたりするのかなとか、怒られたりするのかなとか。安毛さんも多分挨拶だけをしに来るわけじゃないだろうなぁとか。いろいろ考えちゃって」
涙ぐみながら声を震わせて彼はポツポツと話す。
「良いんだ。不安になるのも無理はない。とりあえず明日、本間さんから再度連絡を入れるようにするって。そう伝えてくれって言われた。企画部で働けるように色々と書類手続きとかをするみたい。それと、君が次に会社へ来たときに一度、挨拶させてくれだってさ」
俺たちはカフェを出た。フシは何度も御礼を述べてお辞儀をすると、「フシにも御礼を言わなくちゃ。今日は本当にありがとうございました!」と告げると青年は晴れ晴れとした顔で駆け出していく。
大した滞在時間ではなかったが、どこかしっくりとしない感情がもやもやと漂うのを俺は感じた。
「なんか良い感じにまとまったけど、これで本当に良かったのか?」
誰もいない駅のプラットフォームで、宇多野に訊ねると彼は何度か浅く頷いた。
「全然いい。フシ君のイレギュラーなアシストのお陰でスムーズにいったし、なにより現役の配信者が味方に付いてくれたんだから」
「味方って、フギ君のことか?」
「ああ」
「まさか、こんな辺鄙な東京の端っこに来たのも、それが、お前の狙いだったのか?」
「実際、恩を感じてもらえたかどうかは分からない。けど少なくとも叔父との間の橋渡し的には見えただろ?」
「そうだな。発表内容もバラして叔父だとも告白したけどな。重大な漏洩だけど。でも、よくこんな短い時間で本間さんや社長は宇多野にフギ君のことを託したよな。俺だったら、マネージャーとしてフギ君に会って馬鹿な考えはやめて配信に戻れと交渉してるところだ」
フギが事前に本間から連絡を受けたという話だ。春から加入する新人が挨拶をしに来るだけでなく、配信離脱の交渉にくるというのは、やや無理があるだろうと思ったのだ。宇多野を寄越すより、マネージャー自らが交渉しに来るのが普通だろう。
彼は押し黙った。
「宇多野?」
「託されてない」
「は?」
「社長には、いや叔父には、マネージャーよりも俺が現役の配信者として説得できると思うから、直接交渉でフギ君の考えを止めてくるとしか言ってない」
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