転生生活をまったり過ごしたいのに、自作キャラたちが私に世界征服を進めてくる件について

ihana

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16話 冒険者ギルド

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 PMCたちを探すに当たって、まずは情報収集をしなければならない。
 そのために、ギルドに加入して冒険者ランクを上げていくというのは最も手っ取り早い手段となるであろう。

 そういえば、ゲームのころは冒険者ランクが最高の天空白金プレートにまでなっていたけど、今はどうなっているのだろうか。

 冒険者ギルドへ入っていくと、早速受付嬢さんから話しかけられた。

「こんにちは、私は当冒険者ギルドの受付を担当しておりますミスラと申します。新顔の方ですね?」
「あ、えっと、はい。冒険者になりたいのですが」
「わかりました。ではまずは登録手数料を頂きます。お名前はなんとおっしゃいますか?」
「えっと……、」

 いちおう偽名を名乗っておいた方がいっか。

「トロポーク・ネイバーと言います」

 となりの豚トロをまんま英語にしただけだ。

「トロポーク様ですね。冒険者ギルドへようこそ。冒険者に関して簡単に説明させて頂きますと、冒険者はランク分けがなされていて、最初はFランクとなります。成果を積み重ねていくとランクが上がっていって、最終的にはSランク上がることができますよ」
「えっと、Sが最高なんですね。SSSプラスオメガじゃないんですね」

 なんて言いながら天空白金プレートを出して見せる。
 すると受付嬢の方は仰天しながら息を荒げて来た。

「そ、それは!? 伝説の英雄の勇者がゴッドプラス級の真魔神王を倒した暁に挑戦することができる究極限界創造神アマテラスを倒すことでたどり着くことのできる原初の崩壊空間ユピテアを原生世界と対融合消滅させることで生み出すことのできるジ・エンドを倒すことによって得られるというあの!? 真魔神王ですら存在を疑われているというのにっ!?」

 ミスラさんからテンプレのごときNPCのような文言を発される。

「あっ、ごめんなさい。これはそのレプリカです」
「そ、そうなんですね。はぁ、びっくりしました。太古の昔にそんなものがあったなんて伝承が伝わっているらしいのですが、よくレプリカなんて作れましたね」
「あーはははは」

 笑って誤魔化す。

「現状ですと伝説の勇者が存在しまして、その方がランクSSとなっている唯一の例となります。それ以上は本当に存在するのかも謎な話ですね」
「そ、そうなんですね」

 じゃあなんでミスラさんはその上のランクがあることを知っているんだろうか……。
 もしかしたらNPCとしての機能や知識はどこかに残されているのかもしれない。
 なんにしても、天空白金プレートは使えなさそうだ。
 下手な騒ぎになっても面倒である。

 エクスペディションオンラインのときも、サービス開始時はSランクまでだったのだが、アプデで何度も上限が解放されて最終的にはSSSプラスオメガになっていた。
 SSSくらいなら、まあ頑張ればなれるのたが、これをプラス化した上にアルファからオメガにまで変えていくのはとんでもなく大変だった。
 私も苦労したなぁ。

「セザンヌの街ですと最高ランクでAランク冒険者のカイオンがいますよ。なんでもボウロベアーを一撃で倒した実績があるとか。王都に行くとSランク冒険者なんかもいるそうです」
「そ、そうなんですね」

 ボウロベアーって雑魚じゃん。

「ではこちらがFランクプレートとなります」
「あ、はい。ありが――」
「おいゴミクズ、こちらにおわす御方は神にも等しい――」

 ベリアルが余計なことを言おうとしたので、結構本気で殴り飛ばす。
 それだけでベリアルは床に顔からめり込むこととなった。

「あー、はははは、ごめんなさい。この子ちょっと床に落ちているゴミクズに話しかけちゃう節があって」
「えぇ……。そ、そうなのですか」

 ミスラさんから滅茶苦茶訝し気な目で見られた。

「それで、何か手頃なクエストとかないでしょうか」
「それでしたら、今は人探しがいいですよ。何でも、つい先日この街に王国全域商業通行証を持った方が来たそうです。ただ、パーストン商会でもセイテル商会の方でもなかったようで、盗品ではないかと警備隊が探しているそうです」

 やっばぁ……。
 前回のは普通にダメだったっぽい。
 自然と目を逸らしてしまう。

「それと、これもつい先日なのですが、魔族の大軍がこちらに侵攻してきたのはご存知のことかと思います。それがなんと、通りがかった一人の魔法使いによって壊滅させられたようです。その方も国王からの召喚命令が出ているそうですよ。宮廷魔導士になってもうらべきだという意見が出ているそうです。見つけるだけでも褒賞が出るそうですよ」
「あー、はははは」

 私だなぁ……。

「ああ、それと、この前の大厄災は見ましたか? 天から突然、光の雫が降り注ぎ、一瞬で山が三つ消し飛んでしまいました。領主はこれを『消山事件』と呼んでおり、神の怒りだとみな恐れております。ただ、学者の中にはあれを魔法だと呼ぶ者もおりまして、その調査依頼なんかもありますね」

 あー……、はい、ごめんなさい、私です。

「それと、これは確定情報ではないのですが、大預言者レドマンの予言によると、悪魔皇帝ベリアルがこの地に降り立ったとのこと。大厄災を振りまく可能性があるとして目撃情報を求めているそうですよ」
「そうなんですねー。わー、悪魔かー。そんなのがいたら怖いですねー」

 全部ダメな奴じゃんっ!!

「あとは、ポッピン教という過激派の新興宗教なんかの調査依頼もありますが、なかなか情報が出てこなくて困ってるんですよね」
「えっと、討伐系のとかってありますか?」
「そうされましたら、ベビーワームの討伐はいかがでしょうか? 近隣の農地に現れております。初心者向けの魔物でもありますし、お手頃かと思いますよ」
「わかりました。それでお願いします」

 私たちは逃げるように冒険者ギルドから出ていくことにするのだった。
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