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15話 セザンヌの街 再び
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転移で再びセザンヌの街へとやって来た。
ちなみに、ベリアルには幻術魔法で人間に見えるようになってもらっている。
ゲームの頃は人族の街に魔族だの悪魔だののプレイヤーがいてもわりと普通だったが、今はどうもそうではないらしい。
この前と同様に王国全域商業通行証を出そうとしたのだが――、
「豚トロ様、そちらを用いるのはおやめになった方がよろしいかと愚考致します」
「え? そうなの?」
「その全域通行証は国王に認められた数少ない商人しか持てないものとなります。具体的に申しますと、ここセザンヌがあるカルパティア王国ではパーストン商会とセイテル商会のみです。者によってはこの商会の主人の顔を知っているほど有名です。豚トロ様がその通行証を持っていることを怪しむ者が出るやもしれません」
「え゛!? そうだったの!?」
こんなのむしろ持っていないプレイヤーを探す方が難しいレベルだったのに、今では超レアアイテムとなっているらしい。
「まあ文句を言う奴が出てくれば皆殺しにすればいいだけでしょうが」
「いや何言ってんの。ダメでしょ」
「? なぜでしょうか。下等な人間どもなど、すべからく豚トロ様の前に膝を折るべきかと存じますが」
「えぇ……」
態度から察するに、冗談とかではなくたぶん本気で言っている。
ハムちゃんや大福ちゃんもそうだったが、彼らはどうも私が神様でそれ以外はゴミクズみたいに思っている節がある。
新手の宗教かなにかであろうか……。
「あー、うん。ダメだからね。そしたらどうやって入ろっか。通行証は他に持ってないんだよね」
「では、こちらをお使いください」
「え、これ……、普通の通行証? 持ってたんだ」
「はい。ちょうど手に入りましたので」
「……ちょうど手に入れた?」
「あ、いえ、何でもありません」
「??」
とりあえず当面の課題はクリアだ。
通行証を使って普通にセザンヌの街へと入っていく。
衛兵に顔を覚えられていなくてよかった。
「無事入れましたね。通行証をすれ違いざまの商会からくすねて……ではなく、お借りしておいてよかったです」
「はぁ!? 盗ったの!?」
「ええ。どうせ人間のごとき虫けらの持ち物です。構わないで――」
ベリアルを思いっきり引っぱたく。
「ダメに決まってんでしょうがっ! 今すぐ返してきなさいっ!!」
「も、申し訳ございません。そうですか。では、そのように致します」
まるで何がいけないんだと言わんばかりの表情をしていやがった。
ベリアルは空を飛べるため、検問を無視して持ち主へと通行証を返しに行く。
「返してきました。ところで、なぜ豚トロ様は人間のごときゴミクズのルールに従われているのでしょうか? それに豚トロ様も空はお飛びになれるのでしょう?」
「まあそうね。門を飛んでやり過ごすことはできるわ。ただね、あんまり固いことを言うつもりはないけど、可能な限り私はルールに従っておきたいの。何かあったら面倒だし」
「何かあれば力でねじ伏せられてはいかがでしょうか?」
「相手が悪人ならね。でもまっとうに生きている人に対してそんなことをするつもりはないわ」
「なんと慈悲深き御方なのでしょうか。感涙に堪えません」
「いや、普通だからね」
本当に涙流してるし……。
「とりあえず、当面は目立たないで行動していくわよ。まだここのことよくわかってないんだから」
「承知いたしました。我らの良からぬところを見た者はすべからく殺処分といたします」
「違う、そうじゃない! ダメだからねっ!」
そのまま私たちはギルドの方へと足を向けるのだった。
ちなみに、ベリアルには幻術魔法で人間に見えるようになってもらっている。
ゲームの頃は人族の街に魔族だの悪魔だののプレイヤーがいてもわりと普通だったが、今はどうもそうではないらしい。
この前と同様に王国全域商業通行証を出そうとしたのだが――、
「豚トロ様、そちらを用いるのはおやめになった方がよろしいかと愚考致します」
「え? そうなの?」
「その全域通行証は国王に認められた数少ない商人しか持てないものとなります。具体的に申しますと、ここセザンヌがあるカルパティア王国ではパーストン商会とセイテル商会のみです。者によってはこの商会の主人の顔を知っているほど有名です。豚トロ様がその通行証を持っていることを怪しむ者が出るやもしれません」
「え゛!? そうだったの!?」
こんなのむしろ持っていないプレイヤーを探す方が難しいレベルだったのに、今では超レアアイテムとなっているらしい。
「まあ文句を言う奴が出てくれば皆殺しにすればいいだけでしょうが」
「いや何言ってんの。ダメでしょ」
「? なぜでしょうか。下等な人間どもなど、すべからく豚トロ様の前に膝を折るべきかと存じますが」
「えぇ……」
態度から察するに、冗談とかではなくたぶん本気で言っている。
ハムちゃんや大福ちゃんもそうだったが、彼らはどうも私が神様でそれ以外はゴミクズみたいに思っている節がある。
新手の宗教かなにかであろうか……。
「あー、うん。ダメだからね。そしたらどうやって入ろっか。通行証は他に持ってないんだよね」
「では、こちらをお使いください」
「え、これ……、普通の通行証? 持ってたんだ」
「はい。ちょうど手に入りましたので」
「……ちょうど手に入れた?」
「あ、いえ、何でもありません」
「??」
とりあえず当面の課題はクリアだ。
通行証を使って普通にセザンヌの街へと入っていく。
衛兵に顔を覚えられていなくてよかった。
「無事入れましたね。通行証をすれ違いざまの商会からくすねて……ではなく、お借りしておいてよかったです」
「はぁ!? 盗ったの!?」
「ええ。どうせ人間のごとき虫けらの持ち物です。構わないで――」
ベリアルを思いっきり引っぱたく。
「ダメに決まってんでしょうがっ! 今すぐ返してきなさいっ!!」
「も、申し訳ございません。そうですか。では、そのように致します」
まるで何がいけないんだと言わんばかりの表情をしていやがった。
ベリアルは空を飛べるため、検問を無視して持ち主へと通行証を返しに行く。
「返してきました。ところで、なぜ豚トロ様は人間のごときゴミクズのルールに従われているのでしょうか? それに豚トロ様も空はお飛びになれるのでしょう?」
「まあそうね。門を飛んでやり過ごすことはできるわ。ただね、あんまり固いことを言うつもりはないけど、可能な限り私はルールに従っておきたいの。何かあったら面倒だし」
「何かあれば力でねじ伏せられてはいかがでしょうか?」
「相手が悪人ならね。でもまっとうに生きている人に対してそんなことをするつもりはないわ」
「なんと慈悲深き御方なのでしょうか。感涙に堪えません」
「いや、普通だからね」
本当に涙流してるし……。
「とりあえず、当面は目立たないで行動していくわよ。まだここのことよくわかってないんだから」
「承知いたしました。我らの良からぬところを見た者はすべからく殺処分といたします」
「違う、そうじゃない! ダメだからねっ!」
そのまま私たちはギルドの方へと足を向けるのだった。
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