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19話 レアクエストを求めて
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さて、受けるべきクエストは三つだ。
モストタイガーの討伐、ハウルベアーの討伐、行方不明の少女の救出である。
このクエストは単独だと別に大したことのないものなのだが、三つ同時に受けて、少女が囚われている洞窟へ行くと、普通では会うことのできないレアモンスターと会うことができる。
そこにハウルベアーとモストタイガーもセットでついて来て、これを討伐すると経験値が非常においしいのだ。
ゲームではこれにより足早に冒険者ランクを上げることができた。
……ただ、ここはゲームじゃないし五百年も経っているから同じ理屈が通じるのか微妙ではあった。
が、それでもちゃんと三つともクエストが存在していたので試してみる価値はある。
とくに行方不明の少女なんてそんな頻繁にいるものではない。
このクエが存在したということは、クエのフラグがきっと残っている……はず。
「このフランソワという下等種族は救出すればよいのでしょうか?」
「下等種族じゃなくて領主の娘ね。うーんと、ゲームのころはフランソワじゃなくてエイナって子だったけど、大丈夫かな……?」
「なるほど、セザンヌの領主の娘の地位を生かして、むしろ我々が捕えて名声向上に使おうというわけですね」
「ちげーわ! その子は救助対象よ! それで、その子を助けるのもだけど、目的は洞窟で出てくるレアモンスターの方よ」
「モンスターですか。それらを蹴散らせばよいというわけですね」
「ええ。問答無用で人を捕食するやつだから容赦しなくていいわ」
*
洞窟へとたどり着き、周囲をあらかた探索したのだが――。
「い、いない……」
がーん……。
まさかのゲームと違うパターン……。
「そのようですね。どういたしましょうか」
「うぅぅ、自信満々に言ってたのにカッコ悪い……。やっぱゲームとは違うのかなぁ。ってことは、やっぱここって異世界??」
よく考えたら、PMCたちが普通に意志を持って行動している段階でそう考えるべきだ。
ゲームの仕様通りなら、彼らは喋らずただ私のコマンドに従うだけの人形となっていたはず。
ふとそんなことを思っていた瞬間、気配探知に違和感を覚える。
「豚トロ様!」
「隠れるよ。【パーフェクトハイディング】」
私は魔法で、くまちゃんはスキルの力で姿を消す。
すると、そこに複数の人物がやってきて何やら会話を始めるのだった。
「それで? 新人狩りの兵隊が全滅したから報酬は渡せないって? 一体何人の新米冒険者をあの農地に送ったと思ってんの? あの手この手で理由つけんのは、こっちも結構大変だったんだよ」
「それに関しちゃ俺だって手伝っている。Aランク冒険者ってだけでギルドは俺の言葉をだいたい信じまうんだぜ?」
「関係ないでしょ。約束通り報酬は出してよ。領主権限でぶっ潰してもいいんだよ?」
「おいおい、俺らだって出るとこ出てもいいんだぞ。ポッピン教が本気になればお前の家なんて簡単につぶせる」
「ちっ……」
なんて具合に、少女と男が話している。
けどあれって――
「領主の娘フランソワと、もう一人はセザンヌの最高の冒険者カイオンですね」
「似顔絵を見たフランソワはともかく、カイオンまでよくわかったわね」
「あちらをご覧ください。首からAランク冒険者の証を下げております」
「なるほどねぇ。内容から察するに、あの二人が結託して新人冒険者を襲わせていたってことかしら」
「そういうことでしょう。領主の娘とセザンヌの最高ランクの冒険者が口添えすることで新人向けのクエストを見繕う。そこにポッピン教の強奪集団を配置すると。新人がレア度の高い装備を身につけているとは思いませんが、未熟な点を鑑みれば安定して収益を得ることができます。うまく捕えれば奴隷として販売もでき、一石二鳥というわけですね」
「はぁ……なんていうか、分かりやすい悪党ね……」
「しかし、さすがは豚トロ様。先ほどのチンピラどもを壊滅させたことで、フランソワとカイオンは会合を設けざるを得なくなり、そこを狙ったというわけですね。どのようにしてこの場所を突き止めたのかはわかりませんが、その後慧眼、感服いたします」
……何言ってんのこいつ。
「フランソワは行方不明なのではなく、この悪事をはたらくために敢えて身を潜めているのでしょう。そして、その彼女がカイオンと会える場所は人目につかない場所でなければならず、そうなると必然的に候補は絞られる。すべては豚トロ様の狙った通りに事が運んでいるというわけですね」
「うん。違うね」
「違う……? なるほど、まだ奥があるというわけですね。しかと答えを勉強させていただきます」
「なんか急に疲れてきたなぁ~」
「むろんここから先は私の方で対処致します。豚トロ様のお手を煩わせるわけには参りません」
「違うそうじゃない」
なんて言っている横で、くまちゃんが姿を現わし彼らと対峙するのだった。
モストタイガーの討伐、ハウルベアーの討伐、行方不明の少女の救出である。
このクエストは単独だと別に大したことのないものなのだが、三つ同時に受けて、少女が囚われている洞窟へ行くと、普通では会うことのできないレアモンスターと会うことができる。
そこにハウルベアーとモストタイガーもセットでついて来て、これを討伐すると経験値が非常においしいのだ。
ゲームではこれにより足早に冒険者ランクを上げることができた。
……ただ、ここはゲームじゃないし五百年も経っているから同じ理屈が通じるのか微妙ではあった。
が、それでもちゃんと三つともクエストが存在していたので試してみる価値はある。
とくに行方不明の少女なんてそんな頻繁にいるものではない。
このクエが存在したということは、クエのフラグがきっと残っている……はず。
「このフランソワという下等種族は救出すればよいのでしょうか?」
「下等種族じゃなくて領主の娘ね。うーんと、ゲームのころはフランソワじゃなくてエイナって子だったけど、大丈夫かな……?」
「なるほど、セザンヌの領主の娘の地位を生かして、むしろ我々が捕えて名声向上に使おうというわけですね」
「ちげーわ! その子は救助対象よ! それで、その子を助けるのもだけど、目的は洞窟で出てくるレアモンスターの方よ」
「モンスターですか。それらを蹴散らせばよいというわけですね」
「ええ。問答無用で人を捕食するやつだから容赦しなくていいわ」
*
洞窟へとたどり着き、周囲をあらかた探索したのだが――。
「い、いない……」
がーん……。
まさかのゲームと違うパターン……。
「そのようですね。どういたしましょうか」
「うぅぅ、自信満々に言ってたのにカッコ悪い……。やっぱゲームとは違うのかなぁ。ってことは、やっぱここって異世界??」
よく考えたら、PMCたちが普通に意志を持って行動している段階でそう考えるべきだ。
ゲームの仕様通りなら、彼らは喋らずただ私のコマンドに従うだけの人形となっていたはず。
ふとそんなことを思っていた瞬間、気配探知に違和感を覚える。
「豚トロ様!」
「隠れるよ。【パーフェクトハイディング】」
私は魔法で、くまちゃんはスキルの力で姿を消す。
すると、そこに複数の人物がやってきて何やら会話を始めるのだった。
「それで? 新人狩りの兵隊が全滅したから報酬は渡せないって? 一体何人の新米冒険者をあの農地に送ったと思ってんの? あの手この手で理由つけんのは、こっちも結構大変だったんだよ」
「それに関しちゃ俺だって手伝っている。Aランク冒険者ってだけでギルドは俺の言葉をだいたい信じまうんだぜ?」
「関係ないでしょ。約束通り報酬は出してよ。領主権限でぶっ潰してもいいんだよ?」
「おいおい、俺らだって出るとこ出てもいいんだぞ。ポッピン教が本気になればお前の家なんて簡単につぶせる」
「ちっ……」
なんて具合に、少女と男が話している。
けどあれって――
「領主の娘フランソワと、もう一人はセザンヌの最高の冒険者カイオンですね」
「似顔絵を見たフランソワはともかく、カイオンまでよくわかったわね」
「あちらをご覧ください。首からAランク冒険者の証を下げております」
「なるほどねぇ。内容から察するに、あの二人が結託して新人冒険者を襲わせていたってことかしら」
「そういうことでしょう。領主の娘とセザンヌの最高ランクの冒険者が口添えすることで新人向けのクエストを見繕う。そこにポッピン教の強奪集団を配置すると。新人がレア度の高い装備を身につけているとは思いませんが、未熟な点を鑑みれば安定して収益を得ることができます。うまく捕えれば奴隷として販売もでき、一石二鳥というわけですね」
「はぁ……なんていうか、分かりやすい悪党ね……」
「しかし、さすがは豚トロ様。先ほどのチンピラどもを壊滅させたことで、フランソワとカイオンは会合を設けざるを得なくなり、そこを狙ったというわけですね。どのようにしてこの場所を突き止めたのかはわかりませんが、その後慧眼、感服いたします」
……何言ってんのこいつ。
「フランソワは行方不明なのではなく、この悪事をはたらくために敢えて身を潜めているのでしょう。そして、その彼女がカイオンと会える場所は人目につかない場所でなければならず、そうなると必然的に候補は絞られる。すべては豚トロ様の狙った通りに事が運んでいるというわけですね」
「うん。違うね」
「違う……? なるほど、まだ奥があるというわけですね。しかと答えを勉強させていただきます」
「なんか急に疲れてきたなぁ~」
「むろんここから先は私の方で対処致します。豚トロ様のお手を煩わせるわけには参りません」
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なんて言っている横で、くまちゃんが姿を現わし彼らと対峙するのだった。
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